『ドリーマー』Dreamer   作:不皿雨鮮

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『スピーカー』Speaker

 「この世界には二種類の人間がいるらしい。法螺を吹く人間と、真面目に生きて働き泡を吹いて倒れて死ぬ人間だ。どのみち滑稽だから一種類なのかもしれない。さて俺は一体どっちなんだろうか。『俺は一体何なのだろうか』。法螺吹きなのだろうか、ああ、勿論法螺と言っても法螺貝の方じゃなくて嘘とかそういう慣用句としての法螺のことだぜ? それとも真面目に生きて働き合泡を吹いて倒れる人間なのだろうか。どうだろう。嘘を吐いたことはないけれど、だからと言って真面目だった訳でもない。真面目って言うのは歌姫や俺の知り合いにいる寡黙で視聴者側に立つような人間のことだ。よく分からないイベントの中継地点というか、中間地点というか、そんなものに選ばれた俺の住む街は面白いくらいに平和だ。平和で平和で、反吐が出るくらいに平和だ。まぁ、それが悪いとかそういうことじゃないんだが、しかし、つまらないということは言える。そして恐らく、そんなことを思う人間が多かったからこそ前途のイベントの中継地点或いは中間地点に立候補したのだろう。刺激を求めたってことだな。中継地点或いは中間地点、と言っても実のところ一般人である俺には特にすることはない。仕事があるのは歌姫や料理などを作れる人間。俺のような大したことも出来ない人間は大抵それらの人々のお使いクエストくらいだろう。実のところついさっきまで俺はそういうことをしていた。頼まれたものを運んで、運び終えたと連絡したところ、もう用事はないと言われてクエスト終了。予め貰っていた駄賃で昼食を買っていつものお気に入りの場所で食べているのがご覧の通りの今だ。お使いクエストとは言え、何かしらの目的があればいい時間潰しにはなるけれど、今のように大した目的もないとやることがなくなる。それがいつもの俺なんだよな。やることがないからこうやって適当な相手を見つけてダラダラと話すだけなんだ。こういう『つまらない人間なんだ、俺は』。ここがどうして俺のお気に入りの場所なのかって? そりゃ、まぁ、ここは色々な人が集まるからな、話す相手も見つかるし、色んな相手がいるからこそ話のネタにもなる。残念ながら『俺は大うつけ者』だから、話のネタはあんまりないんだよな。だからこうやって毎日毎日ネタ探しをしているんだ。こんな『暇潰ししか出来ないんだよ、俺は』。本当にもう『死にたくなる』くらいに暇で暇で暇で、そんな暇を潰すことしか出来ないんだ。だけど、まぁ、その分話すことくらいは自信があるぜ。まぁ、逆に言えばそれ以外に関して『俺は全く自信がない』んだけどな。雑学とかうんちくとか、色んなことも知ってる。雑学は役に立たない知識でうんちくは役に立つ知識のことだ。サ◯エさんに出て来る◯沢さんは原作には出てこないという知識が雑学で、ある数の、それぞれの位の数を足して三で割り切れるならばその数字は三の倍数であるというのがうんちくだ。まぁ、数学の時にしか使えないだろうけど、それでもまぁ役に立つ知識だ。まぁ、この程度の知識はもしかすれば常識の範囲内なのかもしれない。所詮『俺は凡人だ』。天才や才能に溢れた者には到底かなわない。本当にもう天才や秀才、才能に溢れた者を見るのは精神衛生上とてつもなく悪い。見るたびにヘルプを求めてしまう。『助けて』欲しい。まぁ、そんなくだらない話はいらないか。どんな話がいいのだろうか。正直俺にはさっぱり『分からない』。だから、そうだな。たまには考えてみてくれないか。どんな話が面白いのか、どんな物語を人々が好むのか。誰かの求めるものと別の誰かが求めるものが全く違うという、そんな当たり前の事を考えて、そして果たしてその言葉は本当に誰かの為を思って言っているのかどうか、自己満足をしているだけではないのかと考えてくれ。誰の為でもなく自分の為、それも自分がアドバイスをする立場にいるという優越感に浸りたい為だけなのではないかと、たった一人でもいい、そんなことを思って発言に気をつけてくれないか。そうすれば俺みたいな人間は生まれなくなるのだ。俺みたいな人間が『苦しい』と思う必要はなくなる。いつか誰でもいいからそんな世界を作ってくれ」

 彼はそんなことをペラペラと言い残して、消えていった。

 私の目の前から、私の視界から。そして彼はこの世から消えていった。

 そういえば最後に彼はこんなことも言っていた。

「俺みたいなお喋りは、よく何が言いたいのか分からないと言われるが、実は結構簡単なんだよ。よく見て、よく聞いて、よく考えれば、普通に分かることなんだ」

 ああ、彼は最期になんて物を残してくれたのだろうか。なんと素晴らしい物を残してくれたのだろうか。

 勿論、そんなことを思うのは正しくない。正しくはないが、間違いでもない。本当にもう、創作意欲を湧き上がらせてくれる。私は彼の命を持って、彼の命を代償にして、書き上げよう。

 私にはやはり、創作など向かないのだ。

 私には随筆や体験談、そんなものが向いている。

 私にしか書けない、私と彼の物語を紡ごう。

 

 そして最後に一つ。創作においてのコツである、分かっていることも敢えて解説するという方法を利用して、一つだけ事実を開示しようと思う。しかし、少しだけ簡単な謎を残して。

 彼の本心は彼の台詞の中に二重の台詞として、表されている。




話してることと伝えたい内容は、全然違ったりはしますよね。
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