途中で飽きたのでボツです。
ハイスクールD×Dでオリ主
神父様。転生してしまったら、どうすればいいのでしょうか?
―…病院に行くことを、お勧めします。
ま、待ってください。しかも、俺、英雄ランスロットの魂を受け継いでるとか何とか!
―シスター。包帯を持ってきてあげなさい。彼の頭に。
―はい、神父。
春の風が涼しく、心地いい気温。
最近のちびっ子達は公園よりも家でゲームでもしてるほうが楽しいのか、もしくは夕方だから早々に帰宅してしまっているのか、この公園には人っ子一人も居ない。お蔭で俺はベンチを独り占めできてる。
「……あつい」
春とは言えここまでグルグルと頭に包帯を巻かれると非常に暑苦しい。ついでにフサフサでウェーブのかかった肩まである黒髪も暑苦しいうえ鬱陶しい。
どうやって登ってきたのか、捲り上げたワイシャツから出た腕を必死に登ってくる蟻をぼぅっと見詰める。そうして下を見ていると、ロックミュージシャンのズボンの如く破けたボロジーパンと穴の開いた靴が視界に入った。
「…はぁ」
身長191cmの筋肉質な男がベンチに座ってため息をつく姿はさぞ滑稽だろう。だが俺は、ため息をつかざる終えない状況なのだ。
先ほど綺麗なシスターさんに哀れんだ目で見られながら包帯を巻かれたとおり、俺は転生者だ。しかし、前世は別に円卓の騎士ランスロットの人生を歩んだわけではないはず。普通の、何処にでもいる中学2年生だった。
別に中2だからと言って、厨2病と言われる病は患っていなかったし、強いて変ってた事を挙げれば剣道部に所属していた程度の本当に普通の男子生徒、だった筈が、何時の間にかカワイイ捨て子のベイヴィになってフランスに生まれていた。
もうこの時点で可笑しいが、育ての親も可笑しい人? だった。
湖の精霊、もとい水の妖精ヴィヴィアンを名乗るクソマッチョな格闘家風なストリートファイターだったのだ。
…赤子の頃の思い出は、本気で思い出したくも無い。
マッチョの元で厳しい修行の日々を送りながら12歳になったある日。マッチョから旅に出ろと言われ、さらに”ぬしの剣と鎧ぞ。受けとれぃ!!”とアロンダイトと真っ黒の鎧を貰い、初めて暮らしていた湖から外の世界に旅立った俺は、生まれて初めての町を見て愕然とした。
何故なら、俺の前世と時代がほぼ一緒、寧ろ未来だったのだ。それまで中世ヨーロッパだとばかりに思っていた俺にとっては不意打ちすぎた。
そんな中、現代社会に突如として現れた全身鎧と兜、伝説の剣で装備を固めた怪しいすぎる不審者。名はどこぞの英雄と同じランスロット。
直ぐにポリ公との鬼ごっこが始まり、全員気絶させて湖へとその勢いのままUターン。湖のマッチョに怒りの鉄拳をお見舞いするつもりだった。しかし、その場にあったのは俺宛の手紙とキャッシュカードとパスポート。
…湖のマッチョは、俺の育ての親は消えていたのだ。
「…リア充、爆発しろ」
初々しいカップルが噴水に向かって歩いていく。女の方はともかく、男はデートに慣れていないのか、いかにも”DTです。俺! 舞い上がってます!”といった雰囲気だ。
というか、女の方は堕天使だった。堕天使とか見つかると面倒なので全身の気を隠蔽し気配を消す。
「…異種間交際かよ、爆発しろ。羽生えた子が可愛いと? そうだな爆発しろ」
落ち込んでる時にリア充を見てしまったせいで、ついつい口から呪詛が出てくる。
マッチョが消えて5年。色々あった。
俺と同じ英雄の魂もってまーす、な集団に誘われ、悪魔やら天使やら堕天使やらと殺しあってみたり、サイキョーのドラゴンを名乗る幼女と会話したり、仲間だと思ってた奴らから「ランスロットってあれだろ? 裏切りモンだろ? じゃあこいつ裏切るんじゃねーか?」 などと言われたり、女性からは「寝取った騎士でしょ? ちょっと近寄らないで」と言われ、ランスロット菌バーリヤなる物が誕生し、どう考えても強すぎな化け物相手に独り戦って来いとか、自分だけ回復アイテムのフェニックスの涙をくれなかったり、もう死んで来いということだろコレみたいな任務を沢山させられ、職場のいじめとブラック企業も真っ青な仕事内容についに耐え切れなくなった俺は、組織を抜けて独り前世の故郷である日本に帰還したのである。
そんな俺の前を通りやがるリア充。俺がランスロットの呪いによってボッチな上に男のストーカーに追いかけ回されてるってのに楽しそうにへらへらしやがって。爆発しろ。
「ねえ、イッセー君。私達の記念すべき初デートって事で、私のお願いを聞いてくれないかしら?」
「ななな、何かな、お、おおお願いって!」
噴水を背に、夕日を浴びながら男にいう少女。
男の方テンパリすぎだろ。というか、アレってキスか。俺の目の前でキスする気か…!?
