作者でございます。
作者にして初の脅威の24時間以内の投稿になりました。
日常編の比率高いと本当に書きやすい…
今回は3,000字ですがね。
そういえばお気に入り100件突破いたしました!
やりましたー!
投下しませう。
「いっくんと一緒の学校に行きたくないかい?箒ちゃん。」
千冬がモンドグロッソで二回目の優勝を飾りしばらくして、夏休みも終わりに近付いた頃、束がこんな事を言い出したのだ。
「え?いやでも、政府が学校を指定して…」
「束さんにかかればだいじょーぶい!名字は変えてもらうことになるけど。」
「箒と、一緒に、学校に、行ける?」
「その通りだぜいっくん!」
「いやっほーい!!束姉ありがとー!」
「兄さんと…一緒に…学校に…?」
本人よりも先にそれについて喜ぶ兄、さすがシスコン。
「名字は私が決めても…?」
「オッケーオッケーオールオッケー!」
「じ、じゃあ、お、織斑…で、お願いします。」
「りょーかいだよー!でもあれだね、いっくんの名字が良いなんて箒ちゃんも可愛いとこあるよねー。」
「うううう、うるさい!」
「箒が妹だって自慢できるぜひゃっはー!」
「いっくんは相変わらずだね、五年経ったけど何も変わってないや。」
「それほどでも。」
「必ずしも褒めてないんだけどなぁ…」
夏休み明け、学校には兄妹がいた。
「じゃあ兄さん、私は職員室に行ってくるから、また教室で。」
「おう!待ってるぜ箒!」
学校に着いてから別れる兄妹。だが、一夏は教室に行くまでに明らかに浮かれていた。
「おはよう、我が
「なんでそんな具体的なんだよお前…おはよう一夏。」
「おう、おはよう弾、数馬。よくわかったな弾。その通りだぜ。」
「そこまでお前が嬉しそうな顔でニヤニヤしてるのを俺は初めて見たぞ。」
「マジかー。あ、そーだ数馬。」
「なんだよ一夏。」
「箒に手ェ出そうとしたら…わかってるよなぁ…」
「安心しろ、お前の義妹に手は出さないから。」
「箒に魅力が無いってのかゴルァ!」
「理不尽だなおい!」
やがて朝のホームルームになる。
「はい静かにー、今日は転校生が来たから紹介しまーす。」
女の担任の一声で教室はざわつきだす。
転校生なんて一大イベント。中学最後の思い出にと非リアな男が。一夏を盗られまいとする少女達が、ざわつく。
「転校生は女の子ですー。入ってください織斑さーん。」
入ってきた箒に視線が集中する。
「お、織斑 箒です。よろしくお願いします。」
その名前を聞いた瞬間、教室は静寂に包まれる。
その名前を聞いた瞬間、男も女も絶望に包まれる。
同じ小学校の人間なら見知った顔で、そうでなくても一夏がシスコンである事、そしてその義妹の名は学校に知れ渡っていた。
絶対陥落不可能。
そして、一夏の攻略が完全に不可能になったことを告げる存在。
ここに
「それじゃーみんな仲良くしてあげてくださいー。織斑…あれ?一夏くんと同じ名字か。じゃ、ちょうど空いてるし一夏くんの隣に座ってねー。箒ちゃん。」
「あ、はい。わかりました。」
「それじゃー、朝のホームルームを終わりまーす。みんな次の授業の準備をしてくださいー。」
その後、静寂の中箒が一夏の隣に座る。
「よろしくな、兄さん。ふふふ、これで学校でもずっと一緒だな。」
「ああ、よろしく箒。そうだ、お昼になったら一緒に屋上で食おうぜ。」
「ああ、構わないぞ。」
「よっしゃあ!」
甘々な空気が二人の間から広がっていく中。
二人に話しかける勇者がいた。
「よっ、一夏。そいつがお前の…」
「おう!紹介するぜ箒。こいつは五反田 弾。俺の
「よろしくな、一夏の妹さん。気軽に弾って呼んでくれ。」
「ああ、よろしく頼む、箒で構わないぞ。」
そんな事もあったが、箒も学校に馴染み、普通に一日が過ぎていった。
「あ、お兄!こっちこっちー!」
下校時の校門に響く少女の声。校門には弾に似た髪色の、育ちの良さそうなお嬢様然とした、と言うか地元で有名なお嬢様校の制服を着た少女がいた。
「おう、蘭。悪い、待たせちまったか?」
「大丈夫大丈夫。全然待ってないよ。」
テンプレなやり取りを地で行っていく二人に困惑する箒。
「えっと、この娘は誰なんだ?兄さん。」
「ああ、この子は五反田 蘭。弾の妹さんだ。」
「ああ、なるほど。」
妹と聞いて何かに納得した箒。
「…この人は?」
「ああ、紹介する。織斑 箒。一夏の妹さん。」
「ああ!一夏さんの伝説の妹さん!」
「…なあ一夏。私はどんなイメージがあるのだ…」
「俺が
「…そうか。」
「それは置いておいて、よろしくお願いします、箒さん。」
「ああ、よろしく頼む、蘭。」
「あ、ケータイ持ってます?」
「ああ、あるぞ。」
「メールアドレス交換しましょう!」
「あ、ああ、大丈夫だ。」
箒、初めてメールアドレスを交換する。
