連載してるほう書けやボケって感じですね。
し、神父! 神父はいますか…!!!
―っ、ランスロットさん? 神父は出かけておりますが、一体どうなされたのですか? 顔が真っ青ですよ?
し、シスター…!! り、リア充が、り、リア充がリア充した…!!
―? 包帯を巻きますね。あら、あなたは? 前が肌蹴てますよ?
―我、オーフィス
今日から高校生活。まるで編入を祝うかのような素晴らしい快晴の日に起きた、おぞましい出来事。
俺がいつもの様に朝食を作ってテーブルに並べている時だった。
我が家である2DKのアパートは広く明るく過ごし易いすばらしい部屋。これで値段が安くてガウェインがいなければ文句なしなんだが。
本日の朝食は、具たっぷりの味噌汁に白ご飯、ふわふわに焼いた卵焼きに焼き塩鮭に漬物だ。朝からがっつりだと思うかもしれないが、俺は食事に手を抜いたことが無い。それに、最近では俺の料理を食べる奴が増えたので油断する気は無い。
「おはようございます、ランスロット殿、ガウェイン殿。ありがとうございますっ。今日も、美味しそうですねっ」
「おい、ランスロット。私の席に置いてあるボールはどういう事だ? 何故私だけ…」
こないだから隣に引っ越してきた天使のアルトリアだ。あれだけ良い食べっぷりは料理した本人としてはとても嬉しいのだ。この娘は本当に美味そうに食うものだから手抜き出来ない。
ちなみに、ガウェインの席にはボールに入れたキャベツ一玉。…量さえあれば十分とかほざくアホにはこれで十分である。
「おい、ランスロット! …何故私だけキャベツなのだ」
「マヨネーズがあるだろ」
そう。情けとして奴の席にマヨネーズも置いてやっているのだ。これだけでも俺凄い大人。
何を食べても同じ速度、同じ量を食べ、感想も言わない奴にはこれだけで十分だろ。むしろマヨネーズを置いてやってるだけでも菩薩の如き寛容さだ。
それに安モンのマヨじゃねーぞ。見ろ、いつも通りキュ○ピーちゃんも左下にいる何かを見詰めてる。それにしてもキュー○ーちゃんの左下には一体何がいるのだろうか? ○ューピーマヨネーズのキ○ーピーちゃんは他のと違ってあんまり笑ってるように見えないから凄い気になる。
「…全く、ここか…」
ぶつぶつ呟きながらキャベツを冷蔵庫にしまい、勝手に味噌汁とご飯をよそうガウェイン。
…てっきり文句を良いながらもキャベツで満足するとばかりに思っていたため、この行動は予想外だ。
「ランスロット殿、あまり意地悪はいけませんよ」
「良いんだよ、ガウェインだし」
メッと俺を叱るように言うアルトリアに辟易しつつもこれからの学園生活に思いを巡らせる。
自己紹介は”泉野ランス、17歳で~す!”よし、これで行くか。いや、ないか。体育はどの程度本気を出すべきか。高校生ってどんなん習ってんだろう。等々…。
それにしても、もし俺のイケメンフェイスに魅了された女の子が告白でもしてきたらどうやって断るべきか。…フッ、悩ましいぜ…。俺はシスターさん一筋だからな。シスターさんとシスタープレイしたいです。でも女子高生にチヤホヤもされてみたいです。シスターさんが制服着てくれないかなぁ…。
ホント、高校生活って夢が広がるぜっ!
