津川を倒してもなお問題が解決するというわけではない。津川と共にいた伊勢、日向、扶桑、山城などの…津川についていった彼女らがまだ手に持っている艤装を正輝に向けている。
「…こんなことをしても無駄だと思うぞ。仮に俺が提督になったところで、今度は俺のことを不満に思う艦娘だっている」
「僕らは大本営から来る提督にウンザリしている。この際君でもいいんだよ…もう疲れたんだ。それにあんなトンデモな力を持っているんだろう?」
謎だった正輝の能力を聞く前に、その力を利用して自分達を守るように要求してきた。彼を捕らえて、海に彼を連れて行けば無限の剣製をさっさと使わせて深海棲艦を一網打尽にすることができる。
しかし、それを正輝が良しと思うわけがなかった。そもそもここで一緒に戦う気などさらさらなかった。
正輝の目的は津川の討伐を摩耶達を頼まれただけ。偽装工作は津川と提督の処理するための後付けに過ぎない。
それ以前に
「…話聞かなかったか?俺でも許容できない艦娘もいるってことだよ。それに俺自身は提督になろうって望んでもないしなる気にはならない」
「君は空母相手に一切の危害を加えることなく赤城と加賀に食事を与えたんだって他の艦娘達から聞いたけど?それは、どうなの?私達としては喉から手が出るほどに君が欲しいくらいよ」
偽装工作以前に、大砲の音ですぐに気づかれてしまうことだってある。だが、津川についていった艦娘にとって提督をどうするのかが最優先になっている。提督が前と同じようなクズだったらまた酷い目にあわされる。だから彼女らは正輝の意思を無視して、こうして強行手段を取っているのだから。
「それに、こんなところで足止めされると…大本営から憲兵が送られてこの鎮守府に押しかけてくるぞ」
「あぁ、分かってるさ。大事にしたくないんなら大人しく従うことだね」
「実力行使か…」
正輝をたとえ仕留め損ねても、ここにいる榛名達を人質にして彼をまた呼べばいいだけ。
「ちょっとっ、同じ艦娘でしょうが!」
「状況が状況なんで悪く思わないでください。正輝さん、提督になるって言えばそれでいいんです。
そうすれば解放します」
正輝が提督になって万事解決というわけにはいかない。だから、
「…悪いが、逃げさせてもらうよ」
「へぇ、助け合ったりとかしてたのに結局は私達や協力者の艦娘を見捨てるんだね…榛名達をどうする気なの?」
「俺は提督になることが目的じゃない。が、最善は尽くすつもりだった。
でも、それが不服だっていうのなら俺はもう出て行く」
「逃げられると思っているの?」
山城達は榛名達を確保しようとするものの、正輝は投煙球を投げつけてさっさと転移する。
「いないっ⁉︎あいついつの間にっ」
正輝のマスター・オブ・ザ・リンクに繋がれて仲間認識されている艦娘を正輝と共に強制転移させる。しかし、正輝だけではなく二人の正規空母まで連れてきてしまったことは無人島に転移した後のことだった。
*****
「あの、ここどこですか?」
「なんでお前らも来…そっか、俺が間違えて連れて来てしまったんだっけ…転移させてしまったな」
「何をやっているんですか全く」
正輝は正規空母の加賀と赤城の二人を間違えて仲間認識して連れてきてしまい、不知火に叱られている。鎮守府から転移で脱出し、こうして無人島へと帰ってきている。津川を倒すことはできたが、その後のことは正輝にはどうにもできない。
「それに、俺じゃダメだって言ったのは摩耶だろ?お前以外にも俺のことを提督として認めない奴もいる」
「そりゃあそうだけどよ…あと話せよ。お前のこと、とんでもない力のせいでみんな混乱してるんだ」
「まぁ、そうだよな。明日話すよ」
前に摩耶は正輝が提督になることを拒否していた。摩耶と五十鈴の他にも、正輝の存在に恐れた艦娘もいた。
恐れている理由は、前任の提督による無茶な要望ではなく無限の剣製などという深海棲艦も恐れる異能を持っていることだった。
前に龍驤が壊れた幻想を見て、怯えていたのがその一つだ。
「もうあそこの鎮守府はお前らの帰るべき場所じゃなくなっている…憲兵に見つけ次第解体されるだけだ。赤城と加賀は別だが…」
「私達二人で帰れるかどうか…深海棲艦に囲まれたら一貫の終わりですし。それにこの無人島の位置が分からないのだからどこに行けばいいの?貴方の転移っていうので私達を鎮守府に返そうと戻ろうとしたら、また襲われるだけでしょ?」
