仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜   作:Purazuma

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今回は少しだけあのライダーが登場。


引き金

 

 

「…………何か変だ。」

 

ボクが結界の中に入ってから、攻撃どころか、使い魔一体の気配すら無い。

 

使い魔がいない…………いや、必要無い…………?

 

 

 

 

 

 

 

''私は優香がいればそれでいいんだ''

 

 

 

 

 

 

「……っ……!」

 

こんな事になっても…………お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだね。

 

 

 

一体の魔女の気配を頼りに、ボクは結界を駆け抜ける。

 

すぐに戦闘に移れるよう、あらかじめゴーストドライバーからサングラスラッシャーを取り出し、構えた。

 

使い魔がいないのなら、相手は魔女だけ。一体の敵に集中して戦える。これならボク一人でも勝てるはず。

 

 

この魔女を倒す事が……ボクの、お姉ちゃんと人志君への罪滅ぼしだ。

 

 

 

「卑弥呼様……ボクに勇気を……!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

結界の中は、怖くなるくらい幻想的で、綺麗な風景が広がっていた。

 

ここが本当に魔女の結界の中なのか、疑うほどに。言葉で言い表せない美しさだった。

 

 

 

「なっ……!なにこれ!?」

 

先に突っ込んでいったさやかが立ち止まり、叫んだ。

 

後ろを走ってきた俺とマミさんとまどかも立ち止まり、ソレを見上げた。

 

 

「壁……?」

 

俺達の侵入を阻止するように、その壁は佇んでいた。

 

周りの風景に同化している、白い壁。

 

 

「行き止まり……じゃないよね?」

 

違う。今まで進んできたのは一本道だった。これは……

 

 

「俺達を通さないつもりか……」

 

ゴーストドライバーからガンガンセイバーを取り出す。

 

新しいアイコンの力……試してみるか。

 

以前倒した眼魔が落としたロビンフッドゴーストアイコンを取り出し、ゴーストドライバーに装填した。

 

 

《アーイ!》

 

《バッチリミナー!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

《カイガン!ロビンフッド!ハロー!アロー!森で会おう!》

 

 

緑色のパーカーゴーストと同時に、電話機とコンドルを合わせたようなガジェットが現れ、ガンガンセイバーと合体し、アローモードに変形した。

 

 

「なるほど、武器は弓か……」

 

こいつで、この壁を破壊する!

 

 

ゴーストドライバーにガンガンセイバーをかざし、アイコンタクトを発動させる。

 

《ダイカイガン!》

 

《ガンガンミナー!ガンガンミナー!ガンガンミナー!》

 

弓を引くように、片腕を固定し、もう片方の手を引く。

 

《オメガストライク!》

 

引いた方の手を開くと、矢の形をしたエネルギーが真っ直ぐに発射され、目の前の白い壁を貫き、崩壊させた。

 

 

「相変わらずすごいわね……アイコンって。」

 

「魔法少女にもこういう力があればいいのになあ。」

 

と、感心したような声を上げるマミさんとさやか。

 

 

 

こんな所で時間を潰すわけにはいかない。優香はもうかなり奥の方へ進んでしまったみたいだ。俺達も急がないと。

 

「あ〜……みんな、少し我慢してね。」

 

「「「へ?」」」

 

「イグアナゴーストライカー!」

 

 

やはり結界の中を素早く移動すると言ったら、これを使う以外考えられない。

 

空中に現れた眼の模様から出てきたイグアナゴーストライカーは、「待ってました」と言わんばかりの勢いで俺達の目の前に降り立った。

 

 

 

「やっぱりコレなのね……」

 

「な、なんか、あたしもう慣れたわ。」

 

「やっぱりかわいいなあ……この子。」

 

 

三人がイグアナゴーストライカーに乗ったのを確認し、俺は運転席に跨った。

 

そろそろこいつのコントロールにも慣れた。最初みたいに振り回されることはないはず。

 

 

「しっかり掴まってて!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最後に見た時と変わらず、お姉ちゃんは綺麗だった。

 

 

 

 

「……ごめんね、待たせちゃって。」

 

ついにこの瞬間が来た。

 

ボクの、未練。それを断ち切り、ケジメをつけるこの時が。

 

 

「結局、一人で挑むつもりなのかい?」

 

不気味なほど澄んだ声が後ろから聞こえた。キュゥべえだ。

 