今日もストーカー男に襲われてボロボロに成った上に、教会で懺悔しても中二乙と言われた俺に対する当て付けなのか…?
…そうか、そうか。
揺らぐ俺の背後の空間。そこから現れるのは、俺の感情に呼応するように黒い霧を纏った禍々しい鎧。
…俺の目の前でリア充などさせぬ…!!!
俺の激情に合わせて瞬時にバラバラとなり俺の体に装着されていく鎧。リア充への憎しみを具現化した沸き立つ黒い霧によって俺の正体は決して発覚されない。
そして、天空より回転しながら落下し俺の目の前に刺さる伝説の剣、アロンダイト。何時もなら、見るもの全てのの心を奪うような清廉な、研ぎ澄まされた美しい輝きを放つアロンダイトも、今日ばかりは魔剣の様に暗黒オーラを発している。
「…な、な何者よ?!」
「へ、変質者?! 夕麻ちゃん、下がって!!」
兜の隙間から見える憎きリア充共。男の方は女を守ろうと震えながらも前に立ち、女はそんな男の後ろで本性を表し、黒い翼をその背から生やしている。だが、俺から立ち上る暗黒オーラの前に、堕天使は恐怖のあまり上手く立つ事が出来ないのか、男の袖を引っ張りながら小さく震えていた。
…く、ククク、ははははは…み、見せ付けてくれるじゃないか…!
俺なんか、ちょっと肩が当たった位で「妊娠しちゃうわ、近寄らないで」と言われたことだってあるのに!! 何が聖女ジャンヌだよ、あのクソ女!!
「…■■■■!! riajuusinee■ee■e■e■■eeee■■■!!!!!」
「! っうわあああ!!!」
「!? っきゃあああああ!!」
叫び。全ての非モテ男達の魂が、俺の喉を介してこの世界へと発せられた。
その非リア充達の叫びは兜を震わせ、公園のアスファルトを吹き飛ばし、ベンチを跳ね除け、木々を越え、この町全ての人間達に伝わった。
「……riajuuu……!!」
「…う、ぅうう」
「…ひっ! い、いやぁ、た、助けて…!!」
俺の、俺たちの咆哮によって吹き飛ばされ、尻餅をついたリア充共。
男はなかなか漢気があるのか、尻餅をついたままの堕天使を守ろうと涙に顔を濡らしながらも両手を広げて俺の前に立ちふさがる。堕天使の方は俺の気に当てられたせいか、尻餅をついたままイヤイヤと涙を流しながら首ふり続けていた。
「……」
…俺、何やってるんだろうな。マジで。
カップルに勝手に嫉妬して、デート、しかも聞いた話だと初デートを最悪の思い出に。あろう事かアロンダイトまで取り出して脅しつける始末。
ここまで最低な奴が、この世にいるのだろうか。
そうだ、確かに俺は英雄ランスロットじゃない。…ただの、ただのクズだ。
「…■■■■■■■■!!!!」
俺は、夕日に向かって全力疾走した。
兜の中が、やけに水っぽくて、しょっぱかった。
◇
「た、助かったのか…」
黒い化け物の居なくなった公園で、兵藤一誠は緊張から解放された反動で膝から崩れ落ちた。
あの正体不明の黒い化け物から発せられた殺気は、只目の前で居るだけで自分の死を何度も想像させられるほど強力で恐ろしいものだった。戦闘経験も無く、殺気など感じたことも無い一誠ですら正体不明の威圧感を感じ取らせ死を想像させられるほど。
濃厚な死の気配。それを直に浴びた一誠は、今だ体の震えが止まらない。けれど、その一誠よりも天野夕麻の偽名を名乗った堕天使レイナーレの方が危険な状態であった。
「……あ、…あ、…は、う」
「?! 夕麻ちゃん!!」