「だよな…ハァ」
憲兵が来る前に偽装工作を作って、罪をなかったことにする。提督は事故死とし、津川のことは報告しない。艦娘は鎮守府で指示された任務を果たしていただけと書くつもりだったが、その考えも津川に下っていた艦娘の反逆により無駄に終わった。結果的にこれで良かったのかと言うのは正輝自身釈然とはしなかったが、逆に正輝一人で提督をやったところで船と提督の仕事を両立するのは過酷で無理な話だった。
なお、加賀達の方は帰ろうと思っても帰れなくなっているので、ここに残るしかできなかった。
「あ、正輝さん!帰ってきたんですか?」
「終わったのですね」
砂場にいたのは桜とライダーの二人が朝潮と浜風の面倒を見ていた。摩耶と五十鈴がいなくなって、焦っていた駆逐艦二人を桜達が止め、こうして帰りを待っていた。
「さて、ここでの俺の役目はこれで一応終えた。お前らはこれからどうする気だ?」
「どうするっつても…海を彷徨ったところで。あたしらの選択肢ってこの無人島にいることしかできねないじゃないか?」
「携帯の方は、ってなんだこれ…」
正輝の方は神様によるメンテナンスのせいで、一人しか運ぶことができなくなっていた。今のところ仲間として連れてこれるのは一人しか出来ず、修復には時間がかかる。
「えーっと、この中の誰かを船に連れていけるんだが…機能がメンテナンス中になっているんだ。本来は何人か連れていけれるんだけど、連れて行くにしても一人しか連れていけない」
「えっと…ごめんなさい。貴方の言う船って何?」
正輝は自分達の船のことについて説明した。
そもそも令呪のついている艦娘や、英霊の存在自体がこの世界ではイレギュラーなのでそれらを回収したり、ついていきたいという人を正輝などの正義側リーダーが連れて行くことができる。彼女らの帰る場所もないため、残りのメンバーはメンテが終了するまではずっと無人島にいなければならない。メンテの回復次第では仲間を二人連れて行くことも可能である。
「あの、良ければ私でいいですか?
貴方の言う船のことで私が先に詳しくなったら、あとから入る仲間が艦娘の場合の時、私が案内できます」
鎮守府の問題については正輝のできる限りのことでしか解決できなかった。
残っている艦娘の方は釈然とはできなかったものの、彼が提督になる気はないというのは出会ってから知ったこと。今更、なぜ提督にならなかったんだと批判されてもどうしようもできないとしか言いようがない。
連れて行く仲間としてまず五十鈴と摩耶はまだ仲が良いというわけではなく、榛名も提督の暴力があった為に人間不信になっている。そんな状態の3人を船に連れてきても間違いなく仲間内で揉め事が起こるのは目に見えている。不知火は令呪をもっている以上イレギュラーであり連れて行くべきだが、ランサーと一緒にこの無人島にまだいてもらうことになった。理由は桜とライダー、佐々木の3人を手伝って欲しいことと、不知火だけが船に戻ってきても有効的に話せれるわけではない。
それ以前に人間との関わりを考慮しているため、この無人島で安静に暮らすこととなる。こうして今のところ船に連れていく艦娘は正輝に対して無害だった朝潮と浜風のどちらかとなり、先に手を挙げた浜風が仲間になると言い出した。
「では…よろしくお願いします」
「あぁ、こちらこそよろしく」
「では、私の妹のこと頼みます」
「こっちは無人島でゆっくりさせてもらうぜ」
不知火と浜風の関係は摩耶と鳥海のように姉妹艦であり、不知火の方が先に建造されているために姉ということとなっている。ようやく話を終えた後に、浜風と共に船に戻ろうとするが
「あの、すみません。ブラック鎮守府についてのことなんですが…貴方は噂を知ってますか?」
「どうした?赤城」
赤城正輝に噂があると言い、話をかけてきた。
「前に津川が提督と話をしていたの。その…津川と正輝以外にもブラック鎮守府に訪れる男の人がいて。
彼が訪れたその鎮守府の艦娘が行方不明になっていくっていうのを聞いたわ。あくまで噂ですけど」
津川の他に部外者で、他の鎮守府を回っていたという話だった。その人が艦娘を無理矢理強奪して逃げ隠れしているか、艦娘を人身売買の目的で奪っているのかという話題があってもおかしくない。
しかし、加賀からの次の言葉からはとんでもない人物の名前が出てきた。