「これはボクがやらないとダメな事だよ。」

 

「ふーん……どうでもいいけど、幽斗達は君を追いかけてるみたいだよ。もうすぐここに到着するだろうね。」

 

 

なら、その前にこの魔女を倒す。ボクだけの力で、この魔女を…………

 

「お姉ちゃんを、倒す。」

 

 

サングラスラッシャーを握りしめ、ボクは目の前の女神のような魔女に飛び込んだ。

 

五メートル程の体に、その二倍はありそうな大きな翼。

 

 

魔女の周りから放射される光線を躱しながら、懐を目指す。

 

一撃でも当たるわけにはいかない。この光線は、一撃だけでも十分勝負がつくだけの威力がある。そう確信していた。

 

 

勇気。

 

勇気。

 

 

「勇気!!!」

 

光線の乱舞を躱しきり、サングラスラッシャーでの攻撃が届く位の距離まで近付けた。

 

迷わないように、ボクは何も考えずにサングラスラッシャーを思い切り振り下ろした。

 

魔女の体に斬撃が当たる。

 

これで終わらない。さらに追撃する。

 

「はあっ!…………せやぁっ!!!」

 

がむしゃらにサングラスラッシャーを振り回すボクは、なぜか、''あの日''の事を思い出していた。

 

お姉ちゃんが魔女になった日。

 

そして、その大好きだったお姉ちゃんが、愛しい人を奪っていった日。

 

ボクにあの時勇気があれば……もう少し早くキュゥべえと契約していたら……ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああああっ!!!」

 

 

ボクの体に、無数の魔力弾が直撃した。

 

空中に放り投げられ、変身が解ける。

 

 

 

確かにサングラスラッシャーの攻撃は届いたはずだ。それなのに、ダメージを負っているのはボクだ。

 

 

 

 

 

「ああ……そうか…………」

 

意地悪だなあ……お姉ちゃん…………

 

「今まで切ってたのは使い魔…………だったんだ。」

 

この魔女の部屋に来るまでに使い魔が一体もいなかったのは、油断させるため……

 

やっぱり、お姉ちゃんの方が一枚上手だったみたいだね。

 

このまま、お姉ちゃんの姿もわからないまま…………ボクは死ぬのかな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!》

 

ボクに襲いかかる光線は、飛んできた斬撃によって弾かれた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「間に合った!」

 

間一髪。ギリギリだった。あと一歩遅ければ優香は光線に貫かれて…………

 

 

「マミさん!さやか!」

 

「了解よ!」

 

「任せて!」

 

 

マミさんが複数のマスケット銃を自分の周りに展開し、優香に当たらないように結界の中を乱射し、牽制する。

 

さやかは素早く倒れている優香に駆け寄り、抱きかかえて俺とまどかの所に連れてきた。

 

 

 

俺は周囲を確認し、魔女がいないかどうか確認する。

 

この魔女はかなり危険だ。戦略に長けている。それに……

 

「純粋に、魔力が強い。」

 

 

結界の中に魔女はいるはずなのだが、どこにいるのか全く感知できない。

 

強い魔力があちこちに分散されていて、魔女の場所が正確にわからないのだ。

 

必ずここにいる。どこかで、俺達を見ているはずだ。

 

 

「くっ……!」

 

俺達にも光線が降り注ぐ。それをなんとか避け、避けられなかった光線はガンガンセイバーで弾いていく。

 

早く魔女の場所を突き止めないと…………このままじゃ防戦一方だ。

 

どこかに……どこかにいるはずだ…………!!!

 

 

「う……」

 

「幽斗君!優香ちゃんが!」

 

まどかに抱きかかえられていた優香が目を覚まし、何やら口を動かしている。何かを伝えようとしているのか。

 

まどかは耳を近付けて、それを聞き取ろうとする。

 

 

「ボ……クが、倒す……倒さないと…………」

 

「……!」

 

どうして……何がそこまで、お前を動かすんだよ……優香……!

