Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

11 / 106
10話決着の時(前半)

秋瀬と正輝の二人は空から落ちてゆき、廃ビルの屋上にぶつかって死ぬかと思っていたが、奇跡的に生きている。

 

「大丈夫か…秋瀬」

「う、うん。でもこの場所は一体」

 

3週目の世界に2人がいる。ぶつかった衝撃の際に二人とも怪我をしていない。

 

「…秋瀬。どんな場所か知ってるか?」

「ごめん、分からない」

 

立ち上がって廃ビルから見渡すが、雨竜みねねと天野雪輝がどこにいるのかがわからないために見当たらない。

 

 

正輝は携帯を開いてこの世界の時間帯がどれくらい遡ったか確認した。2週目の世界と同様に7/28と記されているが、2年前までにさかのぼっていた。

 

「ムルムルの奴、確認せずにタイムリープしたな…」

 

 

2週目の我妻と雪輝が生きている以上、サバイバルゲームはまだ継続している。この3週目で決着をつけなければ正輝と秋瀬もまた標的にされてしまう。

「⁉︎なんだ!」

突然、爆発音が聞こえる。屋上から見ると学校から煙が上がっているのが見えている。

 

「あっちからだ!急いで降りよう」

 

正輝と秋瀬がたどり着いた時には、すでに雪輝、我妻とムルムルの対決が始まっていた。

 

学校は爆発によってボロボロ、雪輝は学校内で逃げ回っているのがわかる。

ムルムルは空中に浮いており、上空から狙って爆発させている。

 

「おい、秋瀬…もうすでに始まってやがるぞ⁉︎」

 

我妻がムルムルに指示を送って雪輝を追い詰めている。このままでは殺されるのも時間の問題だった。

 

 

*****

 

 

秋瀬は後から学校に向かい、正輝が先にたどり着いた。

 

正輝は雪輝一体どこにいるのかは辺りを見渡しても分からないが、上空にはみねねとムルムルが既に戦っている。

正輝は背後からムルムルに剣を投げつけて、爆発させた。みねねは剣が飛んできた方向に首を振り向く。

 

「誰だお前!」

 

みねねは秋瀬には会ったことはあるものの、正輝の方はお互い初見だった。その為にみねねは正輝に敵意を向けられるが、正輝はすぐに味方だと証明させる為に

 

 

「俺は秋瀬の協力者の岩谷正輝だ!それと…デウスから聞いてるかもしれないが…こっちもまた頼まれているから協力して奴を倒したい!いいか?」

「秋瀬と、デウスの協力者…?あんたがデウスの言っていた異端者ってやつか」

みねねはそう言うと正輝に敵意を向けるのをやめる。

話している間、ムルムルは正輝を狙って撃ってくる

「こっちはお前の援護をする!そっちは好きにやって構わない」

「わーった…けど足手まといにはなんなよ。それともしこっちに襲ってきたら」

「それはない、理由は…このムルムルには何度か恨みがあるからなぁ‼︎」

 

みねねが先頭を突っ切り、正輝はみねねの援護をする。

 

 

「ええぃ、異端者までもがここにっ!」

「悪いがさっさと倒されろ!」

 

ムルムルは正輝に向かって黒い球体を何度も飛ばすが、剣で斬り伏せる。黒い球体や、所持しているラッパで空気圧の高い空気砲を二人に飛ばす。正輝はそれを剣で防いでゆく。

防いでいる間は剣が壊れて続け、また投影を繰り返す。

 

「ええい、しつこい奴じゃ!いい加減くたばれ!」

「テメェがなっ!」

 

 

正輝に攻撃を向けている最中に背後からみねねがムルムルを蹴り飛ばす。

ひるんだ隙に正輝は投影した鎖でムルムルを拘束させる。

「しまった⁉︎正輝、きさまぁあっ‼︎」

「ぶっとばせ!」

 

みねねはトドメの一撃を拳に込めて、殴り飛し、地面に叩きつけられた。

ムルムルが倒れ、みねねが掴んでいる。

これで残りは我妻となった。みねねと正輝は屋上にいる我妻の方に向かい、持っているムルムルを下に投げつけた。

 

 

「どうした2nd。失恋でもしたような顔じゃねか?」

 

9thことデウスの力を与えられた雨流みねね。外部から異端者として出現した転生者、岩谷正輝。我妻由乃の目の前に二人が立ち塞がっている。

 

我妻の近くには巨大な球体があり、雪輝はそこに囚われていた。

「前から聞きたかったんだけど、お前達はなんでユッキーの味方をしてるの?」

「秋瀬とデウスに託されたからな。立場…いや、成り行き上もあるし、仲間の頼みっていうのもある。まぁ俺の方は託された意思って考えればいい。お前にとっては下らないだろうが、俺にとっては頼まれた以上はやらなきゃいけないからな」

「鳥は飛ぶ理由を考えて飛ぶと思うか?考えてねぇだろ?私も考えちゃいねぇよ。哀れだよ、素直に誰かを愛せないお前がね」

 

