無人島の生活
互いのことを話したとしても、噛み合わないことがある。一番最悪な関係な摩耶(かなり警戒している)とは喧嘩になることもあり、五十鈴は利害の一致で動いているために下手なことをしても攻撃はしないもののやりすぎると不愉快な顔で舌打ちをする。
「チッ」
(うわっ、怖っ…)
五十鈴は正輝と一緒になるのが嫌そうな態度だったので正輝は仕方なく榛名と共に回ろうと手を差し出すものの
「ご、ごめんなさい…榛名はっ、大丈夫です」
「あっいや。なんかすまない」
正輝も思わず反射的に謝ってしまう。
榛名の方は前々から口答えができず反抗的な態度をとれなかったため、表ではまともに接している榛名だったが、いざ近づこうとすると彼女は下がってしまい、正輝に触れるだけでも暴力されるのを思い出して怯えながら振り払って拒絶してしまう。
「おはようございます、正輝さん」
「おはようございます!」
(この二人はまぁ…器量が大きいなぁ)
唯一、進歩したのは駆逐艦所属の朝潮と浜風の二人と仲良くなったこと。浜風は正輝に胸を揉まれたものの、嫌悪したり、嫌うというのはない。無防備だったところを助けられたことを話して、ちゃんと分かってくれた。
そもそも二人は鎮守府に入ってきたばかりなので二人のような人間不信というものにはなってない。だから、正輝の方でもちゃんと接することができる。
対して、艦娘の五人中の二人(五十鈴、摩耶)は正輝に対して快く思ってない。提督という人間に道具のように扱われていたからその人間に属している正輝をまともに見れるわけがなく。
「何見てんだよ、なんかあんのか?」
「ハァ…」
「何ため息ついてんだ!喧嘩売ってんのかテメェ‼︎」
(見たら怒るから、目をそらしてんのに…ため息もアウトかよ…とんだ暴君いや、もうあれは不良だな)
正輝は横暴な摩耶を相手するのに疲れ、まだ自分は憎まれていることに呆れてならなかった。
正輝に対して摩耶は横暴と警戒を怠らず、五十鈴は半信半疑の目をしており、榛名はまだ恐怖している。
朝潮はおどおどはしているが、彼を受け入れている。浜風もまた正輝の事が別に憎いというわけではないのでちゃんと正輝の言い分を分かってくれている。
そんな日が続いていた。
*****
2日後
資材を探している間に榛名が山の奥に何かを見つけたというのを知らせた。
たどりついた無人島には神社があったこと。しかし、そこには着物を着た門番が住み着いており迂闊に近づけない。榛名は山奥に人がいるのはわかったが、とりあえず全員に知らせるだけだったために門のところへは行かなかった。
「今日も私と周ります。よろしくお願いします」
「おう、よろしく」
正輝は榛名と仲良くなった浜風と共に一緒に行くことになった。摩耶と一緒になれば大喧嘩になってしまいかねない。朝潮の場合だと、彼と一人で一緒に行動するのは危険であるため、彼女を五十鈴に任せている。
「ん?あれって…まさか」
「ほぅ、これはこれは…大変珍しい客が来たものだ」
その門番というのはアサシンの佐々木小次郎がいた。小次郎は物干し竿を収めて正輝達を通す。
「えっ⁉︎」
「?どうしたのだ?」
正輝は敵視して襲ってくると思っていたが、武器を突然収めたことに驚く。
「あの…お知り合いですか?」
「悪い…覚えているような、覚えてないような…」
正輝の記憶が曖昧なことに佐々木は正輝に一つ質問する。もしも敵ならこの寺を通すわけにはいかなかった。
「私はちゃんと覚えているが。なら私の名前は?私の主人は?」
「…佐々木小次郎は覚えてる。主人がキャスターと葛城宗一郎なのも覚えてるさ…でもその先の思い出の方はちょっと。あ、でも衛宮と遠坂がこっちにいるんだよ。
詳しい話はとりあえず入らせてもらってからでもいいか?」
「そうか。そこまで覚えているのなら一応心配する必要はないな。
客人ならば通らせても問題なかろう」
門を通るとそこには神社があった。その神社は新しく、周囲の空間がとても広い。誰もこの無人島の山の中にこんな広い場所があるとは思わない。
3人が神社に向かう途中、正輝は小次郎に質問していた。
「あのさ、ここにいるのは小次郎だけなの?」
「いや、二人いる」
「あっ、正輝さん」
神社に入ると、間桐桜とメデューサの二人がゆっくりしていた。メデューサの方はゴーゴンの目を持っているために魔力制御の眼鏡をかけている。
「間桜とメデューサ…そんで佐々木。ってか、3人は何でこの神社にいるの?」
「えっと、2日前です。目を覚ましたらいつの間にかここに」
