なんとなく書いた続かない話   作:イマーZ

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何か、また続きました。
相変わらずノリと勢いだけで書かれております。


ランスロット3

「アイタタ…。…ランスロット、見てなさいよ…いつか絶対に借りは返すんだから…」

 

駒王学園にある旧校舎の一室。オカルト研究部のソファーに座りつつ、リアス・グレモリーはにっくき怨敵への呪詛を呟く。

ランスロットによって乗っていたパトカーを転倒させられたのだ。大きな怪我は無かったものの腰を強く打ち据えてしまったために、リアスは腰痛に悩まされていた。

そんな自らの主を見て、他のオカルト研究部員達もランスロットへの敵意を隠せずにいた。

 

「お嬢様、ランスロットより此方の物品が届いております」

「な、何ですって!?」

 

魔法陣より現れえたメイド服姿の銀髪の悪魔、グレイフィア。グレモリー家に使えるメイドにして、女性悪魔最強の座を魔王レヴィアタンと争うほどの強力な悪魔である。

そのグレイフィアの手には見覚えのある黒い兜と白い兜、その間に自分の尾を噛む蛇の絵が描かれたDVDケースがあった。下の方にプロが書いたかのように達筆な文字で”見てね!”と書いてあるくせに、絵はまるで幼稚園児がクレヨンで描いたかのごとく稚拙に描かれており、見る者は馬鹿にされている気分になる。もちろん、これを見たオカルト研究部員全員が苛立ちを覚えた。

 

「ご覧になられますか?」

「…見るわ。少しでもあの連中の鼻を明かせる何かが欲しいもの…」

 

リアスの返答を聞いて、すぐさまDVDプレイヤーを用意するグレイフィア。

3分もしないうちに映し出された映像に、オカルト研究部、最大の敵の姿が現れた。

甲冑姿ではなく、カジュアルなスーツを着込んだガウェイン。何時にも増して輝くような金髪が、その自信に満ちた姿が眩しい。そんなガウェインとは対照的に暗い印象を受けるスーツ姿のランスロット。ウェーブのかかった黒髪と死んだ魚のような目から相まって、現代社会に疲れたサラリーマンのようだ。

そして、その間にいる黒髪のゴスロリドレスに身を包んだ少女。この少女の正体をオカルト研究部の面々は知らず、何故危険人物たちと一緒にいるのか? 誘拐されたのか? と不安を抱く。

画面の右隅のほうには兵藤一誠を誑かした悪魔の敵、堕天使のレイナーレが縮こまりながら映っていた。此方は本当に誘拐された被害者のような様子だ。敵であるというのにリアスたちが同情したくなってしまうほど、レイナーレはランスロットの様子をチラチラと伺いながら怯えていた。

 

『自己紹介しよう。我らは円卓の騎士団!』

『いや、秘密結社ウロボロスにしようって言っただろ』

『ランスロット、やはり私は反対だ。悪の組織の様では無いか。せめて騎士団をつけよう』

『もう決定しただろ。あっ! 一誠、ここカットで頼む』

 

いきなりグダグダだった。しかもカットされていない。

1分ほど言い合うガウェインとランスロット。やがて決定したのか正面を向き合う2人。

心底どうでも良い言争いを見せられた。

 

『さて、気を取り直して…。我らは、ウロボロス騎士団!』

『俺は湖の騎士、ランスロット』

『私は太陽の騎士、ガウェイン』

 

ランスロットはやる気を感じさせない態度で投げやりに言い、ガウェインは胸を張って威風堂々と言い放った。つくづく対照的な2人である。

言い終わった2人は、堕天使レイナーレに視線をむける。2人の視線に心底怯え、涙目になるレイナーレ。

 

『わ、私はグレ、ゴリの…ひっ!!』

 

レイナーレがそこまで言った瞬間、ランスロットとガウェインの眼光がさらに鋭くなった。画面の向こうだと言うのに、此方に視線を向けていないというのにリアスたちにも恐怖を与えたほどだ。

 

『わ、私は黒翼の騎士、れ、レイナーレ…。ぅ、う、イッセー君助けて!』

 

2人の視線に耐え切れなくなったのか、レイナーレはカメラに向かって走り映像が揺れた。この映像を撮影している人物が兵藤一誠と思われる。

 

『イチャイチャするなぁああああ!!! リア充ぅうううう!!!』

『落ち着けランスロット!!』

 

