Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

51 / 106
50話聖遺物殺しVS英雄殺し

 

「今、キメラの件について調べている。我々と正輝達以外は記憶が残ってはいるものの…その案件について全て消えさられているとはな…」

「やっぱり消えさられたと言うより、まるで【なかった】ことにされている…」

 

クッキーマンの言った通り、青ロープに召喚されたキメラについてはもみ消されていたのだ。外に出てしまっている以上その姿を見ている人もいるために、ネットに流す人達だっている。しかし、キメラによるネットの情報も見ていた人の記憶もそして証拠も全て【なかった】ことにされていた。

 

(でもなんで俺達はその記憶を覚えているんだ?)

 

 

レイナーレ達やアーチャーの三人はキメラが消えて結界が解かれる前にすぐその場から逃げて普通の私服状態に戻ったとは言っていた。神様が、ルール上として正義側による問題をもみ消すために行ったのかと思っていたが

 

『?キメラ?なんのことじゃ?』

 

神様もこのことについては分らなかったため、質問しても知らないと言う返答しかしてくれなかった。

 

「問題は記憶と物証を消した方法と、ロープ陣営がそれをやっているのかどうかだよな」

 

結果的にいくら記憶があると言っても、証拠品は既に無くなってはいるために後々二課と正輝側はそれについて調べることが難しかった。

 

*****

 

FISの方はアルカンシェルの封印地へと移動している。クッキーマンは調のマフラーで隠れており、気配遮断も使っている。仮にバレていたとしてもマリア達の仲間である調に手を出すわけがない。ロープ陣営は今のところ互いに話しているだけで見向きもしなかった。

 

FISの方も二課と正義側同様に記憶を残しており、これもロープ陣営の仕業なんじゃないのかと疑われたものの黄ロープがはぐらかしていた。

 

『早く気づいて正解だったな。もしもキメラの件で収集がつかなかったらどうするつもりだったんだ?携帯とかで写真撮ってネットに流す命知らずの大馬鹿だって沢山いるだろ?

FISの方はこっちの方を疑いの目で見られているが…お前の仕業か?』

『あぁしたよ。俺がちょちょいとさ、そん時に大騒ぎとかになって消す前に大事になって俺らを指名手配とかの危険だとみなしてどうにもできなかったのなら、この世界の全人口を賢者の石に還元するしかねーじゃん。

 

危険な好奇心は身を滅ぼすってね?』

『…最悪はこの世界の全人類を消耗品扱いにでもするつもりか』

『インキュベータよりマシだと思ってくれよ!』

もしも記憶がこのまま消されることなくそのまま不利な情報が流れていたのならば、ロープ陣営は悪くいう連中全員(無関係な人が巻き込まれないとは言っていない)を賢者の石だとかで消耗品として扱うという言葉は言っていた。

 

『それと、黄ロープ。通信妨害については俺の指示に従って切れ』

『え?んなことしたら正輝以外の陣営が出てくるだろ?流石に不味いんじゃないの?』

(よし!これで嶺や加藤が来てくれる‼︎でもなんでそんな事を…)

その話を聞いて喜んだものの、冷静に考えて逆に連絡の封印を解除すれば何かロープ陣営に利点があるのかと考えていた。そんな事しても利点が余りにも少なすぎる。

 

 

正輝達に増援ができるようになって正輝以外の他の正義側が集結して逆に有利になる。そんな方法はロープ陣営を追い詰めるだけにしかならない。

 

『安心しろ、指示に従ってやればお前好みの展開がやってくる。失望することは絶対にない』

 

マムの方は寝ている。彼女の病状が悪化している以上、もうのんびり構ってられずに月が落下するのをどうにかしなければならなかった。

 

封印地には米国の哨戒艦艇が何隻かあり、フロンティアを解放する前に連中を潰すことで世界にFISを向けさせるようにウェルは言うが、

「でもそれは…弱者を生み出す強者の「世界に私たちの主張を届けれるのは格好のデモンストレーションかもしれないわね」マリア…」

調はマリアの言葉に戸惑っていた。こんな残虐なことをマリアは前は抵抗していたけれど、今では血に汚れることをもう恐れていない。しかし、その道を歩もうとしていることに調は心配でならなかった。

 

 

「私は、私達はフィーネ。弱者を支配する強者の世界構造を終わらせる。この道を行くことを恐れはしない」

 

