いつの間にか正月も明けていました。
明けましておめでとうございます(遅い)
今年も何卒宜しくお願いします。
今回もまた5000文字オーバーですよどうなってやがる。
では始まりまーす!
第一回モンドグロッソから約1年。第二回モンドグロッソ一週間前の土曜日のことだった。
「竹刀はこれでよし、と。あとは防具と胴着の手入れだな。」
篠ノ之神社には剣道の道具をまとめている一夏がいた。
一夏ももう中三である。特にこの時は大事なことがあり念入りに準備を進めていた。
「剣道全国大会…必ず優勝する。そして…」
ふと一夏は手元の写真に手を伸ばす。
その写真は、実姉、自分、義妹、義姉の順に並んで撮られた写真だった。
「今度こそ…箒を…」
一夏は一人、決意を固めていた。
同刻、とあるマンションのワンルームにて。
「今日まで鍛錬を積んできたのだ。大丈夫。」
一夏と同じように剣道の道具をまとめる箒がいた。
「兄さん…」
箒は一人呟く。
そして、とある大きな体育館にて。
そこでは剣道の全国大会が行われていた。
男子では一夏が。女子は箒が優勝し、兄妹は日本最強の剣道兄妹となった。
その後、表彰式を終え。
「おめでとう。兄さん。これで私達は日本最強という訳だな。」
「そうだな。凄かったぜ箒。」
「それを言うなら兄さんこそ。」
出会い頭に互いを褒め合う二人。シスコンとブラコンが織り成す神業である。
「そうだ箒。この後、時間あるか?」
「ああ、一応大丈夫だ。」
「じゃあさ、久しぶりにうちに来ないか?篠ノ之神社にさ。」
「そうだな。行かせてもらおう。」
「じゃあ、行こうぜ!」
一夏は箒の手を引き走り出す。
そのまま二人は駐車場に向かう。
駐車場に着いた一夏の頭を謎の衝撃が襲う。
「痛え!」
「何を走っている、愚弟。」
「何すんだ千冬姉!」
「久しぶりです。千冬姉さん。」
「箒か。そこの愚弟もだが。優勝おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「優勝、おめでとうね一夏君。って、箒ちゃんじゃない!優勝おめでとうね。」
「「ありがとうございます、雪子おばさん。」
その後雪子おばさんの運転する車で篠ノ之神社に向かう三人。
「それじゃ、箒ちゃんにとっては久しぶりの我が家だものね。ゆっくりして行くといいわ。帰りには送るわよ。せっかくだし、夕飯も食べて行くといいわ。」
「いえ!そこまでして頂くわけには…」
「え!?箒もうちで夕飯食べてくのか!?よし!今日は腕によりをかけるぜ!」
「まあ、一夏君も張り切ってることだし。食べてって頂戴。」
「何から何まで…本当にありがとうございます、雪子おばさん。」
「良いのよ。気にしなくても。そもそも本来ここはあなたの帰る場所なんだから。」
「そうだ、箒。剣道場の方に来てくれないか?」
「ああ、わかった。」
剣道場にて。
「ふふ、思えばここで初めて会ったんだったな。」
「そうだったな。あの時は千冬姉についてっただけだったからこんな可愛い
「か、可愛い…///」
突然可愛いと言われてフリーズする箒。
「そういえば、俺たちが兄妹になった時に確か、こう言われたよな、『自分より弱い奴に守られない』みたいな感じのこと。」
「あ、あれはその…あの時はだな。」
「まあ、それはそれとして、俺と箒。今じゃどっちが強いんだろうな?」
「…ならば、試してみるか?」
「そうするか。準備してくれるか?箒。」
「ああ。少し待っててくれ、兄さん。」
数分後。
「一本勝負でいいか?」
「ああ、構わない。」
「じゃあ、始めようぜ、箒。」
「行くぞ兄さん…!全力でかかってこい!」
「応!」
二人の竹刀が激突する。
竹刀の打ち合う音が鳴り響く。
しばらくして竹刀の音が止む。
「…私の負けだ、兄さん。」
勝ったのは一夏だった。
「ギリギリだったけどな。」
「それでも負けは負けだ。」
「そうか。」
「そうだ。」
唐突に目と目が合う二人。
「「ふっ、はははは。」」
おかしくなって二人は笑い出す。
夕陽の照らす神社には、二人の笑い声が響いていた。
「楽しそうだな。お前達。」
「「千冬姉(さん)!!」」
「良い物を見せて貰ったぞ、箒、一夏。」
「ありがとうございます。千冬姉さん。」
「待ってたぜ、千冬姉。」
「本当にやるのだな?一夏。今ならまだ止められるぞ。」
「覚悟なら最初っからできてるぜ。」
「そうか。ならば、準備をしてくる。少し待っていろ。」
「ああ。」
千冬がいなくなった途端に箒が一夏に尋ねる。
「兄さん、一体何をするというのだ?」
「簡単な事だよ、箒。
俺が本当に一番強くなる為のラストバトルだよ。」
とんでも無い事をさらっと言う一夏。
同時にそれは、一夏と箒の誓いの間にある最後の壁である事を意味していた。
「行くぞ、千冬姉。一本勝負だ。」
「ああいいぞ、かかってこい、愚弟。」
「じゃあ、審判は私がやらせてもらう。」
「頼む、箒。」
「それでは……はじめ!」
箒の合図により二人は一斉に立ち上がり、相手の面を狙う。
互いの面を狙う竹刀が交差する。
(重い!)
