仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜 作:Purazuma
本編にグレイトフル魂が登場ということで、ついにこの小説にも…………
自分が何者なのか。''あいつ''を見た時にそれは薄々気づいてた。
欠けていた記憶も戻りつつある。
だが…………
「この願いは、俺自身でも止められない。」
こんな事をいくら続けても、''奴''が存在する限り負の連鎖は止まらない。そんな事はわかっている。
それでも俺は殺し続ける。
魔法少女を
魔女を
眼魔を
仮面ライダーを……!
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「な、何で雄也が……!?その子は誰なんだ!?一体、何が何だか……!」
「目の前の戦いに集中しろ!こいつは一筋縄ではいかない!」
俺は状況が整理できないままガンガンセイバーを構えた。
前方からは軽い身のこなしで俺達三人に接近してくるネクロム。
……奴からはやっぱり、生気というものが感じられない。感情というもの自体が、無いような…………
もしかしたら、キュゥべえに操られている可能性もある。
「雄也、あいつ一体何なんだ?」
「……さあな、何しろ俺も初めて見るライダーだ。」
「アタシはそもそも、あんたとも初対面だし。」
隣にいる少女はいつのまにか棒付きのキャンディーを取り出して口に含んでいた。
「君は?」
「あん?佐倉杏子、詳しい自己紹介はあいつ倒してからにしな。」
それもそうだ、ネクロムは問答無用で俺達を殺しにかかる。説得する暇も与えてくれない。
既に奴はロビンフッドかエジソンの射撃を使えば攻撃が届きそうな所まで接近していた。
「いくぞっ!!」
雄也が複数の鎖を出現させ、回転しながらネクロムに近づく。
鎖を、ネクロムを囲むように展開した。拘束するつもりだろう。
だが、奴も簡単にはそうさせてくれなかった。
白いアイコンを取り出し、左手に取り付けてあるブレスに装填した。
《イエッサー》
「もう一つの英雄アイコン……!?」
《テンガン》
《サンゾウ》
《メガウルオウド》
《西遊ロード》
白いボディに白いパーカーが重なり、背中には黄金の光輪が現れ、神々しくも見える姿。
サンゾウ魂…………
「…………っ!?」
《ダイテンガン》
《サンゾウ》
《オメガウルオウド》
ネクロムの全身から猿、豚、河童の形をしたオーラが現れ、奴の足元に煙を生成した。
まるで、孫悟空のキン斗雲のような…………
それに乗ったネクロムは鎖に捕まる前に宙を浮き、飛び出した。
が、ネクロムの動きが止まった。
槍を持った少女……佐倉杏子が槍を変形させ、雄也と同じようにネクロムが逃げた先に展開させていたのだ。
変形した槍に拘束され、ネクロムが地面に叩きつけられる。
「今だ幽斗!!」
雄也の言葉に反応し、俺はすぐに腰のレバーに手を当てた。
「喰らえ……!」
《ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!》
片足に力を集中させ、拘束されているネクロム目掛けて渾身のオメガドライブを放った。
「…………!!!」
「はあああああっ!!」
蹴りはネクロムの胸部に直撃し、奴は緑色の粒子を分散させながら爆発した。
爆煙が晴れ、仕留めたかどうかを確認する。
「…………?」
いない。
確かに手応えはあった。恐らく倒したはずなのだが…………奴の体が無い。
オメガドライブで体が消し飛んだ…………?いや、変身者の安全を考えてそこまでの威力は出していない。
俺が考え込んでいると、隣に雄也と杏子が降り立ち、同時に変身を解いた。
俺もゴーストドライバーからオレゴーストアイコンを抜き取り、変身を解く。
「……何なんだ……?一体。」
「幽斗、今から俺達と一緒に来てもらう。」
「どこにだよ?」
今までの雄也とは様子が違った。
他人を威圧するような雰囲気を感じない。
「ほむらの家だ。」
「……何のために。」
「お前に、いや……お前達に全てを話す。」
全て…………?
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「ほ、ほむらちゃん……!?」
「暁美さん……?」
ほむらちゃんが放った銃弾に貫かれ、キュゥべえは無残に横たわっていた。
拳銃を手に取り付けてある盾にしまい、ほむらちゃんは私達に近づいてきた。
「ほ、ほむらちゃん……!ひどいよ!何も殺さなくたって……」
その時、信じられないような光景が目に飛び込んできた。
「やめてほしいな。いくらスペアがあるからって、無駄に減らされるのは嫌なんだけどな。」
死んだはずのキュゥべえが、平気な顔をしてひょこひょこと歩いてきたのだ。
そして、先ほどの自分の死体を凄い勢いで食べ始めた。
気味が悪い光景だった。
「……私と一緒に来て。」
「暁美さん……?あなたは知ってたの?魔法少女と、仮面ライダーの正体を……」
「詳しいことは、私の家で話すわ、だから一緒に来て。」
ほむらちゃんは私の肩に手を回して立たせてくれた後、マミさんに視線を向けた。
「あなたも一緒に……」
「……わかったわ、美樹さんもそれで……あら?」
私もまさか、と思い周囲を見渡す。
さやかちゃんが……いない。
「さやかなら、さっき走ってどこかに行ったよ?」
「え……?」
キュゥべえの言葉に絶句する。
さやかちゃん……一体どうして……!