二人が平和な学校生活を送る中、千冬はイギリスに出向いていた。
「ここか、束が言っていた私のクローンがいるというのは。」
ここに来る前、千冬は束に頼まれたことがあった。
それは千冬のクローンの救出だったのだ。
「さて行くとするか。」
千冬は歩き出す、目的地に向けて。
ここはどこだろう、
わたしはだれだろう、
なにもわからない、
だけどこれだけはわかる、
いたい、
くるしい、
だれか、
「…だれか、だれかたすけて…」
イギリス某所にて
「クソッ!侵入者だと!?警備の者は!?」
『それが、侵入者に全員倒され、ぐあっ!』
「どうした!クソッ、この研究だけは何としても…」
「この研究が、なんだ?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!お、織斑 千冬!?なんで、なんでここに!?」
「どうも誰かが私のクローンを作っていると聞いてな。駆けつけてみればこうだ。全く、嫌になるな。」
「ヒィィィィィ!!わかった、わかったから、今回のこれについては謝るだから、だから見逃してくれぇぇぇ!!」
「今回は?じゃあ、こんな事は今回だけでないということか?」
「い、いや、あの、」
「いいか?私はお前達を見逃す気はない、人をネタに妙な研究をした挙句、あまつさえ見逃してくれ、だと?ふざけるのも大概にしろ。」
「い、いや、やめ、」
「図に乗るなよ、研究者共。」
この日、研究所が秘密裏にひとつ消えた。
「ここは…?」
「気がついたか。大丈夫か?」
「たぶん…」
「そうか、お前は自分が誰かわかるか?」
「わからない。私は、私は…」
「そうか、なら、お前はマドカ。織斑マドカ。私達の家族だ。」
「かぞ…く…?」
「そうだ。」
「わかった。」
「それなら、帰ろう。私達の家に。」
「と、言うわけでこいつはマドカだ、仲良くしてやれよお前達。」
「やったねちーちゃん、家族がふ…ミギャァァァァ!!」
「おいばかやめろ」
そう言いながら束にアイアンクローを喰らわせる千冬。
ネタに乗ってあげるあたり優しい。
「よろしくな、マドカ!」
「よろしく、マドカ。」
「あ、ああ、よろしく、姉さん、兄さん。」
「…姉さん、か。ふふふ。良いものだな。」
「やっぱわかるか箒。こう、家族から兄さんとか言われたりするのって、なんかこう、すごく良いと思う。」
「全面的に同意だ、兄さん。」
「え?えっと…」
「おっと、じゃあマドカも来たし今日はパーティーだ!箒、早速準備を!」
「ああ!」
パーティーの準備をする二人を呆然と見るマドカ。
そこにウサ耳の女性が話しかける。
「どーだいマドッチ。良いところだろう、ここは。」
「とても、暖かい場所だと思います。」
「敬語なんていいよー、マドッチももう家族なんだから。」
「かぞ、く?」
「そ、家族。だから敬語なんてなしなし!」
「あ、ああ、わかった。」
「おーい、束姉ー、マドカー、料理運んでくれー。」
「はいはーい。行くよマドッチ、いっくんと箒ちゃんの料理は絶品なんだから!」
「あ、ああ。」
パーティーも終わりに差し掛かった時、マドカは一人ラボの屋上にいた。
「どうした、マドカ。」
「姉さんか。いや、なに、ここは、良いところだな。」
「ああ、そうだな。」
「なあ、姉さん。私は誰だ、誰なんだ。私は一体…誰だと言うのだ!もう、もうわからないんだ…」
マドカの心は不安で埋め尽くされていた。
今日、ここで一夏達を見て、自分が本当にここにいていい存在なのか、この家族たちの中に入っていいのか、自分が一体何者なのか、分からなくなっていたのだ。
「…はぁ、何を言っているのだお前は。」
「…え?」
「お前は織斑マドカだ。それ以外の何者でもない。お前はもう既に、私達の家族なんだ。だから何も恐れることはないんだ。」
千冬はそう言ってマドカを撫でる。
「ねえ、さん…」
「お前は、ここにいて、良いんだよ。」
「姉さん…うっ、あ、うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「よしよし、大丈夫だからな。」
千冬の胸の中で泣きじゃくるマドカ。その姿は確かに姉妹のものだった。
というわけで、今回は姉妹回でございました。
箒も一夏と学校に行けるようになって、家族が増えて、いろいろありました今回。次回はどうなることやら。
次回予告入りまーす。
「おい!大丈夫か!しっかりしろ!」
義妹と買い物中ーーー篠ノ之 一夏
「とりあえず家に連れて行こう!姉さんなら何とかしてくれる!」
義兄と買い物中ーーー篠ノ之 箒
「あの子を…ラウラを助けて下さい…」
兄妹が助けた少女ーーークロエ・クロニクル
「いい加減にしろよ…貴様らぁぁぁぁ!」
怒りに震える少女ーーー織斑 マドカ