ノイズは召喚され、哨戒艦艇にいる船員は戦闘態勢にはいるものの所持している銃は全く効かず、何もできずにノイズに触れて炭素化されていく。

「…こんなことがマリアの望んでいることなの?弱い人達を守るために本当に必要なことなの?」

優しかったフィーネだったからこそ調は手を貸していた。けれど今のマリアは苦しんでおり、ノイズに犠牲になっていく人を見ながらも口を噛み締めて、血を出している。

 

「何をしてるデスかっ⁉︎」

「マリアが苦しんでいるのなら、私が助けてあげるんだ。」

 

調は飛行機から飛び降り、シュルシャガナに変身する。ノイズを両耳のノコギリで切り刻んでいく。

 

『これで、三人中1人の奏者が脱落したわけだが?』

『そいつはFISのやり方のことも俺達のことも不快だったし。どーせすぐに裏切るだろうなとは思ってたけどさ』

「裏切ってなんかないデス‼︎調のことを悪く言わないで‼︎」

陰口を聞いたロープの二人に対して切歌は怒鳴ったものの黄ロープはまた呆れながらも疑問を投げた。

『悪く言うもなにもさ…俺たちはまだしも君と調って親友なのに、まるで抜け出す雰囲気出てたじゃん。君はその前に止めようしないってどうなの?』

 

手を貸していた調を止めることができてなかったのはちゃんと話してなかったからだ。

「連れ戻したいのなら、いい方法がありますよ」

 

ウェルは心配している切歌にある提案をした。調の方は艦艇にいるノイズを消そうと奮闘し、クッキーマンが背後を任せている。

 

(調、後ろ!)

背後からノイズが襲ってくるのを振り向いて反撃するが、それを切歌が調と同様に飛行機から飛び降りて、イガリマに変身し、鎌で切りつける。

 

「切ちゃんっ…」

(おい待てっ⁉︎)

 

調はついてきてくれた切歌に何の疑いもなく近づいたものの、切歌の様子がおかしいことに気づいたクッキーマンは調の首筋にアンチリンカーを注入する前に出て来て、阻止する。

 

「⁉︎調、なんでそんな奴を‼︎」

「オメェどういうつもりだよ‼︎こいつの親友なら、なんでこんな酷いことをするんだっ⁉︎」

 

これで調がクッキーマンを隠していた事がわかり、これでFISを裏切った事が明確となってしまった。

 

『ほらね、やっぱり調は裏切り者じゃないですかヤダー…現にクッキーマンを隠してるしー』

「私は、私自身で無くなってしまうかもしれないです…そうなる前に何か残さなきゃ。調に忘れ去られちゃうデス…」

 

調を連れ戻すためにウェルはアンチリンカーを切歌に持たせて、適合力係数を低下させようとした。

 

「だから私はドクターのやり方で世界を守るです!もう、そうするしか」

 

その時、海上からシャトルが飛び出し、その中から翼とクリスが出現する。正輝の方は船の転移装置で転移し、三人とも哨戒艦艇の甲板に乗ることができた。

 

【影縫い】

翼は切歌を取り押さえ、影縫いをされた調はクリスが銃口を向けている。

「ウェルの野郎はここにいないのか‼︎ソロモンの杖を使うあいつはどこにいやがる‼︎」

「そいつは敵じゃない!それは俺が保証する‼︎」

「何を言っているっ⁉︎どういうことだ正輝‼︎」

 

翼は正輝が調を庇っているのを聞いて理解できなかったが、クッキーマンを匿ってくれたことを証明するために

 

「来い!」

「おうよ!」

 

隠れていたクッキーマンは正輝に飛びつき、ようやっと正輝は離れ離れとなったクッキーマンと一つとなって全力を出す事ができる。

(よしっ‼︎これで本調子に戻った‼︎)

「その生物って…」

「クッキーマンをFISに忍ばせて、内部の情報を貰っていたんだ。ロープの陣営と組んで見つかりそうだったところを敵だった調が、助けてくれたんだ」

(ロープの陣営は出てきてない。アーチャーとセイバーの方は船にいる。マスター・オブ・ザ・リンクを通じて令呪を使えば何とかなるか…)

「しかし、だからと言って見過ごすわけにはいかない。それにクッキーマンを忍ばせたというのは」

「そいつが敵でないことは理解してほしい。クッキーマンを忍ばせた経緯はまた後に説明する」

 

