Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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43話文化祭と近づいてくる災厄

正輝がマスター・オブ・ザ・リンクによる影響により悪夢で見たものが実際に起こってしまえば、響は絶対に立ち直れなくなってしまう。

「アーチャーは仲間達に文化祭にことについて伝えてくれ…あと、切歌と調を見つけても手は出さないように。

 

 

俺らが入ってきたら…あのロープの連中がここで暴れる可能性も考えられる。そしたらここにいる一般市民は確実に被害に遭う」

「了解した」

クッキーマンの知らせで、アジトが抑えられてネフィリムに与える餌をどうにか補給するためにウェル博士は響達の聖遺物を補食させようというのを提案していた。

しかし、切歌と調の持っている聖遺物を食べさせれば、自分達の戦力を削がれてしまう。マリアが自分が戦って響達のシンフォギアを奪うという方法を提案したが、調も切歌がそれを拒否する。

 

マリアが力を使うたびにフィーネの意思を強くなり、マリアの魂を塗りつぶして取り込まれてしまうと反論した。

(切歌と調の二人もマリアに向かってフィーネだと言っている。やっぱりマリアがフィーネなのか?)

こうしてネフィリムの餌を収穫する為に、切歌と調が響達のペンダントを奪いに、この文化祭を回っていると言う話を聞いた。

(そういうわけなのであとはマスターである貴方に判断を任せます)

「あぁ、分かった」

正輝が切歌と調の二人を見つけ出し、気づかれないように気絶させ、捕獲するのは容易いがあの赤または青ロープがこの文化祭に来ている人達に危害を加えて邪魔をする可能性がある。

実力ではアーチャーと同等であるために正輝の仲間達だけで対処できるかどうか難しかった。

 

(あの悲劇は、何としても阻止する)

 

正輝の方は同級生の3人の女子が雪音クリスを何処かに連れていっているのを見ていた。

 

(雪音?彼女らとどこにいく気だ?)

正輝もまた雪音の後を追って、ステージへと向かっていた。

 

*****

「あっ、正輝さん!」

「よう響。で、隣の子は?」

「小日向未来です。響がいつもお世話になってます」

正輝がクリスの向かうステージへ入ると響と未来、翼と3人が観客席で座っており、雪音クリスが会場にて歌を楽しく歌っていた。

 

幼い頃から紛争地帯で両親を失いかけ、フィーネに利用され、戦争の火種を増やしてしまった。響達に手を差し伸べられて以降、クリスはあまり馴染めなかったこの平穏な日常で無事だった両親とこうして幸せに暮らしている。

 

(最近、働き過ぎかもな…色々あり過ぎて)

 

正輝の疲れた心が彼女の歌で和んでいた。彼は席に座り込んで彼女の歌を聴いている。

 

(思えばクリスと会ったときは完全におふざけで会ったからな…それ以降はフィーネにこき使われたけど、結果的に良かったし。こんな日が続けばいいのになって思ってて、でもそういうわけにないかないのもわかってる)

 

雪音クリスの方は響達と共にノイズを倒して人々を守る。正輝達の方は正義側として敵である殺者の楽園を倒す役割を持っている。雪音が歌い終わった後に、クッキーマンから念話が入る。

 

「あれ?どこに」

「悪い、ちょっと外に出る。クリスの歌も聞けたし後はお前らで楽しんでくれ」

 

正輝は会場から出て、クッキーマンと連絡を取った。クリスの楽しそうに歌っているを見て、安心し、心が落ち着いている。

 

 

「…どうした?」

(ちょっと困ったことになった。いや、正体がバレたとかじゃなくて…)

 

FIS組織が見つかり、本国からの追っ手が基地に侵入しようとしている。マムがマリアにガングニールの迎撃を頼んだ。しかし、また介入したらしたで赤ロープの存在がまた邪魔してくるのではないかと正輝は思っていた。

(どうする?助けるの?)

