Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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まだ要件が終わってない為、今後も更新が遅くなるかもしれません。
(詳しくは活動報告にある報告に書いている)


51話大・騒・動

結界が張られている間、正輝達側の連絡機能が回復したことで他の正義側との連絡や増援要請も無事に可能になった。が、暴走している正輝の姉『岩谷嶺』という新たな大問題が生じた。前回、試練編後に1stと2ndが正輝を殺そうとしていたのを嶺が目にし、呪符や何重もの結界を展開して逃げられないようにしたのを覚えている。その後の事態がとんでもなく悲惨なことになっていたのはよく覚えていた。魅杏の処罰も見ている正輝の仲間達がそれを一番よく知っている。

 

『あそこで暴走しているのは俺の姉だ‼︎姉の方はこっちでなんとかするから、あんた達は下手に手を出さずにそれ以外のことに専念してほしい‼︎…未来の方は洗脳とはいえ俺を全力で殺す気で襲ってきているからこっちもまずくなったら悪いけど手を出させてもらうからな」

『待てっ⁉︎』

二課との連絡を切ったあと、暴走している二人を見て、正輝はかなり青ざめていた。

 

 

(どうするっ…音信不通だから連絡が繋がった時に彼の姉が直接出てくるかもしれないというのは予想していたが…こんな事態が起きるなんて予測できるかっ⁉︎

 

 

 

まさか、ロープ陣営の中に俺と姉の関係性を知っている奴がいるっていうのかよっ⁉︎)

 

 

雪音クリスと正輝が未来の相手を任せてはいるものの、正輝の方は二課に対して手を出すなと叫んでいる。今正輝の仲間であるアーチャーや、士郎達に任せてなんとか止めようとしているものの嶺は御構い無しに周囲を破壊し尽くしている。

 

結界も張られていない状態だが、嶺の暴走によって周りがあまり見えない状態に。

嶺にはノイズの耐性を持っていないから、触れたら一貫の終わりになる。嶺が未来を押さえつけている間に正輝が近づいてマスター・オブ・ザ・リンクでノイズ耐性をつけておいた。

 

前回の件で黒沢などの仲間を呼んで暴走している姉を止めようとはしているが前回と同様に鎮圧できない。

 

そして正輝自身も殺そうと襲ってくる未来に対して殺意が籠っており、その彼を二人の恩人である雪音クリスがなんとか抑えている状態が続いている。しかし、時間が経つうちに段々と状況は悪化するばかり。

今度はクリスが未来をなんとか押さえつけてギアを取ろうとするが、

 

『女の子は優しく扱ってくださいね?

乱暴にギアを引き剥がせば、接続された端末が脳を傷つけかねませんよ?』

「つっ⁉︎」

クリスは手を引っ込めると、未来は起き上がって反撃する。

「避けろ!雪音‼︎」

【閃光】

扇子のような形をした武器から紫の光線を放つ。クリスは怪我をしなかったが、その攻撃に当たるだけでも奏者にとってかなり危険なもの。

嶺はまた勢いを取り戻して未来を魔法で反撃する前に潰している。哨戒艦艇の人達は嶺の暴走のせいで何も見えないのが救いではあるものの、この混戦とした状況で誰かが割り込んで邪魔をして来たらそいつを敵認識として確実に標的にされる。それでもし嶺を止めるために横暴な手段を使えば今度は正輝が暴走し、増援を呼んでその標的を確実に潰す違いなかった。

更に二課が下手に鎮圧して仕舞えばFISだけではなく正義側という新たな脅威を生んでしまうこととなる。

 

「何なんデス…アレっ」

「キリちゃん!上っ‼︎」

切歌は呆気にとられており、近くにいた調は助けようと動いた。

 

「これでは、動こうにもっ…⁉︎」

 

