仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜   作:Purazuma

19 / 24

今回も戦闘はありません。が、幽斗の心の内が少し明らかになります。


俺にとっての幸せ

 

 

「幽斗達に言わないのかい?君は真実を知っているんだろう?」

 

「……うるさいよ、キュゥべえ。」

 

「遠野優香……君もやっぱり、その体は嫌と思うかい?」

 

「うるさいったら!」

 

ボクは自分の部屋のベッドに倒れ込み、僕の机の隣にある、もう一つの机を見つめた。

 

お姉ちゃんの机だ。

 

 

 

 

 

ボクは魔女と、眼魔の正体を知っている…………だって、目の前で見てしまったから。

 

でも言えないよ。ボクにそんな勇気は…………

 

 

「怖いのかい?おかしいな……僕は君の願いを叶え、''勇気''を与えたはずだけど。」

 

 

ボクは震える足を両手で抱え、顔を埋めた。

 

 

「ダメ、なの…………やっぱりダメなの…………ボクに勇気は持てない…………」

 

今は大丈夫でも、いずれ限界が来て、ボクも…………

 

 

 

「ところで優香、君が探している魔女の事だけど……うん、やっぱり、この街にいるね。それもかなり近い。」

 

 

ピクッと、その言葉に体が反応する。

 

ボクが探している魔女…………あの魔女だけは、ボクが倒さないといけない。

 

 

「優香、まさか君は、一人であの魔女を倒すつもりかい?」

 

「大丈夫、今のボクにはこれがある。」

 

ポケットからピンク色のアイコンを取り出して、見る。

 

英雄のアイコンの一つ。ボクの心の支えでもある物だ。

 

 

「力を貸してね、卑弥呼様…………」

 

「英雄アイコン、か。それでも辛いかもね。''優姫''は強かった。魔法少女としての実力ならマミにも匹敵するだろうね。」

 

巴マミさん。同じ中学だし、話くらいは聞いたことがある。他の魔法少女達からも、少し噂で聞いた。

 

 

「何しろ優香、君に''倒すことができるのかい?''」

 

キュゥべえを睨む。

 

この質問は、単にボクの実力で''あの魔女''を倒せるのか?という意味で聞かれているんじゃないだろう。

 

それを理解し、ボクは言った。

 

 

「……倒してみせるよ、人志君の仇でもあるんだしね……」

 

 

「そうかい。じゃあ僕も、その瞬間を見届けさせてもらおうかな。''肉親を殺した人間''が、どんな反応をするか興味があるしね。」

 

かっとなり、側にあったクッションを掴み、キュゥべえに向かってそれを投げた。

 

それを軽々とキュゥべえが躱す。

 

 

「やめて!もうやめてよ!出てってよ…………っ!!!」

 

ボクは掛け布団を引っ張り、視界を覆った。

 

 

「待っててね…………お姉ちゃん…………!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ほむら、もうすぐ奴が…………ワルプルギスの夜が来る。それまでに……」

 

「ええ、その前には必ず、戦力を揃えてみせる。まずは''あの子''を……」

 

 

ワルプルギスの夜。

 

他の魔女や眼魔とは比べ物にならないほどの力を持つ最悪の魔女…………奴を今まで通りの戦い方で倒すことは到底不可能だ。

 

それに加えて、''今回''はもう一人厄介な奴が、俺達を狙っているときた。

 

 

「そろそろ、話してもいいんじゃないか?」

 

「……」

 

「せめて幽斗には話しておくべきだ。」

 

「そうかもね。でも、まだ言うべきではないわ。」

 

 

 

もう何回繰り返したかわからない。

 

繰り返す毎に失敗し、大切な仲間を失い。挙げ句の果てに幽斗は…………

 

 

「そうだ……ねえ、雄也。言っておきたい事があるの。」

 

「ん?」

 

 

ほむらが伝えたのは、キュゥべえの行動に関しての事だった。

 