「…アーメン……では、いただきます」
「おう、召し上がれ。…いただきます」
「いただきます」
ガウェインが席に着いたのを確認し、アルトリアはいつも通り長いお祈りを捧げた後、いただきますと言って朝食をとる。
いただきますか、お祈り。どっちかにしろよと言った感じだが、俺達がいただきますで食べてるのを見てからアルトリアは真似をしだした。俺達は旅先しだいで食事前の祈りをコロコロ変えてるから真似しなくても良いんだけどな。
俺も一応クリスチャン(になるのか?)だから、神様とやらには”今日は一日良い日にしやがれコラ”と心の中で祈ってる。
こんもりと持ったご飯をあっという間に、それでいて上品に食べていくアルトリアとガウェインにいつも通り戦慄しつつも、俺も味噌汁を啜る。…うむ、中々。
っと、まだ一個も食べていないのに高速で消え去っていく卵焼きの最後の一個を確保した時、見知った気配がこのアパートに近づいてくるのを感じた。…お前ら俺に遠慮しろよ。
今までの経験上、飯を食べてる時の襲撃は多い。どいつもこいつも人が旅先の珍しい飯を堪能している時に”死ねぃ、ランスロット!!”と襲いかかって来るものだから、俺は食事中、何時もより過敏なのだ。
襲撃者共のボキャブラリーの少なさは異常。あいつらはどいつもこいつも”死ねぃ、ランスロット!!”で襲い掛かる。もしかして、俺に襲撃する時のマニュアルでもあるのでは無いかと疑ってしまうレベル。たまには気の利いた台詞を聞かせて欲しいもんである。
あほな事を考えている間に、オーフィスはアパートまでたどり着いていた。2階に上がる階段をトテトテと歩いてる姿が目に浮かぶ。
「ランスロット、どうかし……ああ、オーフィス殿か」
「…オーフィス殿がいらっしゃったのですか?」
折角来たのだから迎え入れてやろうと立ち上がると声をかけられる。
あれ? 俺がちょっと考えてる間にご飯が無くなってね? あれ? でっかい炊飯器の中身がもう無くね? 味噌汁も鍋が何時の間にか空なんだけど。何これ? もしやこれがキングクリムゾン現象か…?!
「…俺のまで食うなよ」
「た、食べませんよ!」
「ランスロット、私は騎士だぞ。安心しろ、このキャベツで良い」
食いしん坊どもに牽制すると、こんな答え。
アルトリアは羽が一瞬黒くなった気がする。こいつ、飯で堕天しかけやがった…。
そして、ポリポリとさっきのキャベツを食べるガウェイン、マジで腹立つ。騎士ってなんだよ。お前見てるとマジで解らんわ。
あほ共は無視して、オーフィスを入れようと玄関の扉を開ける。丁度、オーフィスも俺達の部屋の前まで来ていた。
「オーフィス、おはよう。早いな」
「おはよう、ランスロット」
俺はワイシャツ、ジーパンにエプロン装備とまだ部屋着のままだったが、オーフィスはすでに駒王学園の制服に着替えていた。
前日の約束では、初登校の日は俺達が兵藤家に行ってから登校する筈だったんだが、一体どうしたんだ?
…はっ! そうか、そういうことか。どうやら気合が違うようだな、オーフィス。リア充になる気満々というわけか。
待ちきれなくて”早くいこーZE☆”と、俺達を急かしにやってきたんだな。しかし、まだ6時20分。
「オーフィス、気が逸るのは解るが、まだ学校が始まる時間じゃないぞ?」
「…」
「ま、あがれよ。お茶でも飲んでゆっくりしよう。飴いるか?」
「…」
「? オーフィス?」
適当に話しつつもお茶の用意をしようとキッチンに向かおうとするが、オーフィスは無反応。
ここまで無反応なのは珍しいなと不審に思い振り返って見ると、オーフィスは挨拶した場所、土間から動いていない。
「……」
その無垢な瞳は、何故か俺をロックオンしてる。俺、何かしたっけ?
また蛇を食わせようとしてるのかと思えば、その小さな手には何も持っていない。俺が見返すとオーフィスは動きを再開した。靴を脱ぎ始める。その間も、俺の目をじっと見詰めたまま。
よく解らないが、後で聞けば良いかと背を向けるとまたオーフィスは止まった。
「?」
「…」
振り返ると、また動き出すオーフィス。
?? …なんだ? だるまさんが転んだの逆バージョンか?
じっとオーフィスを見ていると、その手はゆっくりとブレザーのボタンを外し始めた。…暑いのか?