それから桜とライダーの二人は正輝に説明した。ここに起き上がって何をしていたのかを、この広い神社で2日間3人が生活していたことを。
小次郎が気配を察知していたのは逃げてきた艦娘のことだった。
「先輩がいるんですか⁉︎」
「あ。あぁ、そうだよ?」
正輝の方は士郎達と凛達いることを桜に説明し、会いたいと言っているものの。
(この3人はこの世界ではイレギュラーだし、だからと言って船に戻しても島に残された艦娘5人が心配だな…)
ひとまず桜とメデューサ、佐々木小次郎はここに残すことにした。まだ、彼女らにここにいてもらわなければ正輝が困るからだ。
「俺と浜風以外にも砂場の小屋に四人の少女達がいる。彼女らのことについても一応説明するために呼んでもいいよな?浜風」
「私は別にいいですが…一番問題なのは摩耶と五十鈴の二人です。今はまだ正輝さんのことを襲ってませんが…」
保護するといっても五十鈴と摩耶の二人が小次郎と桜、メデューサを襲う可能性だってある。それでも、彼女らが勝手なことをしないように見張るだけでも頼んだ。
*****
小屋に戻り、山に何があったのかというのを他の3人にも説明した。
山には人がいるものの山に降りて危害は加えず、逆に正輝は五十鈴と摩耶の二人に山奥の人達には手を出さないように言った。
「んじゃあ、話の続きといこうか?」
楽園の人達は結界を使って逃さないようにしたこと。世界に存在しない能力を正輝だけではなく津川もまた持っている。
互いの正体を明かしたことで、正輝は楽園の戦力の増強の阻止と彼らの討伐のために彼女らのいる鎮守府に向かおうと考えていた。
「でもよ!この無人島に逃げ込めたおかげで少なくともあたしらはこれであのクズ提督やあの男からは「あぁ、提督の手からはな。残念だが奴からは全く逃げられてない」はぁ⁉︎なんでそんなことがわかんだよっ‼︎」
危うい部分もあるが、それ以上に危険な問題があることに正輝以外が誰も気づいてなかった。いくら鎮守府でなくて、無人島についたとしても楽園がも索敵班をよこしてくることだってある。
「連中はその気になれば手下をこの無人島に転移してくることだってある。見つけ次第な。泳がせていたのはそっちが別の鎮守府にまだ着いてないからだ。
もしもお前らが別の鎮守府に着任してたら鎮守府ごと袋叩きにして潰す気だったんだろう。情報を垂れ流しにしてバレたりでもしたら大事だからな。
結果的に事故として処理されるに違いない。もしも鎮守府に着任していたら情報が知られる前に刺客を送って、お前らだけじゃなくて他の艦娘も巻き込まれる。
無人島にいたとしても、他の提督がそれを見つけて保護しようとするかもしれないから無事に生活しているのなら早急に叩きのめすだろうし。
短期間の間は様子見って認識されたんだろう、ほおっておいても深海棲艦によって四人とも資源不足で轟沈されるのを待てばいいだけだからな。
でも、安全地帯である無人島があるのなら戦力を増強させて反旗を起こす可能性もある。
まぁ真実を知ったお前らを見つけ次第殺すか、無理矢理連行されて実験材料にされてしまうか…どちらにしても碌な目に合わないのは違いないな。
当然、解体じゃ生ぬるいことしないだろうし。済まないだろう…楽園の連中のことだから捕まえたら散々苦しめた挙句にズタボロにして処刑だろうな。
別の場所で強制的に戦わせるか。それか心を壊して、従ったことだけをただする忠実な人形にでもするか」
「ひっ…」
もしも敵が生命反応を検知できるものを持っていて、生きていることが分かってしまった場合、五人が怪しいと思うのは当たり前。
五人のいるところを調べられて、無人島を襲撃してくることだってありうる。朝潮は正輝の話を聞いて怯え、五十鈴は口内にある唾を飲み込む。
摩耶はそれでも臆してない。
「そういう連中なんだよ。正直に言って…お前らの今の性格や心を壊すだけ壊して捨てるっていうやり方だったなら…今頃死ぬよりも残酷な目にあってた。言っておくが…俺は提督にはなれんし、俺がやれるのは楽園潰しと提督をどうにかすることだけ。
それ以降は悪いが無理だ」
「そのクズ共を皆殺しにするの、私にもやらせろ」
摩耶は正輝の話に割って入り、自分も討伐に入ろうと言ってくる。しかし、正輝は彼女の参加を断った。
「ダメだ。摩耶…討伐は最後の目的だけど、お前はその過程を考えてるのか?」
「んなもん、考える必要なんてねぇだろ。お前の異能力ってやつで特攻して私と一緒に「あいつを支援している艦娘だっているんだぞ?姉妹艦だったらどうする気だ?躊躇なく撃てるのか?
