篠ノ之一夏とIS学園   作:双神 光

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遅くなりすいません。作者です。
今回は長いです。本当に。
前回よりも2000文字近く長いです。
投下!


シスコンは義妹と再会する。

 とある休日の事。五反田食堂にて。

 

「よう一夏、数馬、とりあえず二階に上がってくれ」

「「お邪魔しまーす」」

 

 一夏の隣にいるのは新しくできた友達の御手洗数馬。

 妹がいるわけでもなんでもない健全な男子高校生である。

 

「あれ?その二人誰なのお兄」

「おお!蘭!俺だ!結婚してくれ!」

「ふぇっ!? だ、だから私達は血の繋がった兄妹だから無理だっていつも言ってるでしょ!」

 

 顔を赤くしたこの少女は五反田蘭────五反田弾の妹。実兄の弾が好きなブラコン。だが社会的にアウトなので気持ちを抑え込んでいるが、当の兄がシスコンな上に隠す気が無いので、兄といるとすぐにボロが出てしまう。要はツンデレ妹である。

 

「それで!その二人は誰なのよお兄!」

「あ、そうだった。蘭が可愛すぎて忘れるところだったぜ」

「か、かわっ!?」

「こっちが数馬。モテ無い極めて平凡なモブ男だ」

「ちょっと待て!誰がモブだ!」

「そしてこっちが一夏。俺の心友(ソウルメイト)にして、義妹萌えのシスコンだ」

「俺と一夏のこの扱いの差は何なんだよ……」

「何言ってんだよ数馬。決まってんだろ。なあ弾」

「そうだぜ、なあ一夏」

「じゃあなんなんだよ!」

「「それは……」」

 

 少し間を置いて答える二人。

 

「「シスコンかシスコンでないか、それだけだ」」

「ひ、人前でシスコンとか言うな馬鹿ー!」

「いやなんでだよぉぉぉぉ!」

 

 orzの姿勢になる数馬。

 

「いやおかしいだろ、なんでそんなシスコン優遇なんだよ!」

「それが俺だしな」

「どちくしょー!」

「って言うか!なんでシスコンって公言するのよ馬鹿お兄!」

「決まってるだろ」

 

 弾はシリアスな表情のまま続ける。

 

「俺は蘭を愛してるからな!」

「〜〜〜ッ!!ば、バッカじゃないの!?」

 

 そして蘭は部屋に戻っていく。

 

「…なんか最近反抗期なんだよなー、蘭」

「弾爆発しろォォォォォォォ!!!」

 

 叫びながらorzのポーズになる数馬。

 

「「おい数馬!うるせえよ!」

 

 すると数馬は両サイドから罵倒と蹴りを浴びせられた。

 

「痛い痛い痛い!何すんだお前ら!」

「叫ぶんじゃねえよ数馬。蘭が驚くかもしれねーだろうが」

「結局てめえの全ては妹かよ!つか一夏はなんで蹴ったんだよ!?」

「あ?俺たちは心友(ソウルメイト)だからな。大体考えてることはわかるからな」

「いや止めろよ!」

「いや実際叫ぶなよ、迷惑だろうが」

「くっ……!こんな時だけ正論をッ……!」

「いーから部屋行くぞ、こっちだ」

「ほら、行くぞ数馬」

「なんで俺が遅いみたいになってんの!?」

 

 こうしてみんなで弾の部屋に上がる。

 

「つーかよ、弾。あの子って実妹なんだよな」

「ああ、そうだが?」

「親とか何も言わねーの?」

 

 数馬の質問に対してしばらく考えて弾が答える。

 

「そういや一回も言われたことないわ」

「無いのかよ……」

「おう、今の所ただ仲のいい兄妹にしか思われてないらしい」

「へー」

 

 

 しばらくIS/VS(インフィニット・ストラトス/ヴァースト・スカイ)で遊んだり雑談をしていると部屋の扉が開く。

 

「お兄!お昼ご飯できたってば!」

「なっ……!俺が、この俺がッ!蘭の声を聞き逃しただとぉぉぉぉ!?」

 