翼の方は正輝の言い分を聞いても、敵である彼女を見過ごすわけにはいかなかった。正輝の方は調のことは翼達にすぐに分かってくれるわけではないために、少なからずもう敵ではなく調がこちらに敵意を持っていないことを正輝が保証した。

 

「ならば傾いた天秤を元に戻すとしましょうか、できるだけドラマティックに、できるだけロマンティックに‼︎」

「まさか、あれをっ⁉︎」

 

 

鏡獣神の聖詠が聞こえる。紫色の小さな光がFISの飛行機から落とされ、歌が終わったと同時に大きくなっていく。

 

「何でそんなものを…お前が」

 

小さな光の正体は響の親友、小日向未来の姿であった。彼女はシンフォギアを纏っており、大きな扇子を持っている。

 

「あの子って…たしか」

「…さ、キ…ッ‼︎」

 

正輝にとっては文化祭の時で初めて出会っており響の親友ということだけは知っている。彼女は翼達と混ざってる正輝の方を見た瞬間、急に目つきが鋭くなり声を上げて叫んだ。

 

「正輝ィィィィィッ‼︎」

「なっ⁉︎」

 

叫ぶと同時に、未来は正輝を襲ってくる。攻撃を受けた正輝からは彼女が殺気が込められており、睨んでいた。

 

 

ーーーーー

 

出発前

 

ロープ陣営が未来のいる場所に入ろうとすると、マリアが二人の行動を引き留めようとする。

 

『…なんのつもりだ?』

「あなた達があの子に手を出すことは私が許さないわ」

『また口答えか…こちらの邪魔をするなら今ここで死ぬか?偽フィーネだと嘘を言ってごまかし、スカイタワーの件で人殺しをしておいて…もうこの組織は後戻りできないのだろう?

 

威張るだけの女ごときが俺達に無駄に殺されに来たのか?

あぁ、それとも歌姫の座を降りてテロリストになった偽姫様…とでも言うべきだったか?』

「つっ…⁉︎」

 

マリアと赤ロープがまだ二人で対立し合っていた。空間に大量の剣と槍を召喚し、マリアを潰すために用意する。赤ロープの威圧がマリアに向けられ、身体が震えてはいるものの心までは怯まなかった。

 

狼狽えるなと言っている人であるだけに、やはり威圧では退こうともしない。

 

『おいおいまたかよ。そう殺気立たずにふたりとも落ち着けって…それにこのマリアなんとかっていう女を殺したらこっちが後々面倒になるし、さっきで予定したものが台無しになるのはお前だって望んでないだろ?』

 

ロープ陣営の二人はそう言いながら未来を捕らえた場所へと二人は入っていく。

 

『そういうわけだからお引き取り願おうか。なぁに手を出したりとか暴力的なことは絶対にしないよ。そんなことしたら怒られるのはこっちなんだから』

「おい!勝手に入るな‼︎」

 

ウェルがいないことを確認し、マリアがまた邪魔をする。赤ロープは鬱陶しく思い、黄ロープは彼女に対して

 

『あぁはいはい分かったってば』

 

またはぐらかしている黄ロープは何らかの方法でマリアに暗示をかけて、無理矢理眠らせる。

彼女はその場で倒れてしまった。

 

(誰?)

FISに捕えられていた未来の前に現れたロープ陣営の二人は早速作業に取り掛かる。ミクはその者の顔が暗くて見えず、段々近づこうとしていた。

黄ロープは電気を消して、部屋を暗くする。

「あっ、あの…⁉︎」

「お前は、立花がこれ以上戦う姿を見たくないと望むか?監視カメラは妨害してある。黄ロープのやつがなんとかしてくれたからな」

二人が何者なのか警戒し、後ろに下がった。

 

「俺の目を見ろ」

 

目と目が合い、赤ロープを通して記憶が流れ込んでいく。その光景は正輝と響が対立しているシーンが頭の中に入っていく。

 

(なんで、響が首を絞められてるの?だれがこんなことを)

〈ふざけんなよ。ヒーロー気取りか?小娘が〉

響がクリスと仲良くしようとしている最中に正輝が割り込み、響の首を絞めようとしていた。響のあり方に対して酷く嫌悪し、殴りつけたりしている。

 