「で、誰なんだよ」
「えっと、名前は確か…」
ーーー訪れた名前の人は正義側の麻紀って確か言っていたわ。
「…は?」
その言葉に正輝は青ざめていた。
池野麻紀といったら、グレモリーを率いて襲ったことやなのは達にミニガンを連射しまくっていた正義側4thの転生者のことだ。試練編後の際に親友である誠治を綺羅に殺されそうになり強い憎しみを抱いていた。彼は誠治を助けるために仲間を置いて逃げ出し、それ以降どうなったのかはまだ分からなかった。
「まさか…そんな訳ないよな」
麻紀の行方が分からない。正輝達が、鎮守府の一つ一つを回ったところで麻紀を発見できるとは限らない。それどころか鎮守府にいる提督や大本営に怪しまれる。
その噂が本当なら彼は彼女らの心の闇に漬け込んで船に連れて行こうとするのが妥当だろう。今の麻紀にはリアス達に命令権で指示して利用するだけ。
「加賀、その噂が本当なら…俺は艦娘とも戦わなくちゃいけなくなる」
「…どういうことですか」
「麻紀…俺の予想だけど今のあいつの状態はかなり危険だと、思う」
麻紀が一体何をするかもう正輝にもわからない。もしも誠治が死んで、復讐のなら上条達にとって否定されてもおかしくないことをやっている。
「知り合いなんですか?」
「そうだけど…もうわかんなくなっちまった。あいつのことが」
正輝は彼が誠治と船に逃げて以降、どうなっているのか全くわからなかった。
*****
呉鎮守府を調べるために強硬手段を取って侵入しようとした憲兵は既に射殺されており、死体があった。魔剣に刺されて死亡している者や、雷に打たれて死んでいる者もいる。
鎮守府は、すぐに戦場と化した。
「狙い撃てっ‼︎」
長門が誰かを砲撃するものの、見えない壁で艦娘達の攻撃を防ぐ。彼はリアス達を引き連れて命令権で指示をする。リアス達は不快に思いながらも、彼に従うしかなかった。
「命令権発動。一誠、子猫、木場は鎮守府にいる幼い艦娘を捕らえてきてね。あ、抵抗する艦娘は全員気絶させて無理矢理連行ね?
朱乃とリアスはあの連中をどうにかするように。アーシアは僕ら3人の回復を頼むよ?」
(どうしてこんなことにっ…)
既に命令権で麻紀を殺せなようにされており、リアス達は彼の意思に歯向かって攻撃することができないようになっている。
眷属を奪い去られないだけまだマシだったが、リアスは麻紀の言いなりになっている自分にイライラしていた。
元々はリアスが一誠の件で麻紀を裏切ったというのもあったが、一番は誠治を死なせてしまったことが原因だからだ。リアスがアーシアに誠治を治療させれば、麻紀は命令権で従わさせることなかった。
「貴様、何者だっ‼︎」
「知る必要はないよ。僕は君達のような都合のいい戦力が欲しい。だから、くれないかな。艦娘を」
「ふざけるなっ‼︎」
長門と陸奥の二人が主砲を撃ち、麻紀に攻撃するものの朱乃が防御する。
麻紀は朱乃の後ろから、
「へぇ?艦娘ってこんなに頑丈なんだね?」
(大本営はどうなっているっ…⁉︎)
長門は彼の襲撃を他の艦娘に知らせ、大本営に彼らのことを連絡した。が、送り出された憲兵達は既に麻紀達に抹殺されているため助けが来るわけがなかった。
「麻紀、そのっ…連れてきたぞ」
「ご苦労様。悪魔なんだから流石にこれぐらいの仕事、出来ないわけがないよね?」
抵抗している艦娘はほとんど倒れており、縛られている。一誠はドレスブレイクで衣服ごと艤装を破壊しており、麻紀の言われた通りに彼女らを麻紀が手渡した縄で拘束している。
「長門、このままじゃあ…!」
「分かっている!」
「そこを動いたら、消し飛ばすわよ」
長門達の考えは彼らの目的は鎮守府を襲撃して艦娘を奪い去っていくと考えていた。
金剛の方は木場の猛攻に手こずっている。正輝に接近して攻撃していた長門はまだしも、陸地での戦闘は素人で、接近戦もままならない艦娘達は苦戦を強いられる。
「…私達も連れてってよ」
「山城⁉︎何を言って」
津川を信頼していた艦娘達が麻紀にそう尋ねる。彼女らは津川の元から麻紀へと変え、散々振り回されることにうんざりしていた。
「もう疲れたのよ、私達。意味のない戦いも、大本営の提督に暴力を振られるのもうんざり…津川って男についていったら幸せな暮らしができていたのに、あいつのせいよ。
全部あいつが台無しにしたの。
しかも幸せな暮らしを壊しておいて、提督にならずにそのまま逃走して…」
