東京都 無市 市街地 十月五日 午後五時四十五分
さっきまでそこにあったはずの日常はばらばらに砕け散って、形を失った。
跡形もなく荒廃した町の中少年はまだ少し少女のぬくもりを保った、声を発さぬ器を抱えただ泣を流した。。。。ただ叫んだ。。。。。ただ絶望した。。。。。。彼の時間は止まった。。。。。。。。。その悲痛な叫びの色は感情は形は黒くそしてどこまでも透明だった。そして少年は己の怠惰を嘆きもう二度と手に入ることのないであろう大切なものと己の無力さをを初めて実感した。
きっとそれは彼の日常の中心だったものだったはずだ。
その日、少年は二度と消えないであろう枷と十字架を背負った。そして「一番大切な、何か」を二つ失った。
学校を出た三人は、関所を目指して歩き出した。
「ふふん♪、まったく、この頼りになって頭のいい完全美少女なるあたしに感謝しなさいよね!」
と、紅葉が自信と達成感に満ちた顔で、つるペタなどこまでもなだらかな荒野のような胸を張っている。
「誰が、完全美少女だよ、この塗り壁ちっぱいめが」
紅葉の自画自賛に対して、諸葉の会心の一撃が浴びせられる。
「っ~、う、うっさいわね!!、ちょっと言ってみただけでしょ、それにまだあたしにだって第二次成長期の恩恵があるはずだもん、見てなさい、きっと二年後にはビッグな大人の女性になってんだから!!」
「いや別に、いいんじゃない俺はちっぱい好きだぞ?」
「す、好きって!!!!!!!!!」
紅葉がその名のとおり顔を真っ赤にして、小刻みに震えている。
「っは、諸葉、諸葉あたしもちっぱいなの!!」
「え?急に何言ってんのお前???」
突然の妹からのカミングアウトを受け、一瞬先日やった妹もののギャルゲーを思い出して気持ち悪くなる諸葉。
「ま、まぁ、小さい大きいの話は置いておいて、諸葉、ちょっとは勉強しなさいよ、そんなんだと高校行けないよ?」
「同意、諸葉はもっと周りに感謝すべき。やっつんだって、たぶんあたしが諸葉の分もやったことに気づいてたとおもうの。」
だめだめな兄は対してしっかり者の妹と幼馴染に中学一年に将来を心配され、ガラスのハートは崩壊寸前。
「うっさいわ、おれは疲れる事と、面倒なことはしたくないんだよ・・・・それに俺は、何やっても中途半端にしかならないんだから・・・・」
とぼっそとつぶやいた。
「・・・・・・」「・・・・・・」
二人は何も言わなかった。
別に、俺だって、好きでこんなに怠けてるわけじゃない。
俺、護城諸葉は代々政府要人や神の護衛を生業としてきた世間一般で言うところの名家というやつだ。俺と桐葉は双子として生まれてきた、俺たちは小さいころから、訓練を受けてきた、俺と桐葉には常人の何十倍もの魔力があった、でも俺には魔法をコントロールする才能がなかった。一方桐葉は、才能に恵まれこの年で軍の特務としての地位が約束されていた。もともとできないもの努力したところで手にできるわけじゃない。紅葉は、両親が神器に関する研究所で働いていたため、昔からよく家の道場に預けれていた、紅葉は基本的に全ての能力は平均と大差ないが、紅葉には俺にはないずば抜けた魔法のコントロール能力と努力の才能があった、桐葉と同じく特務としての地位が約束されているだから俺にできることはこいつらが、戦わなくて済むことを、ただ願うことだけだ。
幸いこの町は、魔術に関する研究を行っている町で研究施設と軍の駐屯地と学校と魔術師と研究員の家族の家しかない。だから外国からの侵入を防ぐために町の周りに外界との接触を立つために不感の結界が張られている、ゆえにこの町名前は「無市」外からは確かにそこにあるはずなのに認識されないまち。そうこの町は魔術師の町だ。
(やっちまったー。。。これからせかっく外に出るってのに、まずいまずいですよこれは、せかっく紅葉が桃源郷へのチケットを持ってきてくれたのに、よし、とにかく話題をそらそう、いいか諸葉、お前ならできる、さりげなーく謝罪も混ぜてだぞよーし。)
「い、いや、なんでもないデスヨ。ごめんなさいねぇ気にすることはありませんのよ前からわかってたことなのですから、に、にしてもよく通りましたね何か怪しいデスワ。」
つい、口から洩れてしまった本音で固まってしまった空気を別の話題で戻そうとする諸葉、だがその口調は明らかにいつもとは違い丁寧すぎるものだった。
(ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!、ミスったーーーこれではただのおかまではないか。)
「それには同意たかが中学生の買い物ごときに軍が、許可を出すとは思えないんだけど?」
兄の異常を察知し話を合わせるよくできた妹、桐葉。
(よっし!!よくやった桐葉プリン三つ追加してやろう、さすが俺の妹だ!!)
(後でプリンさらに要求するの!)
と、兄弟間の見事なファインプレーに対して鈍感、天然少女紅葉さんは、この水面下での取引には気づかない。
「え、いやー、そのなんというか、えっと・・・」
急に慌てふためき目をそらし始める紅葉。
「「何やった??」」
双子からの一斉尋問に紅葉は体を小さくして自供をを始めた
「う、うぅ、そのー、保護者欄に和葉さんの名前を使いました・・・」
和葉ってのは俺たちの兄貴の名前で二軍の大佐で、普段は町の外で防衛の指揮をとっている。ちなみに結婚済みのリア充である、爆発すればいいものがあのくそ兄貴が!