竹刀によって繰り出される一撃一撃が重く、鋭さを持っていた。気を抜けばすぐにでも負けそうな程に。
(さすが世界最強に剣一本で成り上がっただけある、けど!)
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
一夏も負けじと竹刀を振るう。しかし、全てが千冬の竹刀に防がれる。
(癖が読まれてる…でも!それは千冬姉も同じはず!)
一夏の主な訓練相手は千冬。互いが互いを熟知している。
あとは、力と技が勝敗を決する。
力強く竹刀が鳴り響く。
強く、速く、そして鋭い二人の激突に箒は魅入っていた。
(二人共…相当な実力だ。)
(…強くなったな、一夏。)
試合の中で千冬はそれを実感していた。
(始めの頃は想像も付かなかった。まさか、ここまで強くなるとはな。だが…)
一夏の竹刀をいなす。初めて一夏と試合をした時よりも、力も、鋭さもずっと増した竹刀を。
(だが…それでも負けんぞ、一夏!)
各々がそれぞれの思いを胸に、試合は進んでいく。
気がつけばもうすぐ五分が経過するほどに進んでいた。
五分経過すれば試合は終わりとなる。
二人共そろそろ決着をつけねばと、少し焦りが見える。
しかし、戦況は未だ拮抗しており、進む様相がない。
そのまま残り時間あと僅かとなり、二人は最後の一手を同時に放つ。
「「面!!」」
互いの面を狙った竹刀は、そのまま激突し、そして、両方とも、折れた。
「「「………」」」
これには三人とも絶句した。
残り時間的に、竹刀を取り替えて決着のつくような試合ではないことは明白だった。
何よりも、当の二人が最後の一撃として放ったのだ。興醒めにも程がある。
故に、この勝負をどう決着させるかを、箒は悩んでいた。
ーーーしかし、
「俺の負けだ、千冬姉。」
一夏は自らの負けだと言い出した。
「どういう事だ、兄さん。」
「最後の面、あれは竹刀が折れなきゃ俺の負けだった。そうだろ、千冬姉。」
「どうだかな。お前の面も中々のものだったぞ。」
「ありがとよ、千冬姉。でも、俺は勝てなかった。多分、まだ勝てない。だから、俺の負けだよ。」
「…そうか、なら、ありがたく勝ちにさせてもらう。だがな一夏。
ーーー今まで戦った中で一番手応えがあったぞ、一夏。この調子で、精進するんだな。」
「……ありがとう。千冬姉。」
「気にするな、一夏。」
その後、部屋にて。
「…美味しい…!」
「よっしゃあ!全力で作った甲斐があったぜ!」
「…なんか兄さんに負けた気がする…」
「また会う時は俺にご飯を作ってくれよ、箒。」
「ああ、喜んでやらせてもらおう。」
「いやっほーい!!」
「静かに食え!」
「痛!!」
「あらあら、仲良くね、二人とも。」
「「…はい。」」
ものすごい笑顔で言われた一言は二人にとても響いたという。
数日後、第二回モンドグロッソがドイツで開催された。
当然、千冬も出場する。
前回同様一夏と箒は二人で観戦し、千冬は前回以上の強さを見せて優勝した。
しかし、そんなめでたいムードの中、二人を事件が襲う。
千冬は優勝インタビューその他諸々で帰国が遅れるとの事だったので、一夏と箒は空港に向かっていた。
「…これで、空港に着いてしまったら兄さんとは離れ離れなのか…」
「この前勝ててたら俺も箒と逃走生活しようと思ってたんだけどなー…」
「また、来年のモンドグロッソの時までに勝って、私を迎えに来てくれよ、兄さん。」
「任せろ!」
兄妹の約束が交わされた時、突如現れる黒服達。
「なんだお前ら!」
「あなた達があの
「誰が言うかよ!」
「逃げるぞ、兄さん!」
「おう!」
一夏はどこからともなく取り出した木刀を握りながら言う。
「いや、その木刀はどこから…」
「護身用だよ、旅行の時に買った。」
「いや、私も買ったが、なんで今持って…ええい!そんな暇は無い!逃げるぞ兄さん!」
「ちくしょう!逃げるしかねぇか!」
一夏と箒は黒服から逃げる。しかし数が多くすぐに追いつかれる。
「くそっ!どこまで付いて来るんだ!こいつら!」
「知らん!逃げるしかないだろう!」
「でもこのままじゃ追いつかれるぞ!どうする!」
「くっ…!」
箒は逃げるしかないこの状況に歯噛みする。
そうしている間にも黒服の一人が一夏に襲いかかる。
「おんどりゃぁぁぁぁ!」
一夏は木刀でアームを破壊する。
「くっ、放せ!」
しかし、一夏に向かわなかった他の黒服は箒に向かっていた。
「箒を放せぇぇぇぇ!」
