仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜 作:Purazuma
第二部スタート!
偽りの勇気
勇気が欲しかった。
ボクは、小さい頃から臆病で、何もできない娘だった。
だからあの人にも……きちんと想いを告げる事ができなかった。勇気が無いから。
「ねえねえ、優香ってさ、人志の事好きでしょ?」
「えっ……そんな……こと……な……いや……」
「うっそだー!だっていっつも人志の事見てるでしょ!あたしは知ってるんだから!」
ボクの双子の姉、遠野優姫は、ボクと違って活発で、クラスのみんなからも好かれてて…………
「告白はしないの?」
「だ、だから好きとかじゃ…………」
嘘だ。ボクは、彼方人志君が好きだった。大好きだったのだ。
同じクラスの男の子。
ボクと同じで、地味で孤立気味だけど……それでもいつも優しい彼にボクは惹かれていた。
「ほら、勇気出して!きっと大丈夫だから!」
お姉ちゃんがそう言った時、ボクは思ったのだ。
やっぱりボクって、勇気が無いのかな…………
''優姫''お姉ちゃんには''勇気''があるから、クラスのみんなとも分け隔て無く話せるし、人気者だ。
それに対してボクは''勇気''が無いから…………
だからボクは、人志君を見捨てたんだ。
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あの木組みの街の世界から帰って来て数日。
俺とマミさん、さやか、まどかで、相変わらず一緒に魔女狩りをしていた。
さやかが魔法少女になって、ますます揺さぶりがかかったまどかは、魔法少女への憧れが凄まじい物になっていた。
キュゥべえ曰く、まどかが契約すれば、史上最強の魔法少女になれる程の素質を持っているらしい。
しかし、まどかはまだ契約していない。
どうやら、願い事がまだ決まっていないらしい。
「…………ん?あれっ……」
朝、目覚めた俺はテーブルに置いてあったアイコン達に目を向けた。
無い、無いのだ。アイコンが一つ足りない。しかもそれは…………
「ドライブアイコンが無い!!!」
部屋中探し回ったが、ドライブアイコンはいつまで経っても見つからなかった。
せっかくリョウタさんから貰った力なのに…………!
「幽斗、どうかしたのかい?」
キュゥべえがひょっこりと、どこからともなく現れる。
そうだ、キュゥべえなら何か知っているかもしれない。
「なあキュゥべえ、ドライブアイコンって…………」
「なんだ、そのことか。」
期待通り、ドライブアイコンのことはキュゥべえが知っていた。
「どこにあった!?」
「ごめん幽斗、その事なんだけど……しばらく僕が持っててもいいかな?」
「え?」
ドライブアイコンを?一体何のために…………
「通常のアイコンや、英雄アイコンとも違ったアイコン。不確定な要素も多いから、少し調べたいんだ。」
「調べる?」
まあ……それならいいかな。ドライブアイコンが無くて戦闘で困るってわけでもないし。
「わかった。いいよ。」
「ありがとう幽斗!」
それだけ言うとキュゥべえはそそくさと、部屋の窓から外に飛び出した。
「さて……学校行くか。」
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校門をくぐると、意外な組み合わせを見つけた。
雄也と、優香。
優香が一方的に雄也に話しかけているようにも見えるが…………
あ、優香が俺に気付いたみたいだ。
「おはようございます幽斗せんぱーい!」
「おはよう……て、先輩?」
「ああ、ほら、ボク一年生だからさ!」
それは知ってる。
「やっぱり敬語とか使わないとダメかな〜と思いまして!」
意外だ。優香もそういう事を気にするのか。
「……で、あの人ですよ!あの人!」
優香は人差し指をピッと立てて雄也を指差した。
「今あの人に話しかけてみたんですけど、ガン無視されちゃいまして……少しショックなのです。」
「ていうか……お前と雄也って接点あったのか?」
「え?はい、あの人がいきなり『アイコンを全て渡してもらうー!』とか言ってきて。」
…………雄也の奴、優香にまで…………
あいつはまさか……この街の仮面ライダー全員に同じような事をしているんじゃないか?
そうまでして叶えたい願いって何なんだ…………?
