大日本帝国は異世界にやって来ました~(見切り発車)   作:九六式雀

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大日本帝国生誕!

――とあるユグドラシルの名高いギルド。

 

 そのギルドはかのアインズ・ウール・ゴウンと一戦を交えてこてんぱんに叩きのめされて半壊状態(全壊一歩手前)に陥ったものの、なんとか建てなおすことが出来た唯一のギルド。←ココ重要

 

 つまり、あのえげつない報復を繰り返すことで有名な血も涙もないギルドから生き残ったことで有名なギルド。

 そのギルドは都市一個丸々で構成されており、その広さはユグドラシル有数である。そんなギルドの名、それは――

 

 

 

――大日本帝国(ver2.0)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――「目標!前方の謎の化物、撃ち方始め!」

 

 男の叫び声が響く。

 

 パパパパン!という乾いた音がなり、目の前の化物達がなぎ倒されていく。

 

 「総員着剣!突撃いいいいいいい!」

 

 「大日本帝国ばんざあああああああああい!」

 

 鉄帽をかぶり、古めかしい三八式歩兵銃を手に持った兵士たちが次々と、壕の中から飛び出て、化物たちの中に突撃してゆく。

 

 「撃て!撃てええ!」

 

 ポンという音がなり八九式重擲弾筒から次々と八九式榴弾が発射される。

 そして、着弾と同時にはじけ飛ぶ化物。

 

 そして、煙が晴れると同時に悪魔たちと兵士たちの白兵戦がはじまった。

 

 「うおおおお!」

 

 「ぎやあああ!」

 

 あちこちから叫び声が、悲鳴が聞こえてくる。

 

 「――全員伏せろおおお!」

 

 その時、上空から黒い物体――250キロ爆弾が降ってきた。

 ものすごい轟音とともに化物たちの姿は消し飛ぶ。

 

 「ちくしょう!司令部め、俺達がいるってこと忘れてんじゃねえのか!」

 

 「ぜ、前方!一つ、馬鹿でかい化物が突っ込んでくる!」

 

 「あれはやべえ!逃げるぞ!撤退だ、司令部に報告しろ!」

 

 「お、おい!またくるぞ!」

 

 上空を見渡せばそこには編隊を組みながら急降下爆撃を加えてくる九九式艦爆の群れがいる。

 ヒュウウウと音を立てながら降ってくる幾つもの250キロ爆弾。

 

 「うわあああああああ!」――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ここはどこかの宮城(きゅうじょう)と呼ばれるところの地下。

 

 「赤城航空隊から報告。」

 

 女性の声が聞こえる。

 

 「敵の首領と思われし化物を撃破。敵の指揮系統が乱れ始めたとのこと。」

 

 これも女性の声だ。

 

 「よろしい。まさか突然攻撃をされ、砲兵部隊が壊滅状態に陥るとは思っていなかったが、これならなんとかなりそうだな。」

 

 今度はいかついおっさんの声だ。

 

 「さて、至高の君よ。次の命令を。」

 

 至高の君?誰だそりゃ。そんな恥ずかしい名前で呼ばれている奴がいるのか。全く、そいつの顔を見てみたいものだ。

 

 「如何なされましたか。至高の君よ。」

 

 うわあ、こいつ俺に向かってこんなこと言ってる。しかも目がガチだ。オフザケはよそでやってくれよ。

 

 「…一兵足りとも生かして返すな。殲滅あるのみだ。」

 

 仕方ねえなあ。ちょっとぐらい付き合ってやるか。

 

 「はっ、かしこまりました。」

 

 目の前にいるおっさんと女性が敬礼をして部屋を出て行く。

 

 「…。」

 

 しばらく静寂の時が流れ、俺は座っていたやけに豪華な椅子から立ち上がった。

 

 「あああああああああああああああああ!」

 

 俺は突然叫び声を上げて地面に転がり込み暴れまわる。そして、突然ピタッと止まりボソッと呟いた。

 

 「どうしてこうなった…。」

 

 俺の心からの叫びだ。

 

 「なんで、ログアウト出来ないんだよ…。なんで突然化物が攻めて来るんだよ…。」

 

 俺こと橋本吉彦、プレイヤー名「うぐいす」は10年も長いことやってきたユグドラシルのプレイヤーである。そして、このギルド、大日本帝国(ver2.0)のギルド長だ。

 

