シリアス皆無のコメディ作品です。
IFストーリー ※コメディです
IF話
※ もしも「渡る世間はヤンデレばかり」のシリアスさを好み、「俺はこんなヤンデレが良いんだ!」と言う方がいらっしゃいましたらブラウザバックをお勧めします。今回の話は完全なコメディ回であり、キャラ崩壊、世界線無視のストーリー展開です。
※ 凄く簡単に言うと主人公がヤンデレに詳しかったら そういう話です
シリアスブレイク
もしも主人公がヤンデレの扱いを心得ていたら‥‥
「ねぇ、優君、今日も‥‥してくれるよね?」
目の前に居る彼女は俺の部屋で何の躊躇いも無く上着を脱ぎ捨て、恍惚とした表情で迫って来る。机に座り今まさに課題を解いていた俺は、彼女の方に視線を向けつつ辛うじて男性の性を抑え込んでいた。はらりと上着が地面に落ちて、そこから現れるのは下着一枚のみ。何でシャツも着て無いんだよと言いたくなるが最近の彼女は俺の部屋に来る時のみ異様な薄着であった。
高校に進学してから更に大きさを増した胸や女性らしい体つきに目線が吸い寄せられそうになるが、今の俺にとってその魅力は半減。冷静な顔つきで溜息を一つ、それだけで彼女は俺がいつもと違う事に気付いた。
「……なぁ、一つ聞いていいか?」
「……なぁに?」
怪訝な顔をする彼女。いつもの様に慌てふためくか、観念して手を伸ばしてくると思っていたのだろう、しかし、しかしである。
「俺達の愛は、体を重ねなきゃ伝わらないモノなのか?」
「ッ!?」
彼女の表情がさっと変わる、自分の愛情が疑われたからだろうか。「そ、そんな訳ないじゃない!」とムキになって彼女は叫んだ。
「わ、私は何時だって、優君だけをッ‥‥!」
「でも今君は俺と体を重ねようとした……それはつまり、体を重ねないと俺の愛も伝わらないと言う事だ、あぁ、なんということだ、俺はそんな事しなくても、十二分に君を愛していると伝えていたと思っていたのに‥‥」
大げさに天井を仰ぎ、悲しみの絶頂にいるのだとばかりに崩れ落ちる。すると彼女は慌てて「つ、伝わってるわ! 凄く伝わってるの!」と叫ぶ。それを俺は下から見上げ、涙目のまま「……本当に?」と問うた。すると彼女は何度も首を縦に振る。
「じゃあ、別に体を重ねなくても良いよね?」
「…………………う、うん」
大分長い間があった。けれど彼女も観念したらしい。
とても残念そうに、それはもう殆ど泣きそうな顔で、いそいそと服を着始める彼女。
それを見ながら俺は内心ガッツポーズを決めた。
あぁ、帰って来て一発トイレで発散してて良かったと。
賢者モードとはかくも素晴らしい。
「優君の机に……こんなに、一杯手紙が」
俺が授業開始直前、忘れ物を取りに急いで教室に戻って来ると、瞳からハイライトを消した彼女が黙々と俺の机の上で大量の手紙を破り捨てていた。その光景に思わず声が出てしまう。
「なっ……お前っ」
「あっ、優君」
くるりと振り向いて俺を見つめる彼女、その手には今も手紙が握られており、まるで親の仇の様に何度も執拗に破っていた。
「あのね、優君の机に薄汚い女どもからの手紙が一杯入ってから、全部全部全部全部全部私が破っておいたよ? あと残りは数枚だけ……ふふっ、ねぇ私偉いでしょ、ねぇ偉いよね、ねぇ?」
「お、お前………」
彼女から発せられる威圧感に思わず冷汗が垂れる、無意識の内に一歩退いた所で彼女が俺に手紙を突き出して来た。
「私の優に、こんなもの送る女なんて……邪魔だよね?」
その瞳はどす黒く、顔は真剣そのもの、俺に好意を抱くのは自分一人で良いと言う圧倒的な独占欲を感じられた。その事実に俺は慄き、そして震える手でその手紙を掴み……。
「これは俺が書いた手紙だ」
「えっ」
するりと手紙を彼女の手から抜き出すと、ぺらっと中身を見せた。そこには彼女が如何に可愛いか、どれだけ愛しているかを綴った文がずらっと並べられている。
「えっ、えっ?」
