ティアマトさん可愛くなっていくよう頑張ります。
今日は日本に来ている。先日シトリー領の温泉に行ったら、急に日本が恋しくなったのだ。
飛行機で行くのも魅力的なのだが、パスポートを持っていないので、飛んできた。
「ここが日本なのね。魔王達が騒いでるから話には聞いていたけど、面白い匂いがするわね」
「それは醤油の匂いだろう。どれ、折角だから、蕎麦でも食べよう」
俺やティアマトさんの鼻は物凄くいい。クンクンと嗅ぎ取った醤油の匂いを辿ると、とても美味しそうな蕎麦屋があった。
店に入ると、流暢な英語で話しかけられたが、日本語を話せると告げると驚かれた。
ともあれ、メニューを渡されたので、料理を選ぶことにする。……天ぷらそばかな。
「ティアマトさんは何にするんだ?」
「と言われても、何がどんなものなのか分からないわよ」
「じゃあ、俺が選ぼう」
ということで、ティアマトさんには南蛮そばを頼んだ。ティアマトさん、お肉好きだし。
運ばれてきたそばを食べると、久しぶりの味に思わず笑みが零れる。ふと、顔をあげてみると、ティアマトさんがこちらを見つめていた。
「? どうかしたのか?」
「あなたそんなに嬉しそうにしているんですもの。少し驚いたわ」
「……あぁ、そうだな。こんなに美味しいものは久しぶりだったから。そうだ、ティアマトさんも食べてみるといい」
いくら俺と一緒に美味しい物を食べているティアマトさんと言えども、天ぷらを食べたことはないはずだ。
ティアマトさんの方に天ぷらが乗った器を差し出すと、何故かティアマトさんは溜め息をついた。
「む? これが気になっていたのではなかったのか?」
「違うわよ。でも、それでもいいわ。ねぇ、折角だから、食べさせてくれるかしら?」
ニヤニヤとしながらそんなことを言われた。まぁ、恥ずかしいけど、慣れているのでかまわない。
ティアマトさんに海老の天ぷらを食べさせてあげると、嬉しそうに食べてくれた。どうやら気に入ってくれたようだ。
「美味しいのね。初めてみたときは、変なことをするものだと思ったけど、こんなに美味しいのなら納得ね」
そんなこんなで、久しぶりの日本での食事を終えると、俺達は目的地へ向かう。
この日、日本に来た理由はとある場所へと赴くためだ。
駒王町。ここに気になる気配があったのである。
「ここに、あなたが気になるものがあるの?」
「あぁ。何かは分からないが、無性に気になるんだ。付き合わせてしまってすまない」
「いいわよ。貴方に着いていくって決めたのは私なんだから気にしないで」
そう言ってもらえるのは嬉しいが、甘えてばかりではいけないだろう。いつか必ずお礼をしなければ。
「それで、何か手がかりはあるの?」
「む、そうだな……この町は悪魔の気配が多い。その線から当たってみるのもいいかもしれないな」
ともなれば、早速探検である。久しぶりの日本。なので、とてもワクワクするのだ。
「随分楽しそうね」
「む、はしゃぎすぎてしまっか」
「たまにはいいんじゃないの? でも、いくら悪魔がいると言っても、普通の町だと思うのだけど」
「でも、とてもいい町だ。ここを治めている悪魔が優秀なのだろうな」
この町はとても穏やかだ。それでいて活気もある。
「少しここに落ち着いてもいいかもしれないな」
「そうしたら、私の方から話は通しておいてあげるわよ」
それは有難い。俺は流れ者だからそういったコネは持っていないのだ。
「む、ここだな」
歩いているうちに、気になる気配の元に到着した。駒王学園、どうやら学校らしい。
「しかし困ったな」
「何が?」
「学校であるならば、勝手には入れん。かといって、夜まで待っては中に人がいなくなる」
困ったのでウンウン唸っていると、学校から生徒達が出てきた。どうやら、下校時間らしい。
「仕方がない。その子が出てくるまで待っていようか」
「貴方がそれでいいのなら、構わないわよ」
ティアマトさんも同意してくれたので、話をしつつ待つことにした。
「たが、俺も何か武器が欲しいな」
「へ? どうしたの、突然」
「今までの戦いでは、力任せに格闘でやってきたが、人の世界で過ごすならば、武器の一つでも使えた方がいい気がしてな」
普段、はぐれ悪魔や荒っぽい異形の者と戦うときは、手足のみで戦っていた。それでも大体は何とかなるのだが、こう、武器を使いたいという欲求がある。
「何を言い出すかと思えば……。まぁ、それも込みで話を聞いてみたら?」
何のことだろうとティアマトさんの視線の先を追ってみると、蒼い髪の少女がこちらに向かってきていた。
「突然ですが、失礼いたします。何かこの駒王学園にご用でしょうか?」
そう言う少女の視線は鋭い。考えてみれば、関係者でもない者が校門の所にいれば無理もない。
何よりも、私の気になる気配と同じ、《悪魔》が来てくれたのならば都合がいい。
「大変失礼した。この学校からどこか懐かしい気配がしてね」
「懐かしい、ですか?」
少女が私の言葉に首を傾げる。その間に簡単な結界を張り、俺達の声が周りの子達に聞こえないようにする。
「この学校からは懐かしい悪魔の気配、それに幾つかドラゴンの気配がする。それに惹かれてきたのだ」
「なっ!? これは、遮音の結界!? いつの間に!」
少女は結界の存在に気が付くと身構える。とはいえ、こちらには何の敵意もないのだが。
「もう一度聞きます。何のご用でしょうか?」
「ふむ……そうだな。……今言った気配の主に会わせてもらえればそれでいいのだが」
私の答えに、少女はポカンとする。む、変なことを言っただろうか?
困ったなでティアマトさんを振り向くと、ティアマトさんは苦笑を浮かべながら話を引き継いでくれた。
「取りあえず、私達は何の危害も加える気はないから安心しなさい、レヴィアタンの妹」
レヴィアタン? レヴィアタンと言えば《魔法少女マジカル☆レヴィアたん》を思い出す。前に行ったシトリー領の旅館のテレビでやっていたが、中々に面白かった。その回はレヴィアたんVS伝説のドラゴンの回だったが、思わず見いってしまった。
「なぜそれを……」
そんなことを思い出している内に、妹さんとティアマトさんは盛り上がっている。
「隠すつもりはないのだけれど、こんな所で話す内容でもないわ。だから、内緒のお話が出来る部屋に連れて行ってほしいのだけれど。そうね、サーゼクス・ルシファーの妹達は除いて」
む? ティアマトさんがそういうことを言うのは珍しいな。何かあるのだろうか?
「まぁ、サーゼクスの妹には何もないんだけれどね。その下僕にはあまり会いたくないのよ。取りあえず今はね」
「俺としてはいいのだが。それで、案内して貰えないだろうか」
ティアマトさんはかなり挑発していたが、お願いしているのはこちらなのだ。だから、誠心誠意お願いしなければ。
妹さんは、暫く考え込むと頷いてくれた。
「……分かりました。ですが、名前くらいは教えていただきます」
おっといけない。名前も名乗っていなかったなんて、警戒されて当然だったな。
「申し遅れた。俺はクロウ・クルワッハ。今は人だが、ドラゴンだ。よろしく頼む、レヴィアタンの妹さん」
「は?」
「私はティアマトよ。気配は隠しているけどね」
「へ?」
妹はピシリと固まってしまった。おーい、妹さーん
次回はソーナ会長胃潰瘍フラグ。
リアスよりもソーナが好き。
九重はモフモフしたい。