篠ノ之一夏とIS学園   作:双神 光

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やっはろー、一週間ぶりの双神さんでーっす!ヒャッハー!
いやー、ほのぼので行こうと思ってたら予想外にシリアスになってしまいました〜、やっちゃいました。
さらにちょっと話を壮大にしかねないネタぶち込みました、こんな俺を殴ってくれ!
アンケート結果は終わりにでも。まあわかりきってると思いますが。
それでは投下ー。



シスコンは義妹と日常を過ごす。
シスコンは実妹とデートする。


 コンコン。

 

 ドアがノックされる。

 

「お兄、いるー?」

 

「おうーいるぜー。」

 

 弾がそう言うと部屋の扉が開かれる。

 

「ね、ねえお兄。今、時間ある?」

 

 弾にとっての天使が降臨する。

 

(ああもう、いつ見てもかわいいなぁ、蘭マジ天使。)

 

 そんな感動にいつまでも浸っていてもしょうがないので、弾も受け答えする。

 

 ここで弾は一つ、思いついた作戦を実行しようとする。

 

「おうー、ついでにちょっとこっちきてくれー、蘭ー。」

 

「うん…って、うわああ!?」

 

 蘭が弾の近くに行くと、いきなり弾は蘭を引き寄せ、座っている自分の上に座らせた。弾はそのまま蘭の手を握り、弄りだす。

 

(お兄ってば…いきなりこんな大胆な…)

 

(作戦大成功だぜ!!)

 

「あぅぅぅぅ、お、お兄!」

 

「んー?なんだよ蘭ー?」

 

 きっかけは、この時だった。

 

「あ、あのさ、明後日ね、レゾナンスでイベントがあるみたいなの、それで、えっと、その…」

 

 顔を赤くしてほぼ上目遣いな蘭を見て弾は大体を察する。

 

「要するに、そのイベントに行きたいんだな?蘭。」

 

「うんっ!」

 

 提案した途端、花のような笑顔を咲かせる蘭。

 

(ああもう、本当に可愛いな蘭は。)

 

 この時、ダメ兄貴全開の弾は蘭と出かけることを決めた。

 

 これから起こる事を知らないで。

 

 

 

 明後日

 

 ーーーレゾナンス前 噴水

 

「あー、なんでわざわざ待ち合わせなんて…」

 

 待ち合わせに関して弾がぼやく。

 

「家から一緒に行きゃ良いじゃねぇかよ…」

 

 弾はぼやきながらこの状況を考察しだす。

 

「あれ…?」

 

 そうして弾は一つの真実に気がつく。

 

「これって…なんかデートっぽい?」

 

 これがデートということに気がついた。

 

「なんかドキドキすんな…」

 

 一度デートと気がつくとかなり恥ずかしくなるものである。

 

「…あれ、言わねえとなぁ…」

 

 嫌な事を思い出して、少し憂鬱になる弾。

 

「ご、ごめんお兄!待った?」

 

「ん、ああ。全然待ってないぜ、色々寄り道したからな。」

 

 デートの定番のやり取りをしているあたりこの兄妹既にバカップルである。

 

「んじゃ、イベント行くんだろ?行こうぜ。」

 

「うん…にゃっ!?」

 

 いきなり手を繋ぐ弾に顔を赤くする蘭。

 

「…?どした、蘭。」

 

「にゃっ、にゃんでもない!」

 

 顔を赤くし俯く蘭を引き連れて、弾はレゾナンスへと入っていった。

 

 

 

 

 

「ほぉー、これが蘭の行きたかったイベントねぇ…」

 

「…なんか気に食わないことでもあった?お兄。」

 

「うんにゃ、全然。」

 

 レゾナンス内、そこでは京菓子のイベントが行われていた。

 

(高え…)

 

 何かあるとすればそれだった。

 

 この手のイベントに出るような品物は高いと相場が決まっている。

 

(しばらく節約生活も辞さないなこりゃ。)

 