 

「優香ちゃん!」

 

「!!」

 

優香はまどかの手を振りほどき、再びゴーストドライバーを出現させ、ブーストゴーストアイコンを装填した。

 

 

《アーイ!》

 

《バッチリミヨウ!バッチリミヨウ!バッチリミヨウ!》

 

「変身!!!」

 

《カイガン!ブースト!ゴーゴー!覚悟!奮い起つゴースト!》

 

 

サングラスラッシャーをブラスターモードに変形させた優香は、使い魔に向かってそれを無我夢中で乱射した。

 

使い魔は熱線に貫かれても、一体、また一体と次々に数を増していく。

 

 

「落ち着け優香!」

 

「邪魔しないでください!!!」

 

駄目だ。優香は完全に冷静さを失っている。

 

くそっ……魔女はどこにいるんだよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ダイテンガン》《ネクロム》

 

《オメガウルオウド》

 

 

「「「………っ!?」」」

 

「うわあっ!?」

 

「え!?」

 

 

 

緑色の閃光が空を切り、結界のど真ん中を貫いた。

 

衝撃で使い魔達は一撃で吹き飛び、俺達も風圧で体が飛ばされそうになる。

 

 

 

''それ''は突然現れた。

 

 

「あれは……?」

 

白いボディに漆黒のパーカー。

 

潜水服の様な外見がメカメカしい印象を与えていた。

 

 

「仮面ライダー……なのか?…………!!」

 

 

魔力が…………弱まった?

 

結界のあちこちに分散されていた魔力が、明らかにさっきよりも弱まった。

 

しかし、まだ魔女の場所がわからない。これは…………魔女が、いない…………?いや違う。これは……

 

 

 

 

 

「そうか……!この結界自体が魔女…………!!」

 

魔力が弱まったのはあの白い仮面ライダーの攻撃が地面に当たった瞬間。間違いない。この結界が、魔女そのもの…………

 

 

 

「なら、どうする?」

 

このバカでかい魔女をどうやって倒す。俺にも、さやかにも、マミさんにも、こんな巨大な魔女を倒す火力は無い。

 

視線を地面にできたクレーターに移した。すると……

 

 

「あれ?さっきの仮面ライダーが…………」

 

消えた。白い仮面ライダーの姿が跡形もなく消えていたのだ。

 

何なんだ一体…………

 

 

 

 

 

「あはは……やっぱりお姉ちゃんは意地悪だね……」

 

「……っ!?優香?」

 

優香はサングラスラッシャーを握りしめ、ゆらゆらと力の無い動きで前に出る。

 

ブーストゴーストアイコンと、ヒミコゴーストアイコンをサングラスラッシャーに装填し、構えた。

 

 

《マブシー!マブシー!マブシー!》

 

 

「……!マミさん!さやか!戻って!!!」

 

「え?」

 

「……っ!美樹さん!!」

 

マミさんがさやかを抱えて、急いで俺達の方へ戻る。

 

 

「優香お前……!」

 

こいつ……!魔力を使い果たしてでも、この魔女を倒す気だ…………!!!

 

 

優香がトリガーに指をかけ、笑みを浮かべながら言った。

 

 

「バイバイ、お姉ちゃん。」

 

 

「優香……!?お姉ちゃんって……!!どういう……ーーー!!!」

 

 

《オメガフラッシュ!》

 

一瞬で結界が灼熱の炎で赤く染め上げられ、俺達の視界を覆った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

意識はすぐに戻った。

 

俺とマミさんとさやかの変身は解けていて、まどかも含めた四人がその場に倒れていた。

 

そして目の前に……優香の後ろ姿が見えた。

 

 

 

 

 

 

「くっ……優香……!?」

 

「ねえ先輩……ボクは勇気を出せましたかね?」

 

 

こっちを見ずに、下を向きながら優香は言った。

 

勇気を出せたか。その問いの意味が、俺にはわからなかった。

 

 

 

 

「これでボクも…………魔女の仲間入り……です……」

 

 

「…………は?」

 

ようやく俺の方に視線を向けた優香の目は、酷く汚れていた。

 

手には黒く濁った、ブーストゴーストアイコンを握りしめている。

 

 

 

「え?今なんて…………」

 

さやかも呆気にとられていた。

 

 

''魔女の仲間入り''

 

 

 

 

「おい……待て…………どういうことだよ…………!!!」

 

 

「最後に一つだけお願いです。」

 

 

ブーストゴーストアイコンにはミシミシと音を立てて、ヒビが入る。

 

そして……ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクは、貴方が倒してください。天空寺幽斗先輩…………」

 

黒い光が溢れ、瞬く間に世界を侵食していった。

 

 

 

 





さて、ここからが「まどマギ」という作品の真骨頂。暗い展開が多めになるかも。
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