仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜 作:Purazuma
魔女が消滅したからか、結界はさっきとは別物に変わっていた。
遮蔽物がほとんど無い大きくて真っ黒な部屋に変わっていたのだ。
「眼…………魔?それってなんなのキュゥべえ?」
「魔女と同じ、絶望を振りまく者達さ。 そういえばマミには言ってなかったね。」
「眼魔は……魔女より数が少ないみたいで、遭遇することもあまり無いみたいなんですが……」
あの眼魔……魔女を倒したって事は……別に魔女と眼魔は仲間じゃないってことか?もしかしたらいい奴なのかもしれない。
俺は眼魔の方へ歩いた。
「ちょっと!天空寺君!?」
「すみませんマミさん。」
もしこいつがいい奴なら……俺に英雄のアイコンとかくれるかもしれないし。
眼魔は両手に持った刀を構えたまま動かない。警戒しているのだろうか。
俺は眼魔の2mほど離れた場所で足を止め、言った。
「お、おーい!聞こえるー!?」
……………………………………………
「聞こえてるなら返事し……っ!?」
視界から眼魔が消えた。
「どこに行った!?」
眼魔を探す。
これは姿を消しているのか、気配を消しているのか、それとも猛スピードで動いているのか。
「天空寺君後ろ!!」
背中の方からマミさんの声が聞こえ、それに反応して振り向く。
既に奴は俺の後ろに回り込み、刀を振りかぶっていた。
「っ…………!?!?」
ガンガンセイバーを構える暇もない。
俺はその攻撃を防御することも避けることもできないまま直撃してしまった。
後方に吹き飛ぶが、マミさんが作ったリボンのネットに受け止められた。
「もう! 勝手に動いちゃダメでしょ!」
「すみませんマミさん……でも、これで確定です。」
こいつは、敵だ。
「どうしましょうか?」
「うん……アレ……眼魔は今の動きを見るに魔女よりも強いみたいね。 それもかなり。」
「はい、速さも力も……桁違いです。」
こいつが英雄のアイコンを持ってるって言っても……これじゃあ一つ手に入れるだけでもかなり難しいじゃないか!
あの青い仮面ライダーはこんな奴を倒したのか…………
「「!?」」
俺達が相談している途中、眼魔の周りに影のようなものが広がった。
そこから無数の人形の怪物が現れる。
「こいつらは……!?」
「''眼魔コマンド''だね、魔女で言う使い魔みたいなものさ。」
キュゥべえが近くにやってきてそう言う。
「見たことあるのか?」
「数えるほどだけどね、何せ数が少ないから。」
単体でもあの強さ……しかも使い魔まで持ってるのか。…………まさか使い魔までめちゃくちゃ強いってことは無いよな?
「ここは役割分担しましょうか。 マミさんは使い魔をお願いできますか?」
「いいけど……あなた一人であの眼魔を相手にすることになるわよ?」
それはまあ……仕方ない。 奴のスピードを見るに、マミさんの銃の攻撃は効果は薄いだろう。 避けられる。 なら数が多い眼魔コマンドの方を連射で一気に片付けてもらうのが有効だ。
俺の武器は剣にもできるし……奴と接近戦で勝負ができる。
「大丈夫です、問題ありません。」
「ものすっごく心配だけど……それしかないみたいね。 行くわよ!」
「はい!!」
マミさんが空中に飛び上がり、リボンを展開する。
俺は刀を持った眼魔に向かって突っ込んだ。
「援護は任せて!」
マミさんがリボンにぶら下がり、眼魔コマンドの集団に銃弾を撃ち込み道を作ってくれる。
素早く眼魔に接近し、ガンガンセイバーを振りかぶった。
「おおおっ!!」
眼魔は二つの刀身をクロスさせ、ガンガンセイバーを受け止めた。
「ぐっ……!ぐぐぐ…………!!」
「…………!!」
そのまま奴を地面に押し付けるように力を入れる。
「あっ!」
眼魔は受け止めていたガンガンセイバーを弾き、俺に二本の刀を叩き込んでくる。
やはり防御する暇はなく、そのまま攻撃を受けてしまった。
「がっ…………!!」
一旦距離を取り、様子を伺う。
「速い。」
思わず口に出てしまうほど。
これが眼魔か。
「でも…………不思議と負ける気がしない。 なんだ……?この感覚…………」
''まあそう焦るなよ。 戦っているうちに動きも見えてくるさ。 ほら、行くぞ!!!''
「…………!?今のは…………!?」
誰の声だ?聞いたことがある。
いやその前に……おかしいぞ…………!
眼魔が猛スピードでこっちに走ってくる。
かなり距離があるが、それでも風を感じるくらいの速さ。
「あれ…………''確か''…………」
頭ではなく、体が先に動いた。
一歩右に引く。
すると眼魔は今俺がいた場所に刀を振り下ろしていた。
「!……避けれた!」
見える…………''声''を聞いてから…………
これは記憶…………?俺の…………?
「俺は、前に一度お前と戦って…………」
「天空寺君!」
「はっ……」
マミさんの声で我に返った。
目の前に刀身が振り下ろされた。それを紙一重で躱し、ガンガンセイバーで反撃する。
眼魔の胴体に一撃。
入った…………!!!
すぐさまゴーストドライバーのレバーを引き、押す。
《ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!》
ガンガンセイバーの刃がオレンジ色に発光する。
俺は腕に力を込め、そのまま眼魔の胴体を斬り裂いた。
「はあ……はあ……はあ……」
倒したか?
眼魔は止まったまま動かない。
……念の為だ。 もう一撃ほどぶち込んで……
「!?」
突然眼魔が動き出し、今度は空中にいるマミさんに向かっていった。
「マミさん!」
まずい……!