「あなた達っ、それがどういう意味か」
ブラック鎮守府であるからか。長門と陸奥は津川の協力者ではあったものの、最後には彼に反逆した。
正輝は津川と同じ部外者であり、オリョール海域で彼を殺したことにより平和を乱しだという理由から憎まれる存在だという言い分も間違いではない。
それでも、正輝は提督にはなれなくても艦娘みんなの処遇をなかったことにするために偽装工作を考えてくれた。
その報告書を結局作れなかったのは津川についていった艦娘が台無しにした。
このまま自分達の罪が免れることなく、ここの鎮守府にいるほとんどの艦娘は罰せられるのは言うまでも無い。
更に、津川の人形にされて利用される人生を辿っても彼の正体を知って絶望に堕ちていくだけしかなかった。
正輝にも事情があるために、結局どちらが正しかったのかと言われても人それぞれでしかない。
「ふぅ、これで何人かゲットしたかな。いやぁ大量だよ」
「どこにいくデース!」
「えっ?もちろん帰るよ、もう十分人材はゲットしたから」
麻紀は戦力になれる艦娘を確かめている間に、彼に不安がっている一誠が話しかけてきた。
「なぁ!麻紀…俺達は十分反省したよ。麻紀、そのっ…悪かった!だからさ…命令権なんてことやめよう!
それでまた一からやり直そうぜ!
こんなこと、誠治だって望んじゃいない。
確かに裏切ったかもしれないけどさ、俺達は仲間だろ?それにお前の言う【計画】についてや、散々【心清き親友】って言ってるよな?教えてくれないか…その、俺達にも知る権利が」
一誠が最後まで話す前に発砲してきた。が、麻紀はわざと外しており、顔の右頬に銃口を向けてわざと外して撃ったため怪我はしていない。
「…なんで僕の言葉を一切聞こうともしない君達のような裏切り者共に教えなきゃいけないの?それと、そっちの口から僕の親友である誠治を語るなよ」
「⁉︎貴方、私の可愛い眷属に手を出したらどうなるか」
「やってみたら?でも、分かってるよね。命令権で制限されてるの?」
麻紀に命令権を出されている以上、リアス達は麻紀に逆らうことはできない。上条が幻想殺しで命令権を解除してくれればいいだけの話だが、リアス達と彼とは良好どころか険悪であるために頼むことは不可能だった。
「一誠、君達が僕の命を狙おうとして裏切ったんだ。信用できるわけないだろ?それに誠治を見殺しにした君達にできることは、僕の指示に従うことだ」
「で、でもよ!」
「ハァ…もう黙っててくれないかな」
一誠はこれ以上は反論できずに下がるしかできなかった。リアスが裏切った前の頃の麻紀はまだ仲間だと信じていたが、今ではもうリアスと眷属を利用してやるとしか見てない。
艦娘もまた仲間としてではなく利用価値があると思っている。麻紀はリアスとその眷属のことを無視して、捕らえた艦娘に笑みを浮かべていた。
「復讐の道のりは長いなぁ…でも、これは僕ともう一人の親友である誠治のためでもあるんだ!
彼女という害悪を絶対に消すために!
正輝も分かってくれるよね、君の仲間である蒼海も綺羅に殺されたんだから!
【心清き親友】も喜ぶだろう!待っててくれ!」
人材である艦娘の何人かを麻紀が奪い取り、そのまま転移して船へと帰っていく。鎮守府に残っていたのは正輝の元で協力していた金剛、改心した龍驤、木曽、球磨、多摩、長門、陸奥がいる。
6人以外の艦娘も残してはいるが、麻紀はこの鎮守府にいる艦娘達を力ずくで奪っていく。
「待、てっ…」
鎮守府にいる攻撃してきた中立派と、提督に反抗した他の艦娘を少数。そして、最悪人質としても使える何人かの駆逐艦と津川の元に下っていた艦娘は麻紀に転移されて連行されていく。
残った艦娘は倒れ伏し、何もできないまま連れて行かれるのを眺めることしかできなかった。
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艦これ編 CLEAR
仲間ー陽炎型13番艦駆逐艦浜風が仲間になりました。
残りの仲間は無人島に滞在となり、楽しく満喫することになります。
メンテナンスの方はシンフォギアGとfate/zeroクリアまでです。
携帯は制限されてますが、船の機能は正常に動きます。
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