「行かなきゃ……!」
さやかちゃんを追いかけようとする私を、ほむらちゃんが手で制した。
「お願いまどか、今は私について来て。」
「でも!」
「あなた達に話さなくてはならない事があるのよ!!」
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「食うかい?」
「え?あ、どうも……」
俺達は今ほむらの家を目指していた。
杏子から貰ったスナック菓子を、気を紛らわすために口に放り込む。
急に態度を変えた雄也に、俺は困惑していた。
一体何を話すって言うんだ…………?
優香の事も気がかりだ。
魔法少女は魔女になり、仮面ライダーが眼魔になるというのなら、優香は…………
くそ、まだ信じられねえ…………
「見たのか?」
「……え?」
「見たんだろう?優香が眼魔になるところを。」
…………やっぱり。
こいつは……雄也は最初から知っていたんだ。キュゥべえと契約したら、最後にどうなるのか…………!
知ってて、隠していたのか…………!?
「……そんな顔するなよ。ちゃんと説明するって言っただろう。」
「ふざけるな……!今更''説明する''だって……!?」
「お、おい落ち着けよ……」
杏子が止めるのを無視し、俺は雄也の胸ぐらを掴んだ。
「お前は!!!…………お前は…………っ!!」
言いたい事が山ほどあった。
何で説明しなかった。
何で俺達の邪魔をしていた。
何で…………なんで…………
「……もう、嫌だったんだよ…………」
「え……?」
雄也は俺の手を振り払い、服を正した後再び歩き始めた。
もう嫌だった。
雄也はそう言った。
その言葉の意味を聞き出せないまま、俺はしばらく二人について行った。
「…………?」
俺を含め、その場にいた全員が気づいた。
巨大な、魔力が近づいてくる。
この感じは、前に何度も感じたことがある。
奴だ。
黒ずくめの、影の男。
あの男が俺達に近づいてくる…………!!
「走れ!!!」
雄也がそう叫ぶと同時に、俺と杏子は走り出した。
変身してる時間すら惜しい。
俺達は魔力で身体能力だけを上げて全力で、迫ってくる巨大な魔力から離れようとした。
速い。
このままじゃすぐに追いつかれてしまう。
「おいどうすんだよ!何だよこれ!?」
杏子は黒い男の事を知らないのか、かなり動揺しているようだ。
突然感じたこともない魔力が近づいてきたら、どんな魔法少女も取り乱すだろう。
俺達はただ逃げることしかできなかった。
今回は何かが違う。
以前とは、奴の雰囲気が一変している。
「雄也!!」
「わかってる!!息が切れるから喋るな馬鹿野郎!!」
どんどん距離が詰められている。
後ろは、恐ろしくてとても振り返れない。
「っ!!止まれ!!!」
雄也が急に立ち止まり、俺たちの方を向いた。
「固まれ!!周囲を警戒しろ!!」
逃げ切れないと判断したのか、俺達に一つの場所に固まるよう指示した。
三人で背中を合わせ、息が詰まりそうな空間を凝視する。
近くに、いる。
「っ……!下だ!!!」
杏子が叫ぶのとほぼ同時に、俺達が立っていた真下の地面が崩壊し、衝撃波が放たれる。
避けられずに、俺達は四方に吹き飛ばされた。
「ぐっ……ああっ……!」
「くっ……!」
立ち上がり、俺と雄也はアイコンを、杏子は赤いソウルジェムを取り出した。
「追いついた…………!」
黒い男は俺、雄也、杏子の順に睨み、腰に手をかざした。
《グレイトフル!》
「……!ドライバー……!?」
「ちっ……!気をつけろ幽斗、杏子。」
奴が出現させたのは、ゴーストドライバーとは違う、巨大なアイコンの形をした黄金のドライバーだった。
「お前達を、殺す。」
「はっ!ははっ!お前には無理だよ、甘ちゃんが……!!」
どうにかして隙を伺おうとする雄也だが、その足は震えていて、今にも尻餅をつきそうな様子だった。
「お前は……何が目的なんだよ!!」
「目的、ね。お前ならわかると思うけどな、天空寺幽斗。」
「何だと…………!?」
「英雄のアイコンを集めて、願いを叶えたいんだろう?」
「何でお前がそれを…………!?」
黒い男は薄く笑い、足を開き構えた。
《ガッチリミーナ!コッチニキナー!ガッチリミーナ!コッチニキナー!》
黄金の光と共に''十五体のパーカーゴースト''が現れた。
「な、あれは…………!」
ムサシにエジソン、ロビンフッド…………
俺や雄也が持っている英雄アイコンのパーカーゴースト、それと同じ物が何体か確認できた。
何で…………奴が英雄のゴーストを…………!?
「命、燃やすぜ…………!」
「え…………?」
奴はそう言った後、ドライバーのスイッチを押し込み、''変身''した。
《ゼンカイガン!》
《剣豪発見巨匠に王様侍坊主にスナイパー!大変化!!》
黒と金のボディ。頭部には複数の角。体のあちこちに英雄のシンボルのような模様が浮かんでいる。
「俺は仮面ライダーゴースト……グレイトフル魂…………!」
はい、まさかのグレイトフル魂は敵としての登場です。