戦う力を持っていたばかりに、ランスロットの持っていた強大な力を前に呼吸困難に陥るほど恐怖していた。
目の焦点も合わず只震えるレイナーレの姿に、レイナーレが黒い翼を生やしている事すら気にする余裕が無いほど一誠は焦る。
必死にレイナーレを呼びかけ、その体を抱きしめて背中を摩る。そこには邪な感情など一切なく、レイナーレを想う愛情が確かにあった。
「夕麻ちゃん! 確りするんだ! 落ち着いて、もう居ない、もう居ないよ!」
「…う、あ、…イッセー君…?」
「夕麻ちゃん!!」
一誠の必死の呼びかけによって、レイナーレの瞳に正気が戻る。
レイナーレの視界には、涙を流しながらも自分を想い抱きしめる一誠が写っていた。一般人の弱弱しい人間が、恐怖しながらも自分を守ろうとした背中が、その真剣な瞳が、レイナーレの心を震わせる。
見詰め合う2人。
此処に、漆黒の嫉妬男によって、本来の世界ではあり得なかった愛が誕生しようとしていた。
「失礼。大丈夫ですか?」
「おわっ!」「きゃ!」
そんな2人に声をかける輝く金髪を持つ男性。服装はカジュアルなスーツではあったが、所々破けてしまっていた。
本来であればレイナーレの張った人払いによって、この公園には一般人は入れない。が、レイナーレは男への警戒よりも、自分の今の醜態を思い出して、一誠の胸に蹲るように顔を隠した。そして一誠に抱きつくと言う自らの行動の可笑しさに気付き抜け出そうとするが、一誠がきつく抱きとめているため抜け出せず、さらに赤面すると言う悪循環に陥っていた。
一誠も一誠で、声をかけてきた男性が美形であったため悪態をつきそうになるも、レイナーレが抱きついてきた事で機嫌は鰻登りだった。
「…大丈夫そうですね」
そんな2人を見て、ため息をつきつつも胸を撫で下ろす男性。
ボロボロな服装ながらも、清廉なその姿は一誠とレイナーレに騎士の姿を連想させる。
そう、まさに完璧な騎士のすがた…
「失礼、大変なところに申し訳ないのですが、此処に黒いゴキブリのような鎧の男が現れませんでしたか? もしくは、うざったくもワカメのような黒髪を伸ばした死んだ魚のような目をしたまるでダメな男が居ませんでしたか?」
「っ!」
「ひっ!」
と思ったが、そうでもなかった。
静かな言葉ながらも、怒りを露にして震えつつ喋る金髪の男は、地獄の悪鬼のような表情をしていた。その怒りは対象ではない一誠とレイナーレにも恐怖を覚えさせるほど。2人はこの金髪の男性が、先ほどの黒い鎧と同類と瞬時にわかった。
金髪の男の怒りが此方に向かないように必死に祈りつつも、恐怖に震えながらランスロットの走り去った方角を指差す2人。
「なるほど、ありがとうございます。お2人とも、あの男を見かても決して近づいてはいけませんよ。では」
2人の返答によって高潔な騎士へと戻った男は、教えられた方角へと走り去った。
その速度は人間どころか、堕天使であるレイナーレにも捉えることが出来ないほど。
「あ、夕麻ちゃん、大丈夫?」
「え、うん。大丈夫」
消え去った男に呆然とするも、お互いの状況を思い出して赤面する。
初々しいカップルのような雰囲気が2人を包むも、またしても邪魔をするように大きな金属音が響いた。
「いい加減にしろガウェイン!! しつこいぞ!!」
「黙れ!! 私は貴様に打ち勝つまで追い続ける!!」
「俺が貴様に何をした?!!」
「ふざけるな!! 覚えていないなど!! 第一今の貴様はなんだ!! 騎士でありながら貴様という奴は!!」