 このギルドの特徴はなんといっても夢のあふれる昔の兵器を用いて戦うという完全な縛りプレイである。つまり1945年近辺の兵器に夢と浪漫を抱いている者たちで構成されているギルドだ。

 

 ちなみに俺以外の他のメンバーは100人位いたけど皆やめてった。何故なら他にもっと面白いシュミレーションゲームが出来たからだ。全く、薄情な奴らだ。いや、俺もそのゲームしてるけどさ…。最後ぐらい一緒にいようよ。

 

 っていうか、ユグドラシルは本日24:00:00をもって終了じゃなかったのかよ。ユグドラシル2ってわけそもなさそうだし…。いや、それよりもなんでNPCが勝手に動いてんの?なんで勝手に喋ってんの?たしか俺、設定しかしてなかっただろ!

 

 いやいや、待てよ。それよりも化物って何?突然攻めてきたから急いで地下に隠れたんだけどさ。もしかして不法侵入とかで怒っているとかかな?もう…俺には化物に関してはすごいトラウマがあんだよ…。

 

 「…アインズ・ウール・ゴウンか。懐かしいな。でもあいつらだけは嫌だな…。あいつらがのせいでどれだけ俺が苦労したことか…。」

 

 かつて、このギルドはアインズ・ウール・ゴウンの異業種共にボコボコにされたことがあるのだ。いや、だってさあいつら噂じゃPKするらしいじゃん。それもえげつないPK。だからさ、攻めたんだよ…一回、そう一回だけ。うん、今思い出してもあれは反則だわ。八階層の化物は桁違い。なんかズル使っただろ。

 

 畜生…。あの後のえげつない報復行為によって俺のレベルは11まで下がったのだ!レベル100まで後9だったというのに。結局未だに俺のレベルは14だ。いやだ…。もうあの骸骨筆頭とする異業種共の顔なんて見たくもない。

 

 「ああ、どうかあいつらじゃありませんように…。」

 

 あいつらじゃないことを俺は信じてもいない神に祈るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――俺が地面を転がりまわっている頃。

 

 「デミウルゴス様。緊急事態でございます。」

 

 純白の衣装にカラスの嘴を模した仮面を付けた道化師が目の前のスーツ姿の悪魔に話しかける。

 

 「うん?どうしたのかね、プルチネッラ。」

 

 スーツ姿の悪魔は思いの外やさしい口調だ。

 

 「はっ、私の部下たちが羊狩りをしていましたところ、その羊達のものと思われる都市を発見しました。」

 

 「それで?何か問題があったのかね?」

 

 「はい、私の部下たちわ、そのもの達にも幸せをもたらそうとしたのですが、その者達はあろうことか私達に攻撃を仕掛け、私の部下を皆殺してしまいました。おお、なんて私わ不幸なのでしょう!!」

 

 スーツ姿の悪魔が少し顔を歪める。

 

 「ふーむ、それは一大事だ。確か君の部下は中級悪魔だったかな?だが、中級悪魔とは言えこの世界ではかなりの実力を持つからね。このことはアインズ様に報告する必要があるね。」

 

 「おお!アインズ様にその存在を知れてもらえるとは、その者達わなんと幸せなのでしょう!!」

 

 道化師は大きく手を広げて大変うれしそうに声を上げた。

 

 「本当に君は優しいんだね。自分の部下が殺されたというのに。」

 

 悪魔が笑顔で道化師に尋ねる。

 

 「はい、私わ敵の幸せも味方の幸せも願っております。ですが、彼らわまだ不幸です。アインズ様のお役に立てないのですから。故に彼らにわ私達の羊達のように幸せになって貰わなければなりません。」

 

 「そうだ、確かに君の言う通りだ。じゃあ彼らのことは君に任せたよ。ああ、あまりにも被害が出るようだったらすぐに撤退するように。アインズ様直々のご下命のほうが我々にとっては重要だからね。」

 

 「おお、デミウルゴス様。彼らにも慈悲をお与えになるのですか。感謝いたします。」

 

 そういうと、悪魔は顎をクイッと動かす。道化師はその意味を察し、仮面の下で大きな笑みを浮かべながら悪魔のいる部屋を後にした。

 

 「…都市か。たしか、あの辺りをこの前偵察をした時はそのような報告はありませんでしたね。」

 

 悪魔は少し顔を傾け、何かを考え始めた。だが、その笑みはまさしく悪魔が浮かべる笑みそのものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――「うぐいす様。こちらが被害状況を記した報告書であります。」

