銀座駐屯地『門』プラットホーム カウンター
係員「では、いってらっしゃい。テュカさん」
テュカにはアルヌス協同生活組合幹部として日本政府と交渉するのに必要ということもあり、森田総理から直々に特別許可証が発行されており、そのお陰ですんなりと銀座に入れた。
付き添い番として富田も行くのだが、護衛の任務もかねているので書類を見せて終わりだった。
テュカ「今日もよろしくお願いね」
普通になってしまった黒服付きのワゴン車に乗り込むテュカ、富田。
テュカ「あれ?もしかして……コマカド?」
いつもなら運転手のみなのだが、今回は助手席に駒門が座っていた。
駒門「こんにちは、テュカさん……今日は随分めかし込んだな」
頬を赤らめながら駒門が挨拶をした。よく見ると運転手も赤くなっているようだ。
テュカ「えぇ、お父さんに会いに行くんですもん、これくらいはね。ところで今日は何か特別な日?コマカドがいるなんて」
駒門「ちょっとな。銀座が騒がしくなってるんでな、俺が直接来たって訳だ」
テュカに外を見るように促した。
銀座駐屯地の周辺には多くの人が集まって車道を歩いている。プラカードを持っているようで、そこには……
「日本政府は、銀座事件の外国人被害者にも補償せよ!」
「『門』を閉じず、フロンティアを我らに解放せよ!」
「国際社会に特地を委託せよ!」
などと書かれている。
テュカ「何かの宗教行事?」
駒門「あれは、『デモ行進』って言うんだ。自分の主張したいことを皆に向けてアピールしたり、政府の不満とかを表明したりな」
テュカ「ふーん」
駒門「いつものように頼む」
駒門が運転手に出発を命じる。
テュカ達を乗せたワゴン車は警官の協力もあり、銀座駐屯地から道路に出た。
道路に出たのはいいが、長いデモの列のために渋滞が出来ていていっこうに進まなかった。
後ろには、運送トラックが続いているが運転手は皆、うんざりした顔をしていた。
テュカ「ニホン人って意外と多彩なのね」
デモの中には白人、黒人が混ざりあっており、アジア系が多数なのだが毛色の違いが目立っていた。
駒門「このデモは国際NGOが主体となっているんだ。一応主催者は日本人となっているんだが、蓋を開けたら中国、韓国、ロシア、フランス、アメリカ人がぞろぞろやって来てこの始末だ。だから俺まで出る羽目になっちまったんだ」
テュカ「そうなのね。ありがとう」
駒門「いいえ……」
テュカ「……それにしても、まるで軍隊みたいね」
テュカの感想に駒門も頷いた。デモに参加している外国人達は不自然なまでに統率がとれているのだ。テュカの通り『軍隊』のようだった。
何かを見つけ、テュカが叫んだ。
テュカ「ちょっと、何か変よ……何が起きたの!?」
それまで普通に進行していたはずのグループの1つが突然、列を乱し、警官を振り切って走り出したのだ。
それは、トラックや乗用車の間にまで溢れ、テュカ達の乗るワゴン車の周囲も人で埋め尽くされ、動けなくなってしまった。
襲われる、そう感じた富田は銃を構えた。
駒門「ここは特地じゃないぞ!頭を切り替えてくれ!!」
駒門が撃つなと叫んだ。
富田「撃たずにどんな対処をするんですか!?」
運転手「連中の目的は略奪か!?」
駒門「いや、違うだろ」
確かにショーウィンドが割られ商品が略奪されているが、よく見るとそういった略奪行為をしているのは一部でしかない。ほとんどは指揮されたように行動し、トラックの窓を割り、運転手を引っ張り出すと荷台に積まれた物を引っ掻き回していた。
運転手「何かを探しているみたいですね」
運転手もその事に気づいたようだ。
1台が終わると一人の男が次のトラックを指差して何かを叫んでいる。それに従って人々が走り出し、次のトラックに群がっていく。
富田「何を探しているんですかね」
駒門「分からんな…とにかく、ここにいるのはまずい……脱出するぞ。これから発煙筒を焚く。車内に煙が充満したら一斉に外に脱出してくれ。車から煙が出てれば連中も少しは離れるはずだ。富田とお前(運転手)、テュカさんを守れよ、俺はこの腰だからな。集合場所は、とりあえず駅交番、そこで合流だ。いいな」
富田「了解!」
富田が武器を鞄にしまい込んだ。
駒門が発煙筒に着火し、車内は煙で充満した。
駒門「行くぞ、今だ!」
突然、車から煙が出ているのを見たデモ参加者達は車から離れていく。その隙をついて富田とテュカは車から降りたが、目の前のトラックから、『壊れ物』 『水漏れ注意』などと書かれたシールが貼られている木箱が持ち出されていった。それを見たテュカが足を止め叫んだ。
テュカ「ちょっと、それをどこに持っていくのよ!組合の物よ!」
一人の男がテュカに気付き、デモ参加者達に向けて何かを叫んでいる。
富田「俺の後ろから離れるなよ!」
富田はそう言い、群衆を押し退けるように突進していった。
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