「おはようございます、オーフィス殿。何をなさっているんですか?」
「? おはようございます、オーフィス殿」
「…」
不審に思ったのは俺だけでは無いようで、食いしん坊2人組みもオーフィスの様子を見に来た。
ガウェインが何をしてるのか問うが、オーフィスは答えずボタンを外してブレザーを脱ぐ。
そして、その手はブラウスのボタンへと向かった。…What?
「どうしたんだ? コーヒーでもこぼした…ぐおっ!!」
「オーフィス殿?!」
「ランスロット殿!?」
拭いてやろうかとオーフィスの前に中腰になった途端にまさかのタックル。驚きのタックル。驚愕のタックル。吃驚タックル。
…いかん、俺も混乱してる。オーフィス、まさかラグビーでもしたいのか。今のタックルは見事だったぞ、まさに無拍子。ギリギリ反応して気でガードしたから良いが、普通だったら死んでるレベル。玄関どころかダイニングを通り過ぎ、洋室まで行ってやっと止まったからな。
で、何で俺の上に跨っているのでしょうか、オーフィスさん。まさか、マウントポジションからの追撃か?!
「ランスロットも脱ぐ」
「はい?」
「脱ぐ」
謎の言語に俺が混乱している間に、オーフィスは俺の胸元に手を伸ばし、無造作にエプロンごと俺のワイシャツを破り去った。そして、さらに自分のブラウスを脱ぎだすオーフィス。
きゃあ! エッチスケッチワンタッチ! …ってどういうことだってばよ!?
「待てオーフィス! 訳を話せ! 今お前がやっている事はやばすぎて逮捕されるぞ、俺が!!」
「落ち着いてくださいオーフィス殿! 服を脱いではいけません!!」
「あわわわ、あ、愛が始まろうとしています…!!」
俺達の必死の言葉にやっと動きが止まるオーフィス。
あと、アルトリア! 女子が恥ずかしい物を見るときのお決まりポーズ、顔を両手で覆うをやってるけど指の隙間大きすぎだぞ、そして全然愛じゃないぞ! ロリコンじゃないってば!!
「プロレスごっこ」
「はい?」
「リア充、プロレスごっこするもの」
「…」
誰だよオーフィスに妙な事吹き込んだ奴。
確かにリア充カップルは年がら年中プロレスごっこだよ。1にプロレス2にプロレス、3、4が無くて5にプロレスだよ? 俺なんて綺麗な聖剣だけど、男のリア充なんて下半身に暴走する魔剣♂を抱えてるよ。
リア充カップルになるなら、そりゃ知る必要があるかもしれん。だが、それでもオーフィスにこんな事を教えるべきじゃないだろ。こいつの精神なんて、生きた年月が精神の成長にそのまま直結しないことの代表例と言えるほどお子ちゃまのキワミみたいなもんだ。
それに、リア充の形は1つじゃない。彼氏、彼女をつくるだけがリア充じゃない。
「まったく、誰に聞いたんだよ」
「母。我とランスロットとする、見詰め合ってする。そしてリア充になると言ってた」
母とは兵藤一誠の母親を指す。
っていうか、あの人愉快犯すぎだろ。俺をロリコンにするつもりかい。学園に行く前に刑務所に行くとこだったぞ。
「何故、そのような話になったのですか、オーフィス殿」
「も、もしや…!」
何かを確信した様子のガウェインが問いかけ、何かに気付いた様子のアルトリアがどこか嬉しそうに慄く。
問われたオーフィスはゆっくりと口を開く。
何故かその様子が、その口の動きが。
俺の目にはスローモーションで映った。
―聞いてはいけない
心のどこかで何かが囁く。俺もその囁きに同意した。
嫌な予感がする…。それも特大の。
高速で回転する脳みそは、しかし、この状況の打開策を出してはくれない。
俺の両手はオーフィスを押し返そうとその腕にあてられているが、いつも通りオーフィスはびくともしない。上体を起こそうにも、オーフィスに押さえられて動けない。
―俺の抵抗空しく、オーフィスの小さな口は、その呪いの言葉を、恐ろしい現実を、紡ぎだしてしまった。
「ドライグとレイナーレ、昨日プロレスごっこしてた」
…思考が止まった。
「…そうですか、ついに」
「…祝福します。一誠殿、レイナーレ殿」
え? な、何? 何か言った? 俺な~んにも聞いてないよ?