 

 いかついおっさんこと立花久重(はちばなひさしげ)――俺のつくったNPCが俺の目の前に紙束を置く。

 

 「そして、こちらは今後の計画方針などの意見書です。すでに、海軍、陸軍共に戦闘準備は整っております。我々に手を出した奴らに目に物を見せてやりましょう。」

 

 立花の隣にはとんでもない美少女――誰だったかな?――が立っている。

 

 「…あっと、えーっと、ああ、ありがとう。下がってくれ。」

 

 「かしこまりました。」

 

 そう言うと二人はこちらに背を抜けて部屋を後にしようとする。

 

 「あっ、ちょっとまってくれ立花!」

 

 「はい?何でしょう?」

 

 そう言うといかつい立花は元いた場所まで歩いてくる。もう一人の美少女は「失礼します。」といって、部屋を出て行った。

 

 「何の御用でしょうか、うぐいす様。」

 

 相変わらず目がガチな立花がこっちを睨んでくる。こわい。

 

 「あのだな、その…あの人の名前なんだったっけ。」

 

 すると立花は何の迷いもなくズバッと答えた。

 

 「彼女の名前は生駒吉乃(いこまきつの)と申します。」

 

 良かった。ここで名前分かんなくて失望とかされたりしないで。そう言って俺がホッと胸をなでおろしていると、

 

 「お気に召しましたか?」

 

 「は?」

 

 え、ごめん、今なんて言った立花。

 

 「彼女は至高の君であらせられるうぐいす様をお守りする親衛隊の一人です。才能もあり、他のものと比べると親しい関係にもあります。后といたすのも問題は無いでしょう。」

 

 待て、話がぶっ飛び過ぎだ。なんだって?后?お前何考えてるんだ。

 

 「…立花。もう良い。下がって良いぞ。」

 

 「はっ、かしこまりました。」

 

 そう言うと立花は今度こそ部屋を後にした。

 

 「…はあ。立花は一体何を考えてんだ?后ってなんだよ。あいつにそういう設定した覚えはないんだけどなあ」

 

 とはいうものの今の俺がおかれている状況は少しづつ飲み込めてきた。まず、NPCが勝手に喋り出すのは別にプログラムされたからとかじゃない。恐らく、いや、確実にNPCたちは自分たちの意志だけで行動している。これから、あいつらの相手をせにゃならんのか…めんどくさいな。気分はもう完全にターンブルー(濃青色)だ。

 

 「…報告書に目だけでも通すか。」

 

 目の前におかれた紙束を手に取る。

 

 「なになに?まずは被害報告か…。戦死5名、負傷者は120名か…。敵は1000名近くだったそうだから奮闘したほうじゃないか。しかし、戦死者って蘇生できないのか?」

 

 ユグドラシルでは確か蘇生の魔法で生き返れたよな…。この世界でそれが通用するかどうかはわからんが。

 

 「他にも結構やられたな。南門の砲兵守備部隊が壊滅か。まあ、戦死者いないだけでもよしとするか。」

 

 武器の補充って可能なのかな。この都市にはそう言えば兵器の生産工場って設定の建物がいくつもあったな。あれは使えるのか?

 

 「…わからん事が多すぎる。どうしたら良いかわからん。…これは今後の方針に関する意見書か。」

 

 そう言うと俺は意見書を手に取りページを捲りだした。

 

 「ん?エネルギー問題?まじかよ石油はもって一年とか勘弁してほしいぜ。だからか、大臣共が他国に攻め入ろうって言ってんのは。別に他の国に石油があるとは限らんと思うが。」

 

 だが、これは非常に重要な問題だ。史実と同じ道なんて辿りたくない。

 

 「そもそも他国って何処のことだ。さっさと周辺地域に偵察するべきだな。」

 

 うん、方針はこれでひとまず決定。当面は情報収集に専念すること。

 

 「よし、これでよしっと。」

 

 意見書に自分の意見とサインを書く。

 

 「これ、立花に渡しといて。」

 

 部屋の扉の前に立っているメイドさんに渡す。

 

 「かしこまりました。」

 

 メイドさんはそう言うと意見書を手に取り部屋から出てった。

 

 「…そう言えば、俺まだ一回も外出たこと無いよな。ちょっと息抜きがてら外出てみるか。」

 

 うん、それがいい。俺今まで結構働き詰めだったし。

 

 

 




デミさん達の悪者臭、半端ねえ。



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