はくのんと邪龍さんは、かなり不定期かと。
最初はいくらか早めに投稿するかもしれませんが。
目を覚ましたら、視線が高くなっていた。
いや、成長期でもなんでもなく、十数メートル高くなっているのだからただ事ではない。
と、そこで改めて自分の体を見てみると……体に鱗がついていた。
もうここまでくれば軽いパニックだ。ふと気が付けば、背中にも今まで感じていなかった感触があるし、動かして見ればバサバサと大きな音と風が起こる。
内心でとあることに気付きつつも、あまりに突飛なこと故、すぐには認めることは出来ない。
何か、鏡代わりになるものはないかと外に出ると、湖があった。これは幸いとヌゥと覗きこんでみると。
……真っ黒なドラゴンがこちらを覗いていた。
俺、ドラゴンさんになりました。
ともあれ、まず第一にすべきことは、人間になることだ。不幸中の幸いというべきか、俺の今の体には溢れんばかりのパワーがある。ゲームなどではよく龍人というものが登場するし、頑張れば何とかなると思う。
むー。
お腹に力を入れて見たが、そう簡単にはいかない。よく考えずとも、そりゃそうである。つい先程まで普通の人間だったのだ。
仕方がないので、このままのんびり空中散歩と洒落混もう。せっかく立派な翼があるのだから、使わなければもったいない。
ブワッと翼を広げて動かすと、大きな体が宙に浮く。あまり低い所を飛んでいると目立つので、ちょっと高めのところを飛んでいく。
空中散歩があまりに気持ちが良いので、ぼんやりと飛んでいるといつの間にか日が暮れそうになっていた。体力はまだまだあるが、夜にはしっかりと眠りたい。
どこか広い場所はないかと辺りの気配を探っていると、近くに自分と似た気配を感じた。もしかしたら同族かもしれない。
ここに来て初めての第一ドラゴン発見なるかと、少しワクワクしながらその気配の近くに着陸すると、いきなり火を噴かれました。ちょっと熱い。
『クロウ・クルワッハ!! ここを私ティアマトの領地と知って、何故来た!!』
…………その、クロウ・クルワッハって誰?
ティアマトと名乗った女性龍は、《O・HA・NA・SHI》したら、勘違いに気が付いてくれた。そこで話を聞くと、ティアマトさんは人間になれるというではないか。
早速見本を見せてもらうと、ティアマトさんは、蒼色の長髪が素敵なクール美人さんでした。
「そうじゃないわ。もっと魔力をめり込みなさい」
むむむ。そいや。
「あ、出来たな」
人間になれました。しかし、体が軽い軽い。人間になってもドラゴンのパワーは健在のようだ。
「出来たようね。なら、早く」
「そう言えば、ここはどこなんだ?」
特に何も考えずに飛んでいたので、今の居場所も不明である。
「ここは魔界の外れよ。普通なら来れない場所なのだけど、貴方に言っても仕方ないわね」
溜め息をつかれた。何故に?
ともかく、気になることが一点。
「ティアマトさん」
「何?」
「魔界って、何だ?」
「 」
こうして、あまりの無知さを心配したティアマトさんは、俺と一緒に着いてきてくれることになりました。
紆余曲折あって、今は魔界のある都市に来ている。もちろん、ティアマトさんも一緒だ。
長年(ドラゴン感覚)一緒に旅をするなか、ドラゴンのオーラを誤魔化す方法をお互いに身に付けた。
始めこそティアマトさんは面倒くさがっていたが、訪れた街で怯えられまくったので、二人で一生懸命練習した。
ともあれ、今はシトリー領に来ている。理由は簡単。シトリー領には温泉があるというのだ。つまり、それに附随して、美味しい料理もあるに違いない。
それを言ったら、ティアマトさんに呆れた顔をされたが悔いはない。
「予約していたクルワッハだが」
旅館のフロントに声をかける。因みに俺はクロウ・クルワッハ、ティアマトさんはティア・クルワッハの名前で予約をとっている。
が、職員の女性は何故かボーっとしていた。
「あの?」
「はっ!? 失礼いたしました。クルワッハ様ですね。ただいまお部屋にご案内します」
その女性は、すぐに気を取り戻すと、部屋に案内してくれた。案内された部屋は川に面した眺めの美しい部屋。部屋にも小さな露天風呂が併設されている、とてもいい部屋である。
「いい景色だな。露天風呂もあるが、これは夜にでも入ろうか」
「そうね。でも、この領でクルワッハの名前を出すとは思わなかったわ」
「どういうことだ?」
何か問題てもあるのだろうか?