「連中が無関係な人間に手を出そうとした時にだけ暴れてこい、俺が許可する。終わったらすぐに逃げろよ。本国の連中は正直どうにもならないかもしれん」

(ラジャーっ‼︎)

 

*****

 

テロリストとして素人の集団であるが故に新しい基地がすぐに嗅ぎづけられ、訓練されたプロを相手にするなど虫が良過ぎていた。

 

踏み込まれる前に、マムはマリアに彼らを撃退するように命じた。

「相手は只の人間!ガングニールの一撃を食らえば…」

(まぁ、当然死ぬよな。でもその道を君達の志す正義として進んだが故にこうなることはいずれは訪れていた事だし)

 

クッキーマンが隠れて見守っている。

正輝の指示からは追っ手の武装達を助けたところで隠れて見ていることがバレてしまうからと言っているため、やられる姿を黙って見過ごすことしかできなかった。

 

「ライブ会場占拠の際にもそうでした…マリア、その手を血に染めることを恐れているのですか?」

(君達がテロリストやってる以上、政府が黙って見過ごしてるわけないし、殺すか殺されるかの展開は不可避だ)

 

マリアは聖遺物で人を殺すことを躊躇っている。しかし、彼女が動く前に

 

「炭素分解…⁉︎」

 

既にウェル博士が本国の追っ手を倒していた。ウェルに向かって銃を撃ち続けているものの、枯葉をソロモンの杖を持っているためノイズを操って自分の身を守っている。召喚したノイズで追っ手を炭素化し、ほとんどを消し炭にした。

「すごい音してたのここじゃない?」

「早く練習に行かないと監督に怒られるってば…」

爆発の音を聞いて、自転車に乗っている野球の少年達3人がその基地に来ていた。基地から出た最後の一人になった追っ手はノイズに怯え、そして目の前で炭素化される。ウェル博士は野球の少年達を証拠隠滅のために、彼らもまた炭素化させようとしていた。

 

「おやぁ?」

「やめろ…その子達は関係ないっ!やめろぉぉぉっ‼︎」

「チェィストォォォォッ‼︎」

 

しかし、クッキーマンが襲っていたノイズを撃破し、ウェル博士を強襲する。正輝の指示通り、無関係な一般市民を助けた。

「何とろっとしてる!お前らさっさと早く逃げんカァァァイッ‼︎」

「「「はっ、はいいいっ‼︎」」」

 

少年達はクッキーマンに救われ、このまま逃げ去っていく。あとはウェルを適当に相手して、時間を稼いで逃げればいい。

 

(よし!これでさっさと逃げ…)

 

そうクッキーマンが叫ぶが、矢が地面に刺さる。音を聞いて首を下に向くと投影された矢が真下に刺さっている。

 

「これはっ…ヤば」

 

赤ロープが壊れた幻想を発動し、矢を爆発させた。

 

*****

 

(ヤベェよ…赤ロープにつけ狙われて狙撃されてる…無敵能力あって良かったぁぁっ‼︎)

「やっぱり出て来たか…」

 

クッキーマンには無敵能力を持っているため、怪我することはなかったがこのまま攻撃を続けられたら正輝側も困っている。

 

「出来るだけそいつの目をくらませろ。ここで巻かないと、マリア達の隠密行動がここで終わる」

 

クッキーマンは持っている投煙球を投げて一目散に逃げていくものの、

 

(なっ、投煙球が効かない⁉︎)

 

赤ロープは正確にクッキーマンを狙っていた。投球球は100%逃げ切れるアイテムであるはずなのに、位置を正確に弓矢で狙撃していた。

 

「そこで何をしている‼︎」

「…」

 

別の方向から来た別の本国からの追っ手が彼を見つけ、銃を構えている。赤ロープ男は結界を発動し、増援してくる追っ手を次から次へと投影した宝具を何本も射出して秒殺する。

 

「うわぁぁぁっ‼︎」

追っ手を全員逃すことなく皆殺しにした。

(な、なんて奴だっ⁉︎)

 

クッキーマンは赤ロープが結界を張る前にその隙を狙ってすぐに気配遮断を使い、この場からすぐに逃げていく。野球の少年達を助けたものの、隠密行動が目的であるために、これ以上のことはできなかった。

 

(あのクッキーマンという生物、ライブ会場の時は埋もれてましたが…何故あんな都合よく急に現れた?)