そして発狂するランスロット。深い闇のような禍々しいオーラがランスロットから発せられ、砂嵐が発生し映像が途切れた。

 

やがて復旧した映像には、ガウェインとランスロットの間にいたゴスロリの少女に口から蛇を押し込まれているランスロットの姿が映し出された。ランスロットは少女の肩を押さえて必死に引き剥がそうと抵抗しているものの、ランスロットの力をものともせず少女は蛇を突っ込んでいく。

ランスロットの口から覗いたピチピチと動く蛇の姿が恐ろしく、オカルト研究部の面々に寒気を憶えさせた。

 

『食べ物、落ち着く。我の蛇、食べる』

『うごごごご…!!』

『おいしい?』

 

この瞬間、少女に対する認識をオカルト研究部たちは改めた。

 

『此方のお方が我らが騎士団長、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス殿だ』

 

目の前の惨状を何事も無かったかのように続けるガウェイン。清々しいまでにスルーだ。

しかし、語った内容はオカルト研究部員達にとって、絶対に無視できない内容。無限の龍神、それはこの世界において最強の存在。神すら恐れた無限の体現者の名だった。

あまりのビッグネームに、沈黙が部室を包む。

オカルト研究部が受ける衝撃などどうでもいい事であるかのように、ガウェインは表情1つ変えずに続ける。

 

『我々は貴様達に3つ要求する』

『1つ、兵藤一誠へ害を加えぬ事。これには、兵藤一誠に学校から退学等の処分をすることも含まれる』

『2つ、兵藤一誠の関係者へ害を加えぬ事。これも1つ目と同じく、社会的権力を用いた圧力を含む』

『3つ、我々ウロボロス騎士団の駒王学園への編入を認める事だ。兵藤一誠と同じクラスが条件だ』

 

「ふざけないで!! あぅ…!」

 

3つ目の要求を聞いた瞬間、リアスは机を叩いて立ち上がった。その際に腰の痛みで顔を顰めてしまうが、その痛み以上にその要求は容認できるものでは無かった。

自身の根城に最悪の敵を迎え入れるなど、獅子身中の虫以上に恐ろしく絶対に受け入れることが出来ないものだ。第一、堕天使の味方になった兵藤一誠にすら、リアスはこの学園から居なくなって欲しいと思っている。

 

『これらの要求が呑まれなかった場合、オーフィス殿が冥界で暴れる事になる。…オーフィス殿、頼みます』

『がおー、我、暴れるぞー』

 

ガウェインの言葉に、ゴクリと誰かが唾を呑んだ。

それは絶対に起してはならない事。もしも、それが起こってしまえば冥界は間違いなく滅ぶ。それほど無限の龍神の力は他から隔絶しているのだ。仮に退けることが出来たとしても、凄まじい犠牲が生まれるだろう。

しかし、緊張感の無いオーフィスの姿から、本当に無限の龍神なのかオカルト研究部たちは判断に迷う。

 

『…やはり、これではテロリストだ。ランスロット、やはりやめに…おい、聞いているのか、ランスロット?!』

『……』

 

ガウェインが呼びかけるが、ランスロットは口から3本の蛇の尾を出しながら気絶していた。

 

『っ!? し、死んでいる…?! …まあ、いいか』

『がおー』

『…懸命な判断を待っている』

 

映像はそこで終了した。

 

 

 

 

 

 

神父様。もしかしたら高校に入学できるかもしれません。リア充になるために高校デビューはどの様にすれば言いのでしょうか?

 

―主は言っています。鯖読んでんじゃねーよ、バーカ。

 

読んでねーし! 俺17歳だし! 高校生活しても何の問題ないし! 神の名を騙って神父が悪口言うなこら!!

 

―…貴方のような17歳が居るものですか。シスター、巻いてあげなさい。

―はい、神父。ランスロットさん。辛い事があったのでしょうが、頑張ってください。

 

 

 

久しぶりに可哀想な者を見る目で見られた。

反論しようと思ったが、マイエンジェルであるシスターは今日も美しく、俺は我を忘れて呆然としてしまった。

 

あのビデオを悪魔達に送りつけてから1週間近く。未だに連中から返事は来ない。その間、兵藤一誠にも学園に通うことを遠慮してもらっている。行けば確実に死亡だからな。

あと、1週間の間に兵藤一誠は俺とガウェインによって扱かれていた。朝は基礎体力向上を目的としたトレーニング、朝ごはんはオーフィスの蛇、昼は3倍ガウェインと組み手、昼ごはんもオーフィスの蛇、午後から俺と組み手、おやつにオーフィスの蛇、夕方は3倍ガウェインと組み手、晩ごはんもオーフィスの蛇、寝る前に俺と組み手、夜食にオーフィスの蛇。