 そんなことを考えながら、弾は蘭に引っ張られていった。

 

 

 

 

 

「八つ橋だってよお兄。」

 

「ほー、生八つ橋のあれだと思ってたけど、違うんだな。」

 

「ねー。あ、一つください。」

 

「金は大丈夫なのか、蘭。」

 

「大丈夫よ…多分。」

 

「…はぁ。ほら。」

 

 そう言うと弾は1万円札を取り出す。イベントと言われて用意していたのだ。

 

「え!?そんな、わざわざ悪いって。」

 

「良いから貰っとけ。こんな時くらいカッコつけさせろよ。」

 

「はぁ、わかったわよ。」

 

 そう言って蘭は受け取る。

 

「あとでいくらか返すよ、お兄。」

 

「いらねぇよ別に。」

 

「私の気が済まないの!」

 

 そう言って少し怒る蘭を見て弾は思う。

 

 ーーーああもう、可愛いなあ。

 

 

 

 

 

「いっぱい買ったなまた。」

 

「帰ったらみんなで分けようね、お兄。」

 

「あいよ。」

 

 デートの帰り、二人で歩きながらそんな会話をする。

 

「あ、あそこよって良いか。」

 

「良いよー、って、公園じゃない。」

 

「良いんだよ別に。ほれ、ベンチで待ってろよ。何か飲みもん買ってやる。」

 

「じゃ、ミルクティーでお願い。」

 

「らじゃ。」

 

 そう言って弾はベンチを離れる。

 

 

 

 

 

「ほれ、缶のやつで良かったか?」

 

「あ、うん。ありがとねお兄。」

 

「お安い御用よ。」

 

 そう言うと弾は買ってきていた缶コーヒーを飲み始める。

 

「で?」

 

「んぁ?」

 

「いきなり公園に寄ろうなんて、いきなりどうしたのよお兄。」

 

「いや、なんだ、その、さ。」

 

「? どうしたのお兄。随分と歯切れが悪いけど。」

 

「あー、そうだな、ズバッと言っちまうか。」

 

「?? 」

 

「なあ蘭。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…え?」

 

「いや、俺たちは実の兄妹な訳で。こんな関係をいつまでも続けられる訳じゃない。それはお前もわかってるんだろ?」

 

「それは、そうだけど…でも!!」

 

「でもも、だってでもねえんだよ!!」

 

「…え?なんで、どうしたのお兄。いきなりどうしたの、ねえ!答えてよ!!」

 

「うるせぇ…俺だって、嫌だよ。お前のことが大好きだよ。」

 

「…それなら、」

 

「でも無理なんだよ!これ以上は!!もう無理だ!だからっ…」

 

「ねえお兄。」

 

 いつの間にか立ち上がっていた蘭はそう言うと弾を抱き寄せる。

 

「っ…すまねぇ、でも…」

 

「ねえお兄。私はいつも、ずーっとバレないようにしてきたつもりだけどさ。お兄は全くそんなことなかったよね。」

 

「…ごめんなさい。」

 

「怒ってないよ。でも、お兄に私は何度も言ったよ?バレたらどうするのって。そしたらいつもお兄はこう言ってた。『そんなの何とかしてやる』って。あの自信はどこに行ったの?」

 

「っ!?」

 

「私は、ずーっと、ず〜〜っとお兄を信じてるから。だから、帰ろ?たとえ認められなくても、今はあそこが私達の家だから。だから、一緒に帰ろ?もし無理だったら、また新しい家を探そ?ね。」

 

「っ、あ…」

 

 蘭を見て、弾の記憶がフラッシュバックする。

 

 弾にとって大切な記憶が。

 

 

 

 

 

「あーっ!!ここにいた!!」

 

 暗く静まった公園に快活な声が響く。

 

「ほらっ!帰ろっ!!おじいちゃんも怒ってないから、ね?」

 

「いいよ…もう、オレはあそこに帰っちゃいけないんだよ。」

 

「そんなことないよ!だから、帰ろっ!」

 

