時間稼ぎを終えた正輝は頭上にいる3人を頭を上げて眺めている。
「あいつら、空を…」
フォニックゲインが尽きるまでカ・ディンギルを壊していた3人だったが、彼女らは生き生きとしており、フィーネの前にいる。
「みんなの歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる!クリスちゃんや翼さんにもう一度力を与えてくれる。歌は戦う力だけじゃない。命なんだ!」
「高レベルのフォニックゲイン、こいつは2年前の意趣返し…」
(んなこたぁどうだっていいんだよ!)
「念話までも…限定解除されたギアを纏ってすっかりその気か!」
3人は念話をして会話できるようになっていた。その力は念話ではなく、限定解除された聖遺物によるものだった。
その変身はみんなの歌によって作られたもの。しかし、限定解除された聖遺物でもフィーネは臆せずにソロモンの杖でノイズを召喚しようとする。
(いい加減芸が乏しいんだよ!)
(ノイズとはバラルの呪詛にて相互理解を失った人類が同じ人類のみ殺戮するために作り上げた自律兵器)
(人が人を殺すために⁉︎)
(バビロニアの宝物庫は扉が開け放たれたままでな、そこからまびろいする10年1度の偶然を私は必然に変えて、純粋に力として使役しているだけのこと)
そう言ってフィーネはソロモンの杖を空に向けて射出する。
「堕ちろ!」
その杖によって放たれた光は街じゅうに散らばり、大量のノイズは数え切れないほど出現する。
「こんだけの量を…やばかったら…いや。あの3人でどうにか頑張れる、かな」
3人は空を舞い、散らばっているノイズを空から攻撃している。
巨大なノイズに響が突進して、殴り貫く。
【MEGA DEATH PARTY】
クリスはビームを散弾させて、空中にノイズに当てている。
(やっさいもっさい!)
(すごい!乱れ打ち!)
(全部狙い撃ってんだ!)
(だったら私が…乱れ打ちだ!)
今度は響の拳からエネルギーを放ち、周囲にいるノイズを倒す。
【青ノ一閃】
前までは厄介だった空中に浮いている大型ノイズも翼が倒し、破壊する。正輝の手を借りずとも、3人だけで全滅させることができる。
沢山いたノイズは凄い早さで消え去られてゆく。響達は疲れも知らないで、悠々に撃破していく。そしてフィーネが出したノイズは数時間もかからず、あっという間に片付けた。前まではノイズを倒すことに苦戦していたのに、今となっては次から次へとノイズは消されてゆく。
「どんだけ出ようが今更ノイズ!」
もうノイズだけでは3人は止められない。しかし、フィーネにとって大量にノイズを出したのはただの時間稼ぎ。
本命は、別の目的にあった。
*****
フィーネはソロモンの杖を自分の身体に突き刺した。フィーネには聖遺物の融合体であり、今度はソロモンの杖と融合しようとしている。
「ノイズに取り込まれてる…⁉︎」
「そうじゃない!あいつが、ノイズを取り込んでんだ‼︎」
ソロモンの杖を取り込んだフィーネは街に散らばっているノイズと追加で召喚したノイズもまたフィーネに融合するために集まる。
「来たれ!デュランダル!」
カ・ディンギルの際に使用していたデュランダルも奪い、膨大なエネルギーを手に入れた。
最早フィーネはネフシュタンの鎧だけではなく、ソロモンの杖とデュランダルの三つの聖遺物を所持していた。
ノイズがフィーネを取り込み、巨大な怪物を出現させる。怪獣から巨大なビームを射出し、街を焼け野原にした。
「逆さ逆鱗に触れたのだ。相応の覚悟はできておろうな?」
フィーネとソロモンの杖を融合した怪獣は、黙示録の赤き竜と緋色の女ベイバロン。その伝承は滅びの聖女の力を意味する。
「フィーネ、お前どこまでっ…」
フィーネの変貌した姿に正輝は、呆然としていた。そんな悍ましい力を手に入れてでも、彼女は野望を果たすつもりだった。
雪音クリスが最初に攻撃しても、ネフシュタンの鎧の防御力を引き継いでおり、全く効かない。
「はぁぁぁっ!」
【青ノ一閃】
今度は翼と響の二人で同時に攻撃するものの、破壊することはできたがまた再生してしまう。
(いくら限定解除された聖遺物であっても所詮は玩具、完全聖遺物に対抗できるなどと思うてくれるな)
(聞いたか?)