…よく死なないな、兵藤一誠。まあ、死に掛けてもオーフィスが復活させるしレイナーレが抱きつけば元気になるしな。

そのトレーニングの御蔭もあってか、最近はドライグという篭手に封じられたドラゴンとオーフィスが会話できるようになった。良かった、良かった。

 

「良かねーよ!! こっち見ろ!! このボコボコ顔を!!」

『相棒、落ち着け。良いではないか、最近は顔面の治りも早くなってきた』

「だからって顔ばっか殴られるこっちの身になれよ!!」

 

ついリア充の面を見てると殴りたくなってしまい、顔面を集中して殴ってしまう。それでも手加減しているあたり、俺って結構偉いと思うんだがな。

庭で仰向けに倒れつつも文句の多いリア充を無視して、俺の隣に座って月見団子を食べてるオーフィスと一緒に三日月を眺める。

うむ、いい月だ。そろそろお暇する時間だろう。

よっこいしょと縁側から立ち上がったとき、ガウェインの奴がなにやら封筒を持って現れた。

 

「ランスロット、返答が来たぞ」

「おお、遂にか」

 

さて、悪魔が俺達の要求を呑むか。それとも、某大国の如くテロリストに屈しないと拒絶して冥界が滅ぶか。俺としては、高校生活は初めてだからぜひ要求を呑んで欲しい。

ビリビリと封書を破って中身を見る。

…何々。

……要約すると、私達悪魔は滅びるわけにはいかないので、そちらの要求は呑みますが、他の勢力、堕天使、天使と同盟を組み、危険人物たるオーフィス、ランスロット、ガウェインを見張ることにしました。よって、同盟のための会談を明日の夜開きますのでご参加ください。

……なんですと?

 

◇次の日◇

 

「いいか、オーフィス。学校とは…リア充になって人生の幸福を発見するか、それとも非リア充となって空しいボッチ的な余生を送るか。それを決める戦場だ」

「ランスロット、リア充、静寂を得ることより良い事?」

「静寂ってお前、最初からどんだけ弱気なんだよ。リア充の方が百倍いいぞ」

「ランスロット、リア充、我の答え見つかる?」

「見つかる見つかる。オーフィス、リア充か非リア充になるかで一番大事なのは第一印象だ。バッチリ決めるぞ…!」

「わかった。我、決める」

 

高校生とリア充についてオーフィスにレクチャーしながら、姿見の前でオーフィスと一緒に駒王学園制服をきっちり着こなす。

後ろ髪はそのままでは印象が悪いだろうと1つにまとめた。

うむ、我ながら中々のイケメンフェイス。前世の方が顔が良いような気がするが気のせいだ、うん。あの時の顔は確かに美形で中性的で睫とか女より長かったが、男らしさが無かったからな。今の俺は益荒男的なカッコよさがある。…悔しいから言っているのでは無いぞ、決して。

オーフィスの方はロリに高校生の制服は無理だろうと思っていたが、実際に着てみると中々似合ってるじゃないか。

今のオーフィスはロリとは言え、顔はかなり整っているからな。これなら学園でもリア充間違いなしだ。

 

「気が早いわ!! 甲冑を着ろ!!」

「あだっ」

 

後ろからチョップで不意打ちを仕掛ける自称騎士。似非騎士のガウェインが現れた。

これから学園に行くというのに奴は兜を脇に抱え、無粋な戦装束で現れおった。こいつ、ボッチ確定だな。

 

「アホかお前は! これから敵地へ向かうというのにオーフィス殿まで巻き込んで、何を呑気に学生服など着ている!」

「アホはお前だ。最初からガチガチに武装して行けば、情けない臆病者と思われるぞ? 第一、和平の会談だぞ?」

 

うぐっと言葉に詰るガウェイン。

まあ、俺だってこの会談自体が罠の可能性があるってことくらいは解っている。

 

「しかしだな…!」

「もし罠を仕掛けているようならキッチリ斬ればいいだろ。騙し討ちなんて何時もの事だろうが」

 

…ん? いや、そんなにあったか?

言っておきながら、そんなに騙まし討ちにあった回数なんて無いはず? 

