Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

41 / 106
40話分裂

フィーネの襲撃事件がすみ、しばらくするとアーチャーが正輝の迎えに来てくれた。

 

「正輝、大変な目にあったな?しかも、ライブ放送で…派手にやったものだ」

「…全くだ。てゆうか、あれはどうにもできなかっただろ」

 

フィーネという組織が宣戦布告をしてから1週間が経つ。フィーネが何か行動を起こしているというわけではなく、ましては他の国に密かに干渉しているわけでもない。

彼らの目的が見えなかった。

ちなみに響達からはS2CAトライバーストについてはちゃんと事件の後に教えてもらっている。正輝がいなくても彼女達なりに成長し、前に進んでいる。

 

変わった点としては響達が通っていた学校が新しく新設されていることと、二課の本拠地が新しく潜水艦になっていたこと。

 

そして新たに問題として出て来たのは

 

・新たな脅威であるフィーネの存在

・ソロモンの杖の行方

 

以上の二つである。

しかし、正輝にとってそれらの問題全てはそこまで重要ではない。

彼にとって問題なのは

 

(やっぱり問題は…俺の分身であるクッキーマンが解除できねぇ)

 

そのせいか、能力が多少弱くなっている。王の財宝や無限の剣製を使うことはできるが、約束された勝利の剣や乖離剣が使えない。今の所は能力が全く使えなくなったというわけではないので問題ないが、弱体化した正輝よりも凌駕するとんでもない敵が突然出てきた場合最悪だと仲間全員に助けを求めるしかない。

 

アーチャーが後から転移し、正輝と合流している。彼も正輝と同様で、二課の関係者であるために響達と協力している。

 

「まぁ、この連絡についてはすごく助かるけどな…にしても楽園がいないか」

 

朗報としては神からの連絡で邪魔者である殺者の楽園は出てこないとのことで、響達を襲撃したりして邪魔してくることはないという知らせが来た。ただでさえ、分裂して能力が下がっているというのに今度は楽園をどう対処するかも考えないといけないから正輝にとってはかなり苦労を強いられる。

本来離れていてもクッキーマンの分身を解けばいい話だが、あの犬○家のせいなのか解除しようと思っても出来なくなっていた。戻る方法としてクッキーマンと合流し、一つになるしかない。

 

(ヤッホー、やっと落ち着ける場所に移動できましたのでこうして連絡してるよー)

(おい、いまどこにいる?)

 

クッキーマンが正輝に念話で連絡している。分身が生きているのは特定できても何処にいるかというのは能力が不安定である為にわからない。

 

(分かんないけど…どこかの施設なのかな?とりあえず今のところ隠れてるよー。いるのは襲ってきた切歌、調、マリアの三人と車椅子のおばさんと…白髪の眼鏡つけてて白衣着てる男の人の五人だ。

 

それと黒い化け物を見かけたんだけど)

 

黒い化け物といい、白衣のきていると男の資料を取って見ている。

生物兵器としてネフィリムという完全聖遺物というものだと知らせが正輝に送られた。

 

(今はとりあえず気づかれてないから、余裕があったらまた連絡するね)

(分かった。今の所、気づかれないように身を隠すことを優先してくれ。調べるのは自分が安全になってからだ。)

 

クッキーマンがフィーネの動向と情報を隠れながらも手に入れ、正輝は響達を守ることを専念した。

今の所、情報を手に入れることはできても彼らの動向は部屋が暗すぎて誰が何を話しているのか分からないため、まだできなかった。

 

次の日

二課の方はフィーネという組織を探っており、証拠を見つけてようとしていた。ライブでテロを行う前、彼らが何をしていたのかを調べている。

トレーラーの入手経路を調べ、医療機器が送られているのがわかった。正輝とアーチャーの二人もまた二課の捜査に多少ながらも携わっており、弦十郎と通信をしながら緒川と共に仕事を手伝っている。

 

調査の際にヤクザとの戦闘が起きたりしていた。

「このヤロォ‼︎」

『すぐすませっぞ』

『了解した』

 