「いいよもう!ほっといてくれよ!どうせ帰ったって…誰も…」

 

「ちがう!」

 

「…え?」

 

「あたしが…あたしがそんなのイヤなの!だから、だから帰ろっ!ねっ!」

 

 そう言って手を引く蘭。そのまま弾は引かれて帰って行った。

 

 今の弾があるのも、ここまでのシスコンになったのも、全てはこの日から始まったのだ。

 

 この日、弾は思った。こんなに明るい娘が、こんなに優しい娘が、こんなに、自分を思ってくれる娘が、妹だなんて。なんて幸せな所に生まれたんだろう、と。

 

 

 

 

 

「…っ…ぁ…くそっ、そうだっ…俺は、何言ってやがんだよ…!あの日から…ずっとお前を守るって決めたのに…!何で俺があんな事を言ってんだよっ…!よりによって守るって決めたお前に…何言ってんだ…!くそっ…」

 

「もういいよ。」

 

 そう言うと、また蘭は弾を抱き締める。

 

「もう、我慢しなくて良いから。だから、泣いて良いよ、お兄。」

 

「う、く、すまん、蘭。ごめんな、ううっ。」

 

「もう良いってば。それに、私の事をあんなにお兄が思ってくれてたんだから、それがわかっただけでも、私は十分嬉しいから。ね。」

 

 

 

 

 

「なんか、ありがとな。大事な事を思い出したよ。ったく、何やってんだか、俺は。まあ、恥ずかしい姿見せちまったけどな。」

 

「もう良いってば、だからどうなるかはわからないけど、帰ろう?お兄。」

 

「おう、俺は無理でも、お前だけは何とかしてやるよ。」

 

「あっ…」

 

 そのセリフで、蘭もまた、大切な記憶を思い出す。

 

 

 

 

 

 パリーン!

 

「あっ…」

 

 まだ幼い頃、蘭が、母の大切にしていた花瓶を、割ってしまった時の事だった。

 

「ふえぇぇ…どうしよう…」

 

 たまに弾が怒られているのをいつも見ていた彼女は、怒られるかもしれないという怖さから、泣き出しそうだった。

 

「?どうした、蘭。」

 

 弾が部屋から出てきた。それで、母に言うのではないかと思った蘭は泣き出してしまった。

 

「ふぇ、ふえぇぇぇん!」

 

「あー、なるほど。ほらよしよし、大丈夫だ、お兄ちゃんが何とかしてやるから、な?だから、オレの部屋に隠れとけ、な。」

 

「でも…」

 

「オレは大丈夫だから、な。ほら。」

 

 そう言われて、蘭は弾の部屋へ入っていった。

 

 

 

「さて、これどーするかな…」

 

 そう言うと弾は塵取りと箒を取り出しに行く、すると、

 

「あらあら、弾?何してるの?」

 

 母がそこにいた。

 

 

 

 ガン!!ゲンコツの音が響く。

 

「いでえ!」

 

「おめえは何回同じ事を繰り返すんだ!弾!!」

 

「っぐ…」

 

「いっぺん出てって反省してこい!!」

 

「…ん、」

 

 そう言って弾は家から出て行く。

 

「…大丈夫かしら、弾。こんな夜遅くに…」

 

「…こんぐらい厳しくしねえと治らねえだろ。」

 

「まあ、あなたも同じ目にあってたしね…」

 

「…言わないでくれ、蓮。まあ、この親父は名前の通り厳しいからな。」

 

「…てめえも出てきてえか、陣。」

 

「はいはいサーセンサーセン。」

 

 ゴスン!!