最近記憶違いが多すぎる上に勝手に口に出る。どうにも可笑しいな、俺は。

 

「…ふっ、そうだったな。私達は、そんな罠をいくつも潜り抜けてきた…」

 

俺のおかしな言葉に、ガウェインは記憶を捏造して格好つける。これが最近のストーカーの恐ろしさである。

ストーカーに付き合っていると、此方まで頭が可笑しくなってしまう。悩むのは後回しにして一誠達のもとに向かおう。

…どうせいつも通りイチャついてんだろうがな。けっ!

 

「お、似合ってるな、オーフィス。…俺達が逮捕されそうだけど」

「ほ、ほんとね、イッセー君。…コスプレで許されると、いいわね…」

 

茶の間に着けばオーフィスの制服姿を褒めるリア充たち。

ところで俺は? 俺については? 視線合わせろよお前ら。レイナーレの奴なんて顔すら一誠の後ろに隠れて見せてねーよ。

リア充共にイラつきはするものの、大人しく席に着く大人な俺。これからの事とリア充共へのイラつきで思わずため息1つ。

 

「しかし、三勢力の会談とはな。…天使も居るのか。…はぁ」

「…嫌なことを思い出させるな、ランスロット」

 

やっぱ、ガウェインも苦手だよな。天使。

 

「あ、あの、嫌いなんですか? 天使」

 

珍しく俺に話しかけてくるレイナーレ。自身が堕天使ではあるし、天使について余程思うことでもあるのだろうか?

相変わらずイッセーの背に抱きついて隠れつつではあるものの、俺への苦手意識の克服は一週間前と比べれば進歩しているようだ。

俺もなるべく怖がらせないように、レイナーレを見ないようにしながら喋る。

 

「苦手なんだよ、あの連中。…俺の事を凄い尊敬した目で見てくるし、疑わないし、無防備に背中を向けるわ、身内がこんな生活してますとかどうでもいい話をされるわ、武勇伝を語ってくれと頼まれるわ、サインくれと言われるわ、一緒にお祈りしましょうといって教会に連れ込まれるわ、出会った記念に写真撮りましょうとか頼まれるわ」

「しかも、断った場合は凄まじく悲しい表情をされるからな…」

 

俺のストーキングしてるガウェインも同じ目に遭わされてるからな。

組織の任務で戦いに行ったはずが何時の間にか歓迎パーティーされてた、といった感じだ。あんな尊敬ゲージMAXな連中を斬れる筈も無く、組織の連中が狙っていることをこっそり伝えて逃したりもした。

 

「あんな連中が沢山いるかもしれんと考えると心が折れそうだ…」

「彼らは剣を向けても、”またまたご冗談を”と信じないのです。一誠君もレイナーレ殿も、彼らのペースにはまらない様に。ガリガリ精神を消耗します」

 

ガウェインの言う通りだってのに、このリア充共信じていない。”またまたご冗談を”みてーな面しやがって。

 

「さて、そろそろ行くぞ。リア充共はなるべくオーフィスの近くに居ろよ。オーフィスも頼む」

「わかった。ドライグとレイナーレ、守る」

 

 

 

 

いつか俺達が通うことになるかもしれない学び舎、駒王学園の校門を堂々と通る。同時に人外共の視線が強くなる。勿論、ここ数日はずっと見張られていたが、あえて無視していた者達だ。だが、レイナーレと一誠は今この視線に気付いたのか、驚き怯え始めた。

…まあ、こいつらよりずっと強い連中が何人も囲っている訳だし、びびらない筈が無いか。

ちなみに、今の俺達の服装は全員この学校の制服だ。お蔭で監視していた連中の一部が殺気立っていて面白かったな。

 

「…案内は無しか?」

「寧ろいらんだろ。会議室だったはずだ。さっさと行くぞ」

 

ガウェインが案内が来ないことを不思議がっているが、来たら来たで気まずいだろ。俺達は悪魔狩りや堕天使狩りを結構してるし。天使狩りは何故かパーティーになるから出来てないけど。

歩き出そうとした俺達の前に、1人の女天使が舞い降りた。

…ガウェインがフラグ立てたせいで何か来たじゃねーか…。しかも知ってる奴だわ、これ…。

 

「お久しぶりです! ランスロット殿!」

「あ、ああ。久しいな」

 

