6/21 9:30
「ハァ…行ってくるか」
探偵少年が来て以降、正輝の周囲における進展はない。家に滞在するためにも家賃を払いながらコンビニのアルバイトをほとんどの日に頑張っている。
5月終わりの二日前には犬が人を殺すという猟犬殺人事件の噂を聞き、6/12に犬を飼っている月島狩人という人が何者かに殺害されたということ。
6/19には警察署に向かって少年一人と少女一人が発砲して、犯罪者として指名手配されているという事件がニュースで流れていた。その次の日の桜見市における病院爆破事件が起こった。
どの事件も正輝は関与していない。
しかし、来須圭吾という刑事が死亡したことについては、正輝はショックを受けていた。
(あの人、俺の無罪を証明してくれたのに…)
御目方教の信者かどうか怪しまれていたのを助けてくれた刑事。正輝は落ち込んではいるものの死んだ人を悔やんでもどうしようもできない。
正輝は携帯を開くと既に、メールの連絡が来ている。もう一度会って話したいという連絡がきた。
(まだ、用があんのか?)
6/22
夕方に秋瀬或が、もう一度正輝の家にまたやってきた。
「次は何の用で?」
「今回は御目方教事件についてではありません」
御目方教についてじゃないということに首を傾げていた。
そもそも6月に起きた事件には全く関与されてない。全ての事件において関与したのは5月中の御目方教事件しかなく、調べることは何もないと正輝は思っていた。
「未来日記、僕が帰る直前に貴方はそう言ってましたね」
「…いやだから、それは気にしないでくれって前に「未来日記は、桜見市におけるすべての事件に関与しているものの一つでした…と言ったら?」は?」
「どうして僕が帰る間際に未来日記と言ったのですか?」
彼は今までに起こった事件を正輝に話した。正輝が関与した御目方教よりも前の殺人鬼事件や爆破事件に、猟犬殺人事件と病院爆破事件。これら全てには、どれも未来日記に関与しているものだと正輝に言った。一言呟いてしまったことで、また新たな問題が生じる。
「質問を変えましょう、そもそも貴方は未来日記を一体どこで知ったんですか?その存在を御目方教に行って知ったのなら御目方教に興味があるからということになりますが?」
彼は、核心をついてきた。
正輝の場合は未来日記については神から教えてもらったが、未来日記という力はそもそもサバイバルゲームに関与している人にしか知ることができない。
「ハァ…参ったよ。俺は別の目的で動いていたのは事実だ。それははっきりさせよう。ただし、未来日記を知っている理由は残念だけど、それは秘密だ。悪気ってわけじゃない。言えない事情があるんだ。ただ、ここに被害を及ぼすわけでも、事件を起こすわけでもない。それは信じてくれ」
秘密、その言葉しか正輝には思い浮かばなかった。神様から知りましたなんて戯言を信じられるわけがない。また疑われると正輝は気分を悪くしながらそう思っていたが、或の表情は少し微笑んでいた。
「分かりました。事情があるんですね。僕から見て貴方は悪い人には全く見えない、信じます」
と言い、それを聞いた正輝は話のわかる少年でホッとした。
(良かった)
「貴方は未来日記のことについて色々な事件をめぐって探ってた。そうですか?」
「半分は正解だ…けど、色々な事件を巡って捜査したというわけじゃない。
初めは千里眼っていう異能力を噂で聞いただけだから未来日記を使ってるんじゃないのかっていう憶測で動いただけだ。その教団が素晴らしいかったり、興味を持っているわけではなかった。そんだけだ…ただ未来日記がどんなのかなーっていうだけ」
もし未来日記所有者を見つけたから、協力して欲しいと正輝は頼み、秋瀬は喜んで聞き入れた。未来日記のことについて、調べられるのなら所有者を回収できるからである。正輝は彼に可能な限り手伝うことにした。
「協力ですか…ではこちらの頼みとして貴方ができる範囲でやってもらえませんか?」
「あぁ、頼む。ただ、素性を隠して協力したいんだ。偽名で呼んでくれないか?」
「分かったよ、それじゃあ名前は何に?」
「そうだな…霧野と呼んでくれ」
二人の二度目の対話を終えた。正輝は秋瀬を通じて未来日記所有者を彼の情報を元に裏から調査する。秋瀬は協力してくれる人材が一人でもいてくれたことに感謝した。
6/28と6/29に或は用事があるから家には来れない。とある人から宿泊券をもらい、友人と一緒に行く約束をしている。その間正輝は自分の姿を隠すための羽織などの服を買いに向かい準備をしていた。
自分の姿を隠すだけではなく未来日記所有者との戦いに、とにかく生き延びるためにどうすればいいかを。
協力すると言っても正輝は未来日記所有者を倒すわけではない、正輝の役割は危険な状況にてどうやって生き延びるか。未来予知で負けてしまうのならそれを考慮しなければならない。
考えていくうちに過ぎていく時間が短いと感じた。
7/2 14:30
秋瀬からの連絡が入り、行く支度をする。正輝は衣装は大きいカバンを用意し、高坂の家にタクシーで行くこととなった。高坂の家の近くの門にたどり着き、自分の姿を覆い隠す為に黒いフードを暗い場所で羽織る。
7/2 15:00
ようやく正輝の準備が整い、秋瀬達の元にたどり着く。
計画についてはたどり着いた後に秋瀬から聞いた。
「というわけで彼は僕らの協力者なんだけど。素性を明かしたくないから姿の方は隠している。霧野っていう名前で呼んでほしいって」
「俺を信用するかしないからそちらで決めてくれ、刑事である西島さん。俺は貴方と協力する。俺の役割として足止めの時間稼ぎだ。できれば、奴らに手負いを負わせることは努力する。
よろしく頼む」
西島という刑事は正輝の格好を見て困ったような表情をしている。正輝の服装がいかにも暑そうな格好をしているからだ。秋瀬と西島とは協力の関係でありこうして警察も動いてくれている。
(早く来てくれ…暑い)
携帯を見ながらイライラし、その2時間後に正輝の携帯から秋瀬のメールが来た。彼からはアンテナ塔の修理に向かっていくという内容だった。
(アンテナ塔の修理?一体誰が壊したんだ?)