幽斗のドライブアイコンを奪っていったらしい。そして…………

 

 

「あいつの次の計画は……ーーーーーーーーー」

 

 

 

 

言葉が出なかった。

 

代わりに腹の底から抑えきれない怒りがこみ上げてくる。

 

最低最悪の、反吐が出そうなくらいの事を聞かされた。

 

 

 

「ふざ……けるなよ…………キュゥべえ…………!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「なあまどか……なんか、今日のさやか元気無いよな?」

 

「うん、どうしたんだろ……」

 

いつもは元気なさやかが、今日丸一日元気が無く、思いつめたような顔をしていたのだ。

 

志筑さんの様子も変だった。この前二人きりで話してた時に、何かあったのか?

 

 

さやかは帰り支度を終えると、俺達に声をかけることなく教室を出て行った。

 

……いつもはあいつから「一緒に帰ろー」とか言ってくるのに…………

 

 

「まどかさん、天空寺君、また明日。」

 

志筑さんが俺達に挨拶をしたところで、まどかが志筑さんを引き止めた。

 

 

「ねえ仁美ちゃん、さやかちゃんと……何かあったの?」

 

「ああ、いえ……なんでもないですわ。では、私は急ぐのでこれで…………」

 

「あっ……」

 

仁美はそう言うと早歩きで教室から出て行った。

 

やっぱり、何か変だ。二人とも……何かに焦ってるような気がする。

 

 

「私、ちょっとさやかちゃんの所に言ってくる!」

 

「まどか!?」

 

まどかはさやかを追いかけようと、走った。

 

俺は…………いや、付き合いの長いまどかに任せた方がいいかもな。

 

 

「帰るか。」

 

一人で帰るのは久しぶりだ。

 

最近はずっとまどかとさやかと一緒に帰ってたからな。たまには一人で帰るのも悪くは…………ん?

 

 

不意に視界に入ったのは、雄也と暁美の二人だった。

 

二人ともちょうど帰るところらしい。ていうか、あの二人はいつも一緒に帰ってるのか?

 

…………そうだ。色々聞きたいこともあるし…………

 

 

「ここは少し強引に……!」

 

思い切って声をかけることにした。上手くいけば一緒に帰って…………

 

 

「雄也、暁美、一緒に帰ろうぜ!」

 

と、近寄って二人に声をかける。…………さあ、どうくる?

 

「「…………」」

 

二人は一度顔を見合わせてから一度頷き、俺に顔を向けた。

 

 

「好きにしろ。」

 

「あーやっぱりダメ…………て、今なんて?」

 

「好きにしろ、と言ったんだ。」

 

………………!!!

 

これは最高の展開だ。もしかしたら色々、アイコンの情報とか聞き出せるかもしれない!!

 

 

「あ、ありがとう雄也!暁美!」

 

「…………ほむらでいいわ。」

 

「え?あっ……そう?」

 

 

三人で校舎を出て行き、帰る。

 

早速俺は自分から色々と質問を二人に投げかけて行った。……怪しまれなければいいが。

 

 

「二人ともすごいベテランな感じするけどさ、キュゥべえと契約してからどれくらい経つの?」

 

あれ、でもそういえばキュゥべえはこの二人とは契約した覚えが無いって言ってたな。

 

 

「…………それをお前に言う必要があるか?」

 

「え?いや、その、ありませんね…………」

 

 

思わず敬語になっちゃったじゃないか。何だよ今の顔、カタギの顔じゃないぞ。

 

えーと、次の質問…………

 

「え、えっと、雄也はいくつアイコン持ってるの?」

 

「……それも言う必要はない。」

 

「え、あ、そっすか。」

 

どうしよう。このままじゃ情報どころか会話にすらならないぞ。

 

せめて親密度を上げるために何気ない会話で……!