頬を赤く染めながら俺の右手をとってブンブンと上下に振って握手する天使。天使の輪の下で特徴的なアホ毛がピョコピョコと動いている。この子は身長154cmほどで、金髪碧眼でアホ毛とペチャパイが特徴的な少女天使アルトリアさんである。

人間と天使のハーフという超希少な存在で、通常の天使が持つことの出来ない成長する力を持った天界の超ホープ的な天使だ。が、この子の両親が俺とガウェインの武勇伝とかいうのを面白おかしく童話っぽくして天界に広めた影響で、俺はこの子の憧れの的になってしまってる。

俺は子供が苦手である。この純粋に希望と憧れに満ちた瞳が凄まじいまでに苦手だ。その上、この子はあんまり人の話を聞かないからさらに苦手だ。

 

「ガウェイン殿も、お久しぶりですっ」

「ええ、お久しぶりです。アルトリア殿」

 

にこやかに返すガウェインだが、額にちょっと汗をかいてる。

この子の両親に凄くお世話になったせいで、ガウェインですらこの有様だ。24時間、この子の成長記録を休憩なしで聞かせられたからな俺達…。

 

「…タコ…?」

「あっ、…これは剣の訓練で出来たものです」

 

この子の手に剣だこ、マメが出来てる。前会った時にはこんなものは無かった筈なんだが。俺の呟いた言葉に気がついたのか、直ぐに俺から手を離して恥ずかしそうに手を合わせて隠すアルトリア。

後ろで兵藤一誠がレイナーレに耳を引っ張られている。萌えたのか、兵藤一誠。

しかし、この子は剣士になるつもりなのか? この子は光力、つまり天使の力が並みの天使を遥かに上回る量だし、魔法でも使ってたほうがずっと良いと思うんだが…。

 

「そうだ、ランスロット殿。私、聖剣に適正があったのですよ!」

「え?」

「はい! これで私もランスロット殿とガウェイン殿のような弱き人を助ける立派な騎士になれます!」

「いやいや、別に立派な騎士じゃないから。俺達寧ろテロリストだから」

「またまたご冗談を」

 

ほれ見ろ。この通り全く信じてくれないぞ。AAの猫みたいな顔しやがって。

しかし、この子に聖剣の適正って…。どんだけ才に溢れてんだこの娘は。

 

「あっ、いけません。案内を頼まれていたのでした。 どうぞ此方へ。…あなた方もランスロット殿とガウェイン殿の仲間なのですね。アルトリアです。どうぞよろしくお願いします」

 

リア充たちとオーフィスにぺこりと頭を下げた後、歩き出すアルトリア。その表情は晴れ晴れとしていて実に嬉しそうだ。

俺達の仲間=立派な騎士、といった方程式がこの子の中で出来上がっているに違いない。

 

校舎の中は悪魔が住み着いているにしては綺麗な学校だった。大きさも思っていたよりは大きく無い。中々通いやすそうな学校だ。

アルトリアの近況報告を聞きながら、やがてたどり着いたのは職員会議室だ。中からは結構な力をもった連中が6名ほどいる。恐らく、各陣営のトップ連中だろう。ご苦労なことだ。

コンコンコンコンとアルトリアが会議室の扉をノックする。…3回で良くね?

 

「失礼いたします。ウロボロス騎士団の皆様をお連れしました」

「入ってくれ」

 

若い男の返答にアルトリアが扉を開け、俺達を中に促す。…微妙に恥ずかしい。ウロボロス騎士団なんて名前にするんじゃなかった。もっと普通の名前にすれば良かった…。

会議室は高そうな装飾のされたテーブルと、それを囲む悪魔、堕天使、天使がいた。

先の声は紅い髪をした悪魔、サーゼクスの声だろう。その隣には魔法少女のコスプレが座っている。ふざけた姿だが、確か組織の標的一覧に載っていた魔王の1人だ。あと、給仕をやっている銀髪の悪魔がいる。こいつも魔王クラスの悪魔だとか何とか。ついでにサーゼクスの後ろの壁際に立って此方を睨みつける何時ぞやのコスプレ悪魔たちと眼鏡の悪魔。

天使側にはミカエルとガブリエル。この2人も面識は無いが、組織の標的一覧に載っていた。

堕天使側には銀髪の若い男と顎鬚で翼を12枚も生やした堕天使、確か名はアザゼル。顎鬚堕天使を見て、レイナーレは顔を真っ青にしてガクガクと震えてイッセーに抱きついている。…大丈夫かよ、こいつ。

 