〈人がどれだけの残酷さを持っているのかも知らず、無知な状態で平和な生活でぬくぬく育った幼稚脳に付き合う義理はないんだよ?〉

 

更に正義側の規約が原因で正輝が乗る船には不可抗力で乗せられ、響の考えを正輝は否定していた。

 

〈立て。そう簡単にくたばるなよ?〉

 

シーンがまた変わってゆく。あの後響が縮こまって怯えて抵抗しようにも身動きが取れずに、正輝に恐れていた。正輝は彼女が何か言うと嫌気がさすように反論している。

〈現実は世界中の人々の一部分がいじめられた人間、残酷なことを周りから言われた一部の人間もいるのが世の末だ。例えば友達が欲しいとそう望んでも誰も聴いてくれない。

 

 

 

特に戦場で命の駆け引きを覚悟している奴ならなおさら要求なんて聞こうとしないからな。話なんてする前に対立しているからとっくに無理な話なんだよ。なら答えは簡単だ。

 

 

話し合えば分かり合える?

嫌っている奴らに仲良くなれとか?

残虐性を好む敵にも?

自分の意見と対極である相手にも?

暴言で侮辱する相手にも?

心の病を治せれずコミュニケーションのとれない人に無茶しろと?

 

 

そもそも話し合いができない奴に死ねと言いたいのか?お前はできるかもしれないが他の奴はどうなんだ?切り捨てろってか?

対人関係がうまくいかない奴、虐められて誰も信じることのできなくなった子供、そんな彼らに

 

 

話し合おう。と、そんな一言で片付けるのかよ。

 

 

 

辛い事情も知らないで空気も読めずにいう言葉は話をしようよ!そしたら互いに分かり合えるよ‼

 

私達は同じ人間だから‼

 

ってか?周りに酷い目にあわされた相手側はそんな事を言われてどうなると思う?

 

そんな仮定すっ飛ばし、お前のような意志をみんなもっているなら世界中幸せだよ。お前なんで世界中で争いが絶えないかって疑問に思ったんだよな?答えはな、金への執着心、過去の報復、権力の乱用、個人のプライバシー無視の公開、貧富や人種差別など人それぞれの動機があるから争いがおこるんだよ。

 

 

 

 

そしてその根源が嫉妬、嫉み、戒め、憎しみ、復讐、強欲、差別、後悔、裏切り、絶望、憤怒その他諸々の感情が本来あるべき誰だってあるもの。人の負の感情からそれぞれ枝分かれするものなんだよ。動機のない暴力なんて新聞にもあまりニュースにないだろ?まぁそれを含めても犯行を犯した人の心情はいくらでもあるだろうが…いくらでも思い浮かべれるはずだ。何も知らずに譫言みたいに語ることが胸糞悪くなってしまう。

 

無知なお前の言ってることはただの行き過ぎた夢物語でしかないんだよ!〉

 

 

連れてくる気は無かったものの、立花響を規約があるからと無理矢理船へと連行し、戦わせたことも見ている。

 

 

そしてとうとう

〈お前やっば邪魔だわ、マジで鬱陶しいんだよテメェ〉

 

手に持った武器で、白刃を返したことに目を見開く。

更に傷つけたことも反省せず苦しんでる響に対し、見下ろすように容赦無く言及する。

〈なぁ…俺が何か変なことでもしたか?俺が話すことなんて一行もありはしないよ。みんなで話し合いだのそんなものをかがげて自分こそは絶対に正しいと変に語る奴に何を言い聞かせても無駄だ。

 

 

だいたい介入するなと言っても俺の言うことを聞かずにこっちの都合を無視して入ってくる。防人とそこのひび…いや無知で無能な偽善者にはな〉

「どうして、どうしてこんな酷いことを…」

響を傷つけただけではなく、その後正輝の姉もまた響のあり方を正輝と同様に酷く否定した。また更に、響を否定する言葉を突きつけて追い詰めようとする。

〈正輝をさらに逆上させた原因は?

堕天使二人にも目をつけられたのは?

 

協力?仲間だから互いの助け合いは当たり前?何言ってんの?馬鹿なの?自殺志願者なの?