だが、黒服は箒を抑えている。無闇に攻撃出来ない。
「くそっ!どうしたらいいんだよ、また、また箒を失うのかよ!俺は!あの日みたいに!」
一夏は思い出す、連れて行かれる箒を助けられなかったあの日を。
「させるかよ!させる訳にはいかねぇんだよ!俺は、もう、あの日の俺じゃねえ!俺は、箒を守る!絶対に!」
一夏は黒服の頭だけを的確に狙い木刀を振るう。
それにより、黒服が気絶し、箒は解放される。
「助かった、兄さん。」
「気にすんな、箒。」
再び兄妹は走り出す。目の前の脅威から逃げる為に。
そんな時、突如目の前に降ってくる人参のようなロケット。
ロケット縦に割れて中から2人の見知った人が現れる。
「大丈夫かい?二人とも。」
「束姉!(姉さん!)」
ロケットに乗り込み二人は逃げる。だが、
「狭い…」
「ごめんねー、急いで出たから一人用ロケットに乗っちゃってさー。」
「ふあっ!?に、兄さん、どこを触って…」
「ッ!?すまん箒!」
「いや、別に大丈夫だ。」
そう言いつつ頬を赤らめる箒。
「んで、束姉、このロケット落ちたりしないよな?」
「あったりまえでしょー。一人用と言えど、最大積載量はそれをはるかに上回るから。三人くらいヨユーだよ。」
「そっか、なら大丈夫だな。」
三人の乗ったロケットは無事に束のラボに到着した。
「とうちゃーく!これが今の束さんのラボであり、これからの二人のお家だよー!」
「「え?」」
「有無を言わさずに連れて来ちゃったけど、今日は二人が空港に着く前に2人と接触して、ここに連れてこようと思ってたんだよー。」
「さっきのあれは…」
「
「それで、千冬姉は、千冬姉はどうすんだよ!」
「私がどうした?一夏。」
「うわぁぁぁぁ!千冬姉、音も立てずに背後に立たないでくれ!」
「はははは、許せ一夏。」
「びっくりしたぁ…」
「千冬姉さんはドイツにいるはずじゃ…」
「まあ、まだここはドイツ国内だしな。」
「「えっ?」」
「ここはドイツ国内町外れ、人には見つからないよ。」
「さっきここに来た時のロケットでバレたりは…」
「しないよー。あれはちゃんと光学迷彩つけてるから人には見えないのだ!」
束が胸を張って言ったことが二人にとって衝撃だった。
光学迷彩なんて現代の科学で作れる代物ではないと言われているのだ。それを自分の姉が作ったと言うのだから。
「全くこいつは…相変わらずのオーバーテクノロジーだな、自重する気は無いのだろう?」
「無いね!」
「はぁ…頭が痛くなるな…まあ、これからはここを家として使え。」
「学校はどうすんだよ?」
「じゃじゃーん!テレポーター!これでワープすればいいんじゃないかな。」
「あっちのどこにあるんだ?」
「ちーちゃんの部屋。」
((ちゃんとテレポート出来るんだろうか…))
「何か失礼なことを考えていないかお前達。」
「「イイエッサー!」」
「どっちだお前達!」」
二人としては部屋が汚すぎて転移できないとかなったら洒落にならないのである。
「自室的な場所はこっちで確保してるから、あっちは実質テレポート室だ。」
「それなら大丈夫そうだな。箒はどうするんだ?政府が家を用意してるとかなんとか…」
「そんなもん束さんが偽装しとくから問題ナッシング!」
「でもどうするんだ?私がいないとなれば政府が探し出すぞ。」
「そんなもん束さんが政府脅迫しとくからだいじょーぶい!」
((不安だ…))
そんなこんなで二人が篠ノ之束のラボで暮らすことになった。
「ひとまずこれでひと段落…といったところか。」
騒ぐ兄妹達から少し離れ、千冬は呟く。
この後にまだ様々なことが待っているのを彼女は知らない。
いや、彼女だけではなく、誰も知らない。
いやー、知識の欠片もない剣道なんて書くからこんな遅くなるんですよ本当に。反省しております。
さて、今回は一夏の越えるべき壁、千冬さんと戦ってもらいました、剣道で。
ぶっちゃけ延長なんてしてたら延々終わらない気がしたのであんな感じにしました。
まあ、本音を言えば全力でやりあうならIS込みでやって欲しいのもあります。
ISに乗った千冬さんに勝たないことには…ねぇ…
さてさて、次回予告行ってみよー!
「いやっほーい!!束姉ありがとー!」
ハイテンションな兄ーーー織斑 一夏
「兄さんと…一緒に…学校に…?」
よくわかってない妹ーーー篠ノ之 箒
「…だれか、だれかたすけて…」
千冬に酷似した少女ーーーマドカ
「図に乗るなよ、研究者共。」
世界最強の姉ーーー織斑 千冬