「ドライグが言ってた。プロレスごっこ、とても良い事。レイナーレと出来てよかった、と」
…………
………
…う、
「ぅおおおッooおおッ■■■■■!!!」
◇
と、言うわけなんです、シスター。あの、…フガフガフハ(巻きすぎでは)?
―せ、セクハラです……!
……。(いかん、危うくキュン死にするところだった…)
―オーフィスちゃん、飴は要りますか?
―貰う
―ところで、私と…
ほほ(そこ)!! はひひへふへふはひほひほんはッ(何してる変態ロリコンが)!!
何時の間にか湧いて現れた変態ロリコン中年男(神父)をオーフィスから何とか引き剥がし、帰路に着く俺達。危うくオーフィスが神父の毒牙にかかるところだった。
そして、俺もシスターさんの可愛らしさに心臓が止まるところだった。ホントやばかった。傷心中じゃなければ、あのロリコン(神父)の教会から攫ってそのまま旅に出るところだった。俺とシスターの結婚式の妄想までしちゃったレベルだぜ。
だが、お蔭で俺のHPが回復した。これならリア充共を見ても、いきなりアロンダイトで斬りかかる事は無いだろう。ミイラの様に顔全体に巻かれた包帯も、神聖な防具のようだ。
ていうか、今の俺の格好やばくね? ワイシャツはボタン全部取れて肌蹴てるし。何処でハロウィンしてんですか? って感じだ。
「……」
ちらりとオーフィスを見ると、神父から貰った飴を口の中でコロコロと転がしてるようだった。頬に飴の形がくっきりしてる。
…またこんなことにならないように、オーフィスには教えておかないといけないだろう。
今回は俺だったから良かったが、これがロリコンだったら目も当てられないことに成っている所だった。
お兄ちゃん、オーフィスがその辺のロリコンに襲われてたらその国を滅ぼしちゃうんだからねっ! 国ごと消し飛ばしてたんだからねっ!
「オーフィス。プロレスごっこは禁止な」
「? 何故? リア充、プロレスごっこをするもの」
「…いいか、オーフィス。リア充には色んな形があるんだよ」
解っているのか解っていないのか。
そんな疑問が浮かぶ目だったが、俺を見上げる瞳は続きを促していた。
「まず兵藤一誠とレイナーレは、カップル系リア充。まあ男女ペアでいかがわしい事をする事が目的だ。…リア充爆発しろ」
「…男女ペア」
「そう。あの連中は所構わずイケナイ事を平気でする、爆発させるべき俺達の敵だ。真似することは無い」
「何故いけない事?」
「え、えっちなのはいけないことだと思いますっ」
いかん、まともに答えられなかった。というか、そんな純粋な目で見ないで! 浄化されちゃうでしょ!
「ごほん、そしてもう一個、友達いっぱい系のリア充。俺達が目指してるのはこれな」
「友達。…友達とは?」
「そうだな、今の俺とお前みたいに話したり、ゲームしたり、一緒に遊びに出かけたりする奴だ。どうだ、楽しそうだろ?」
「楽しそう」
少しだけ微笑んでオーフィスは小さく頷いた。
その笑顔があんまりにも綺麗だったから、俺もつられて包帯の下で笑う。
今なら例えイチャコラするバカップルでも、ストーカーも天然天使も何でも許せてしまいそうだ。
オカン級の寛容さが俺に誕生した時、此方に向かって歩いてくるリア充たちの姿が。その後ろにガウェインたちの姿も映るが、気にする余裕も無い。
何故ならリア充達は腕を組み合って幸せオーラを放っていたからだ。
特に兵藤一誠、”DT? 何それ、俺ってもう卒業したんだけど、ダサ!”という言葉が聞こえてきそうな笑顔だ。
…ふっ、シスターとオーフィスに癒された今の俺は、どんな事でも許せる。うん、許せる!