「では、私はここで。…あの、大丈夫ですか?」

「良いって良いって、そいつもそのまま中に入れてくれ」

 

レイナーレの様子に見かねたアルトリアが声をかけるが、顎鬚堕天使が面倒そうに手を振りながらそう言った。

そういえば、レイナーレの上司になるのか。そりゃ緊張するわな。

何時までもこうしている訳にはいかないので、部屋の中に入ると無言で壁側の席を勧められる。

…滅茶苦茶緊張してるな、こいつら。オーフィスの挙動に注視しまくっている。見すぎだろこいつら、ロリコンか。特に堕天使側の銀髪の顔がやばい。俺とオーフィスを見比べながら嬉しそうに震えている。擬音にすると”フルフル ニイィィ…!”だ。みんながオーフィス見ててよかったな。

 

「どうぞ、座ってくれ」

 

この場を仕切っている魔王サーゼクスから許可が出たので普通に座る。勿論、トラップの有無は既に確認済みだ。

俺達の席は天使側の近くで、右から俺、オーフィス、リア充(男)、リア充(女)、ガウェインの順に座った。

 

「ようこそ、ウロボロス騎士団。本日は君達の要求事項についてだ」

「ま、よーするにお前らの要求で俺達の和平が決まったわけだ。ありがとよ」

 

魔王サーゼクスの言葉を遮って、顎鬚堕天使が全くありがたくなさそうに言った。抜いたろか、その無駄な顎鬚。

 

「それは此方の要求を呑むということでいいのか?」

「構わねえだろ。寧ろ危険因子が一箇所に集ってくれて俺達は嬉しいぜ、世紀の殺戮者さんよ」

「アザゼル、挑発はやめなさい」

 

誰が世紀の殺戮者だこの顎鬚。その無駄な翼ごと引っこ抜いたろか。

ミカエルが止めようとするが、アザゼルは鼻で笑って続ける。

 

「はっ! 唯一こいつらに殺された奴が居ない連中は違うな。こっちはこいつに幹部2人もやられてんだよ、嫌味の一言ぐらいでるだろ」

「神器集めで何の罪も無い、何も知らん人間殺してる連中に殺戮者呼ばわりは無いな」

 

目には目を、嫌味には嫌味で返す。というか、こいつ気に入らん。

 

「将来害悪になる可能性があれば始末すんのは組織として当然だろ?」

「可能性、な。人間相手にびびってるのか、情けないオッサン共だな」

「アァ? 何つった?」

「地に堕ちた鳥だけにチキン野郎だな、と言った」

 

俺の挑発に、顎鬚堕天使は米神をピクピクとさせながら俺を睨みつける。

組織に所属していた頃の経験を思えば、このオッサンの事は気に入りそうも無い。もともと、レイナーレも兵藤一誠を始末するための刺客。結果論ではリア充になったが、もしかしたら兵藤一誠はご臨終だったかもしれんのだ。その元凶に好意的になれというのは無理というもの。

 

「そこまでだ。アザゼルもランスロットも落ち着いてくれ」

 

オッサンの目つきに俺がイライラし始めた時、サーゼクスが睨みあいを中断させた。そして、俺を見据えて続ける。

 

「ランスロット、君の目的が知りたい。君はオーフィスを使って何を成そうとしているんだい?」

「お前が禍の団(カオス・ブリゲード)を殆ど壊滅させたのは知ってるぜ。聞いた時は意味不明だったが、目的はオーフィスだったんだろ?」

 

おい、顎鬚。俺がロリコンみたいな言い方すんな。勝手に憑いて来たんだよ。

しかし、目的か。目的、…目的、……目的。

……特に無い!

 

「ランスロット、我が欲しかった?」

「おいオーフィス。俺をロリコンにしたいのか。全世界でロリコン扱いにしたいのか、こら」

 

悩んでいる隙にオーフィスからの発言。

直ぐに突っ込んだが疑惑が、この部屋にいる全員の俺を見る目が変態を見る目に。今すぐにでも通報されそうだ。特に紅髪の女悪魔がゴミ虫を見る目になっとる。俺はシスターさん一筋だと言うに…。

 

「オーフィス殿は何故この方といるのですか? 貴方の目的は?」

 

おい、金ぴか天使。何で俺の目的を聞かない。何これ。俺がロリコンという事で進めようとしてね? 何でこんなロリコンと居んの? みたいな感じで進めてね?