「もういっぺんやるぞ!」
「しかしそのためには…」
フィーネには完全聖遺物を三つ所持している。しかし、フィーネの言葉にクリスと翼が何かを感づいた。見ている正輝の方も二人が一体何を考えているのかわかる。
翼とクリスは響を見て、託した。
「ええっと、やってみます!」
響もまた二人の考えを受け止める。
まず、翼とクリスが二人一緒に突っ込む。
「私と雪音で露を払う!」
「手加減なしだぜっ!」
「分かっている!」
クリスはフィーネの元へ向かい、襲ってくるビームを避ける。
【蒼ノ一閃滅破】
翼はアームドギアを巨大化させ、
蒼ノ一閃が強化された剣圧を飛ばし、破壊する。その穴からクリスが侵入して、内部から壊してゆく。
内部が壊されたことによって蒼ノ一閃でフィーネ本体に向かって攻撃する。攻撃を受けたフィーネは右手に持っていたデュランダルを手放してしまう。
「そいつが切り札だ!勝機をこぼすな!掴み取れ!」
「ちょぜぇ!」
クリスはデュランダルを響の元へ届かせる為に銃で撃ちながら、その聖遺物を移動させている。フィーネの手から離したデュランダルを今度は響が手にした。
「デュランダルをっ⁉︎」
しかし、デュランダルを響が手にすると前と同じように暴走してしまう。限定解除された聖遺物を纏っていてもだった。
彼女は自分と戦っている。
そこから響を応援する為に地下にいた弦十郎が出てくる。
「正念場だ、踏ん張りどころだろうが!」
彼だけではない。二課で働いていた人達、翼のプロデューサーである緒川も出て、彼女に向かって叫ぶ。
「強く自分を意識してください!」
「昨日までの自分を!」
「これからなりたい自分を!」
今まで戦ってくれた翼とクリスは側にいて響を助ける。
「屈するな立花!お前が構えた胸の覚悟を私に見せてくれ!」
「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ!お前が自分を信じなくてどうすんだよ!」
響の友達もまた出て、応援する。
「あなたのお節介を!」
「あんたの人助けを!」
「今日はあたしたちが!」
前回はデュランダルに飲まれつつ、その力で正輝とクリスに向けて攻撃してきた。しかし、彼女はこうして自分と戦って暴走しないようにしている。
「かしましいぃ!黙らせてやる!」
フィーネは響達3人を触手で妨害しようとしている。が、
「されるかよ。投影開始、全投影連続総射!」
「貴様…まだ!」
「俺は時間稼ぎすりゃいいと言って…3人に任せると言ったな。悪ぃな、あれは嘘だ。響!自分を見失うな!
妨げているこいつは、俺が抑える!」
「どいつもこいつもっ…」
正輝はいくつもの剣を投影し、触手を破壊する。さっきのビームはデュランダルがなければ発動できない。
フィーネの妨害を正輝が止める。
「響ぃぃぃっ‼︎」
そして、未来の声が響の心に届く。
(そうだ、今の私は…私だけの力じゃない)
駆けつけてくれた二課の人達や友達の声が聞こえる。
(この衝動に、塗りつぶされてなるものかぁぁっ‼︎)
響の心を目覚めさせ、黒く塗りつぶされたていたはずの体は消え去る。彼女は暴走していた姿ではなくなり、元の立花響となった。
「その力…何を束ねた!」
デュランダルが3人に力を与え、そのエネルギーによって光が眩く輝いている。
「響き合うみんなの歌声がくれた…シンフォギアだぁぁぁっ‼︎」
【synchrogazcr】
3人が怪獣に向かってデュランダルを振り下ろされる。
「完全聖遺物同士で対消滅…どうしたネフシュタン!再生だ!この身砕けてなるものかァァァァァァ‼︎」
ネフシュタンにいくら呼びかけても再生しない。デュランダルを失った以上、ネフシュタンには再生できるエネルギーはもうないからだ。
彼ら3人による攻撃によって融合したノイズは朽ち果て、フィーネは力を使い果たしてボロボロになった。
*****
地下に避難していた一般市民は地上に出て呆然としている。
フィーネは響によって運ばれている。
「お前…何を莫迦なことを」
「もう終わりにしましょう、了子さん」
「私は、フィーネだ」
響はフィーネに手を伸ばす。彼女がたとえ敵であっても、響は彼女を許していた。