正輝がメールを確認したあと、正面から未来日記所有者二人が秋瀬達の元に迫ってくる。男女のペアで襲ってきた。それを妨げるために西島と正輝の二人で、なんとか抑える。
「おらよっ!」
「ぐっ⁉︎」
西島が男の殴りを食らい、すぐに倒れてしまう。西島は立ち上がって彼を抑える。一方正輝のは女性の投げてくるナイフの攻撃を見事にかわす。
「こいつ⁉︎」
「遅い」
ナイフの一本一本をよく見ながら、避ける。仮にかすって当たったとしても突き刺さらない限りは動ける。
正輝は彼女を足でこけさせる。
「愛!この野郎‼︎」
彼女の危険を察知した男は、西島を後回しにし、彼女を助けるために男が正輝の腹を殴りにかかってくる。
「決まったぜ、あ?」
正輝は男の拳をそのまま腹に直撃したものの、
「なっ⁉︎こいつ‼︎」
殴ってきたその右腕を掴み、思いっきり壁に向かって背負い投げた。左手や足で蹴ったり、殴ろうとしても手を離すことなく壁の向かって投げてぶつける。
必ず喧嘩に勝つというのならわざと攻撃を外し、敗北という結果がわかるのなら、あえて自分は攻撃を受ける。
肉を切らせて骨を断つという戦法だった。
当然正輝もまた怪我を負っている。
「マル⁉︎このぉ!」
今度は彼女は持っているナイフを二本同時に投げつけた。
正輝は羽織っていたロープを脱ぎ捨てて、そのロープで盾代わりにする。ロープはかなり分厚く、投げられたナイフはロープに突き刺さって落ちていった。
「悪いが、時間だ」
役目を終えた正輝はその場から逃げる。二人は正輝の後を追うことなく、秋瀬達のところへ向かう。
秋瀬が携帯の回線を繋げなくさせ、未来日記を使えなくさせる方法を行うための時間稼ぎはした。あとは彼らがなんとなしてくれると信じて、役目を終えて撤退。正輝は女子二人のことも心配していたが自分の身を優先しなければなかった。
(あー、マジで暑かった〜)
正輝は防弾チョッキなんて高価な物は用意しておらず、正輝は自分の身を守るための別の重装備を用意していた。
腹には外部からの攻撃を軽減させるゴム性でできた防具。黒いロープで隠していた顔を殴られないために全体を針だらけに作った仮面を用意していた。顔を殴れば、針が右手に突き刺さる。
無能力の自分が未来日記所有者に勝てるわけがない。勝てないのなら自分が生き延びる為にどうするかを想像して考えろ。イメージしろ(とある赤い弓兵(黒沢君)が言っていたように)と。
正輝が試行錯誤して考えた結果だった。
逃げている最中に服は脱ぎ、針だらけの仮面は取り外した。
(地味に痛い…)
弱点としては着てる量がかなり厚いために、服の中はとても蒸し暑い。
何よりも二人が正輝の後を追跡されないのは幸いだったこと。
脱いだあとの正輝の皮膚からは大量の汗が流れていた。
腹を左手で抱えてながらも右手で大きいカバンからタオル取り出し、汗を拭く。
それからタクシーを拾って撤退した。
「あいつ、俺の腹を思いっきり殴りやがって…ん、なんだあれ?」
タクシーのサイドミラーから煙が見えている。
高坂の家の方から煙が立っていた。
秋瀬の作戦が失敗したのか成功したのか正輝にはよく分からなかったが、無事であることを祈るしかできなかった。秋瀬に協力し、自分のやるべきことはやった。
そして新たに、
(神様)
(ん?なんじゃ?)