 

「我、グレートレッドを倒し、静寂を得たかった」

「得たかった、とは今は違うと言うことかい?」

 

金ぴか天使ミカエルの質問に返すオーフィス。

サーゼクスの疑問の通り、今は違うのか? グレートレッドとかいう巨大ドラゴンを倒すために俺や兵藤一誠と一緒にいるんじゃなかったのか?

 

「でもランスロット、静寂よりも良いことを教えてくれた」

「? 俺か?」

 

オーフィスの言葉に一同が黙り込む。

何か教えたか? 俺がこいつにやった事ってアイスとか飴をやったくらいなんだが…。

何か教えたかと疑問に思ってると、此方を真っ直ぐ見上げて続けるオーフィス。

 

「我、リア充になる。ランスロット、リア充になれば我の答えも見つかると言った。リア充、静寂の百倍良い事と言った」

 

何だ、さっきレクチャーしたリア充と学園生活についてか。まあ、ボッチになるよりリア充の方が良いに決まってるしな。

 

「我、ランスロットと共にリア充になる」

『……』

 

オーフィスの言葉と共に、部屋の空気が凍りついた。何故か全員が俺をゴミを見る目で見てくる。一誠は感心した様子で、ガウェインなんかは鬼の形相だ。

一体、何がどうしたってんだ。俺、凄く良いことを言った筈なんだが…。

 

「…ランス、ロット。…貴様、以前手を出してないと…言っていた筈だな」

「はぁ? ガウェイン、いきなり何言ってんだ?」

「黙れぇ! この鬼畜ロリコンがぁあああ!!!」

「ぅお! 何すんだコラ!」

 

いきなり斬りかかってくるガウェイン。咄嗟にアロンダイトを出して受け止めたが、ガウェインの体には炎が纏わりついていた。

…こいつ、本気で俺を斬ろうとしてやがる。ジェットガウェイン状態だ。

ジェットガウェインとはガラティーンの炎を肉体に帯びさせ、瞬間的に噴出することによって攻撃力、速度を向上させる変態技能状態のことだ。

俺がアロンダイト空間斬りを覚えてからこいつが覚えた業。正直近づくだけで暑苦しい迷惑千万な業である。

ガウェインと鍔迫り合いをしていると、援護とばかりに周囲から俺に向かって飛んで来る攻撃。アロンダイトで斬り落とすがマジで意味わからん!

…そうか、畜生が! 罠だった訳か! というか、ガウェインまで裏切りやがって!

 

「オーフィスさん、行きましょう。警察に行って洗いざらい奴の犯行を言いましょう?」

「おい、コラそこの赤毛! 人が必死にやってんのに何やってんの?! オーフィス! こいつ等止めてくれ!」

 

人が必死に飛びかかるガウェインやら光の槍やら黒い魔力やらを必死に防いでんのに、紅髪の女悪魔がオーフィスをつれて何処かに行こうとしてやがる!

オーフィスも首を傾げてる場合じゃないだろ!

 

「何事ですか?! …!? ランスロット殿?! 皆様! 何をしてるのですか!!?」

 

 

「全く、ランスロット殿がロリコンな筈がないでしょう。それに仮にロリコンだとしても、その愛を認めてあげるべきです」

「アルトリア、俺ロリコンじゃないから。絶対違うから」

 

アホ毛を左右に揺らし、プリプリ怒りながら言うアルトリア。

俺の抹殺計画は乱入してきたアルトリアのお蔭で止められた。アルトリアさんマジ天使。これでペチャパイじゃなかったら惚れていた…。

そして、さり気なく舌打ちしてる顎鬚堕天使。この野郎、解っててやってやがったな…!

 

「とにかく、これで和平は成立しました。よい会談でした」

「どの辺が会談だったかぜひ訊きたいんだが…!!」

 

何綺麗に纏めようとしてやがるこの金ぴか天使が!!

皆殺しにシテヤロウカ…!!

 

「! オーフィス殿の目的も訊けたしお開きにしよう! さらば!」

「おう! そうだな! 帰るぞヴァーリ!」

「やれやれ、ランスロット卿と戦いたかったんだが…」

「じゃ、じゃね♪」

 

早っ! こいつら撤退はええ! 

速攻で逃げやがった…!