「…とでも言うと思ったか、ゴラァ! お前何してんの?! アアァ!!」
「ぐえぇ…! く、こ、後悔はしてない…ぜ!!」
胸倉を掴まれて持ち上げられながらも滅茶苦茶良い笑顔で言いきりおった。
…良かろう、兵藤一誠。黄泉路を逝くが良い…!!
「や、やめてっ! イッセー君に乱暴しないで!」
「?!」
な、なんと! あのレイナーレが俺に突っかかってきおった!
何時も俺を見るとビビッて行動不能になっていたあのレイナーレが!
「大丈夫!? 確りしなさい!」
「あ、ああ。大丈夫だ。レイナーレも大丈夫なのか…?」
「もう、振り切ったから…。大丈夫」
「レイナーレ…」
「イッセー君…」
な、何だこれは…!
壁、俺とこいつらの間には巨大な壁、いや絶壁がありやがる! 勝ち組と負け組みを分ける絶望の壁が!
お、俺をはるか高みから見下ろしてやがる…! いや、気にも留めてない、人間が足元の蟻に何も思わないように、リア充は非リア充のカスなどどうでも良いという事か…!!
慄く俺の右肩に手がポンと置かれる。
「ランスロット…。今のお前は、今までのどんな時よりも…」
な、なんだよ、何ちょっと泣いてんの? 最後まで言えよガウェイン…!
「ランスロット殿。そんなに悲しい顔をしないでください」
え? 何? 俺の顔になんかついてんの? 何で俺の顔を拭いてるんですか、アルトリアさん。
「ランスロット、学校」
「そ、そうだな。逝くか、学校」
オーフィスの何事も無かったかのような言葉がありがたい。
この状況で優しくされると、心が死んで人間ではなくなってしまう。もう、何か、もう、…コンチキショー!!
勘違いしないでよね! 別に悔し涙なんて流してないんだからっ! あんた達なんて腹上死で死んじゃえば良いのよっ!!
◇
「泉野ランス。フランスから来ました、帰国子女になります。得意なスポーツはバスケです。一年間どうぞよろしく」
ニコッ!
ランスロットはニコポッを使った。ランスロットの周囲にキラキラと光る謎の粒子が舞う!
女子生徒Aはメロメロになった!
ミス! 女子生徒Bにはきかなかった!
女子生徒Cはメロメロになった!
ミス! 女子生徒Dにはきかなかった!
『きゃああ!』
ちっ! 効果は半々と言ったところか…!
メロメロになったとか脳内妄想したが、大してメロメロじゃない。ちょっと格好の良い男子が来たから言ってみただけみたいな感じだ。
これからが勝負と言ったところだな。この後の自由時間に何でも質問してくるが良いさ。そして俺と友達になるが良い。そのまま教会まで行ってシスターが”ランスロットさん、友達がこんなに沢山いるなんてステキ! 結婚して!”と言ってくる展開を希望。
「山野ガウェインです。特技はサッカーです。皆様、どうかよろしくお願いいたします」
ニコッ!
ガウェインはニコポッを使った。ガウェインの周囲にキラキラと光る謎の粒子が舞う!
教室内の女子生徒は全員メロメロになった!
『キャアアアアアアア!!!!!』
あるぇ? 何か俺の時より凄いんだけど? あれ? え? どういうこと?
なんか俺の時と違ってマジっぽいんですけど?