俺らが戦うのは一人二人じゃない」…そうだった」
相手にするのは提督や津川だけではない。津川の本性を知らずに信用している艦娘達が彼を庇い、彼のために動いていることだってある。
「お前らがその提督を地獄の底に叩き落したいのも分かる。その為にはお前らの知恵が少しでも欲しい」
「でも、あたしはバカだからさ…みんなにこのことを知らせて「あの鎮守府の状況の中でその話を一体誰が信じる?」そう、だよな…」
彼を追い詰める証拠がない限り津川が黒ということをみんなに知らせることができない。あくまで五人は彼が何をしたのかというのを見ただけ。
実際、彼がどんなことをしたのかという物的証拠がなければ何の意味もない。
「…俺は榛名を連れて行く、お前らはこの無人島に残れ」
「ふざけんな!あの野郎は私がぶっ殺して「今のお前が行っても返り討ちにされる。それどころか迷惑になるだけだ」んだと‼︎」
正輝はついていく艦娘を摩耶を選ばずに、榛名を選んだ。
「まず五十鈴と摩耶は下手なことを言われると感情出しすぎてバレてしまう。こちらが暗殺される危険性が高い。
朝潮はまだ幼いし、なら浜風でも良かったんだが、どの道二人とも新人だからそこまで鎮守府内部はあまり詳しくない。だから、消去法で榛名が適任だと思った」
「わたし、ですか?」
「あぁ、前の鎮守府の内部がどうなっているか分かってるよね?」
榛名は正輝の質問に頷く。他の四人は正輝の言う通りはここに滞在することとなり、
「四人を任せる…面倒を任せて良いか?」
「分かりました」
桜達に四人の艦娘を任せ、正輝と榛名の二人で鎮守府に向かうこととなった。四人をこの場所に置けば、襲われる可能性がある。
*****
「はい、憲兵こと坂倉総司です」
「左に同じく逢沢晴香です」
男女の憲兵が鎮守府の入り口に入ろうと、証明書を見せている。正輝と榛名は偽の憲兵として提督と艦娘の監視に入っていた。提督の悪事を報告しようとすれば事実を揉み消すために楽園が殺そうと襲ってくるだろう。
そんな二人を影で隠れながら眺めている駆逐艦がいた。
(男の方は魔力の反応があんな…)
「知り合いですか?」
(いや、両方とも知らん顔だ)
霊体化している一人の青い槍兵と手袋を手にはめている艦娘が小声で話しながら正輝達二人を眺めている。
「五人は大丈夫かしら…」
(俺らが心配してもどうしようもねぇだろ。今はこれからどうするかだろ?
あの津川って男、間違いなくさっきのことで警戒してるだろうから憲兵を増やしたんだろうな。ま、あの二人が俺らの敵なら始末するか。それとも、あのクソッタレな連中を潰してくれる連中なら手を貸すかだな)
ピンク色の髪をしており、彼女の手の甲には赤い令呪が刻まれている。
その隣には霊体化している青い槍兵。
(それよりもマスター。五人を助けた以上、俺達が狙われる可能性があるぜ)
「マスターという呼び方はやめて下さい…普通に不知火と呼んで下さい」
陽炎型駆逐艦2番艦不知火が、自分の身を守るために艤装を肌に離さず所持している。
*****
Q艦娘に令呪だとぉ⁉︎
A主人が艦娘で、サーヴァントはあの青ランサーです。ですが、令呪を楽園に見らたら既に津川がその艦娘を襲っているので令呪は手袋で手を隠しています。