 衝撃を受けたように叫ぶ弾。

 

「いや、お前にあの時の俺を蹴る資格はねーよ……叫ぶんじゃねーよお前……」

「まあそれはそれとして相変わらず愛らしいな、蘭」

「にゃっ!?にゃに言ってんのよこの馬鹿お兄!」

「否定しようとして噛んじゃう蘭たん萌えー」

「ぴにゃぁぁぁぁぁぁ!!!お兄の馬鹿馬鹿馬鹿ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 耳まで真っ赤にして半泣きで部屋を出て行く蘭。

 

「あーもー、マジで可愛い。蘭マジ天使」

「可愛いならなんであんななるまで言うんだよ……」

「はあ?決まってるだろそんなの。なあ一夏」

「そうだな弾」

「……わかりきってはいるが一応聞くぞ、なんでだ?」

「「妹のそんな顔も可愛いからだろうが!!」」

「自重しろシスコン共ぉぉぉぉぉ!」

 

 

 一方蘭はと言うと。

 部屋で布団に包まっていた。

 

(お兄に可愛いって!可愛いって言われた!)

 

 大好きな兄に褒められる。それだけでも蘭にとっては幸せな事なのだ。

 

「……でも……お兄とは血が繋がってるから好きになっちゃだめなんだよね……」

 

 蘭はぼそりと無意識のうちに呟く。

 

(だけど、止められないよ……私、私、お兄のことが……)

 

「「妹のそんな顔も可愛いからだろうが!!」」

「はにゃぁぁぁぁ!」

 

 無神経な兄の言葉で悶絶する蘭だった。

 

「どーしたんだよ蘭?なんか機嫌悪いな」

「誰のせいよ……」

 

 食堂にて、ランチタイムを終え、落ち着いた食堂で食事をする四人。

 

「え゛!?俺のせい!?お兄ちゃんなんかした!?」

「ふん!わからないならいいわよ!もう!」

 

 愛する妹に冷たくされて弾は精神的ダメージを食らう。

 

「なあ一夏……富士の樹海ってどっちだっけ……」

「しっかりしろ、気をしっかり持て弾!」

「いや、もう蘭に嫌われるとか世界に意味がねーし。俺の人生は終わりを迎えるのかもなぁハハハハハハ」

「こいつ顔が一切笑ってねぇ……」

 

 刹那、おたまが弾の頭に向け飛んでくる。

 

「おい弾、おめえ蘭になんかしたのか?」

「痛!別に何もしてねーよ!」

「じゃあなんで蘭の機嫌が悪いんだよ」

「いやいやいや、本当に何もしてないって!なあ蘭?」

 

 弾が蘭に同意を求めた時、蘭は既に食器を片付けて部屋に戻ろうとしていた。

 

「え、ちょっと蘭さん?」

「もう知らないわよ!」

「ちょ、待ってくれ蘭!お兄ちゃんを今一人にしないでくれぇぇぇ!」

「ちょっとこっち来い弾。」

「みぎゃぁぁぁぁ!ちょ、まっ、助けてくれぇぇぇぇ!」

 

 引きずられて行く弾を見送って、合掌してから一夏と数馬は食事を再開した。

 

「ちくしょー、ひどい目にあった」

「お疲れ、弾」

「あー、疲れた」

「飯の残り食ってくるから先に部屋戻っといてくれ」

「分かった」

 

 弾の部屋に戻ると数馬がこんな事を言い出したのだ。

 

「なあ、エロ本探そうぜ」

「はぁ?」

「そんな言い方せんでも……」

「弾だぞ。俺の心友(ソウルメイト)だぞ。あっても妹モノしかねーだろ」

「妹モノならあるのかよ」

「知らねーよ」

「んじゃ、探してみるわ」

「おい、俺はやらねーし、止めたぞ」

「へっ!知ったことか!弾の弱みをここで握る!」

「こいつ最低だ……」

「うるせえシスコン!」

 

 そして数馬は着々と探していくが一つとして見つからない。

 