正輝は投影して剣を作り出し、我妻を殺す為に剣を向ける。まず先にみねねに協力する以上彼女が我妻を倒しても正輝にとっては構わない。あくまで援護である為にまだ手を出さなかった。

 

「さーてっ行くぜっ!お前を殴らないと気が済まないしなっ!」

「ムルムル!封印を解くわ!」

 

倒れていたはずのムルムルが急に立ち上がって、みねねの拳を掴む。

 

「こいつっ…まだこんな力を⁉︎」

 

ムルムルの目が赤くなってみねねに襲い掛かる。熾烈な攻防を繰り出しているものの、みねねが押されている。正輝はみねねを殺させないように後ろから狙っているものの、見事にかわしている。

みねねを凶暴な力で押し倒し、右腕を引きちぎられる。みねねが倒れてしまい、正輝だけが残ってしまった。

 

「なっこいつバーサーカーかっ⁉︎デタラメすぎんだよ‼︎」

 

みねねを地面に叩き落とした後に、今度は正輝を頭上から狙って襲ってくる。正輝とムルムルは身体能力はほぼ同等ではあるが、

「ガァァっ‼︎」

「どわっ⁉︎」

 

後ろに回り込まれて、不意打ちを狙って殴ってくる。

ムルムルはただ狂化されているわけではない。

油断すれば、不意をつけられて潰しにくる。

 

「器用な奴だな!熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!」

正輝は背後の攻撃をアイアスの盾を展開して防ぐが、今度は周囲に大きい岩を空中に浮かせて、押し潰そう飛ばしてくる。

 

(強力な宝具を使うかっ?いや、そしたら町ごと吹っ飛びかねない…ああぁもうクソッ!)

 

 

固有結界である無限の剣製を使ってムルムルを倒すことも可能だが、ここは3週目の世界。デウスも生きており、因果律を歪ませてしまえばまず異端者である正輝は捕縛されて消されることとなる。

「ガイッ!」

ムルムルは縄を正輝の右腕に縛り付けて、学校の壁に叩きつけられた。叩きつけられた壁は壊れ、地面に転がり落ちる。正輝は出血しているが、まだ生きている。

「野郎…マジでぶっ飛ば、なにいっ⁉︎」

休んでいる暇はない。

立ち上がった正輝のいる地面から巨大な怪物を出現して、食い殺そうとする。すぐさま宝具を投影して、 自衛のために巨大な怪物を撃破しようとする。

「偽・螺旋剣!」

 

化け物の口から爆発して、怪物は消え去られたが爆発で生じる煙から岩石が飛び出して襲ってくる。ムルムルが地面を砕いて、岩を空中に浮かせて押しつぶそうとした。まだ疲れ果ててはおらず、潰されない正輝にイライラして今度は野獣のように叩き潰そうと殴りかかってきた。

 

(とにかく、こいつ相手に延期戦はマズイ!撤退だ!)

 

姉からもらった閃矢の呪符を使い、真正面にいるムルムルに閃光を放つ。フェイントを使わないために必ず向かって襲ってくるからだ。正輝は攻撃しようとしたところを狙い、使った為にムルムルは避けきれずな飛ばされて壁に激突する。

(勝てない戦と負け戦は別だ!雨流には悪いが俺の方は撤退させてもらう…身体を休めてまた機会をうかがって様子を見るしかない)

 

ムルムルがひるんだ後、投煙球で正輝はこの場から去っていった。ムルムルは正輝を必死に探そうとするものの姿が見当たらず逃げられてしまう。

 

正輝のことは深追いしなかった。彼を追っても目的を遂行するのには時間の無駄だからだ。

正輝を倒す手段は幾らでもある。

みねねの引きちぎられた右手をムルムルが口に咥え、我妻は再起不能になったみねねを屋上から落とした逃げていった正輝のことは放って、二人は目的を遂行した。

 

 

 

*****

 

 

Q秋瀬は関与しないのでしょうか?

A未来日記の力もなくなった秋瀬がこれ以上雪輝を手伝おうとしても無駄に命を散らしてしまうだけです。

まず我妻に標的にされて殺されるでしょう。

 

 

Qみねねと正輝の二人で徹底的に潰せば勝機はあったのでは?

A確かに正輝が一方的にムルムルを潰すという手もアリですが、倒した後にみねねに怪しまれる可能性もあります。

デウスからは異端者の情報も教えられているはずですけど、託されたデウスの力以上を持っているとしたら怪しまれるのが普通です。

 

固有結界を使うわけにもいきませんし、だからと言ってそれ以外の宝具で消滅させるというわけにもいきません。援護という形で妥当となります。ムルムルの封印が解かれての場合もまた正輝単独で潰せますが、結界も使えず加減している以上力を存分に扱えません。ですのでジョセフの言う『逃げるんだよぉ〜』というわけです。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。