ユウヒは早速ゴブリンを狩りに森へと向かった。
森は王都から西側にあるギルドを越え、さらに外壁を越えたところにある。ゴブリンの生息地は森に入ってすぐの場所だ。
ゴブリンはFランクから狩ることが出来るモンスターであり、冒険者入門としてよく狩られているモンスターだ。ゴブリンはいくら倒しても減らないことで有名であり、定期的に倒さなければとんでもない量となってしまうためいけなくなる。
ユウヒが森に入ると、すぐにゴブリンの群れを見つけた。草木に隠れながらゴブリンの群れを観察し始める。
本来ならばゴブリンの群れはこんな浅瀬にはいない。群れとなるともっと奥部で活動しているはずだが、浅瀬に何か用があったんだろう。
ゴブリンの群れの討伐ランクは一つ上のEランクと設定されており、二人以上のパーティーメンバーで倒せる。ゴブリンは他のモンスターに比べて知識を少々持っており、それが群れとなって連携があると少々厄介な敵となる。
しかし、ユウヒはそんなこと気にも止めず、むしろ探す手間が省けて助かったと思っている。ゴブリンの群れは合計で七体おり、ゴブリンはまだユウヒの姿を視認できていなかった。
ユウヒは異空間から一本の刀を取り出す。自分用に作った子供用サイズの片手剣である。アビリティは付与されていないが、国宝級の剣と肩を並ぶ最高の切れ味を持っており、大木でも一刀両断にしてくれるだろう。
ユウヒはゴブリンの群れの背後へと転移し、一気に畳みかける事にした。ゴブリンはまだユウヒには気づいていない。
現在ユウヒの剣Lv9であり、Aランクモンスターと対峙しても勝てるレベルの実力だ。わざわざ背後を取らずとも、真正面から突っ込んでいっても勝てるだろう。
剣を軽く構えて一歩踏み出すと共に、ユウヒの姿はその場から忽然と消えた。姿を現したかと思えば、ゴブリンの前方に立っており背を向けている状態である。スキル《転移》を使用したわけではない。正真正銘、ユウヒの身体能力であり、そこに無属性魔法《身体強化》を加えただけだ。
この時初めてゴブリン達はユウヒの姿を視認できた。だが、既に戦いは終わっていた。
ゴブリン七体の頭がほぼ一斉に地へと転がるように落ちる。本来であればゴブリンの体液で剣が汚れているはずだが、体液が一滴とすら付着していない。
いくら剣Lv9であろうと、こんな芸当をそう簡単にできるはずもない。
レベルに加え、ユウヒ自身の技術もあってこその芸当だ。五歳なのにここまで剣を磨き上げ、魔法も得意としている……まさにチートである。
ユウヒは踵を返す。剣でゴブリン全員の耳を乱雑に剥ぎ取り、全部で十四個の耳を手に入れた。今回必要なのは十個であるが、残りは買い取ってもらえばいいだけの話だ。
あらかじめ用意しておいた普通のリュックにそれらを放り込むように入れる。利便性を言うと異空間に入れればいい話なのだが、ギルド内で異空間から取り出す行為をしてしまえば注目を浴びてしまうため、普通のリュックを使用したという事だ。
「帰るか……」
他に誰かいるわけではないが、あまりの簡単な初依頼に面白味のなさにそう呟くユウヒであった。