「な、なんで無いんだよ……」

「よーっす。何してんだ数馬」

「げえっ!?弾!?」

「何が『げえっ!?』だてめぇ」

「おい弾、数馬がエロ本探してたぞ」

「一夏てめぇ裏切りやがったな!?」

「俺は最初から反対だし、そもそも協力してねーし」

「何バカなことしてんだよ数馬」

「あれ!?スルー!?」

「いいかよ数馬。そんなわかりやすいとこに隠すわけねーだろ」

「じゃあどこだよ……」

「言うわけねーだろバーカ」

「ちくしょぉぉぉぉぉ!!」

 

数馬の哀れな叫びが町中に響き渡った。

 

 一方ドアの裏にて

 

(どこにあるんだろ……お兄のえ……えっちな本……)

 

 エロ本に関する会話は顔を真っ赤にした妹に聞かれていた。

 

「じゃーな弾、次こそは見つけてやる!」

「一生見つからねーよバーカ」

「じゃーな、月曜に学校で」

「おう!じゃーな一夏」

 

 日の沈む頃、食堂の前で三人は別れる。

 

 夜、寝ようとしていた弾の部屋の扉を叩かれる。

 

「このノック音は……蘭だな、どうしたー?」

 

ノック音で判別できるあたり既にシスコンも度が過ぎている気もする。

 

「うん。あのさ、部屋、入ってもいい?」

「全然良いぞ」

 

 弾の返答があると部屋に入って来る蘭。

「んで、どうしたんだ、蘭?」

 

「あ、あの、さ。その。お兄もさ、その、え、えっちな本とか持ってるんでしょ?」

 

 耳まで赤くし俯きながら聞いてくる蘭に萌え死にそうになる弾。

 しかしそんなことは表に出さないようにして真実を話す。

 

「あー、あれか。あれはー、その、だな。ハッタリなんだよ」

 

 ばつが悪そうに頭を掻く弾。

 

「え?」

「いやその、蘭がいれば十分だからいらなかったんだよ」

「ほ、本当に?」

「当たり前だろ。俺が愛してるのは蘭だけなんだから」

「にゃ!?」

 

 照れる蘭を抱き締める弾。咄嗟のことで、蘭の反応が遅れる。

 

「ちょ、ちょっと、お兄流石に家じゃまずいって!!」

 

 口では否定しているが完全に頬が緩み切っている蘭。

 

「可愛すぎるだろ……蘭」

 

 蘭に聞こえないよう呟く弾。

 だが本人にとって聞こえないようにしたつもりでも、バッチリ蘭に聞こえていた。

 

「うー、お兄のばかぁ……」

 

 今度の蘭の呟きは弾には聞かれなかった。

 

***************

 

 時は流れ、一夏たちは進級し、二年になった。

 そんなある時のこと。

「あのさ、一夏」

「どうしたんだ、鈴?」

「あの、さ……私さ、転校することになったんだ」

「そっか」

「ずいぶんとあっさりしてるわね……」

「いやいや、寂しいって、サミシイヨー」

「このっ……」

「まあ決まっちまったもんは仕方ねーだろ」

「う……まあそうだけどさ」

「それに俺だってなんとも思わない訳じゃねえさ」

「それって……」

「友達が去っていくってのは寂しいからな」

「……そっか」

「って訳でじゃあな鈴。またどこかで会おうぜ」

「あ、うんじゃあね。またいつか」

「じゃーな」

 

 あっさり鈴と別れる一夏。

 

「結局、友達止まりだったか。まーしょうがないか、あいつは()()()()()だもんね」

 

 残された鈴は一人で呟く。

 こうして凰鈴音は初恋を諦める。

 確かにずっと一緒にいればチャンスの見出しようはあったかもしれない。それでも、多分一夏にとって鈴はずっと"友達"でしかないのだろう。

 だから鈴は、これを機にずっと抱いていた想いと決別する。

 

「さよなら、一夏。またどこかで」

 

 本人に届かない別れの挨拶を鈴は告げた。

 その後、鈴は転校してまた月日は流れていく。

 

***************

 

 そして夏、第一回モンドグロッソが開催される。

 しかし……

 

「……ここどこだよ……」

 