「あぁー、いいんじゃん、それなら兄貴が了承済みってことだろうから。それに兄貴の仕事が増えるだけだら」
「同意」
「あーあはは、いいのね、まあ今度和葉さんに会ったら、お礼いっとくわね。それより早く行こう!!」
紅葉は兄弟の兄に対する渇いた感想と兄弟特有の陰湿な感情を前に苦笑いしながら、とりあえず話に一区切りつけた。
ピキ。。。。。。。ピキキ、バリーーーーン!!
ガラスにひびが入ったような音がしたかと思ったその直後空に亀裂が走り割れて崩れ落ち、彼らの日常は終わりを迎えた。同時に警報とともに機械の冷静なアナウンスが流れた。
「ただいま、無市は、攻撃を受けています、住民、研究員の方は直ちに避難シェルターに逃げ込んでください、シェルターは三分後に閉鎖します、至急ざ、ざ・・に・・・ひ・・・・・・・・・・・・・・」
そう告げるとアナウンスは、声を発さなくなった。
三人は何が起きたかわからなかった。直後爆発が町中で起きた。
「おいおい。。。。これはどうなってんだよ、ふっざけんなよ!!どうして結界が破壊されてんだよ!!」
「それより今の爆破って駐屯地と研究所のある方角だよね・・・・・、っちょと!紅葉どこ行くの!!」
「研究所にはお母さんとお父さんがいるんだよ!!、あたしは救助に行くから、二人はシェルターに行って!!。」
ポケットから呪符を取り出し術式を展開する紅葉
「我、五十嵐紅葉の名のもとに八百万の神に願い奉る、願いしは、神速!!、捧しは我が存在!!、纏いしは脚!!付与せよ!!神速軽脚」
唱え終わった後彼女の足に幾何学模様が表れ、紅葉は軽い足取りで屋根の上を伝ってあっという間に見えなくなってしまった。
おいおいおかしいだろ、なんだよこれ、なんでこうなった俺はただあいつらと静かに、過ごしていたかっただけなのに・・・・・・、なんであいつは、あんなにすぐ行けるんだ、死ぬかもしれないんだぞ・・・
「歯、食いしばれよ、このダメ兄貴!!」「へ」
突如諸葉の顔面に桐葉の拳がめりこみ、彼の体は地面に崩れ落ちた。
「なに、たちつくしてんの、このままじゃ、紅葉が死んじゃうかもしれないんだよ!!あたしはそんなの絶対に嫌だ、あんたはどうなの!!あたしの兄貴ならかっこいいところみせなさいよ!!」
「お、俺は・・・・・・・・・・」
「もういい、あたしだけで追いかける、諸葉は、そこでそうやって、うずくまっていな」
そう言って、彼女は紅葉と同じ術を詠唱無しで、展開すると燃え盛る町の中に消えっていった
「そ、そうだ、和葉に連絡しよう・・・・そうだ!!そうしよう、兄貴なら、こんなふざけた状況をどうにかしてくれるはずだ!!」
携帯電話を取り出し、和葉の欄にカーソルを合わせたその瞬間桐葉の言葉が、ふと脳裏によぎる、と同時に携帯電話が鳴り出す、そこには、和葉の名前があった。震える手で電話を耳に当てる。
「よう、久しぶりだな、くそ弟、どうせ今俺には何にもできねーとか阿保悲劇のヒロインチックなこと考えてたんだろ?」
「・・・・・・・・・」
「一時間だ、一時間まて、今京都から、俺の隊が向かっている、その間一人でも多くの、命を救え!!!!」
「でも、おれは・・・・」
「いいか、できるかできないか、できたか、できなかったかは、些細な問題だ、大事なのはやったか、やらなかったかだ!!大丈夫、できる!!お前がやるんだ!!!ほかのだれかじゃない!!!俺の弟ならかっこいいところみせやがれってんだ!!」
「ありがとう・・・・・・・・・・・・くそ兄貴」
気づいた時には彼は走っていた、そこに恐怖はなかった、「あるのはやりきる絶対に助ける」その一つだった。
「きばれよ!!」
「あぁ、なんたって俺は日本国第二防衛軍特務大佐護城和葉の弟そして護城桐葉の兄貴なんだから!!!」
「我、護城諸葉の名のもとに八百万の神に願い奉る、願いしは、剛力!!!、願いしは神速、捧しは我が存在!!!!纏いしは体!!!我が体は鋼!!!我が足は風!!!纏え!!金綱!!神風!!!」
詠唱とともに彼の体に幾何学模様が映し出される
「で、できたこれなら!!!」
が、同時に彼の体を激痛が襲う
「っつ・・・・・・・、この程度の反動で今更止まるわけにはいかないんだよ!!!!!!!!!!」
彼の体は、跳躍とともに一気に空中へと投げ出された
「やっぱ、全部大雑把になるか、でも!!できないわけじゃない、俺は絶対に誰よりも多く命を救って見せる!!」
そいって彼は、まともに制御できない体と、激痛とともに、非日常へと踏み込んでいった。