空に浮かびながら、Z市へと流れ着いてしまったシオン。そして、それに慌てて着いてくるタツマキ。
「……どうやって降りるのよ」
「う~ん、いっそ無重力状態解いちゃって一気に落ちちゃおうかな?」
「それ大丈夫なの? ここ結構高いのよ?」
「大丈夫大丈夫。地面に近くなったらまた無重力空間を展開すればいいから安全」
「そう、じゃあさっさと落ちて。私は家に帰るわ。朝から怪人なんかを相手にしたから少しお腹が空いた」
「分かった、落下中に昼の献立でも考えておくよ。じゃあね」
身体を空中で逆さまになりながらも手をタツマキに向けて振ったかと思うとさっきまでいた空中の地点からシオンの姿が消えていた。能力を解除したことで下へとかなりのスピードで落下しているのだ。
「……大丈夫かしら」
べ、別に心配なんかしてないんだけねっ、と誰に言っているのか分からない言い訳をするタツマキだった。
「うっわぁ、これは中々怖い」
現在絶賛落下中であるシオンは天高くからの命綱無しのスカイダイビングに股間の辺りをキュッとさせていた。
標高約一〇〇メートル程から落下するなど、自殺願望でもなければ常人であればしようなんて思わないであろう。だが、あいにくとシオンは常人ではなかった。“重力操作”という超能力を持っているのだ。まあ、その発動タイミングを間違えれば即人生からリタイアなのだが。だからこそ、シオンは少しビビッているのだ。
そんな時だった。地面までの距離は先ほどまでの位置の半分もないほどの高さの時だ。カラスが猛スピードで飛んできたのだ。その進行方向はシオンに向けてであり、そしてそれにシオンは気づいていない。
そうなると、やはりというかシオンとカラスは衝突するわけで。スカイダイビング中に着地タイミングを計っていたシオンはその急な衝撃に驚愕し、姿勢を崩してしまった。
(……しまった)
そう思った時には既に遅かった。今の今まで落下速度を抑えるように手を広げて地面と水平の姿勢を保っていたのだが、カラスのぶつかったことでその姿勢は崩れて地面と垂直な姿勢に。そうなると、落下スピードは猛烈に上がってしまう。その事実にシオンが気づいた時には既に、コンクリート製の冷たい地面までの距離は残り五~十メートル程しか存在しなかった。
地面にぶつかるまでの時間はあと一秒もないだろう。そして、不幸なことにシオンの能力は単純で強力ではあるのだが発動には一秒~二秒は時間が必要であり、恐らくシオンの身は無事では済まないだろう。
そう悟ったシオンであったが、とりあえずせめてもの恨みと思いぶつかってきたカラスを衝撃を一番受けるであろう自分の下という位置に持ってくる。そして襲ってくるであろう痛みに備えた。
ドグシャァッ、とカラスが潰れるのを感じたシオンは今度は自分かと思ったその時だった。
「うぅおおおおおお!!!!」
そんな気合の入った声が耳に入り、その瞬間自身が誰かに抱えられるような感覚を受けた。
ズザアァっ!、とシオンと謎の男の人物はコンクリートの地面を滑っていく。
「痛てて、おい、大丈夫か?」
「……え、あ、はい。えと、ありがとうございます」
自分を助けてくれた黒髪のジャージ姿の男にシオンは困惑しながらも感謝を述べる。困惑するのも無理はない。何せ、標高百メートルから落下してきた自分を
「いや、別にいいさ。それよりお前、なんであんなとこから落ちて来たんだよ」
「あ~、それには理由があって……。ははは、とりあえず自己紹介をするよ。俺はシオンっていうんだ。助けてくれてありがとう」
「自己紹介か、就活以来だからなぁ。簡単でいいか。俺は
それが、サイタマとシオンの出会いだった。
「あ、それと俺はこれでも23歳だから」
「なにぃっ!?」
まさかの自分より一歳年上という真実に驚きを隠せないサイタマであった。
見たか諸君!!!!
“ワンパンマン10巻の表紙”を!!!
見ていない者はすぐさま書店かコンビニへゆけ!! タツマキ様が待っているぞぉおおおおおおおおおおおお!!!(自分は発売日当日に買いました)