 

一方的に正輝に要求してきて話し合い、それも理論的ではなくて自分の感情の押し付けなんて、そんなの正輝が不快に思うに決まってるし。自分勝手なことした結果こうなったんじゃないの?そもそも同盟組んだだけで私と正輝のようにお互い知ってるし仲良かったらまだしも、知らない者同士…しかもお互いマイナスの印象しかない者同士がすぐに仲良くなるっていう事自体経験的に無理でしょ。普通に考えても相手を疑ってかかるだろうし。なのにそれをやってしまったのは立花、貴方だよね?〉

「立花響はこれからもずっと正輝達の理不尽な怒りと正義側に対する圧力に苛まれて怯えるだろう」

〈てゆうか、さっきから自己中心的な考え方でうざい〉

 

彼が親友である響を斬ったのを目にした。不遇な扱いを受けて、影でそんな風にされているなんて彼女は知らない。

 

「親友を救いたいとは思わないか?彼に脅迫され、身体を震わせながら…捨て駒のような扱いされたまま強い圧力をかけられ、脅されながらも戦うこととなる」

(…サナイ)

 

響を正義側と楽園側という無関係な戦いに巻き込ませたことも。響をこれ以上戦わせたくないという願いと共に、

 

(ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ‼︎)

 

 

響に対する愛だけではなく立花響を蔑ろにする『岩谷正輝』という存在の憎悪が入り混じっていた。特に響のことを何も知らないこの男だけは許せない怒りが。

 

 

冷酷な言葉が響を追い詰めていた。

『立花響が戦わない平和な世界を叶える為にはまず一つは必ずやるべきことがある。それは君にとっても親友であり親愛である響を助けるために一番重要なことだからだ。君の理想、大事な人を守りたい…それを邪魔する存在を先に消さないといけないだろ?なら…

 

 

 

まず、その力で立花響の全てを侮辱したこの男を殺せ』

そう囁き、未来に仕込みを終えた後にマリアが目覚めた。何かしたのかとロープ陣営を疑いの目でずっと見続けている。

『そんな目で見るなよ…君が話してる最中に急に倒れたんだからこの子には何も手を出したりしてないよ。あーそれと、フロンティアの解放はさっさとやっておいたほうがいいよ。でないと後々大変なことになるぞ。だって、その場所はますます混沌へと変わってゆくから』

マリアはどういうことだという顔をしていたが、この時知っているのはロープ陣営にしかわからなかった。

ーーーーー

 

それが今の現状を作った。

 

マリアが連れてきた未来は響の旧友だと分かった上で、リディアンに通っている少女達は奏者だと見込まれた奏者候補達だった。リンカーによって無理矢理奏者にさせた野田とするのならばリンカーで生産し放題できる。

 

ウェルの方は愛の力、つまりリンカーがこれ以上旧友を戦わせたくないという思いを、獣鏡神に繋げたことで変身することができた。ウェルの方は麗しいものであることも、その愛をロープ陣営がその裏からひっそりと悪用している。

正義側の内部事情を赤ロープが見せて、親友である未来を奏者になっても自我を多少維持させ、感情的にさせるのは十分だった。

「どうなっているのですか?」

『ウェル、【愛】だけじゃないさ、彼に対する【復讐心】そして、【憎悪】…その怒り憎しみはやがて殺意となる。

まぁ、愛だけじゃ負担にもなるしこうして感情を多少維持できれば良いって思っててね。正輝は響達を仲間認識はしているけど響だけは嫌悪しててさ、それを利用させてもらったってわけ』

 

黄ロープはワクワクして見ている。未来の方は獣鏡神のビームで正輝を追い詰めているうちに、そのビームを利用してウェル達はすぐにフロンティアの解放へと移行する。

 

『これさー正輝が未来を殺すか、未来が正輝を殺したりとかしたら』

『そんなことしたら二課と正義側による対立が生じ、今度は殺し合いに発展するだろうな。そうなれば所詮政府の犬である二課も操り人形の正義側もその程度の連中だったと言うわけだ』

「コロス…コロスッ‼︎」

「テメェいい加減にしろっ‼︎」

 

未来は明らかに感情剥き出しの殺意が正輝に向けられている。流石に正輝も未来の猛攻に避けつつも危険だと感じ、投影した剣を何十本を用意して反撃に出る。しかし、

 

「待ってくれ!あいつは私にとって恩人なんだ‼︎」

『未来を傷つけないでっ‼︎』

 

反撃しようとする正輝を雪音と響の二人が止めてくる。クリスの方は助けられた部分や、響の方は親友であるために絶対に殺さずに捕獲する必要があった。しかし、このまま黙って殺されるわけにもいかなかった。

