仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜 作:Purazuma
いやー、別の執筆活動とリアルの事で随分と間が空いてしまいました。すみません。
「仮面、ライダー……ゴー……ストだって……?」
黒い男は、仮面ライダーだった。
ただ、おかしい点がいくつかある。一つは、キュゥべえが言っていた事。
キュゥべえはこの男とは契約した覚えが無いと言っていた。……信用していいかはわからないが。
それともう一つ。こいつが使っているドライバーだ。
俺や雄也、優香が使っているゴーストドライバーとは別物…………それも、十五人の英雄の力が宿っている物だ。
いや、待て、そういえばあのネクロムとかいう奴もゴーストドライバーは使ってなかった…………
それに最も気になった点は、''俺と同じ名前の仮面ライダー''だということだ。
「っ……!変身!」
《カイガン!スペクター……!レディゴー!覚悟!ドキドキゴースト!》
最初に動いたのは雄也だ。
呆気にとられている俺と杏子よりも早く、速く、ゴーストドライバーを出現させてスペクターへと変身し、グレイトフルへと特攻して行った。
「逃げろ!」
グレイトフルは雄也が突き出す拳を全て繰り出される前に反応し、受け止める。
「……お前も変わったと思ってたけど……俺の勘違いだったみたいだよ、雄也。」
「黙れ……!」
「俺は変わったぞ。世界を救うために、変わった。それに比べてお前は……甘いままだ!!」
「がっ……!?」
雄也の体に蹴りが一発入る。
一瞬で雄也の体が吹き飛ばされ、側にある建物の壁を突き抜けた。
「おいおい……冗談じゃねえぞ……!」
杏子は咄嗟に赤く光るソウルジェムを構え、魔法少女へと変身した。
俺も続いてゴーストドライバーを出現させるが…………
「なっ……!」
「遅いよ。」
一瞬で眼前にまでグレイトフルが迫る。
杏子が槍を突き出すが、それも避けられる。が、グレイトフルとの距離は空いた。
「変身!」
杏子が奴を足止めしている間に、ムサシゴーストアイコンを取り出し、ドライバーに装填する。
《カイガン!ムサシ!決闘!ズバッと!超剣豪!》
オレ魂じゃ到底敵わない。でも、英雄のアイコンならもしかしたら…………!
「うおおおおおおお!!!」
ガンガンセイバーを二つに分離させ、二刀流モードに変形させた後、グレイトフルへと特攻する。
「バカ!奴相手に考えなしの攻撃は……!」
雄也の掠れた声は、耳に届かない。
「その選択は間違いだ。天空寺幽斗。」
一瞬だった。
さっきまでの動きは、ただ俺達を試す……いや、遊んでいるだけだった。
まるで見えなかった。
「ゲボッ……!」
気づいた時には、俺の両手に握られていたはずのガンガンセイバーが消えた。
数秒、どこに落としたのかを探したが、すぐにその無駄な行為をやめた。
なぜなら、すぐに見つかったから。
“俺の腹”に。
それは深々と突き刺さっていた。
どしゃっ、と大量の血と体が崩れ落ちる音が、不快感を煽りながら鳴った。
「ゆうとおおおおおおおお!!!」
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もう俺の声は、幽斗に届いていなかった。
魔力で腹に空いた穴の修復が始まっている……死にはしないだろうが、あの刀がつっかえて……抜かない限り完全には塞がらないだろう。
杏子は……無事か……?