 

ウェル博士は起き上がり、突然現れたクッキーマンに疑問を抱くものの、目の前にいる赤ロープの男に質問したいことがあった。

 

「貴方は何者なのでしょうか?…何故…我々を助けるのですか?」

『理由を知る必要はない。お前らはお前らのなすべき事をやれ』

 

赤ロープはそうウェルに告げ、転移して消え去った。

 

(…まぁ、いいでしょう)

 

ロープの存在がフィーネ組織を守り二課も敵対する理由は結局聞かされてなかったものの、こうして守ってくれているのならば理由を聞く必要は別になくても良いと思った。

(良かった…でも今後はこのようなことがこの先、私は)

マリアは野球の少年達が無事であったことに安堵してしまうが、今後人を殺すようなことになると胸が苦しい思いだった。襲撃者の排除はできたものの、もうアジトに長居することはできなくなってしまった。

 

*****

 

クッキーマンガ上手く巻けたもいう知らせを聞いて、正輝の方は安心している。シャドーを使って野球の少年達を監視すると、二課の人達から既に事情聴取されて話をしている。

 

(じゃ、俺は隠れて休むので)

「ご苦労だったな」

 

クッキーマンの念話が終わり、響達と共に二課へと合流した。正輝がクッキーマンと連絡を取るために観客席から立ち上がって出て行った後、切歌と調がステージに現れた。

 

響達のペンダントを奪うために、文化祭によるステージのルールを利用することにした。文化祭によるステージのルールには優勝者には一つ願いを叶えるということである。しかし、彼女ら二人が歌い終わり、結果発表となる前に突然ステージを出てしまった。

 

二人は逃げようとしたものの、響達と邂逅した。二人を逃さないために戦おうとすれば、文化祭で楽しんでいる一般市民を巻き込むこととなる。

 

『そう、決闘デス!』

『決闘の時はこちらが告げる』

切歌達も戦いたくないと言い、決闘を宣言する。どこでやるのかも言わずに、そう約束を言い残して、二人は去っていった。

こうして集まったのはノイズの出撃により周辺の調査だった。その場所には遺棄されたアジトと大量に残されたノイズ被災者の痕跡がある。正輝の方からは二課や響達にまだ話しておらず、FISがそこで隠れていたのは正輝とクッキーマンの二人だけが知っている。

次に、響とマリアの聖遺物を二つのアウフヴァッヘン波形を合わせると、響と二人のガングニールは同じものだった。

 

米国に一部を持ち出し、櫻井理論によってもう一つのガングニールが作られ、こうしてマリアが聖詠を歌い変身している。しかし、クリスからは米国政府はフィーネの研究を狙っていたためにFISという組織とシンフォギアがあるのならその必要はない。

「その管理から離れて、自分達の持っている情報を独占して独自行動をしているのだろう…」

「違いないな」

FISを作った自国にまで拒否するほどの企みがあるというのは間違いなかった。その時、

「ノイズの反応パターンを検知!」

「位置特定、東京番外地・特別指定封鎖区域…⁉︎まさか」

「カ・ディンギルの跡地だと⁉︎」

(なにっ…⁉︎)

その約束の地は、かつて響達がフィーネを相手に戦っていたカ・ディンギルの跡地だった。そして、その場所でネフィリムと響が戦うことによって悪夢が現実となってしまう。

(まさか、このことか⁉︎)

マスター・オブ・ザ・リンクで見てしまった悪夢が、もうすぐそこまで迫ってきていた。

 

 




「俺とアーチャー以外にも仲間を何人か配置しておいた。もう心配はいらない」
「何を企てている!FIS‼︎」
(狙っているのは俺じゃないだと⁉︎ならロープの連中の目的もまたフィーネ組織と同様に)
「何こいつ…今までの奴とはレベルが段違いすぎてっ⁉︎」
「立花、そいつから離れろォォォォッ‼︎」

次回 現実は非情である


Q野球の少年達は?
A一応助けておきました。クッキーマンが助けてくれたと噂にされても周囲には何の害もないですし。ただし、本国からの追っ手のほとんどをノイズ&赤ロープによって全員始末されました。

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