「誰が騎士だ!! 俺はそんな物になった覚えは無い!!」
「!! その性根、叩きなおしてやる!!! ガラティーン!!!」
「っ! こんなところで、アロンダイトよ!!」
大砲が発射されたかのような大気を揺るがす振動と罵り合う声に振り向けば、空を飛ぶ半ばから切られた幾つもの木が2人の視界に映った。
さらには、まるで地上に太陽が出現したかのような強大な炎が出現し、次いで湖を思わせるような深い碧がその炎を切り裂く。2つの力はをぶつかり合い、周囲を吹き飛ばしながら天へと向かっていく。
「ゆ、夕麻ちゃん、逃げるぞ!!」
「きゃ! い、一誠君…?!」
一誠はレイナーレをお姫様抱っこで抱き上げ、荒れ果てる公園を後にした。
◇
神父様、男のストーカーに追われているのです。どうすればいいのでしょうか?
―主は言っています。尻を差し出せと。
嘘付け! どんな神だよ!? ここカトリックじゃん! 寧ろ同性愛とかNGでしょ! 助けてよ!!
―もう面倒くさいんですよ、あなた。シスター、換えの包帯を。彼の頭に。あと尻に。
―神父、セクハラです。
「畜生、あの似非騎士め…!」
リア充たちの邪魔をしてしまった罰なのか、本日2度目のストーカー騎士ガウェインの襲撃をうけてしまった。一応あいつも人の居ないところを選ぶ気遣いはあるのだが、その気遣いを俺に向けろというに。
ボロボロの服がさらにボロになり、ワイシャツなんて肩から袖が消滅。ジーパンも右の膝から消滅。何処のロックミュージシャンだよコレ。
頭と火傷に包帯。あのシスターさんに巻いて貰ったのだが、何故か彼女の手が触れるたびに言い知れない喜びと罪悪感を感じた。これが、…恋?
「…はぁ」
とりあえず、新しい服を買うか、と歩き始める。
警察署の前を通る際、掲示板には指名手配にされている見覚えのある黒い鎧と白い鎧。国際手配だ。
「…はぁ」
あのガウェインのせいで、すっかり俺は指名手配になってしまった。
正当防衛しかしていないと言うのに、全く。
「……はぁ」
若いお姉さんに誘われて、ビルの隙間に消えていくサラリーマンのオッサン。
今日もまた嫌なものを見てしまった。
この世界。只の中坊だった時には気付かなかったが、夜の街を出歩くのは実は危険行為である。
この地上は人間が制し、統べているかのように見えるが実際は違う。冥界とか天界とか、自分の世界を持ってるくせに欲深く人間にちょっかいをかけてくる人外たち。そんな連中に人間社会は支配されているのだ。
例えば企業。上の方には必ず堕天使、悪魔、天使、もしくはそれに連なるものが席を置いている。政治の世界も似たようなものだ。
だから、普通の人は人外の存在なんて知るべきではない。気付いてしまうと、自分達人間が本当に空しくなってしまう。何故なら彼らは、人間に出来ない事を一瞬でやってしまう。俺たち人間が短い一生を全部使いきっても出来ない事を何でも無いことのように出来てしまう。当然の様に人間を支配できてしまう。
そう。俺たち人間は、彼らにとって下等な食い物でしかないのだ。
「おい」
ビルの隙間に入れば、本性(獣のような四足の足を持った下半身に上半身は美女というギャップ萌? 属性の悪魔だ)を表し、腰の抜けたオッサンを食べようとしていた悪魔。
この光景が、この世界の本当の姿。
「た、た助けてくれ!!」
「ほう、自分から食われに来たのか?」