「大丈夫!」
突然眼魔は何かに引っかかったように空中で止まった。
そうか……!リボンを空中に隠していたのか!
「ふっ!」
マミさんはリボンで眼魔を拘束し、地面に叩きつけた。
「今よ!」
「はい!」
ガンガンセイバーをゴーストドライバーにかざす。
《ダイカイガン!》
《ガンガンミナー!ガンガンミナー!ガンガンミナー!》
「喰らえええええええええええええ!!!」
《オメガブレイク!!!》
思い切りガンガンセイバーを振ると斬撃が発生し、眼魔へ一直線に向かう。
リボンで拘束されていため、眼魔は何もできない。
「…………………!!!!」
そのまま眼魔の体を斬撃が貫く。
胴体が真っ二つになり、体が灰のように変化し、ボロボロと崩れていった。
「あれは…………」
そして、眼魔の体が完全に消滅した時、何かがその場にポトリ、と落ちた。
その場に駆け寄ると、それは見覚えのある形をした物だった。
「これが……」
「アイコンだね。」
いつの間にかキュゥべえが隣に座っていた。
俺は眼魔が落としたアイコンを手に取る。
オレゴーストアイコンとは違い、色は赤く、アルファベットで''宮本武蔵''の名が刻まれている。
「やったね幽斗、初の英雄アイコンだ!」
「ああ……」
これを15個集めれば……もう一度願いを叶えられるのか…………
「あら?それもアイコンなの?」
変身を解いたマミさんと、隠れていたまどかとさやかも近づいてくる。
「ええ、戦利品みたいな感じです。これを15個集めれば、願いが叶うとか何とか……」
「ええ!?それって本当なのキュゥべえ!?」
「本当だよ。」
「まあ、さっきも言った通り眼魔の数は少ないみたいですが……」
「もう、そんな大事なこと言わないなんて……」
「マミが聞かなかったからだよ。」
俺とマミさんが話していると、さやかは興奮気味に言った。
「そんなことより凄かったですよ!マミさんと幽斗の戦い!」
どうも。眼魔に勝てたのは奇跡に近いけどね。
それにしても……あの妙な感覚……それにあの声どっかで…………
「幽斗君は怪我とかないの?」
まどかが不安そうにそう聞いてくる。
いやーほんと優しいねこの人。
「大丈夫だ。 ちょっと苦戦しただけ。」
「さて、天空寺君もいつまでもその格好でいないで、変身を解いたら?」
「ああ、そうですね……」
眼魔の結界も崩壊し、俺達が立っていた場所は元の廃墟に戻っていた。
俺がゴーストドライバーに手を伸ばしたその時。
《ダイカイガン!スペクター……!オメガドライブ!》
「「「「!?!?」」」」
「危ない!!!」
横から飛び蹴りが放たれた。
誰が、とかそんな事を考えている暇はない。
咄嗟に三人を突き飛ばした。
しかし俺は避けることができず、その蹴りをもろに受けてしまう。
「ぐああああああっ!!」
そのまま建物の窓を突き破り、数十メートル先まで落下していった。
「がはっ………!!」
情けなく横に倒れた俺の目の前に、青い影が降り立つ。
「お……まえ…………は…………!!!」
そいつは確かに奴だった。
あの時、デパートで俺の邪魔をしてきた青い仮面ライダー。
奴は俺に視線を向けた後、冷たい声で言い放った。
「お前はもういいんだ…………アイコンを渡せ。」
「…………!!」
狙いはアイコンか。
「ははっ………!やだね。 せっかく手に入れたんだ…………足掻くくらいはさせてもらう…………!!」
よろよろと立ち上がり、ガンガンセイバーを構え直す。
「…………そうか。」
奴のゴーストドライバーが青白く光り、そこから武器が飛び出してきた。
《ガンガンハンド!》
マジックハンドのようなその武器を構え、青い仮面ライダーは俺に接近してきた。
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「い、今のは何!?天空寺君は…………!?」
「マミさん、幽斗落ちちゃいましたけど!?」
「早く助けないと!!」
幽斗君が誰かに攻撃されて、窓から落ちた。
窓から身を乗り出して下を見ると、青い仮面ライダーと幽斗君が戦っている最中だ。
「二人とも!行くわよ!」
「「はい!!」」
マミさんの後ろに付いて、私とさやかちゃんは下に下がるために階段へ駆け足で進んだ。
ふと後ろを振り向くと、そこに一人の女の子がこっちを見つめているのが見えた。
「ほむらちゃん…………?」
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いつからこんな事をしているのか。
なんでこんな事をしているのか。
自分が何者であるか。
何一つわからなかった。
ただ一つ覚えていることは、
「こ、来ないで…………!何なのよあんた一体!!」
少女が、必死に逃げながら言った。
「………………」
「このっ!!!」
目の前の少女が魔力弾を放ってくるが、避けない。 こんなもの、当たったところで俺には通用するわけがない。
「そんな……!!魔法が効かないなんて…………!!!」
絶望に染まる表情。
この顔を、もう何回見たかわからない。…………''俺がやった''のに。
ただ一つ覚えていることは、「■■を、いや、全ての''可能性''を消し去る」ということだけ。
そう、全ての…………
「かはっ…………!」
目の前の少女の首を掴み、締め上げる。
「ど……して…………こんな……こと…………あ''あ''…………!!」
…………覚えてないな。
いや、そうか、もしかしたら………………
「世界を……救うためかな…………」
少女は気を失ったのか、ぐったりと力なく倒れた。
「ああ……そっか、コレ壊さないと死なないんだっけ。」
少女の身につけている宝石に触れ、軽く力を入れると簡単に割れた。
「次は…………」
スペクター再登場。いやまあ、前にもちらちら出てたけどね……
そして最後に登場した奴は何者なのか……それがわかるのはも少し先。