「腹を殴ったのはイラっとしたが…あの二人は面白い。
俺はあいつらのこと気に入った。もし、あの二人がまだ生き残っているのなら…あの二人を調査して平坂同様に助ける。
危険だけど、それは承知の上だ」
正輝本人の次の目的は、あの二人を平坂黄泉のように助けることを決めた。
もしも未来日記所有者なら尚更だった。
彼ら二人がもし死んでいないのなら、もう一度彼らを目撃し、目玉おやじの次はあの二人を助けるつもりでいた。
Q来須圭吾に助けてもらったのなら、正輝もまた携帯によって助けても良かったんじゃないのか?
A仮に助けたとしても事情を正輝が話したところで、『いい迷惑だ』と協力を断られるのがオチです。彼がサバイバルゲームに執着してしまった理由は神になって息子の病気を治すために未来日記所有者を標的にしてました。
最初の時は神の座に興味はないと雪輝達に言い、あのまま事件が彼以外の未来日記所有者によって何度も起こり活躍するはずだったのですが、ムルムルによって因果律を変えられてしまうので早めの退場となります。デウスはサバイバルゲームにて来須はギリギリのところで生き残る一人として候補だと言ってるので。
正輝が来須さんを助け、正輝の都合で振り回される筋合いは彼にはないです。能力が有能だという理由で助けたと言っても彼の持っている未来日記『捜査日記』は正輝達の協力において全くもって無意味です。
彼が刑事だからこそ、その日記の予知能力を発揮し、雨流みねねを何度か捕らえようとしたり、雪輝達を犯罪者に仕立て上げ事件を起こした。
捜査日記は、所有している自分が刑事かつ事件が起きないと意味をなさないんですよね。しかも刑事じゃない場合捜査の権限がないから刑事じゃない時点で未来予知できません。
最後に犯罪者になり捜査日記は使えなくなって敗北したように。
たとえ仲間になったところで一応協力はしてくれるとは思いますが、リーダーである正輝と彼の信頼関係はかなりグダグダになってしまうでしょう。来須圭吾はあのまま敗北して消えるというだけで十分でした。
どの道、或から事件全てに未来日記が関与しているというを後から知るわけですから助けられません。
Q今回は未来日記のことに触れましたが、なんとか秋瀬君のことは信用してくれましたが…良い点もありましたがと悪い点もがありましたね。
Aメリットとして
正輝は秋瀬の依頼を貰い、陰で動くこととなります。
デメリットとして
一応正輝は目的をほとんど隠さずに話しましたから信用は高いですが、サバイバルゲームに正輝が間接的に関与しているとはいえできれば可能な限りの範囲で手伝って欲しいと正輝に頼むでしょう。正輝にも危険な目に合わせてしまうという罪悪感はあると思うので、『貴方ができる範囲』と言ったのです。
協力するといっても正輝のことについて全てを信用しているというわけではありません。
Q日にちが飛び飛びですけど大丈夫でしょうか?
A全ての事件に関与するなんでできませんし、かなり飛びます。余談ですが、デウスが危険視しない理由は正輝の存在がかなり脅威というわけではないからです。もう一つの理由もありますが…
例えば一人の人間が転生させられ、その世界に赤ちゃんに転生し、とんでもない異能力を用いて多くの人を死に至らしめたのならそれは危険な存在として動きます。
正輝もまた因果律を大きく変えたりするので危険ではあるが、放っておいても彼本人が無差別に虐殺をしたり、未来日記に関与した事件に気づいてない限りはただの日常を日々過ごしているだけです。
ただし、イレギュラーの正輝を邪険に思っているムルムルは彼を危険視しています。
Qとうとう7thの二人に会いましたね。正輝は一体どうするのか…とゆうより愛が持っていた『増殖日記による逆ナン日記』はなんで正輝には影響しないのか?
A増殖日記で愛が使っていた逆ナン日記に正輝は記されません。正輝側の神の調整もあり、全くのイレギュラーだからです。この世界で生まれ、育てられてないからです。本物の未来日記にしか正輝の存在が記されません。戦場マルコの孫日記『常勝無敗喧嘩日記』による孫日記の場合はマルコ本人の未来なのでその未来に応じて正輝もまた適応されてしまいますが…要は正輝の個人情報が孫日記ではバレないようになってます。
Qたしか7th以外にも8thの刺客であるターくんに目をつけられることは?
Aそれはないです。正輝は西島さんと同様に未来日記を使ってないからです。もし未来日記を使って対決するのなら敵と認識し、さらに刺客を送って仲間である正輝について念入りに調べて殺そうとするでしょう。
正輝の行動は、未来日記の予知に絶対に勝てないことが分かっての時間稼ぎですから。自分の行動が丸わかりならあえて勝たせる代わりに勝った相手を油断させて急所をついて邪魔をすることぐらいはできます。