「それでですね、何でそんなにアイコン欲しいのー?って聞いたんですよ。」
「マジかお前!!で、雄也は何て!?」
勇気ありすぎだろこの子。俺だったら多分睨まれて、ビビってそれで終わり…………
「んー……教えてくれなかった。」
「ですよねー。」
忘れちゃいけないのは、あいつと暁美はキュゥべえと契約した事がないという事だ。
それなのに魔法を使える。そして、アイコンも狙っている。
いずれにせよ、あいつらを味方と判断するにはまだ早い。
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「おや?暁美ほむらじゃないか。どうしたんだい?」
今すぐにでもこいつを撃ち殺したい。
でも、そんな事をしても無駄な事はわかっている。こいつは消えない。
「そのアイコン……どうするつもりなの?」
「これかい?」
奴が幽斗のドライブアイコンをコロコロと転がしながら首を傾げる。
「ちょっと研究させてもらおうと思ってね。」
「それは……幽斗にちゃんと返すんでしょうね?」
奴はすぐには答えなかった。
少し間を置いて、言い放った。
「僕は幽斗に、返すなんて言った覚えはないけどね。」
「あなた……!!」
盾から銃を取り出して構える。奴は逃げない。当たっても無駄な事は私も、奴もわかっている。
「何の研究をしているのか、言いなさい!」
「いいよ。」
ドライブアイコンを体内にしまうと、後ろ足で頭を掻きながら奴は話し出した。
「もっと、手っ取り早くエネルギーを回収する方法がないか探しててね。それで考えたんだ。」
私は奴からそれを聞いた時、どうしようもないという悲壮感と、絶望が全身を走った。
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放課後になった。
さて、雄也と暁美に色々聞こう…………と思ったんだけど。
「すでにいないし…………」
帰るの早すぎだろあいつら…………
「まどかー!幽斗ー!帰ろー!」
さやかがソウルジェムの指輪をキラキラさせながら寄ってきた。
「さやかちゃん、今日上条君と話したの?」
まどかが何故そんな質問をしたのかというと、上条が退院したからである。
無事さやかの願いが叶い上条の腕が治り、日々のリハビリを頑張っていたおかげなのか、上条は松葉杖を使えば自力で歩けるまでに回復した。
そして、今日からついに登校できるようになったのだが…………
「あはは、まだだわ。」
上条は他のクラスメイトから色々質問攻めにされていて、さやかの入る隙がなかったのだ。
「いいの?」
「いいよいいよ、明日も、明後日も恭介は来るんだし!」
幸せそうな笑顔で言うさやかに、俺とまどかも釣られて微笑む。
「さやかさん、少しお時間いいですか?」
「仁美?どうしたの?」
志筑さんが帰ろうとしてるさやかを呼び止めた。
「二人きりで話したい事が。少し長くなる話かもしれませんが……」
「二人きり、か。幽斗とまどかは先に帰ってて。」
「いいのか?」
「うん、待たせると悪いしね!」
そう言って志筑さんに連れられてさやかは教室の外に出て行った。
「俺達も行くか。」
「そうだね。」
俺とまどかも教室の出入り口から廊下に出た。
階段に向かおうとしたところで、俺達に呼び止める声がかかった。
「あ、先輩方!一緒に帰りましょう!」
優香だ。わざわざ二年生の教室まで来たのか。
「あ、あなたは確かこの前の…………」
「遠野優香です!」
初対面の人にも分け隔てなく喋る子だ。クラスではさぞ人気者なんだろう。羨ましい。
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雑談をしながら帰路につく。
その中で、まどかが魔法少女の話題を出してきた。
「その、言いたくなかったら言わなくてもいいんだけど……優香ちゃんは、どんな願いで魔法少女になったの?」
「へ?」
「ご、ごめん!変なこと聞いて……でも、私どうしても願い事が思いつかなくて…………」
これは俺も気になっていた事だった。なので気にしてない風を装い、聞き耳をたてる。
「んー……大した事じゃないですよ。ちょっとだけ、''背中を押してください''って頼んだだけです。」
背中を押す……?どういう事だろうか。
濁すようにも聞こえるが……まあ、自分の願い事なんてそうそう言えないか。
「あ、ボクはこの辺で!」
優香が立ち止まる。
この辺に家があるのだろうか?周りには高層マンションが複数立っているので、どれかわからないが。
「また明日です!」
「ああ、またな。」
「ばいばい、優香ちゃん。」
そう言って俺達に背中を向け元気に走っていく優香の後ろ姿は、どこか悲しそうに見えた。
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「もうほとんど完成だね。」
「後は魔法少女達を、''強制的に魔女にする''方法さえ見つかれば、後は僕達だけで何とかできる。」
「全く、もっと早くこうすれば良かったよ。無駄な時間を取った。」
「でも、これって……燃費が悪くないかい?」
「問題ないよ、スペアはいくらでもあるしね。」
今回からキュゥべえが一気に怪しくなりましたね。