 

 弾の時より遥かに強いゲンコツが振り下ろされる。

 

「ぐああぁぁぁぁ!頭蓋骨割れる!!」

 

「…自業自得だ。」

 

「クソォ…」

 

 えぐっ、グスッ、と涙をすする音がする。

 

「? 弾?」

 

「いや、階段の方からだ。」

 

「じゃあ、蘭かしら?でもいきなりどうしたのかしらねぇ…?」

 

「ちょっと見て来てくれ、蓮。」

 

「はーい、わかりました。」

 

 そう言うと、階段を隔てる扉を開く蓮。

 

 そこでは、蘭が泣いていた。

 

「あらあら、どうしたの蘭?」

 

「えぐっ、あのね、お兄が…」

 

「?? 弾がまたなんかしたの?」

 

「ちがうの、あのね、グスッ、あたしがあれ割っちゃったのに、お兄が、自分が割ったって、ウソついたの、ひぐっ、そしたら、お兄が怒られちゃったの、それで、うぅぅ、お兄がじいじにげんこつされて、それでっ、どこか行っちゃったの、えぐっえぐっ、あたしが悪いのに、お兄がっ、お兄がっ…」

 

「…弾の奴。ちゃんと兄貴してんじゃねえか。あいつ。」

 

「…冤罪で殴っといてその言い草は無いだろう…」

 

「…すまんかった。」

 

「じゃ、弾を探しに行きましょうか。」

 

「蓮は蘭と残っといてくれ、そこそこ夜だし。」

 

「わかっ…「やだ!あたしも行く!」え?」

 

「あたしも行くの!!」

 

「いや、蘭は残った方が…」

 

「やだ!お兄がどこか行っちゃったのは、あたしが悪いんだもん、だからっ、だからっ…」

 

「あー、わかった。じゃ、俺と蓮。親父と蘭で探しに行こう。それで良いな?」

 

「うん!」

 

「じゃ、出発!」

 

 

 

「あー!いたー!」

 

「…ちょっと待て蘭!あんまり離れんじゃねえ。」

 

「お兄ー!!」

 

「…はぁ、元気だなぁ、でも、そう言うのも可愛いんだよなぁ、孫ってのは。」

 

 

 

 その後、蘭は弾を引っ張って帰ってきたという。

 

 

 

 

 

「ああ、そっか。」

 

 蘭は思う。

 

「お兄は、ずーっと、あたしの分も苦しみも背負ってたんだ。」

 

 自分の兄は、ずっと自分が苦しまないようにして来たんだと。そう思うと嬉しくなる。兄が、自分の事をずっと想っていてくれたと考えると、本当に嬉しかった。でも同時に少し悲しくなった。

 

 最も大切な兄が自分を信じていてくれてなかったから、だから蘭は言う。

 

「ねえお兄。あのさ、一つだけ言って良い?」

 

「ん、何だ、言ってみろよ、蘭。」

 

「今度から、ちゃんと頼ってよお兄。私に全部内緒にするのは無しだからね!!」

 

「うぐ…わ、わかりました…」

 

「目を逸らさない!!」

 

「はい、って近い近い!」

 

「…嫌…なの?」

 

「全くもってそんなことはない、むしろご褒美だ。」

 

「…ばーか。」

 

 そう言って元の状態に戻る、手を繋いだ状態に…

 

(これだって結構恥ずかしいの気が付いてるのかな、お兄。)

 

「あー、何だ、そのさ、帰ってから部屋に来てくれるか?」

 

「?? 何かあるの?」

 

「ああ、一つだけ、渡したいものがある。」

 

「?…わかった。」

 

「ありがとよ。」

 

 

 

 

 

「「ただいまー。」」

 

「…おかえり。」

 

「お爺ちゃんだけ?」

 

「…おい弾、蘭、ちょっとこっち来い。」

 

「…やっぱりか。」

 

「お兄?」

 

「何でもねえ、とりあえず行くぞ。」

 

「…うん。」

 

 

 

 

 

「おう、来たか。」

 

「いきなり呼び出して何だよ親父、母さん。」

 

「あら、弾はもう気が付いてるんでしょう?」

 

「まぁな。」

 

「え?何?どういう事?」

 

「ま、とっとと本題入っちまおうぜ。時間をかけすぎてもよくねえし。」

 

