転生先は異世界―あ、これチートだわ―   作:Anonyme

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13.プチデート

 商人の家を後にしたユウヒとアイリス。

 住居が決まったため、次は服を買いに来ていた。ユウヒの服ではなく、アイリスの服だ。血が滲んでる服をいつまでも着ているのは嫌だろう。アイリスは美少女と言える程の容姿であり、どんな服を着せても似合いそうだ。

 

 とある店へと入ると、アイリスは目を輝かせている。

 やはり女の子だなと思いつつも、ユウヒはその姿を見ていた。

 

 

「好きなの選んでいいよ」

「え、でも……」

「いつまでもそんな恰好させるわけにもいかないよ。これから必要になってくるしな?」

「それはそうですが……」

「金はこれからの働きで返してもらうから、遠慮する必要はないよ」

 

 

 アイリスはその言葉を聞いて頷いた。ユウヒとしては別に返してくれなくても気にしないが、こうしなければアイリスが納得してくれないだろう。

 やはり年頃の女の子なのか、いろいろな服を手に取る。フードの下は目を輝かせた満面の笑みが広がっているのだが、それが見えないのは残念である。

 

 上を七着、下を四着程と中々の量を選んだアイリス。

 マントを着た子供二人組が入ってきたのを見た店員は何とも言えない表情をしていたが、それらをレジに持っていくとお得意様を獲得したかのように商売人の表情になっていた。

 ユウヒは銀貨一枚を取り出して会計を済ませる。まだまだ資金には余裕がある。

 

 服を買い終えて店を出た。服は皆に目がつかないところに移動した後に異空間へとしまう。アイリスには見られたが、従者だから問題ないだろう。

 次にどうするか迷っていたところでアイリスがお腹の音を鳴らした。

 

 

「あう……」

「そういえば腹が減ったな。飯行くか……」

「申し訳ございません……」

「いや、俺も減ったから気にするな。お勧めの店があるんだ、行くぞ」

 

 

 ユウヒはアイリスの手を取ると、ディアル達に教えてもらった店――喫茶店リアルへと向かった。

 実はあれからユウヒは毎日喫茶店リアルに通っていた。食べる料理は前世でいうカレーライス。この世界ではカリフと言うらしい。ディアル以外に常連客がいない事もあり、今ではもうユウヒも常連客扱いである。

 

 幸い現在地から近い場所にあったため、すぐ喫茶店リアルへと到着する。

 店内へと入ると、いつも通りアンが接客をしてくれる。

 余談ではあるが、リアルというのは家名であり、一応貴族の娘らしい。そんな事よりも名前が『アン・リアル』という何とも非現実的な名前をしている事に笑いそうになったユウヒである。

 

 

「あら、今日は一人じゃないんですね」

「俺がいつも独りぼっちみたいな言い方やめてくれ。いつもの二つ頼む」

「実際問題、独りぼっちだったじゃないですか。カリフ二つですね、かしこまりました」

 

 

 そう言いながらも裏方へと戻るアン。確かにあれから毎日来ていたユウヒであるが、初日にディアル達と来た以外は一人だった。

 今まで同年代の友達と呼べる存在もおらず、話しかけたことすらないユウヒであったが、今日初めてアイリスという同年代と知り合うことができた。

 自分がどれだけ独りぼっちであるかを再確認して寂しさを感じているようだ。

 

 

「さてと、これからだけど、家できるまでの宿を探そう」

「何から何まで申し訳ないです。まさか家まで建てて頂けるとは……」

「いや、そのうち王都に土地を持とうかと思ってたから、その時期が早くなっただけだよ」

 

 

 今はまだ五歳であるが、十歳となり学校へと通い際に必要となると考えていた。親離れをしなければならない点もあり、遅かれ早かれ買おうと思っていたためいい機会だっただろう。

 

 ユウヒとアイリスが話していると、食事が出来たようでありアンが運んでくる。

 ユウヒ達以外に客がいない――というか、ユウヒはこの店にディアル達以外が来ていることが見たこともなく、注文次第すぐ料理に取り掛かるため作り終えるのが早い。

 

 

「カリフでございます」

「ありがとう。あ、アン、ここらへんでお薦めの宿屋はあるか?」

「ちょうど向かい側に知り合いの叔父さんの宿屋がありますよ」

「俺じゃなくてこの子が泊まるんだが、あまり個人情報を詮索しないのと女の子一人でも大丈夫なところがいいんだが……」

「それでしたら叔父さんのところで大丈夫ですよ。喫茶店リアルのアンから紹介されたと叔父さんに伝えてください」

「そうか、ありがとな」

 

 

 ユウヒがお礼を言うと、アンは一礼した後に再び裏方へと戻っていった。

 アイリスはカリフを食べると、おいしいと絶賛し始める。奴隷として扱われてきたアイリスはまともな食事を食べてきていなかった。

 パン一つなどといった栄養を全く考えられておらず、飢え死ぬ事だけをしのがせるための食事だった。

 アイリスはカリフを味わって食べており、それを見たユウヒはこれからたくさん美味しいものを食べさせてやろうと思うのであった。

 

 

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