「でも、了子さんは了子さんですから、きっと私達分かり合えます」
「ノイズを作り出したのは先史文明期の人間、統一言語を失った我々は手を繋ぐことよりも相手を殺すことを求めた。そんな人間がわかり得るものか。」
交わす言葉を失えば、憎しみ力をもって相手を倒すことになってしまった。
互いを尊重することなく、
「人が、ノイズを…」
「だから、私はこの道しか選ばなかったのだ!」
正輝のあり方はフィーネのやり方と半分は似ているようなものだった。
彼女は利用できるものを利用し、力で相手を支配しようとした。しかし、正輝の場合は利害の一致や、仲間にする時に言葉を用いて話す。
時と場合、状況によって正輝は判断していた。無駄に戦ったりしないようにする時や、誤解を解くためには言葉が必要だから。
「あぁ、これからも先…人と人がぶつかることもあるだろう。それは俺達もまた例外ではない。
みんなの価値観は違うだろうし、あんたが倒れても人との衝突は問題いつまでも続いていく。それでも、こんな世界でも人と人は力を合わせて生きていく。孤独では生きていけないから」
「人が言葉よりも強く繋がれることを、分からない私達じゃありません」
近くにいた正輝が二人に近寄る。
「すまない響。俺から先にフィーネに言わせてくれないか…すぐに済ませる。
あんたはさ…その、俺からして見れば半分は間違ってないとは思う」
誰かを愛するという気持ちは確かに偽りではない。結局バラルの呪詛を解いたところで幾万、幾億年経っても間違い続けて人は進化してゆく。
「俺がお前の計画を潰したことで、月は壊されることはない。お前のことは別に嫌いってわけじゃなかったんだ。あんたにも事情ってものがあったからな」
正輝はフィーネに歩いて近く。
しかし、フィーネは正輝が来るのを見て諦めなかった。目の前にいる正輝の力を奪い取り、そのエネルギーで全員を倒すことを。
フィーネは隙を狙い、鞭を使って正輝を殺そうとする。クリスは驚いて、正輝の元に行くが正輝は止めようとする。
「正輝さん!」
「なにっ…」
鞭は正輝の腹部を貫き、血が流れている。
「まだだぁ!まだ私は諦めない!
ここで岩谷正輝を吸収し、また私は復活する!奴の強力なエネルギーを得て、私の悲願を邪魔する輩はここで潰す!
輩を潰し、ここで身体は絶えても魂までは絶えやしないのだからなぁ!
聖遺物の発するアウフヴァヘン波形がある限り、私は何度だって世界に蘇る!
どこかの場所、いつかの時代、今度こそ世界を束ねるために!私は永遠の刹那に存在し続ける巫女、フィーネなの「なーんてな、悪いが最後の最後まで阻止させてもらうぞ」な、にっ⁉︎」
しかし、フィーネが貫いたのは正輝の技、シャドーで作った分身。
フィーネは鞭でもう一度貫こうとするが、正輝は投影魔術で剣を作り出し、鞭の部位を破壊して、剣を向けて刺そうとするが、首元の所までで止めていた。
フィーネの命までは取らない。
「そんな馬鹿な」
「俺からエネルギーを奪うって魂胆だろうけど…それはできない話だ」
「正輝、お前⁉︎じゃあ本体はうわっ⁉︎」
「よっ」
本体の正輝はクリスの肩を叩く。
フィーネがまだ諦めないことを予測し、スペアを用意した。
「なんて酷い男だ…しっちゃかめっちゃかにして。本当に…最低な奴だ」
「あぁ、俺にはそんな戦い方しか知らないからな。
正攻法なんて響と翼ぐらいだ。
外道と言われようが構わん。
フィーネ、俺とクリスはあんたと一緒にやってきたけれどそれなりに悪くなかったよ。
言いたいことはもう終えた。俺の役割はひとまず本当にここで終わりだ…フィーネに終止符を打つのは…俺なんかのイレギュラーが決めることじゃない。
それに、フィーネは限界だろう。
放っておいてもその身体は持たない。
立花、クリス、翼。3人が決めろ」
正輝はスペアを消し、言いたいことを言い終えた。その後、3人は話し合って響がフィーネに話すことにした。クリスと翼は響とフィーネを見ている。
「うん、そうですよね。どこかの場所、いつかの時代、蘇る度に私の代わりにみんなに伝えてください。
世界をひとつにするのに力なんて必要ないってこと。言葉を超えてわたしたちはひとつになれるってこと。