「じゃあ、聞かせてもらうけど…」

 

 蓮はすこし間を空けて言い放つ。

 

「で、二人共?お互いをどう思ってるのかしら?」

 

 二人の核心をついた一言を。

 

「…!?」

 

「まあ、蘭の言う通りあんな事してりゃバレないはずがなくてな。昨日も俺は問いただされた。」

 

 その一言で蘭はさっきの公園の出来事に全ての合点がいった。

 

「だからいきなりあんな事を…」

 

「まあ、もう俺の心の内は決まってるけどな。」

 

 その眼差しにもう、迷いはなかった。

 

「…なら、私も多分同じだよ。」

 

「…それを聞いて安心した。」

 

「ほぉ…なら聞かせてもらっても良いか?」

 

 

 

 

 

「俺は、今の蘭への思いを変える気はない!」

 

「私は、今のお兄への思いを変えはしない!」

 

 

 

 

 

「…そう。」

 

「だぁー、くそ、理解できなくないのが何よりあれだな。これを異常と思わない時点で俺も末期だな…」

 

「だから弾を産んだ時にやめておけば良かったのに…」

 

「だーってよー、娘が欲しいじゃん。何が悪いんだよー、蓮ー。」

 

「全部悪いです!私は止めようって言ったのに…あの時二人目を作ろうって、避妊具取ったのは()()()でしょう!?」

 

「…はい、すいませんでした。」

 

「「…え?」」

 

「…はぁ、お前らは全く…」

 

「どういう事だよ親父!!」

 

「そうだな。全部説明してやるよ。」

 

「はぁ、最悪の予感が見事に的中しちゃったわね…」

 

 

 

 

 

「じゃ、どこから聞きたいよ。」

 

「何で母さんが親父を()()()と呼んだのかから頼む。」

 

「何の不思議もない至極簡単な事だよ。俺は養子なのさ、食堂ってのはやっぱり厨房に入る奴が多く欲しいからな。多少負担が増えても男が欲しかったんだと。…それでも、俺らは当時は実の兄妹だと思ってたからな。お前のように苦悩したものだよ。」

 

「もしかして、俺らにそんなことは…」

 

「無いんだよなぁ…これが。」

 

「そう、二人共私がお腹を痛めて産んだ大事な子供よ。」

 

()()()()()の奴みたいにすぐにはできなかったけどな。長いこと子供が出来るようにっていろんな神社行ってたら、ようやく出来た子供だったからな…お前達は。」

 

「「織斑!?」」

 

 二人は驚愕する。()()は二人にとっても聞き馴染みがある名字だからだ。

 

「そ、織斑。兄は俺の同志で、妹は蓮の親友だった。」

 

「おいおい、なんだよそれ、織斑って、一夏となんか関係あんだろ。」

 

「おう、つか、あいつの親だよ。だから驚いたな。妹はいないと思ってたが、いつの間にか義妹が出来てたんだからな。柳韻の野郎、何考えてんだか。まあそれでも、あいつはいい奴だったよ。俺達の数少ない理解者だった。」

 

「一夏や千冬さんを捨てた人がか?」

 

「…そこ言われちまうとな…でも、確かにあいつは俺の同志だった。愛する妹は両方義理だったけど、当時の俺は実の兄妹だと思ってたから、ある種、一夏君とお前みたいなもんだったよ。」

 

「…どんな人だったんだよその人。」

 

「変人。」

 

 即答だった。

 

「義妹になんかあれば全てをかなぐり捨てて助けに行くような奴だったし、でもって努力家で人からも慕われてたけど、さっきも言った通り変人だったから妙な事ばかりしてた、そんな奴さ。」

 

「…妹さんの方は?」

 

「天才で、常識があって、優しくて物静かな子だったわ。でも、人と接する事と運動が全然出来なくてね。義兄にべったりだったわ。」

 

「織斑の奴…いや、千一(せんいち)冬夏(ふゆか)…あいつらは確かに俺らの親友だったし、子供が出来た時は、最高の親だった。ただ、一夏君がちょうど小学一年になるとき、あいつらは消えた。」

