夕日は目を覚ますと、全く見覚えのない天井が視界に映る。寝起きだからか少し視界がぼやけているのだろう。何度も瞬きをすることによって視界を調整しているようだ。
つい先程起こった出来事を思い出し、ここが転生先の世界という事を把握する。夕日は今赤ん坊という状況であり、赤ん坊用に作られたと思われる小さな布団で寝かしつけられていた。
「あーうー」
声を出そうとした結果がこれだ。思うように声が発せられず、何とも舌足らずな声が発せられる。
これはどうするべきかと考えた時、どこからか足音が鳴り響く。どうやら夕日の声に誰かが気付いたようだ。
上から覗き込まれるように一名の女性が顔を出してくる。
肩まででカットされた黒い髪。白いカチューシャをつけ、黒い服の上には白いエプロンを身に纏っている。そう、いわゆるメイド服というやつだ。
そのメイド服を着た女性は夕日を見るなり、驚いたように目を見開いた。
「ご主人様ー!」
驚いた次は大声で主人を呼ぶように声を発する。その声に反応したのだろうか、二人の男女が夕日がいた部屋へと入ってくる。
「どうした、リアよ」
「そんなに慌ててどうしたの?」
リアと呼ばれているメイドに続いて、新しい両親が夕日の顔を覗いてくる。二人とも目を見開いて驚いた後、すぐに喜びの声を上げた。
無理もないだろう、この世界の夕日は産まれた後すぐに寝てしまったらしい。それから起きることなく三日間寝続けていたため心配をしていたそうだ。
家庭状況を整理すると、夕日はとある田舎貴族の生まれらしい。一応貴族という事から生活には不満なくやっていけるだろう。
父親の名前はシン・シルフォード、適正魔法は風。年齢は三十二で黒髪の短髪であり、剣士をやっている。世間一般で中級者程度の実力である。
母親の名前はアリア・シルフォード、適正魔法は水と風。年齢は二十七で黒髪の腰まであるストレート。上級魔術師である。
この世界での夕日の名前はユウヒ・シルフォード。前の世界と名前は同じである。両親から授かった黒髪が特徴だが、この世界では黒髪は特に珍しいものではない。
メイドの名前はリアであり、基本的に貴族以上の民でないと姓はないということだ。
ユウヒの家族情報はだいたいこんなものだ。
早速神から言われたようにステータスを開いてみることにした。
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名前:ユウヒ・シルフォード
レベル:1
MP:100
スキル:
・神の恩恵
・魔法創造
・物理創造
・言語理解
・無属性魔法Lv1
・火属性魔法Lv1
・水属性魔法Lv1
・風属性魔法Lv1
・土属性魔法Lv1
・光属性魔法Lv1
・闇属性魔法Lv1
・剣Lv1
・槍Lv1
・弓Lv1
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ユウヒはこの世界の知識がない今、どこがチートなのかよく理解していない様子だ。赤ん坊でも父親達が話してる内容が分かるというのは、スキル《言語理解》というのが発動してるからである。
この世界の情報が欲しいユウヒだが、赤ん坊のままじゃ何もできないだろう。剣と魔法の世界で暮らしていく以上鍛えるのは必須な行為だ。身体が動かせるようになったら軽い運動を行い、魔法も打ってみたいなとさまざまな事を考えているようだ。
これからやる事はたくさんあると思いながらも、睡魔がユウヒを襲う。赤ん坊の身体という事もあってかその睡魔に耐え切れず、ユウヒは再び眠りについた。