弱肉強食。俺たち人間と、人外たちの関係。どんなに言いつくろうとも、本質はコレだ。
曹操がどうしてあそこまで人外達との戦いに拘るのか、それはこんな光景をいくつも見てきたせいだろうな。
曹操たちと関わっているうち、こんな光景は何度も見てきた。超常の存在たちに蹂躙される弱い人間達。昨日笑いあってた人が物言わぬ肉塊に変る姿。
あいつらが人外たちに特に厳しかったのは仕方の無い事だろう。
「肉~!!! …? 何故近づけない? 足が動いてない? あれ?」
飛びかかろうとする悪魔を、気を込めた手刀で上半身と下半身を2分割、頭から股下まで2分割にする。
あまりの切れ味に、何も無いかの様にくっ付いたままの悪魔の体。だが、やがて重力にまけ少しずつ切れ目に沿ってずれていく。
「ひ、あああああ!!」
悪魔の真下にいたオッサンは、4分割された悪魔の血で全身ずぶ濡れにされる。オッサンは叫び声を挙げて気絶してしまった。
可哀想に、ちょっと綺麗なお姉さんについていったばかりに目の前でグロ動画視聴なんていう恐怖体験を…。お、俺は悪くねえ!
曹操達は、すべての人外たちを今俺がやったように倒したいのだろう。
だが、俺は協力しない。
こいつの様に人間を餌にして笑う奴を斬るのに躊躇いは無い。だが、曹操達は人外であれば何でも殺す。ただ、それが何となく気に入らない。それが、組織を抜けた最大の理由だ。
べ、別に苛められただけが、組織を抜けた理由じゃないんだからね!
「そして、今は根無し草…カッコ良く言えば旅人」
組織を抜けた俺は、ガウェインの襲撃を恐れて一箇所に留まる事は出来ない。さらに、ガウェインの言うように誰かに仕えて騎士の真似事なんて、ランスロットの名で信用されず出来はしない。
今の俺の望みは、マッチョとの再会くらいだ。
あのマッチョだけは、ランスロットだとしても俺個人を信じてくれた。それに、あのマッチョは俺の転生の理由を知っている気がする。
あの湖にはアレから何度も帰った。しかし、俺の前のマッチョが現れることなんて一回も無かった。もういっそ、アロンダイトを湖に投げ捨ててみるか?
そう考えて歩き出した、俺の前に現れる人影。というか悪魔影?
「ようやく見つけたわ」
紅い髪の女。そして、その女を庇うように立つ剣を構える金髪の男と巫女服を来た黒髪の女、そして銀髪の小さい子供。
感じ取れる魔力の量は大した事は無い。アロンダイトを出さなくても問題ない相手だ。しかし、俺の後ろには、まだオッサンが倒れている。見捨てるわけにも行かず、オッサンを背に戦わないといけないだろう。
「…何か用か?」
「ええ。冥界でも人間界でも指名手配犯のランスロットさん、もしくはガウェインさん? どちらにせよ、昼間暴れていたのは貴方ね」
言いながらも、魔力を高まらせる紅髪の女。
戦う気なのか? コレだけの魔力で?
そんな時、上の方から見知った気を感じ取る。ビルから出ている看板の上に立ち、何故か感動した様子のストーカーだった。
「ランスロット、ようやく騎士の心を…!! 助太刀するぞ!」
「結構です」
看板の上から俺の横に飛び降りるストーカー。もといガウェイン。
こいつ、俺がちょっとでも気を出すと直ぐ現れるんですけど。正直恐怖を覚えるレベルなんだけど。
いきなり全開で体中に力をめぐらせ、悪魔達を威圧するガウェイン。手には既にガラティーンを装備。
太陽は出てねーぞ。何でこいつこんな元気いっぱいなの? 何でこんな嬉しそうなの? 馬鹿なの? 死ぬの?
