もしも、タツマキがヒロインをしたら?   作:ミミヤヤ

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初のヒーロー、シオンの力

 空は雨模様。天からは水という恵みがもたらされていた。

 

 そんな人によっては良天候とも言える日、一つの騒ぎが一つの市――B市を騒がせていた。

 

 「……ヒーロー、ねえ。これが……?」

 「あ、あはは。まあマキたんは苦手かな?」

 

 そんな騒ぎの中心は、勿論のことこの物語の中心人物であるシオンとマキたんことタツマキだ。

 騒ぎというのは怪人が現れたのだ。ヒーロー協会が出来てからまだ両手で数え切れる程しか起こっていない怪人の出現。その一つにタツマキは暇だったから、という理由で現場へ行き。そして怪人を瞬殺した。

 方法は簡単。『瓦礫を浮かす→超スピードでぶつける』だ。強力な超能力があれば誰でも出来る瞬殺技術。まあ、その強力な超能力はタツマキしか持っていないのだが。

 

 いや、もう一人いる。

 

 「でもさあ、マキたん。うっかりで自分にかける超能力解かないでよ……」

 「い、いいじゃない! 初めてだったんだから少しくらい緊張もするわよ!!」

 

 ガルル~、とでも言うかのように唸るタツマキに苦笑いで返すシオン。

 

 「にしても、あんたの“重力操作”だっけ? 便利なものよね」

 「そう? それいったらマキたんの方が応用の幅が広いし強力じゃないかな?」

 

 実は、シオンも超能力者なのだ。この世で少ない超能力の持ち主なのだ。その内容は“重力操作”。

 タツマキが自身を浮かすという効果をうっかり切ってしまった際に助けた方法は単純だ。タツマキの周囲を無重力状態(・・・・・)にするというもの。重力を操る。単純故に強力だ。だが、それでもタツマキとどちらが強いか聞かれればタツマキと答えるだろう。

 

 「それで、これからどうする?」

 「帰る」

 

 沈黙が走る。

 訂正。周囲の怪人に襲われる寸前だった民衆は喧しく騒いでいた。

 

 「えっと……宣伝とかはいいの?」

 「面倒よ。それにヒーローってそういうのじゃないわ」

 

 そりゃごもっともで、と苦笑いをするシオン。彼は何と言うか苦笑いが似合う人物のようだ。

 タツマキの提案でこれからのミッションはこの民衆から抜け出して帰るというものに変更された。普通ならばどうしようかと悩むものなのだが。あいにくと、この二人はそのような悩みとは無縁のようだ。何故ならば、

 

 「じゃあ、今度はうっかり切らないようにね」

 「分かってるわよ!! それにさっきのが初めてなんだから!!!」

 

 空を浮かべばいいのだから!

 ああ、実に楽であろう。民衆に囲まれている? だからなんだ、空から行けば関係無い。まさにそうだ。

 ここで注目しておこう。タツマキは浮かんで移動が出来るのは分かるであろうがシオンが浮かんで移動出来る理由だ。無重力とはいえ、自由に移動できるカラクリはそれ自体にはない。その状態ではただプカプカと浮かんでいるだけだ。

 宙を移動する。これにはちょっとしたコツがあったのだ。そのコツは、自分が進みたい方向を無重力状態にし、後ろから徐々に無重力状態をシオン自身を押し出すように解除することでその方向へと進んでいるのだ。その際、身体が逆さまにならないようにそこも重力で調整。

 言葉で表せば簡単に思えるが、実際に行うのはとても難しい。その証拠に、

 

 「……あっ」

 「ちょ、ちょっとシオン!? どこ行ってるのよ!?」

 

 少しミスると見当違いの方向へと馬鹿みたいな体勢で出発。そこから元の体勢に戻り方向を調整するのは至難の道だ。

 

 結局、一度降りる必要があるようで。何故か自宅はX市にあるにも関わらずB市からZ市へと行ってしまったシオンとタツマキであった。

 

 




お久な投稿。お待たせしました。もう片方の作品の執筆に追われてました。

三話目にしてシオンの能力公開。
次回、Z市に住んでいるあいつと言えばぁ?
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