緒川の方は忍者で、正輝とアーチャーは魔術を使うまでもなく素手でケリをつけた。アーチャーは一般人相手に戦うのは造作もなく、正輝は筋力Eとはいえ英霊と同等の運動神経を持っている。

 

『こっちも終わりました。ひとまず彼らが持ってた資料を送りますんで。

あ、あと犯罪経路とかも…っと』

 

フィーネに隠れ潜んでいるクッキーマンのスパイ工作(偶然)は二課にはまだ言っておらず、FISの動向の内容によってかなりヤバいことをしてきたらすぐにでも正輝とアーチャーが処理する。言うにしても確かな情報を二課が掴めない限りこちらが言って先手を取ろうと思っても見破られれば、スパイをしているクッキーマンの存在がバレる。

 

白衣の着た男によって実験台にしたら元も子もない。

 

一方響達の方はカ・ディンギルの件で新しくなった学校に通っている。翼と響は元気に通っており、転入生として雪音クリスが入った。

 

夜にクリスは翼と下校している。

「よ。お前と久しぶりに落ち着いて話したかったからさ」

「あーお前…まさかいきなりあんな状態で会うとは思わなかったぞ」

「とりあえず久しぶりに会ったんだからゆっくり話すとするか。そういうわけだから翼、話に割って入っていいか?」

「いいぞ」

学校の門で二課の手伝いを終えた正輝がクリスのことを待っていた。アーチャーの方は買い物に行っており、彼の手伝いとして凛、士郎、セイバーを向かわせていた。

 

正輝の方は今日のことでクリスと話している。クラスから学校行事を手伝って欲しいとのことで最初は逃げ回っていた。フィーネという武装組織が出て来てるからこんなことしている暇がないと思っている。しかし、逃げ回っている最中に翼の方と出会い、二人揃って手伝うという形となった。

「てことは、響達の学校はその行事で賑やかになるだろうな。俺は行けるかどうか分かんねーけど…まどか達とかに楽しんでもらおうかな?」

学校行事と言うのは秋桜祭というもので、クラスのほとんどが今日の夕方に準備している。

「弦十郎と両親からも聞いたよ。お前が平和な暮らしをしてるって聞いたからホッとしてる。で、学校には馴染めてるか?」

「ま、それなりにな」

 

クリスは過去に紛争で捕虜にされているために、幸せな暮らしに躊躇っている。まだ、学校生活に上手く馴染めておらず他の子との関わりに戸惑っていた。

「まぁ、学校は楽しく満喫するもんだ。慣れるのはお前のペースでいい。相談には友達の響と翼に、保護者の父母だったいるんだから」

原作とは違い、弦十郎のはずが雪音クリスの父親と母親は生きて、3人家族一緒で暮らしている。

「あんがと、お前の方こそ何か変わったことってないのかよ?」

変わったことと言っても多すぎる。

転移した世界ではヤンデレに殺されそうになるわ、艦娘という少女達に狙われそうになるわで命の危機に瀕することが多い。特にカップル、正義を求める目玉おやじと全身黒タイツの姿をした男と探偵をしている少年、艦娘まで仲間にした。

「変わったねぇ…強いて言うなら、個性の強い人達を何人かな」

「また仲間が増えたのかよ。まぁ、後であたし達に紹介してくれよ?」

話している最中に、正輝とクリスの携帯から音がなる。二課からの連絡が来た。

「…フィーネの件か。二課が燻り出せたのか?」

「行ってみねぇとわかんねぇよ…」

 

*****

 

深夜

 

二課からずっと昔に閉鎖された病院が2ヶ月前から何故か物資が送り出されるという連絡が来た。しかしこれ以上の情報がないため、その病院に潜入し探ろうということだ。

 

(あの連中が隠れるにはうってつけの場所だな。にしてもよくこんなところを特定できたな)

『いいか、今夜中に終わらせるつもりで行くぞ‼︎』

「街のすぐ外れにあの子達が住んでいたなんて…」

 

