走った、ただ走った。ただ一つの思いを胸にただ走った諸葉の止まっていた時計の秒針はゆっくりと少しづつ動き始めていた。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い。。。。。。。。。。。。。。。」。。。。諸葉が地を踏みしめるたび彼の足は悲鳴を上げていた。諸葉が進むにつれ彼の体は、壊れてゆく。確かに痛みはそこにある、だが彼は何も感じなかった。それは、言霊によるものではなかった。銃声を聞きつけ角を曲がったその瞬間、彼の目には足を撃たれて動けなくなった母親と涙を必死にこらえながら母親をかばう少女が映し出された。それを見た瞬間、彼は一瞬の迷いなく行動した。少年は痛みと引き換えにコントロール不可能なまでに強化された脚力で敵の懐に飛び込んでゆく。ミシミシとまた彼の足が悲鳴を上げる。そこにあったのは「助ける!!」のひとことであった。
「っ!!っふとべぇぇぇぇぇぇぇぇえーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
苦痛に顔をゆがめながら体当たりで敵兵をコンクリートブロックめがけて叩きつける。叩きつけられた兵士は肺の空気を全て搾り取られそのまま気絶した。
「大丈夫ですか?ここは危ないから、早く安全な場所へ!!」
彼が親子に近づこうとした時、初めて彼は体の異常に気付いた、彼の右足は折れていた。直後彼の全身に呼吸ができないほどの激痛が走った、まともに使えないはずの魔術を無理に使用した反動で、彼自身が気が付かないうちに彼の体は限界を迎えていた。
「助けてくれてありがとうございます。私たちは、大丈夫です、それよりあなた足が・・・・・」「お兄ちゃん、大丈夫?」
脚の異変に気が付いた少女と母親が心配そうに尋ねてくる。
「大丈夫です!!この程度術式でどうとでもなります、それより早くシェルターに!!」
親子に気を使い、激痛に耐えながら、親子をシェルターまで運びけシェルターの結界を外しドアを強引に開け親子を中に避難させる。
「あなたも中に!!いくら術が使えても外はきけんすぎるわ!!」
「いいえ、俺にはまだやるべきことがあるんです・・・・」
そういうと彼は無理やり開けたシェルターのドアを親子に間髪入れさずにもう一度、ミシミシと嫌な音が体内に響きながら強引に閉め結界を掛けなおした。
「ハァ、ハァっつ!!・・・対価のもと我が願いを聞き届けよ。。我護城諸葉の名のもとにこの場を守りたまえ支えたまえ隠したまえ捧し我が存在・・・・・・・・隠縛守陣いんばくしゅじん ・・・・・・・・・・・・」
また彼の体に魔術による負荷による激痛が走る、そのすべてをこらえもうろうとする意識の中ぼろぼろの体を携え彼は紅葉のもとへと向かう諸葉、研究所が見え始めたころ、彼の意識は途絶えた。。。。。。。。。。。。。