「岸野アルトリアと申します。不慣れな事も多く、皆様にご迷惑をおかけしてしまうことがあると思いますが、皆様、どうかよろしくお願いいたします」
『ウオオオオ!!』
天使の輪と翼を隠し、人間に擬態したアルトリアが丁寧なお辞儀をすると、教室の数少ない男子達が野太い声で歓声を上げた。
…高校生にもなって、まだ可愛い女の子と付き合えるなんて妄想しているのか。お前達が可愛い子が好きでも、可愛い子はお前たちのことを好きになったりしない。
”ただしイケメンに限る”と言う格言の通り、現実は常に残酷なもんだ。俺はイケメンだからシスターさんと付き合える筈だけどな! 多分、いつか、きっと。
「あ、天野夕麻、です。り、料理が得意です。よろしくね」
『ウオオオオ!!!』
レイナーレが偽名で自己紹介。これまた野郎共は歓声を上げた。
レイナーレは俺にビビら無くなったかと思えばそうでもなかったらしく、俺の方を偶にチラ見しながら警戒してる。そんな様子が野郎共にはシャイな女の子にでも映ったのだろう。でも、こいつもう彼氏持ちだから。万一も無いから。
そして、その彼氏の兵藤一誠の顔がウザい。何あの顔。鼻の下をだらしなく伸ばして幸せ満天笑顔しやがって。今すぐ爆発しやがれ。
「我、オーフィス」
『……』
オーフィスの簡単すぎる自己紹介に教室は静まり返る。ヒソヒソと”何で小学生が此処に…”とか、”…ロリっこ萌え”とか”…え、それだけ?”等々。
いかんな。これではボッチ道に入ってしまう。此処は俺がフォローしなくては。あと、ロリっこ萌えって言ってたメガネ。後で屋上な。
「好きな食べ物は?」
「アイス」
「美味しいものは?」
「沢山食べたい」
「友達は?」
「いっぱい欲しい」
おう、良い感じだ。チラッとクラスの様子を伺えば”オーフィス可愛い、萌え死ぬ”見たいな雰囲気。
これなら友達出来るだろ。ただ、萌え萌えいっとるメガネはダメだ。危険すぎるぞ、あれ。
『キャアアアアア!!!』
煩いくらいの歓声が起きた。これなら俺はもう必要なさそうだ。これからオーフィスは、クラス1のカワイ子ちゃんとして可愛がられることだろう。
ちなみに何で同じクラスに5人も編入して大丈夫かというと、そりゃ魔法的な奴で誤魔化しているからだ。そして、人数の調整の為に、5人ほど別のクラスに行ったから人数で不審に思われることも無い。
「お~い、うるせーぞ。いくら転校生が5人来たからって騒ぎすぎだぜ?」
教師にあるまじきチャラい言動の男が現れた。
その男はウザい顎鬚を生やし、前髪の一部の色を変えてるダラシナイ雰囲気のまるでダメっぽい男、堕天使の総督、アザなんとかだった!!
「アザゼルな、アザゼル。あんま舐めた口利いてると直ぐ退学にしてやんぜ?」
「はぁ? 何言ってんのお前。というか、部外者が学校来るなよ」
「はっ! まだ気付かねーとは、マヌケな奴だな」
勝ち誇った面で書類を見せてくるまるで駄目な顎鬚のオッサン。
受け取った書類には、このクラスの担任の欄に、この俺の目の前のオッサンの名前が記入されていた。
「はぁ!? こいつが教師ぃ!? しかも、担任って、これ決定した連中気が狂ってんの!? この顎鬚の何処を敬えっての」
「はっはっは、…殺すぞ」
「お? やるか?」
俺に殺気を向ける顎鬚に、此方も殺気で返す。
丁度良い。元々気に入らんと思ってた奴の抹殺だ。
切り刻んで、粉切れにして、土に埋めて、小便かけて、墓穴には”アホゼル此処に眠る”って書いてやんよ。ちなみに犬の墓の隣な。
「…フッ」
にらみ合っていた顎鬚が、急に笑い出した。
何だこいつ気持ち悪っ。何かの病気か?
「ランスロット」
「なんだよガウェイン。このオッサンをこれから抹殺するんだよ。邪魔を…」
「周りを見てみろ」
「?」
ガウェインに言われ周りを見ると、そこには怯えた表情のクラスメート達が! 特に、前の席の子達は全員気絶してる。
え? やばくね?
「…くっくっく」
「な、顎鬚! 貴様!」
この野郎、図ったな!!
口を押さえて堪え切れんといった様子で笑いを噛み殺す顎鬚。
「ばーか!! コレからはビビられながら学園生活を楽しめよっ!」
「ぐ、ぐ、ぎぎぎぎぎ…!!!」
「抑えろランスロット! 気を静めろ!」
この腐れ堕天使が…!! 俺の気で校舎が揺れているが、抑え切れん…!! 今すぐこいつを斬り捨て御免したい…!!