「貴方はそのままでいいのよ。それより温泉に入りましょう。その為に来たのだし」
気になりはするが、ティアマトさんの言う通りだ。早速準備をして露天風呂に向かった。
冥界屈指の温泉と美味しい料理を堪能し、俺は部屋の露天風呂でお酒を飲んでいた。まさか日本酒を飲めるとは思わなかったが上手い。
「ティアマトさんも、もう一杯」
ティアマトさんも一緒である。美女と一緒に飲むお酒は絶品だ。
「いただくわ」
くいっと御猪口を傾ける姿もまた色っぽい。そんなティアマトさんを見ていると首を傾げられた。
「どうしたの?」
「む? いや、美女と飲む酒は上手いと思ってな」
「ふふ、それは何よりよ。そろそろ出ましょうか」
気付けば随分時間が経っていた。風呂から上がると、用意されていた布団に、一緒に入る。いつ頃からか、これが普通になってしまった。
「相変わらず、貴方は暖かいわね」
「そうなのか? 自分では分からないが……」
因みにティアマトさんはひんやりとしている。
「えぇ。まさか、私がこんな風になるだなんて思いもしなかったわ」
? よくわからないが、ティアマトさんは変わったらしい。
「ふむ、だが俺は今のティアマトさんのことは好きだぞ?」
「私もよ」
ここからは、大人の時間です。
気がつけばもう朝だ。もそりと身体を起こすと、窓辺でティアマトさんがお茶を飲んでいた。
見つめていたからか、ティアマトさんがこちらに気が付いた。
「あら、おはよう」
「おはようティアマトさん」
朝の挨拶は忘れない。親しき仲にも礼儀ありである。ティアマトさん越しに外を見ると、冥界特有の景色が広がっていた。まだ早朝のため、空気がとても心地よさそうだ。
「ティアマトさん。良ければ散歩に行かないか?」
「あら、いいわね。行きましょう」
散歩が決まったところで、用意してある浴衣に着替えて部屋を出る。
しかし、ティアマトさんの浴衣姿というのもよいものだ。
「なに? 何かおかしい所でもあった?」
ヒョイと浴衣の袖を持ち上げるティアマトさん。そんな彼女に、違うと首をふる。
「浴衣、よく似合っている。とても綺麗だ」
そう素直に言ったら、ティアマトさんが少し赤くなる。うん、可愛い。
「は、早く行くわよ! 全くもう……」
「ふふ、承知した」
こんな可愛い女性との散歩だ。思わず嬉しくなり、笑みを浮かべたのはしょうがないことである。
Another side 従業員
おはようございます。私はシトリー領にある温泉旅館の従業員です。
シトリー領でも有数の高級旅館に勤めていることは、私達従業員にとって誇りなのです。
そして、その名に恥じぬよう、気合いを入れ直すと、一組の宿泊客様が旅館に入ってくる。
旅館の顔である受付。元気よく、しかし気品を持たせた挨拶をする……はずが、出来なかった。
こんなことでは受付失格である。でも、今回ばかりはどうしようもなかったのだ。
そのお二人はまさしく芸術。どんな漆黒よりも深い黒でありつつ、一度目にしたら視線を離せなくなるほどに深い黒色。そして、蒼天というに相応しい、鋭利なまでに輝く青色。
私ごときの語彙力では言い表せない、それほどまでに二人は美しかったのだ。
「あの?」
そうこうしていたら、その男性、クロウ・クルワッハ様は、首を傾げていた。
「はっ!? 失礼いたしました。クルワッハ様ですね。ただいまお部屋にご案内します」
いくら衝撃的だと言っても、お客様を放っていてはいけない。慌てて気を取り直すと、お二人をお部屋に案内する。
案内を終え受付に戻ると、ドッと疲れがやったきた。そんな姿を同僚に見られた。
「どうしたの、そんなに疲れて」
「いや、あんなにラブラブな美形カップルは初めてで」
そう。クロウ・クルワッハ様とティア・クルワッハ様は、とてもラブラブだったのだ。ところ構わず抱きついたり、キスしたりするわけではない。だが、距離が異様に近く、クロウ・クルワッハ様に至っては日常会話をするかのようにティア・クルワッハ様のことを誉めるのだ。それに顔を赤らめるティア・クルワッハ様も反則なほど可愛らしく……ともかく、ご馳走さまです。
「何を訳の分からないことを」
「あなたも見ればわかるわよ」
お二人をご案内したからといって、仕事が終わりというわけではない。本音を言えば休みたかったが、そんなことは言ってられない。
私は旅館の顔。その顔が曇ってしまえば、お客様にご満足していただくことなんて、出来ないのだから。
因みに、翌日。早朝から受付にいた同僚は、昨日の私と同じようになっていた。
そういえば、本格的に勘違いものを書こうとするのは初めてかもしれません。
個人的に、クールかつマイペースな女の子を書くのがすきなので。
ティアマトさんは、うんと可愛くする予定です。
感想お待ちしています。