 一夏は日本開催にも関わらず迷子になっていた。

 

「ちくしょー、地図くらいくれよ千冬姉……」

 

 大会に出場しようとしている姉に恨み言を吐く一夏。

 

***************

 

 一方、今朝唐突に現れた姉に貰った(押し付けられた)チケットを手にモンドグロッソを見学しに来ようとした箒、しかし彼女もまた兄のように迷っていた。

 

「ここどこだろう……助けてくれ兄さん……」

 

 この状況にここにいない兄に助けを求めてしまう箒。

 しかし、その願いは意外な形で叶うこととなる。

 

「…………箒!?箒なのか!?なあ!?」

「あれ……兄さん……?」

 

 二人は出会う。

 今度は夢ではない、現実で。

 

「兄さぁぁぁぁん!」

 

 会いたかった人物に出会えた事で抑えていた涙が流れ出す。

 一人ぼっちで迷子になって、寂しかった思いが一瞬で溢れていく。

いや、それ以前から一人で、ずっと寂しく、義兄に会いたかった気持ちが一気に溢れ出る。

 気が付けば箒は一夏のの胸に飛び込んでいた。

 一夏も何も言わず箒を抱き留めた。

 

***************

 

 その後、その場には先の事で悶絶する箒とそんな箒の対応に困っている一夏がいた。

 

「お、落ち着け箒、な?」

「兄さんにあんな姿を見られるとは……一生の不覚だ……」

「気にすんなよ。箒に恥ずかしいとこなんてないんだから」

「に、兄さん……」

 

 ここぞとばかりにイチャイチャする二人。

 しかしそこにまだ問題は残っていた。

 

「それで、箒」

「うむ分かっているぞ。兄さん」

「「どこ行けばいいんだろう……?」」

 

 結局二人して迷子だった。

 

***************

 

「「着いた!」」

 

 その後ようやく会場にたどり着く二人。

 ちょうどその時試合が始まったところだった。

 

「あ!千冬姉!」

 

 一夏は実の姉をすぐに見つける。

「頑張れー!千冬姉さん!」

 

 箒は無邪気に千冬を応援する。

 そんな兄妹の思いが通じたのか、千冬は見事優勝した。

 

「……箒」

「兄さん。嫌だ。離れたくない。やっと、やっと会えたのに!どうして……」

「箒、俺は確かに迎えに行くって言ったけどさ。まだその時じゃないんだ」

「そんな、どうして……?」

「決まってるだろ」

 

 一夏は箒の元に跪きながら思いを伝える。

 

「俺はまだ、箒を守れるほど強くなってねーからさ、だから、次会うときは一番強くなった時だ」

「……分かった。約束だぞ。兄さん」

「ああ、約束だ」

 

 二人はまた指切りを交わす。

 

「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます!指切った!」」

「ふふふ、あの時のあの約束と同時に破ったら二千本飲ませるからな。兄さん」

「ぐ……二倍……分かったよ。絶対に破らねーから」

「ああ、信じてるからな、兄さん」

「お安い御用だぜ」

 

 こうして二人はあるべき日常に帰っていく。

 

 同日、どこかの研究所にて

 

「うんうん、計画(プラン)は順調順調♩無事に第一段階をクリアしてる。これならもうすぐ……」

 

 うさ耳の女は四人の兄妹の映った写真を手に取る。

 

「待っててね。二人とも」




と言うわけで如何だったでしょうか。
予想以上に弾が変な子に……
今回はなんと5,000文字突破ですよええ。
次回はもう少し短く済ませたいところです。
さーて、次回予告のお時間でーっす!
こいつのせいで字数増えてる気がしないでもないですが、趣味なので続けます。

「今度こそ……箒を……」
決意を固めたシスコンーーー篠ノ之一夏

「行くぞ兄さん……!全力でかかって来い!」
兄に挑む義妹ーーー篠ノ之箒

「大丈夫かい?二人とも?」
兄妹を救おうとする姉ーーー篠ノ之束

「ひとまずこれでひと段落……と言ったところか。」
兄妹を救おうとするもう一人の姉ーーー篠ノ之千冬
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