「さあ、行くぞ悪魔達よ。円卓の騎士の力、見せてやろう」
「待たんかい」
いきなり斬りかかろうとするガウェインを手で制す。
ガウェインは凄まじいまでに不満そうな顔で俺の方を見てくるが、もういい加減に指名手配のポスターが大きくなるのを見たくないんだよ俺は。
ガウェインの奴はまだ良い。俺以外との戦闘の時は被害を最小限に相手を倒す。けれど、悪魔等の人外たちは違う。こいつらは周囲に被害を出したほうが凄いんだぞと言わんばかりに広範囲攻撃を仕掛けてくるからな。
オッサン死亡→ビル倒壊→俺達のやったことに→犯罪→ポスター強化→本格的逮捕の危機
ここはなるべく穏便に済ませたほうが良いに決まってる。
「用があって来たんだろう? 何の用で来た?」
「ランスロット!」
「…被害を大きくするわけにはいかんだろ。こんな街中だぞ」
咎めてくるガウェインに小声で言えば、ようやく大人しくなる。だが、体から発する敵意は消えていない。
かく言う俺も、幼い悪魔ならともかく、こいつらのような大人の悪魔には敵意を隠せそうに無い。俺もガウェインも、碌な悪魔を見てこなかったからな。
「…本当は、貴方達を捕らえるつもりだったけど、それは叶いそうに無いわね…」
「……」
「1つだけ聞かせて頂戴。兵藤一誠君、彼を攫ったのは貴方達?」
誰だそれは。
兵藤一誠。全く聞き覚えの無い名前だった。
ガウェインに目だけで視線を向ければガウェインも知らないようで困惑していた。
「…私の学園の生徒で、あの夕方、貴方達が暴れた公園に居た事だけは解っているのよ」
「「!」」
あの時のリア充! あの異種間カップルの片割れか。
…もしや、あの時ガウェインのガラティーンを相殺するために放ったアロンダイトの余波で…?
あれ、もしかして、あれ?
「お、おいガウェイン」
「い、いや、彼らの居た周囲には被害がいかないよう苦心して戦っていた」
「ならガラティーンなんて使うなよ」
「いや、ランスロット。お前がアロンダイトで相殺した筈だ! 周囲に被害は…」
「すみません、いいですか?」
黒髪の巫女服姿の女が俺達を止める。
「彼ら、とは彼は誰かと一緒に居たのですか?」
「堕天使の女性と異種間交際をしていたな」
「なるほど、彼らがおびえていた理由はランスロットが嫉妬に狂って襲い掛かったからか」
「違うから、別にリア充氏ねとか思ってないから。寧ろ祝福の咆哮を挙げただけだから」
「私にはリア充死ねと確かに聞こえたぞ」
ガウェインの言葉に悪魔の連中も手を挙げて私も僕もと同意する。斬り殺すぞお前ら。
しかし、コレで俺が犯人では無いと解った。彼らはカップルなどではなかった。
「なるほど、連れ去ったのはあの堕天使か」
「ご両親に挨拶に言ったのでは無いか?」
ガウェイン…。なに言ってるんだこいつ。頭は大丈夫なんだろうか?
