夏休みなのでアイドルたちとなんやかんや、あったのかもしれませんが、取り敢えず話を進めるほう優先しました
72話
「……んー、志希には薄々勘付かれてた気がするからいっかなぁ」
しばらく食べていなかった棒付き飴を咥えながら、ソファーで横になり携帯を弄っていた。
「志希は言わなくても話す相手ぐらいは選んでくれるだろうし……フレデリカと周子、美嘉……あとは大人組かな……?」
そこで咥えていた飴を噛み砕き、新しい飴を咥える。
テーブルの上にはすでにいくつもの飴の包みが散らばっており。ついさっき、新しく咥えた飴も数分と経たずに噛み砕かれていた。
「…………ん?」
また新しい飴に手を伸ばそうとしていた翠だったが、誰かから電話がかかってきたため意識をそちらへと向け。画面に表示された人の名前を確認して目を細めるが、一つため息をついて電話にでる。
「もしもし……ああ、大丈夫大丈夫。もう戻ってくるん? …………ふむ、まあいいんじゃない? …………いやいや、俺はただの一般人だから。……まあ、別にいいけど。戻ってくるの、楽しみにしてるよ。…………大袈裟に捉えすぎ。またね」
通話が終わると翠は携帯をテーブルの上に放り、クッションに顔を埋める。そのまま器用にソファーの上でゴロゴロ転がったあと上体を起こし、新しい飴を口に含む。そしてなんとなく、テレビの電源を入れた。
「…………」
日曜の昼前、とあるバラエティー番組で翠の仕事復帰について話されていた。
休んだ理由から始まり、346が働かせすぎて体を壊したのでは? といった憶測まで。
まあ、働かせすぎたという話は言った本人でさえ信じておらず、場をつなげる為に言っただけであるが。
なぜなら前にも似たような話が上がった時には346への電話が酷く、翠も面倒になったため生放送で『仕事は自分でやるかやらないか決めている。メディアの露出とかCDを考えたら分かるでしょ。クレームの電話鬱陶しい』と言ったからである。
きちんと用意されたセリフがあったのだが、翠は始まる直前までそれを読みますよーと大人しくしていた。しかし始まった直後にその紙を破り捨て、先ほどのセリフを言ったのである。
関係者は慌てたが、それ以降は大人しくなったのでお咎め無しとなった。
346のアイドルが殆どの番組に出演しているため、『そんなこと言っちゃダメですよ』と、軽い注意が入るまでが流れとなっていた。
今も川島が似たようなことを言って流れが終わったところである。
話の内容が翠関係になると、やはり話の矛先は346関係者へと向く。
そして答える際、仕事関係の内容ならば知っている事を殆ど話しても良いとなっていた。本当にダメな部分は事前に伝えられているが、理由としては変にボカして憶測が飛ぶのを翠が面倒に思ったからであるが。
興味なさげに見ている翠だが、雰囲気には恥ずかしさとは別の感情が見て取れた。