わたしたちは未来にきっと手を繋げられるということーー私には伝えられないから…了子さんにしかできないから」
「お前、まさか」
「了子さんに未来を託すためにもわたしが
フィーネの身体は消え去るが、精神までは未来へと向かう。響はフィーネに未来の人達に伝えることを望んだ。
「ほんとにもう、放っておけない子なんだから…胸の歌を信じなさい」
フィーネは笑顔のまま消え去った。
彼女の中にはフィーネだけではなく了子も残っていた。二課を騙し、自分の野望のために計画通りに事を進めていた。しかし、いままでのことが何もなかったというわけではない。
「さよならフィーネ。おまえが野望と怒りに飲まれることなく…クリスと俺の3人で平和に暮らしていたのなら…もっと別の未来を描けたかもしれなかったかもな」
照らされる太陽が眩しく、風の切る音が聞こえるだけだった。もうフィーネはもう消え去られ、彼女は存在しない。
フィーネがいなくなった後、正輝の携帯電話が鳴る。画面には遠坂凛という文字があった。
「どうした、凛」
『大変よ…1stの仲間が来ているみたい』
「なっ⁉︎」
フィーネ戦が終わった後、まどか達のいる世界に1stの仲間がまどか達に話をしたいとほむらの家に訪れたという事を凛から聞く。
「おい!その仲間は」
『そいつらは…黒の騎士団っていう人達なんだけど…』
*****
まどか☆マギカの世界。
正輝がフィーネと戦っていた頃、魔法少女達はほむらの家でワルプルギスの夜について話し合っていた。準備を整えるための時間稼ぎや、ワルプルギスがどんな行動をしたらどんな対処をするか。
「でも、勝てるのかな…」
その中の一人が不安がっていた。ワルプルギスが倒すことのできない魔女だったら、全員死ぬんじゃないかと。
オドオドしているところを他の二人が励ましている。
「そもそも魔法少女のシステムを改変させたのは彼じゃん!」
「キュウベェを信じるより、彼を信じる方がずっといい!」
キュウベェよりも岩谷正輝が少女達にとって希望だった。インキュベーターが作戦室に寄って、まどかを魔法少女にしようとするもののほむら達がまどかを守っている。
「その話、是非とも聞かせてもらいたい」
「⁉︎誰だ!」
黒いマントと仮面をした男が突如ほむらの家に入り、ドアを開けて現れる。
彼の周りには武装していた集団がいた。
ほむら達や他の魔法少女達は変身し、戦う体制になった。
「待て。我々黒の騎士団は戦いに来たのではない」
「は?黒の騎士団?」
「…何者なの?」
「私は、ゼロ。ワルプルギス用を倒すためのドローン兵器を100機ここに置くように命じられている。1stの…命令でな」
「ゼロ?無ってこと?」
1stとはリリカルなのはの世界で正輝を殺そうとした正義側の転生者。
その仲間ならば、彼に加担して何か悪巧みを考えていると考えていた。
「…そんな話信じられると思う?私達の話を盗み聞きしておいて」
「絶対、罠に決まってんじゃん!」
「1stってことは前に正輝を殺そうとしたじゃんか…よくもそんなことを」
黒の騎士団には無頼、蜃気楼、紅蓮二式とランスロットが待ち構えている。
少女達が実力行使に移れば、黒の騎士団もまた自分を守るために容赦はしない。ここで1st率いる黒の騎士団と魔法少女一同で戦うことになる。
「本当に用件はそれだけ?」
「あぁ。それに君達には絶対にワルプルギスの夜を倒さなくてはならないのだろう?暁美ほむら」
「みんな武器を収めて…貴方達も」
ほむらが言うと魔法少女は変身を解除し、黒の騎士団一同は銃火器をしまった。それでも近づこうとはせずに立ち止まっている。
「そうだな。3rd…私は、君達が話していた岩谷正輝という男と直接話したい」
「…会ってどうするの?」
「彼には6thと接点がある。彼女について詳しく聞きたいだけだ」
*****
Q原作では月は破損して落としましたが
A月は落とさせませんよ。
彼女の野望を正輝が潰して、フィーネはもう力尽きて何もできなくなっているから響達に最後を任せましたよ。
Qまどマギに黒の騎士団キター!
Aルルーシュ達は1stの命令で動いているので一応物資は送ったからというのと、ルルーシュ達の事情として正輝に会いたいとのこと。
フィーネ撃破 clear!
次回、ワルプルギスの夜