「これは俺が夜なべして書いた、どれだけお前が好きかを書いたラブレターだ‥‥サプライズでお前に渡すつもりだったのに‥‥」
しょぼくれた声を出して項垂れると、涙目になった彼女が「ごっ、ごっ、ごめんなさい!」と頭を下げた。その焦燥ぶりはいつもの彼女からは全く見られるないほどで。
「ま、まさか優君が私に用意していたラブレターだったなんて、そんな、嘘、私それを自分で……あぁ、本当にごめんなさいッ!」
泣きながらもどこか嬉しそうに、蒼褪めながらも頬は紅潮して、全く器用な事この上ないが、俺はそんな彼女に「気にしないでくれ」と言葉を送った。
「手紙は駄目になってしまったけれど、俺の想いは本当さ‥‥いや、そもそもこんな紙切れに頼ろうとした俺が悪かったんだ、こんなものは」
そう言って俺は彼女の目の前でソレを破り捨てる。そうして「あぁ‥‥」とどこか勿体無さそうにソレを眺める彼女に向けて笑いかけた。
「こんなもの無くても、俺達は想いあえる……そうだろう?」
「……う、うん!」
先程の表情が嘘の様に、喜色に染まる彼女。それを見ながら俺はほっと胸をなで下ろした。
書いた手紙は殆ど印刷だけどね。
From 亜希だよ~ヾ(*´∀`*)ノ
本文:元気してた~? 私は貴方に逢えなくてすっごく寂しかったよ‥‥しょんぼり(´・ω・`)
また逢いたいな‥‥いつでも連絡待ってます!(((o(*゚▽゚*)o)))
「………この、女ッ」
お風呂から上がったら何やら般若の形相で彼女が俺のスマホを握りしめていた、メキメキッと外形に
「……ど、どうしたんだ」
躊躇いがちに俺が声を掛けると、すっと笑顔を浮かべた彼女がスマホの画面を俺に向けた。そこに表示されているのは一通のメールで‥‥。
「ねぇ、この女……誰?」
「ッ!」
件名にはこれでもかと分かりやすい女の名前が書かれていた。
「そ、それはっ」
思わずたじろぐ俺、最悪の可能性が頭を過り風呂を上がったばかりだというのに異様な寒気が全身を包んだ。
「ねぇ、この女、誰? やけに親しそうだね‥‥それにまた逢いたいって、何? 私に秘密で逢引してたって事……ねぇ、どうなのっ、ねぇッ!?」
ギンっと鋭い目つきで此方を睨みつけて来る彼女、俺が答えられずに冷汗を流していると唐突にふっと表情を緩め、けれど目だけは真剣に俺を見つめた。
「まぁ、いいよ、許してあげる、優君は私のものだから、けど、この女には『二度とメールしてくるなクソ女』って返信しておいたから」
俺はその言葉を聞いて、愕然としてしまった。
「な、なんてことをしたんだっ!」
そう叫んでしまう程に衝撃的だった、俺の言葉を聞いて彼女は嬉しそうに口元を歪めて「優君が悪いんだよ」と言い放つ。
「私だけを見てればいいのに、こんな女とメールして………」
「そ、そのメールは‥‥」
震える体を彼女の前に晒して、俺は勝ち誇る様に笑う彼女に向かって叫んだ。
「サクラメールなのにッ! 返信したらまた来るじゃないかッ!」
「えっ」
俺は彼女の手からスマホを取り上げると直ぐに送信内容を確認した。見れば本当に一文字一句、同じように送信されている。あぁ、これで俺のメールアドレスが割られてしまった。
「えっ、あっ、サクラメール……えっ」
「………わざと放置していたのに」
ぼそりと俺が呟くと、背中から彼女が抱き着いて来て「ご、ごご、ごめんなさいっ!」と叫んだ。
「わ、私、優君が知らない女と親しくなったんだと思ってっ、それでっ!」
涙をポロポロ零しながら謝罪する彼女、まぁ送ってしまったものは仕方が無い。息を大きく吐き出すと、彼女の頭をポンポンと叩きながら「仕方ないさ」と笑う。
「それに、俺の事を想った行動なんだろう? なら、何も言わないさ」
「ゆ、優……」
涙目で俺を見上げる彼女、そんな彼女の額にキスを落しながら……。
「あ、でも今度からは女の子からメールが来ても、絶対に勝手に返信しちゃ駄目だぞ?」
「う‥‥うん」
メールアドレは俺に告白してきた女子生徒達のものである。
こんな世界なら、きっと何も失わなかった。