「このままだと全滅してしまうぞ‼︎」

【流星】

巨大なビームが正輝達を襲う。クリスが正輝を守るために前に出てイチイバルのリフレクターで防ぐものの、押し負けられていた。

 

イチイバルのリフレクターは月を穿つ攻撃も防ぐことができる。が、魔を退くその力を前に、いかなるシンフォギアでも消しとばされた。鏡獣神のシンフォギアは聖遺物殺しとしてであるためにクリスや翼の二人だけではなくそれは正輝にも言えることだった。聖遺物には聖剣エクスカリバーやカラドボルグなどの英雄が持ち得た武器にも該当しているため、したがって自分の持ち得ている神器や道具(BLUE)で攻撃を防ぐしかできない。

 

「なんで押し負けられてんだっ⁉︎」

「クリス!転移するぞっ‼︎」

 

防ぎきれないクリスを正輝が掴み、転移して避ける。このまま転移して逃げようとしてもバラバラにビームを巻いたりしてくるので、1つでも当たれば、正輝と奏者達も致命傷は免れなかった。

 

ウェル達はそのままフロンティア解除へと移行し、黄ロープは赤ロープの言う通りに通信妨害を解除する。

『ん?でもこれだけ?』

『まさか、それだけだと思っているのか?まだあるに決まってるだろ…何のための通信妨害の解除だ。じきに分かる。』

 

*****

 

 

未来が敵意を向けたまま正輝だけを集中的に狙っているものの、避けている間に別の殺気が後ろの方にもきている。

 

「ねぇ、何やってるのかな?」

 

岩谷嶺が正輝の事が心配で駆けつけて来たら案の定、正輝が危険に晒されていた。姉がこうして転移して出て来たことに正輝が驚いていた。

(まさかっ…⁉︎)

「岩谷、嶺っ…‼︎」

まず嶺は正輝を殺そうと襲う未来を吊り男のタロットですぐに麻痺らせ、呪符を使って一方的に攻撃している。立ち上がろうとするものの再起不能になるまで徹底的にやる。

 

殺すつもりではなくとも、未来の身体がボロボロになろうとしているのを見て響が悲しんでいる。

『ダメだよっ…このままだと未来がっ‼︎』

「もう連絡ができるようになってやがる…まさか通信妨害の解除はこれが真の狙いだったのかっ⁉︎」

二課の方は正輝の姉について全く知らない。このままだと二課が強行して嶺を止めようとしてくるだろう。

 

『すぐに急行して彼女の攻撃をやめさせろ‼︎』

「テメェら!俺の姉に手ェ出すなぁ‼︎」

 

正輝達の手を貸して未来を止めることはできるかもしれないがそんな状況になっていない。通信を使って正輝は動こうとしている二課全員に対して怒鳴った。

『どういう、ことだっ…⁉︎』

 

二課がとった行動は突然出てきた岩谷嶺の対処へと向けられている。奏者達三人は嶺のことをよく分かってはいるものの、二課の方は全く知らない。

嶺の恐ろしさはよく知っている。

 

このまま二課が強引に止めようとしたら最悪、暴走と未来の件が解決したとしても二課と正義側の関係に隔たりを生むことになりかねなかった。

 

 

*****

(未来を殺せば二課と響達とは完全な敵対関係になり、嶺を無理矢理にでも止めても敵対関係になるのは不可避だ。だからと言って正輝が死んだら嶺は大暴れして二課も奏者も含み大量の死傷者が出るだろう。

 

希望のフロンティアは出て来たから俺達は最悪ここからすぐにでも逃げればいいだけだ。

 

まぁ無理矢理解決しようとすれば今後手を貸すのに支障が出るだろうな…さぁどうやって解決する?)

『レディースエーンドジェトメェーン‼︎』

 

正輝の姉の乱入及び暴走、通信解除による影響。この混沌とした状況にまた更に他の正義側が乱入して入れば赤ロープの立てた計画はもう黄ロープにとってはご満足の成果を上げてくれた。

『正輝に姉がいるのなら連絡の取れない彼女のことだ、襲ってくる奴を再起不能になるまで倒すに決まっている』

『さぁ!お楽しみはこれからだっ‼︎』

 

今度はロープ陣営も結界を展開して、混沌としたこの戦場を黄ロープは楽しんでいた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。