「彼と彼女はそんなに浅い仲のようには見えなかった」
「確かに、俺の殺気をあてられても守ろうと必死になっていたな」
「!? ランスロット! またお前は騎士にあるまじき行動を!」
「…朝からお前に追い掛け回されて気が滅入ってたんだよ」
またお説教モードだよ。ほんとメンドイ奴だ。
「…わかったわ。堕天使、好き勝手やってくれるわね…。…貴方達!」
紅髪の女が俺達に向かって言う。
背筋を伸ばして、力の差に怯えながらも俺達を真っ直ぐ見据える姿は、いつか、何処かで見た王のようだった。
「もしこの街で好き勝手するようなら、私達は容赦しないわ。たとえ、敵わなくても貴方達を止めてみせる」
「それは此方の台詞だ、悪魔。貴様が悪行をすれば、私達の剣が貴様達を切り裂く」
どちらも血気盛んなようで、お互いに睨みあう2人。
ガウェインは本当に熱くなりやすい。だが、
「夕方の事を考えればどう考えても悪いのは俺達だがな」
「ランスロット!! 茶々を入れるな!」
どうせ続かないしバラしてもいい
どうでもいいオリキャラ設定集
・ランスロット
主人公。湖の妖精に育てられた。見た目とか武器はまんまFateのランスロット。別に掴んだものを宝具にする能力なんて持ち合わせていないが戦闘能力は人外。
直接的な戦闘能力は英雄派の中で最強だったが、裏切りの騎士ランスロットの魂を受け継いでいるため信用されず、何時死んでも可笑しくないような任務ばかり与えられていた。
実は本当にランスロットの魂を受け継ぐ人間。
湖の妖精が拾った時、赤子の状態でランスロットの記憶を思い出してしまい拒食症になってしまった。そのため湖の妖精が別の人間の記憶を埋め込み、ランスロットの記憶を封印した。実は自分の前世だと思っている当時中学生の男性が日本で普通に暮らしている。
ランスロットの後悔の想いは今も受け継がれていて、ギネヴィアの魂を持つシスターに触れられると死にそうに成るほどの幸福と罪の意識が体を苛む。お互いの正体を知ったら二人とも罪の意識で発狂するかも知れない。
また、ガウェインの魂を持つ男に追い掛け回されており、そのたびに退けているが周りの被害が甚大のため黒い鎧の犯罪者として有名。ちなみにガウェインもFateのアレとほぼ同じ。お昼と夕方に3倍の凄く迷惑な奴。
湖の妖精の加護で水の上を歩ける。アロンダイトに気を送ってビームを撃てる。跳んできたライフルの弾丸を素手で掴める。纏ってる気で体に剣が刺さらない。見ただけで悪魔が泡を吹いて気絶。料理、洗濯、裁縫、土木工事、日曜大工、騎馬、車、バイク、バスの運転など等いろんなことが出来る。
・シスター(ギネヴィア)
冒頭でランスロットの頭に包帯を巻いてくれた金髪美人の女性。
前世の記憶は無いが、後悔のせいで既に出家状態。
ランスロットの事をただの中二病と思っているため、お互いの正体を知らない。お互いのためにそのまま思い出さないほうが幸せ。
・湖の妖精(ヴィヴィアン)
ランスロットを育てた張本人。前世のランスロットも彼女が育てた。
前世のランスロットが後悔にまみれた最後だったため、今回のランスロットには幸せになって欲しいと願っている。
昔は別にマッチョではなく細身の美しい女性だったが、近年の水の精霊達の縄張り争いのせいで鍛えられ、ついに最強の湖の妖精になった。
・男のストーカー(ガウェイン)
ランスロットにとって、恐ろしいまでに迷惑な奴。
前世の記憶を完全に持っており、ランスロット卿の裏切りを許せず国を滅ぼす一因になってしまったことから、今度こそ王に全てを捧げるという想いを持っている。
が、ランスロットがのほほんと目の前に現れたことで前世の怒りが復活。ストーカーの如くランスロットを追い回す。ランスロットが禍の団(カオス・ブリゲード) に入ったら自らも入り、ランスロットが抜けたら自らも抜けた。
Fateのガウェインと見た目も能力もほぼ同じ。違いは性格くらい。3倍能力の時間帯にランスロットを襲撃するが、そのたびに退けられている。ノーマル状態で禁手化したジークに勝てるなど、戦闘能力は高いがランスロットが異常に強すぎるだけ。
ランスロットと同じく、白い鎧の犯罪者として有名。お互い兜まで被って戦うため、顔バレまではしていない。
太陽の聖剣、ガラティーンを持ってる。