響達(正輝も含む)がその病院に侵入すると、病院内にはノイズが出現していた。出てきたノイズはライブと同様に制御されており正確にこちらに向かって攻撃して来ている。

「ノイズ…てことはこっちで正解ってことだな‼︎投影開始っ‼︎」

3人が聖詠を歌い、聖遺物を纏って変身し、正輝が先頭に立って、投影した武器で近づいてくるノイズを撃破する。

【BILLION MEIDEN】

クリスは遠くにいるノイズをガトリングで周囲のノイズを蹴散らす。

 

「立花、雪音のカバーだ!懐に潜り込ませないように立ち回れっ‼︎」

「はいっ‼︎」

 

響と翼はクリスがノイズを遠距離から潰しているため、接近してこないように二人でクリスを守っている。

 

正輝は3人の前衛をしており、彼女達よりも多くのノイズを蹴散らしている。こうして倒して進んでいるもののノイズを斬ったり殴ったりしても何故か再生していく。

 

(なんで俺が倒すときは倒されてんのに、響達が攻撃してもノイズがしつこく出てきてるんだ?)

 

もう一度攻撃し、撃破して進んでいるがノイズの数が減っている様子ない。それどころかノイズが出てくる量が増えてきている。

 

【蒼ノ一閃】

 

翼が必殺技で消し飛ばそうとするが、ノイズがまた再生して襲ってきた。響達の体力の消費がなぜか激しい。本当ならこんな短時間に体力を使う必要はないはずなのに、3人とも疲労した顔になっている。

「なんでこんなに手間取るんだっ⁉︎」

「ギアの出力が落ちているっ⁉︎」

(どうなってやがる…)

奏者達の適合係数が低下して、戦う前に戦闘が続行できない。戦っているうちに疲れが出ている。

 

「おい!お前ら大丈夫かっ‼︎」

 

正輝が響達を心配して後ろを向いたその時、巨大な化け物が襲ってきた。

「避けてっ‼︎」

(ちっ…反撃は不可能か…なら防ぐしかない)

襲ってくる怪物が正輝のすぐそばに迫ってきた。このまま反撃しても間に合わない。

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)っ‼︎」

 

巨大な六つの花弁を出現させてネフィリムの攻撃を防ぎ、自分の身を守る。響が横から正輝を助け、翼がその化け物を斬り伏せた。

が、炭素になって消えることがない。

「アームドギアで迎撃したんだぞ⁉︎」

「なのになぜ炭素と砕けないっ⁉︎」

攻撃を受けてもまだ目の前でピンピンと動けている。

「少なくともあれはノイズじゃないな…」

「じゃああの化け物はなんだったんだよ‼︎」

(てことは…クッキーマンの言っていたネフィリムっていう完全聖遺物の化け物か)

ネフィリムはノイズではないため聖遺物の攻撃を受けてもビクともしない?その化け物は眼鏡の白髪の男が持っているケースの中に入り、彼がこっちに歩み寄ってきた。

「えっ⁉︎」

「ウェル博士⁉︎」

「は?お前ら知り合いか?」

「はい、ソロモンの杖を送る時に…でも」

響とクリスは驚いている。二人はソロモンの杖の運送の時に知り合っており、こんな場所で会うとは思ってもなかったからだ。正輝の方はソロモンの杖の後始末については聞かされてない。ソロモンの杖を送った基地が襲われ、行方不明になっていた。しかし、ソロモンの杖を持ったままこうして生きている。

「つまりノイズの襲撃は全部っ…」

「そう言うことですよ。明かしてしまえば運送中の間、既にアタッシュケースにはなく私のコートの内側に隠し持っていたわけです」

彼はソロモンの杖を奪い、自分を襲わせる芝居をとっていた。運送の際に襲わせたのも、ライブにノイズが出現したのもウェルという男がソロモンの杖を操っていた。

 

「バビロニアの宝物庫よりノイズを呼び出し、制御することを可能にするなどこの杖をおいて他にありません。

 

そしてこの杖の所有者はこの自分こそがふさわしい!そうは思いませんか‼︎」

「思うかよっ‼︎」

そう言ってクリスはノイズに向かってミサイルを放射しようとするが、発車する前に急に苦しみ出してしまう。

ミサイルは発射され、ノイズが炭素と化して消えていくが、クリスの方は調子が悪くなってしまい倒れかけている。

(まさかっ…このアンチリンカーっていう赤い煙のせいで)