 

「まあ、そう怒るなランスロット。これから学園に通えるんだ」

「おい、何自分は何もしてませんみてーな顔してやがる…!」

 

各陣営のトップ達とコスプレ悪魔達がいなくなってガランとした会議室で、爽やかな笑顔で言ってくるガウェイン。

マジで腹立つこいつ。 

 

「……」

 

…今気付いたが、何か静かだと思ったらリア充達が気絶してる。まあ、仕方が無いか。

はぁ、疲れた。…さっさと帰ろう。

 

「ではランスロット殿、ガウェイン殿。お世話になります」

「…へ?」

 

何故か残っていて俺達に頭を下げるアルトリア。その手にはボストンバックが何時の間にか握られていた。

 

「ウロボロス騎士団の内部に入り、行動を共にせよと任務を承っています。…それと、此方が父上からの手紙です」

 

懐から取り出された封筒。パンパンに膨れとる。膨れすぎて読む気がしない。

どうせあの親馬鹿の事だ、8割は無駄な内容を書き連ねてるんだろう。欲情せずに天使とまぐわった大賢者の癖に娘の事になると煩悩凄いからな。

 

「…まあ、行動をともにするのは構わない。だが家は別だぞ」

「え?! そ、そんな…、一緒に住むのでは無いのですか?」

「アルトリア殿、ありえませんから。何をショックを受けているのですか…」

 

俺の一言に凄いショックを受けた表情になるアルトリア。ガウェインの言うように年頃の娘が男所帯に住むなんてありえんぞ。あの賢者親父はもう少しこの娘に常識を教えろよ、本当に。

 

 

 

 

 




どうせ続かないしバラしてもいい
どうでもいい設定集

・ランスロット
色々とぬっ殺してる人外キラー(物理)
各陣営のトップから滅茶苦茶警戒されてる。
しかし、アルトリアの親父さんが書いた本のお蔭で下っ端の天使や教会の子供達から大人気。
本人は騎士として褒められるたびに精神ダメージ。

・シスター(ギネヴィア)
ランスロットのヒロイン的存在。19歳。
ランスロットが17歳だとは信じていない。
あと、シスターのいる教会は裏とは関わりが無い。

・神父(ロリコン)
最近ランスロットがロリをつれているところを目撃し、嫉妬している。

・似非騎士ジェットストーカー(ガウェイン)
ランスロットの空間斬りに危機感を覚えたため、僕の考えたカッコイイスキル、魔力放出(炎)を体得していた。
夜だから楽勝だろ、とか言って挑んだ人たちはこれでぬっ殺されている。

・無垢な幼、少女(オーフィス)
ランスロットが適当に言った事を真に受けてる龍。
無自覚にランスロットを追い詰める。
別にランスロットとフラグはたたない。

・リア充男(兵藤一誠)
ランスロットたちの地獄の訓練でちょっぴり強くなってる。
最近はオーフィスの蛇にも慣れてきたつわもの。

・リア充女(レイナーレ)
何かとストレスを受けまくってる堕天使。
嘗て好きだった上司に睨まれて失神寸前で耐えてたけどランスロットとアザゼルの睨み合いで失神。

・純粋天使(アルトリア)
まさかのオリキャラ。オリキャラ…?
見た目はやっぱりFateで、最近路地裏に出現する青い人。
父親の書いた本でランスロットとガウェインのファンになった。
立派な騎士になろうと頑張ってる。
ランスロットとガウェインはこの娘の事が苦手。
自分達が汚れてる自覚があるため、憧れの視線に精神ダメージを受けるらしい。フラグはたたない。

・大賢者神父(親馬鹿)
アルトリアの父。
一切の劣情を抱かず、天使を孕ませたスーパー賢者。
童話”太陽と湖の騎士の冒険”でランスロットたちを苦しめる。
実は千里眼みたいな神器を持っていて、ランスロットたちの監視役。ランスロット達の活躍を見ていたらファンになってたらしい。

・コスプレ悪魔(リアス・グレモリー)
ランスロットをいつか倒すと誓ってる悪魔。
学校に編入してくると聞いて激おこぷんぷん丸。
別に神が死んでる事は知らない。

・各陣営トップ達
ランスロットを危険視する連中。でもオーフィスがいるので手出しできない。
特にアザゼルは幹部をコロコロされた恨みとランスロットがムカつくのでどうにか抹殺したいと考えてる。
天使陣営以外はランスロットの被害が多い。

・戦闘狂(ヴァーリ)
禍の団(カオス・ブリゲード)がほぼ壊滅状態で誘いがかからなかった人。
ランスロットと戦いたくて仕方が無い。NARUTOのマダラ並の顔芸をした。
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