薄れかける意識を手繰り寄せながら、状況を確認する。
グレイトフルは健在。幽斗は戦闘不能。唯一動けるのは杏子だけ。
絶望的な状況だ。
「佐倉杏子……お前も“対象”だ。」
「くっ……!」
にげろ、と言おうとしたが、全身に痛みが走り、とてももう一度叫べる状態じゃない。
それに、奴から逃げれる術はない。
可能性があるとすれば…………
「おっと…………運がいいな雄也。お迎えが来たみたいだ。」
「……優秀だろ?俺の相棒は。」
飛ぶようなスピードで複数の魔力が近づいて来るのがわかった。
もう、安心してもいいだろう。あいつが来たから…………
「ちょっと、恥ずかしいこと言わないでよね。」
冷たさと照れ臭さの混ざった声音が、耳の中へ滑り込んできた。
腕に黄色いリボンを巻いた黒い少女が、そのリボンを介して繋がっている金髪の少女と共に上空を舞う。
「ほむらに……マミ……連れてきたのか…………」
ほむらの背にはまどかが背負われていて、この悲惨な状況に目を見開いて驚いている。
「幽斗君!」
「天空寺君……!ひどい怪我を……!」
「ほむら!!!」
血を吐きながらもほむらに合図を送ると、既に盾を構えていた彼女が薄く笑った。
「やっと、悪役から脱却ね。」
瞬間、俺の意識は途絶えた。
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「うーんと……これでいいよね……?」
「んー……たぶん?」
「「いたいいたいいたいいたいいたいいたい!!!!」」
「か、鹿目さん、佐倉さん。締めすぎよ……」
「あ、目ぇ覚めたね。」
俺と雄也は、腹部の激痛と窮屈感に叩き起こされた。
まどかと杏子が包帯を巻いてくれていたらしいのだが…………
周囲を見渡すと、俺の部屋よりも少し広い、不思議な雰囲気の部屋が広がっていた。
「ここ、は…………?」
「私の部屋よ。」
以前は冷淡に感じた声が、今は少し暖かく感じる。
…………奴に、グレイトフルに刺された場所は、ほぼ魔力で完治していた。が、少し痛む。
俺よりも、全身にガタがきてる雄也の方が深刻だろうか。
「ゆ……奴は…………グレイトフルは…………?」
「心配いらないわ雄也。私が時間を止めて、その隙に逃げたわ。」
まどかは申し訳なさそうにほむらを見つめていた。
「ありがとうほむらちゃん…………本当に。」
「お礼を言う必要はないわ。」
ほむらは側にあるソファーに腰掛けると、俺達にも「座って」、と言った。
各々が適当に楽な姿勢をとる中、雄也はほむらの隣にドカ、と座った。
「お前達をここに連れてきたのは他でもない。真実を話すためだ。」
真実…………って、さっきも言ってたが、キュゥべえや魔女のこととは別なのだろうか。
「この話はまだ杏子にも言ってなかったな。」
「……ん?魔女の正体とかの話じゃないのか?」
「いや……それはもう幽斗達も知っている、そうだな?」
俺とまどかとマミさんがゆっくりと頷いた。
…………優香が眼魔になった瞬間を見た俺達が、嫌になるくらい承知している事実だ。
「単刀直入に言う。俺達は、未来から来た。」
「…………はあ…………!?」
あまりにも予想外なことを口走る雄也に、思わず間の抜けた声が漏れる。
「正確には、一ヶ月先から、だけどね。」
「微妙なスパンだな。」
俺の軽い突っ込みを無視し、ほむらはさらに続ける。
「私の魔法は時間の操作。…………私達はほんの少しの未来で起こる、最悪の事態を防ぐために、この時間に来たの。」
マミさんもまどかも、口を開けて唖然としている。
かくいう俺も同じ心境なのだが。
「あの、いまいち実感が…………」
「実感ね……そりゃあある方がおかしいだろ?あたし達はただ普通に生きてきただけなんだし。」
杏子がいつの間に取り出したのか、リンゴにかぶりつきながら言った。
…………あれ…………?そういえば…………
「なあまどか。さやかは?」
「え?あっ…………」
まどかはマミさんと顔を見合わせた後、困ったように俯いてしまった。
代わりにマミさんが答えた。
「……大丈夫。たぶん、家に帰ったのよ…………」
俺は今まで、こんな見え透いた嘘を見たことがない。
…………間違いなくさやかには、何かあった。
「美樹さやかにも、今度私が説明するわ。」
ほむらがいつも通りに、いや……悲しげに言う。
「この話は……やっぱり最初から話す必要があるな。」
雄也が決心したような表情で俺達を見据え、話し出した。
「最初からって…………?」
「俺達が体験した。今までの“時間軸”の話だ。」
雄也は前かがみになって床をじっと見つめた。
「あの時…………ほむらが転校してきた時に、全てが始まったのかもしれないな。」
次回はいつになるのやら……
とりあえず次回は過去編です。雄也とほむらの。