◇
あの後何とか我慢し、今日の授業が終わり放課後になった。
俺の席は窓際の一番後ろ。ガウェインたちは前の方に固まってる。あの顎鬚、明らかに俺をターゲットにしてやがる。
「はぁ! おまっ、暫く休んでたと思ったら、そ、そこまで…!?」
「ふっ、そうだ。松田、元浜。俺はお前らとは比べモンにならねーくらい先に行っちまったぜ…。なっ、レイ…っと、夕麻」
「ええ。…イッセー君…」
「うわぁああああん!!! 裏切り者ぉおおお!!!」
「馬鹿イッセエエエ!! 死ねぇええええ!!」
「…イッセー君」
「…レイナーレ」
黒板付近で始まったリア充自慢に、坊主頭とメガネが血涙を流すけどバカップルは聞いちゃいない。ホント爆発しないかな。
「……」
顎鬚と睨みあいをしたことによって、一般人のクラスメイト達からはすっかり恐怖の対象となった俺。
ガウェインたちは次々とクラスメイト達に話しかけられ、友達いっぱいな青春してるというのに、俺はボッチ。
クラスメイト達は俺が話しかければ何時ぞやのレイナーレの様にビビって逃げ出す始末。
そんな俺の前に、何故かオーフィスがいる。いくら席順が俺の前だからってずっと一緒にいる必要もないだろうに。
「オーフィス、俺に構わんでも良いぞ。話して来いよ」
「ランスロットは?」
「ん? 気にするな。友達、つくるんだろ?」
「…」
そう言っても、俺を見上げるだけで席に着いたまま動かないオーフィス。
数秒見詰め合っていると、やがてオーフィスは口を開く。
「我、1人ではリア充にならない」
「! いや、でもな」
俺の言葉を遮るように、静かに首を振るオーフィス。
「ランスロットもいっしょ」
オーフィスは、そう言ってふわりと微笑んだ。
「ぶ、ブヒィイイイ!! もえぇえええ!!!」
「元浜、しっかりしろっ!! 元浜ぁあああ!!」
盗み聞きしてたらしいメガネが鼻血を噴出し、坊主が叫ぶ。外野が煩いが、そんなものは気にもならない。
な、なんて、なんてええ子や…!! か、感動した…!! これでロリじゃなかったら惚れてたぞ…!!
目頭が熱くなる。涙が出そうだぜ…!
い、いかん…! たかが初日でミスったからって、何を諦めてんだ、俺は…!!
このままじゃ、俺のせいでオーフィスまでボッチだ。2人揃って2人ボッチ。ボッチとボッチで特殊フィールドを形成して誰も話しかけなくなっちまう。
俺が、学校生活経験者の俺がしっかりしないと!
「ランスロット卿はいるかい?」
気合を入れなおし、立ち上がった瞬間に現れる声。
3勢力の同盟の会談でスゲー顔芸していた銀髪の野郎だ。
俺を見付けて嬉しそうに微笑みながら歩み寄ってくる。その姿は何故か制服姿。
「お前は…」
「自己紹介がまだだったな、俺はヴァーリ・ルシファー。今代の白龍皇だ。一年に入学させてもらった」
「…ランスロットだ。…何しに来た?」
白龍皇とは結構なビックネームだ。その名前を聞くと大抵の連中が畏れる。
一誠の持つ赤龍帝の篭手と対を成す神滅具、白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の遣い手。
そんな奴が、本来ライバルになるはずの一誠ではなく、俺に用。嫌な予感しかしない。
「アルビオン、久しい」
『オーフィスか。何年ぶりだったか…』
オーフィスは警戒する様子も無く目の前のこいつに話しかける。そして、それに答える白龍皇の光翼に宿るドラゴン。
お前ら少しは人目を気にしようぜ。
「どうだい、ランスロット卿。俺と…」
オーフィスとドラゴンの会話を気にもせず続けるヴァーリ。
何だろう。凄く嫌な予感がする。やばすぎてこの場から消えたいくらいの…。
「や ら な い か ?」
「お断りします」
「はやっ!」
何か驚いてるけどこっちが吃驚だわ。何言ってるのこいつ。滅茶苦茶やベーよ。べーよ、まじべーよ。
今までで一番逃げ出したいと思ったわ。顎鬚の次はホモって何? 堕天使の陣営って碌な奴いねーの?
