転生先は異世界―あ、これチートだわ―   作:Anonyme

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第一章―転生―
00.プロローグ


『ごめん、間違えちゃった☆』

 

 

 目が覚めた睦月(むつき)夕日(ゆうひ)に発せられた最初の一言がこれだ。夕日の目の前には白い衣を(まと)った一人のおっさんが突っ立っている。

 周囲の景色は白い光で包まれており、どことなく暖かさを感じる。家具などは一つも存在せず、悪くいえば殺風景な部屋だが壁などは存在しない。

 夕日はここに来る前の出来事を思い出す。ユウヒはどこにでもいる高校三年生であり、学校の帰り道で急に意識を失ったかと思えばここに来ていた、以上。

 

 

「えっと、もう少し説明をしていただいてもよろしいでしょうか」

『ああ……そうじゃったな。夕日くんを間違えて殺しちゃったんだ☆』

「…………は?」

『いや、だからそのままの意味じゃよ。わしは神で本来寿命で殺すはずだった予定の人がいたんだが、間違えてその隣にあった夕日くんのロウソクを消してしまってな?』

 

 

 自称神が指をパチンを鳴らす。夕日と神の間にはよく占いとかで使われるであろう水晶程の大きさの白い球体が現れる。そこにはテレビのように景色が映し出され、数本のロウソクに一つ一つに名前が書かれある。

 そこには勿論(もちろん)夕日の名前もあり、ロウソクに火は灯っていない。殺すはず予定だった人がこの人と神が夕日の隣にあったロウソクを指差した。

 

 

「納得できるか馬鹿! 俺の命返せよ!!」

『いやー、本当にすまんすまん。それが無理なんじゃよねー』

「はい?」

『いや、一度死んだ者は生き返らすことができないのがこの世の(ことわり)。まぁ、それを決めたのもワシなんじゃがのぉ!」

「お前かよ! ちょっとまて。そしたら俺はどうすりゃいいんだ?」

『仕方がない奴よのぅ……別に生き返らすことはできないが、転生くらいならさせてやろう』

 

 

 おい、さっき間違えて殺したのどこのどいつだ……仕方なくって言ったって生き返らせることができないならおっさんの責務じゃねえかと夕日は心の中で突っ込む。

 しかし、転生か……それも悪くない。産んでくれた母親や家族達に最後の挨拶を出来なかったのは申し訳なさがあるが、全部このおっさんのせいだと責任を全て神に負わせる。

 

 

「分かった、その条件を呑んでやろう」

『ほう、本来であれば自分の死を泣き喚く者が多いんじゃが、随分落ち着いてるのう。本当に高校生か貴様は』

「いや、いろいろと突っ込みたいところはあったけど、もうなんでもいいや……早いところ転生させてくれよ」

『まぁ、待て待て。仕方なくと言ったが、流石にワシにも罪悪感という物がある。そこで転生する前に特典を授けよう』

 

 

 そういうと、神はもう一度指を鳴らす。先程より小さい球体――ビー玉程の大きさぐらいの物が現れる。ただのビー玉だと言われても信じそうなくらいの物。これのどこが特典だと言うのだろうか。

 夕日が疑いの目をかけていると、そいつを飲んでみろと神が促してくる。結構大きい物なのだが、喉に詰まったらどうしてくれるかと思うが、もう死んでるのだろうからそんな心配はないかと思い、ビー玉を手で掴んで口の中へ放り込んだ。

 特に味はしない。本当のビー玉のようなものだ。ゴクリと飲み込むと、スムーズに喉を通過した。

 

 

『君の転生先は剣と魔法がある世界だ。そこにはステータスと呼ばれるものが存在しており、一人ずつ別々の能力が備わっている。君が元いた世界に存在するRPGというゲームと同じものだと思っていい』

「それでさっきのビー玉みたいな奴は?」

『分かりやすく言えばチートを与える飴玉みたいなものじゃよ。いろいろと授けたんじゃが、説明するのも面倒だからあっちの世界で自分の目で確かめてくれ。心の中でステータスと念じれば自分の目の前に現れるはずじゃ』

「急に丸投げするなよ……まぁ、いいか。早速飛ばしてくれ」

『ホモはせっかちじゃのう……』

「ホモじゃねえよ、はよしろや」

『分かった分かった。それじゃあ行ってこい』

 

 

 神が再び指を鳴らすと夕日の視界は暗転した。

 

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