 

 

「おい、幽斗。」

 

「え?な、何だ!?」

 

いきなりの雄也からの質問で語尾が強くなってしまう。

 

雄也は前を向いたまま、口元だけを動かして俺に言った。

 

 

「もしもアイコンが十五個揃ったら……お前は、何を願う?」

 

「え?」

 

アイコンが十五個揃ったら…………

 

正直、俺はまだ、全てのアイコンが揃った時、何を願うかは考えていなかった。だけど不思議と、言葉が出た。

 

俺は一度、死にかけた。命が助かったのだから、もう自分自身の為に願うことなんか、無い。生きていればそれでいいと。だから…………

 

 

 

「みんなの為に…………色々な人の幸せに繋がる事を願いたい!」

 

 

雄也は俺を一瞥し、「そうか」とだけ言うと、また視線を前に戻した。

 

俺の言葉を聞いたほむらが言う。

 

 

「その、''みんな''の中には、貴方も入っているの?」

 

思ってもみない質問だった。

 

そして、俺も考える。俺が思っていた''みんな''とは誰か。

 

 

「そうだな……みんなが幸せになれば、俺も嬉しい。だから、それは俺にとっての幸せと、同じなんだと思う。」

 

「…………」

 

 

しばらく静寂が続いた。

 

 

「……お前は甘い。」

 

そう言った雄也の表情は、わかりにくいが、怒っているようにも、悲しそうにも見えた。

 

 

「甘い、ね。そうかもな。だけどそれは悪いことじゃないだろ?」

 

 

人の幸せを願う事は……間違いじゃない。良いことのはずだ。誰かの幸せを願うこと、それはきっと……ーーーー

 

 

 

「誰かを呪う事にも繋がる。」

 

「……!?」

 

 

まるで俺の思っていた事に被せるように雄也は言った。

 

 

「お前は……魔法が、幸せの為にあるとでも、本気で思っているのか?」

 

「な、何だよ……どういう意味だ!」

 

 

三人、同時に足を止めた。

 

 

「お前のその甘さが……今回の、''最悪の敵''を生み出した。」

 

 

最悪の…………敵……!?

 

どういう意味だ、と問おうとした瞬間。ほむらがソウルジェムを取り出し、変身した。

 

そしてすぐさま腕に付いている盾を構える。

 

 

 

「とりあえず、謝っておく。すまなかった、幽斗。」

 

「おい、それどういう意味だよ……おい!待て!!」

 

 

雄也の腕を掴もうと、手を伸ばした時には、二人の姿は跡形もなく消えていた。

 

 

 

「……くそっ……!何なんだよ…………!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あれ?どうして君がこの街にいるんだい?」

 

 

キュゥべえはビルの屋上に座り、りんごにかぶりつく少女を見つけ、聞いた。

 

 

「何かさ、知らない奴から連絡が飛んできたんだよ、''暁美ほむら''とかいう奴から。」

 

キュゥべえは暁美ほむらという名前に反応する。

 

 

「ふーん、で、彼女は何て?」

 

「それがさ……『もうすぐ''ワルプルギスの夜''が来るから手を貸せ』なんて言いやがる。んな確証どこに有るってんだよ……」

 

「それで、君は素直にそれに応じたのかい?わざわざ隣町から?」

 

「まあ、もし本当なら、断る理由はないからね。奴のグリーフシード……どれほどの大きさなのか……あははっ!」

 

「でも、もし嘘だったら?」

 

 

少女は持っているりんごの芯を空中に放り投げ、どこからともなく現れた槍でそれを切り刻んだ。

 

 

 

「そん時はその……ほむらって奴をぶちのめすだけよ。わざわざあたしを呼んどいて、嘘をつくなんて、許すわけないじゃん。」

 

「相変わらずだね君は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐倉杏子。」

 

 

 

 

 




杏子登場。

次回からは徐々に魔法少女と仮面ライダーの真実へと近づいていきます。オリキャラである優香の話が多くなるかもしれません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。