 

病院内にばら撒かれた赤い煙が原因で響達は本気が出せない。適合係数の低下とギアからバックファイヤで奏者を蝕んでいるからだ。技でギアの出力を使えば使うほど、シンフォギアにおけるバックファイアで自身を殺すことになってしまう。

 

(んで、眼鏡をかけた白髪の白衣の男ってのはこいつのことだな)

「それと…貴方のことについても気になります。ノイズの攻撃を受けても炭素化せず、手から剣を取り出すことができる…奏者でもない君は一体何者なのでしょう?」

「なんで俺があんたらのような連中に俺の力について教えなきゃいけないんだ?」

「貴方はノイズの攻撃を受けても炭素にならずビクともしない、聖遺物を持っていないただの剣でノイズを倒すことができる。

 

 

奏者でもない貴方の力にも興味がありましてね。貴方のそれはなんなのでしょう?」

正輝は響達と共にノイズを倒し、ここまできている。アンチリンカーによる影響もないため動けるのは正輝だけだった。

「もう一度言うが教える必要はないね。それに、俺を捕らえるつもりなら仲間を呼べよ…ノイズごときで俺は捕まえらねぇぞ」

「今のところは貴方を捕まえる気はありません。またの機会で「またの機会?いいや…今ここですぐにテメェは地獄の底で寝ぼけてなっ‼︎」」

正輝は4本の干渉・莫耶を既に投げており、ウェル博士の背後からブーメランのように回り込んで降ってきている。だが、ソロモンの杖でノイズを召喚して、操作し、彼の盾になる。

4本の剣は彼には届かなかった。

(やっぱりあの野郎がソロモンの杖を持ってる限りノイズが邪魔だなっ‼︎)

「あれはっ⁉︎」

 

響が上を見上げると空を飛ぶノイズがネフィリムの入っているケースを持って移動していた。このままだと、領土に出てしまう。

 

(アーチャー、誰かが俺達の邪魔したらそっちも手伝うように)

(了解した)

 

アーチャーは別の場所で隠れており、鷹の目でウェル博士を監視している。

翼には正輝と響は目の前にいるウェル博士の確保と、バックファイヤで重症の雪音を頼まれている。正輝がウェルを徹底的に叩きのめして連行しようとしても、こちらの目的はその男を生け捕りにすること、正輝が力づくで攻撃しても何かあったら台無しになる。

 

(こいつは様子見、ならあのノイズは翼に任せるか)

 

翼がそのノイズを追い、ギアの出力で高く飛んだ。二課の本拠地である潜水艦をタイミング良く浮上させ、浮上したところを翼が乗って飛ぶ。距離を伸ばすとノイズのところにまで剣が届き、撃破した。

 

ノイズが持っていたケースが海に落ちて、それを翼が取ろうとする。が、ケースを取ろうとする前に黒いガングニールが翼の頭上から投げ飛ばされていく。

 

 

翼はマリアの攻撃を受けて、海に落ちていった。

 

「翼さん!」

「時間通りですよ、フィーネ」

「フィーネだとっ⁉︎」

ウェルがそう呟く。フィーネは、前に響達が倒したはずだった。が、彼女は転生を繰り返し、別の人に乗り移ることで復活すると言っていた。ならばまた蘇ってアイドルであるマリアに取り憑かれていてもなんらおかしくはない。

「終わりを意味する名は我々組織の象徴であり、彼女の二つ名でもある」

「まさか、じゃああの人が…」

「新たに目覚めし、再誕したフィーネ‼︎」

 

果たしてマリアが本当にフィーネなのかどうかというのは誰も分からない。彼女が自分のことをフィーネだと言っているだけで、それを確かめるものはない。だが、

 

(あれがフィーネなのだとするなら…またあの時のように戦わないといけないのかよっ…!)

 

もし本物ならば、前回倒したはずのフィーネと響達がまた相対することとなる。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。