 

「何でそんな…」

 

「わからん。ただ冬夏の奴に何かあったらしい。俺達もそこまでしか聞かされてねえ。」

 

「私や陣にほとんど何も言わなかったからね…心配かけないために篠ノ之さんの所に預けて行ったし。」

 

「え?ちょっと待ってくれよ。あいつらは、箒さんの姉が頼んだから引き取られたって…」

 

「確かにそれもあるかもな、でもその前に千一の奴が頼みに行ったらしい。柳韻の奴から聞いた。」

 

「…この事は一夏に言っても良いのか?」

 

「…そうだな。お前に任せるよ。」

 

「わかった。」

 

「あと、お前がこれからどうしていくかをしっかり決めろ、良いな。」

 

「ああ。」

 

 

 

 

 

「…これから、か。」

 

 部屋に戻った弾は考える。

 

「高校、どうすっかな…」

 

 本人にとって最初に立ちはだかる壁は、高校についてだった。

 

「進学するか、ここを継ぐか。」

 

 自分にあり得る道を思い出し、しっかり考える。

 

「蘭といるなら、どっちが良いんだろうな…」

 

 

 

 

 

 コンコン

 

 ドアが叩かれる。

 

「き、来たよ、お兄。」

 

「おう、入ってくれ。」

 

「う、うん。」

 

 ガチャ。

 

「そ、それで何、お兄。」

 

「ああ、今日は一つ渡したいもんがあってさ。」

 

「もしかして、朝の寄り道って、それ?」

 

「おう、ちょっと座って待ってろ。」

 

「う、うん。」

 

 そう言うと弾は引き出しを開ける。

 

「ほら、これなんだが、受け取ってくれるか?」

 

 そこには、小さな箱があった。

 

「わぁ…綺麗な箱…ね、開けて良い?」

 

「おう、開けてくれ。」

 

「うんっ!」

 

 そう言って、開かれた箱には、一つ、指輪があった。

 

「ええ!?指輪!?これって…」

 

 銀色の輝きを放つ指輪、これがなの意味を持つのかなど、決まりきっていた。

 

「おう、今はまだ、こんな安物しか渡せないけど、いつか、ちゃんとした指輪を渡そうと思う。だから、その時まで待っててくれ。」

 

「うんっ!わかったお兄!でも、なんで私の指のサイズがわかったの、お兄。」

 

「一昨日、測らせてもらったぜ。触っただけだから確実性に欠けると思うけどな。」

 

「それでも嬉しいよお兄、ありがとう!大切にするね!」

 

「それならよかったぜ。」

 

 

(これが、最後の贈り物になるような事が無くて、良かった。)

ぼそりと弾が呟くが、その声は誰にも届かず消えていった。

 

 

 兄妹の誓いはここに立てられた。二人は進む、自らの思う道に。

 

 それが例え茨の道でも、進もうとする確固たる覚悟があった。




長すぎた今回。
7,000字オーバーですよさすがに長い。
織斑親のネタなんてぶち込むからこんな長くなったんだろ多分。
てか、話全体が増えそうで怖い。実は基本見切り発車でして(え)
アンケート結果はしばらく日常編を継続という事で。たまに伏線を張りながらやってこうと思いまする。
まあ今後もゆるりと続けていきます!感想お待ちしております!

追伸 2月7日 12時15分
次回予告忘れてたぁぁぁぁ!
取り急ぎ追加を。

「お?これって…」
義妹萌えのシスコンーーー篠ノ之一夏

「わぁ…懐かしいなぁ…この頃は楽しかった。」
義兄大好きブラコン妹ーーー篠ノ之箒

「…父さん…か。」
父を思い出す姉ーーー織斑千冬

「なあ一夏。一つ話しておきたい。」
一夏の心友ーーー五反田弾

それではー。
多分この前にバレンタインが入る気がしますがねw
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