「待ってくれないか、白龍皇」
「…君は」
今度は金髪の悪魔が現れた。コスプレ悪魔の眷属の1人だった筈。
俺たちのことを殺気が篭った目で見てきた奴だ。
…なんだろう。また嫌な予感がする。
「僕は木場祐斗。彼は、…ランスロット卿は渡さない。僕が先だ」
「へぇ、君程度が? 手が震えてるよ」
「くっ、それでも彼は渡さないっ!」
…何これ。イジメ?
何か女子達が嬉しそうにこっち見てるね。そうだね、チヤホヤされたかったけど、これって明らかに違うよね。
「待っていただけますか? ランスロットとやりたいと言うならば、私が相手になります」
「! これはガウェイン卿。丁度良い、貴方ともやりたかった」
「! 白龍皇、ガウェイン卿にまで手を出す気か!?」
ガウェインまで参戦してきやがった。
女子生徒たちが騒いでる。”4角関係、男1人の取り合い?!””木場きゅん頑張って!””ランスロットさんマジモテモテ! 腐腐腐腐!”だとさ。
俺の学園生活………オワタ!!
ランスロットはめのまえがまっくらになった!
どうせ続かないとか言いつつ続いてるけど
ばらしても問題ない、どうでもいい設定集
・泉野ランス(ランスロット)
泉野→泉の→湖と連想ゲームみたいに安直に苗字を決めた。日本人っぽくしといたほうが親しみやすいだろうという考え。
入学してから腐女子に大人気に。その他には恐がられる。
オーフィスを妹のように可愛がり始めた。
何かあるとシスターさんのところで包帯を巻いてもらって現実逃避する。
・シスター(ギネヴィア)
ランスロットの精神安定剤的な人。
最近教会にシスターさんが1人増え、色々と充実してきてる。
・変態ロリコン(神父)
オーフィスを我が物にしようと画策する危険人物。
ランスロットがコスチュームプレイでオーフィスに制服を着せてると思ってる。
・山野ガウェイン(ガウェイン)
山野→山の→Sunの→太陽の
ランスロットと一緒に暮らしている騎士(?)
どんな料理も同じように食べるため、ランスロットは激おこぷんぷん丸。
・もうロリコンでもいいや(オーフィス)
ランスロットの影響か。それとも作者のせいか、ちょっぴり感情豊かになってる。
意外とお礼や恩を重要視してるため、ランスロットを見捨てない。
・リア充男(兵藤一誠)
DTを捨て去った男。…爆発しろ。
実は、禁手化ももう出来る。だってDT捨てたから。…爆発しろ。
・天野夕麻(レイナーレ)
アザゼルへの想いを完全に振り切ったレイナーレ。
ランスロット相手にも、少しずつ余裕を取り戻しつつある。
・岸野アルトリア(アルトリア)
岸野→騎士の
いつランスロットがオーフィスに手を出すか、ちょっぴり期待してる耳年増さん。
ご飯食べたくて堕天しかけた。リア充たちを純粋に応援してる。
実はエクスカリバーを一本持ってる。
・顎鬚(アザゼル)
ランスロットへの嫌がらせが出来て嬉しい総督。
事あるごとに仕掛けてくる予定。
ランスロットたちのクラスの担任。
・戦闘狂(ヴァーリ・ルシファー)
ランスロットにホモと疑われてる人。
一応、一般人の前で余計な事を言わないように注意した結果がアレ。
1年の塔城小猫と同じクラス。
・飲み込んで僕のエクスカリバー(木場祐斗)
原作がちょっとあれな扱いだから、ついアレっぽくされちゃう転生悪魔。
ランスロットの聖剣を折ろうと必死。でもアロンダイトは堅くてよく斬れるが売りの聖剣で、折れて分かれたエクスカリバーとは比べ物にならないほど堅いため折れない。