大量の岩石の火の玉が降り注がれる。改造された呪符を大量に使っており、頭上だけではなく竜巻も出現しておりお互いに、まともに戦う以前に動けない状態ではなかった。嶺の方はもう敵味方関係なしに暴れている。(正輝側は手を出していないが、響達3人以外は敵と判断されている)

 

 

*****

 

無論FISの彼らも被害がおよび、ウェルが飛行型ノイズを召喚して守っている。召喚したノイズは竜巻に吹き飛ばされ、光線ですぐに炭素化し、壁代わりのはずが一瞬にして消え去られてしまう。雪音クリスが未来と戦っていた間はまだ落ち着いていたが、嶺が徹底的に潰そうと魔導覚醒と呪符を使っているせいで被害が敵味方全体に及んでいる。

 

「どうなっているのですかっ…‼︎」

『ありゃりゃ、これ相当おかんむりですなぁ』

戦闘が長引いていく内にFIS側も嶺の暴走のせいで視界や見えず、状況が混乱たまま切歌、調、そして洗脳させた未来の姿が見えない。

「これではお人形が壊れてしまう。彼が動けない状態なのは分かりましたがあの少女が駄目になってしまったら我々の計画が杜撰に終わってしまうではないですか?」

『そうならないように俺が乱入してその少女をどうにかしてやる』

 

赤ロープはまだ嶺が潰し足りないと考えていることを重々把握しているため待機している。危険だと分かれば、すぐに横から割って入る準備をしていた。

『面白い展開になって来ましたなぁ…赤、この後どうするんだ?』

『お前はこのヘリに攻撃が当たらないように防御に徹しろ。あと、フロンティア解放用の器具を用意しておいたほうがいい』

「用意しろと言われましてもここまであの女が大暴れなことをされると、こちらも準備ができないのですよ?」

嶺が暴れている以上装置を空に飛ばそうとする前に嶺が生じさせている竜巻で駄目になってしまう。これではフロンティアの解放に取り越し苦労はするが、そうするのにまず嶺の暴走をどうにかしないと作戦を決行しようにもできなかった。

『今すぐに展開するわけじゃない。タイミングが来てからフロンティアの解放のために実行しろ』

 

*****

 

クリスが退いて、次は嶺が一方的に攻撃している間、未来が押され気味になっている。

 

(今、こちらが抑えてはいるが、そう長くは持たないぞ正輝‼︎)

(長く続かないことぐらいは分かっている。その前に…)

 

完全に嶺側からしたら小日向未来を殺す気はまだ起きて無いが、正輝を殺そうとする彼女に対して呪符で肉体的にも精神的にも痛めつけるだろう。アーチャーと士郎がアイアスの盾で周囲の被害を何とか防いでいるが、そう長くは持たない。

 

「一緒に帰ろう。未来」

「…帰れないよ。私にはやらなきゃいけないことがあるの。まず先に彼を殺すことから始めないと。それに、どうして止めるの?あの人は響を無理矢理戦わせようとしてるんだよ?」

 

今の未来はウェル博士に唆され、シンフォギア奏者になっていた。デートの最中に死なずに生存していたが、無事なわけがない。

 

今は敵組織に利用され、こうして相対している。更に、洗脳はされていても岩谷正輝に対して本能的な殺意を持っているために余計にタチが悪い。たとえ岩谷正輝を殺したとしても、また未来は『暖かい世界』を目指し、ギアを装着している限り彼女の存在は殺戮兵器として夢を抱いたまま死ぬまで働くだろう。

 

 

「やらなきゃいけないことって何なの?」

「このギアが放つ輝きはね、新しい世界を照らし出すんだって。そこには争いもなく、誰もが穏やかに笑って暮らせる世界なんだよ」

争いのない世界。

今まで響はノイズと戦っていた時、転生者と戦っていた時、フィーネの事件の時も、未来は響の後ろ姿を見て応援することしか何もできなかった。

「私は響に戦って欲しくない。だから、響が戦わなくていい世界を作るの。でも、岩谷正輝って人がいるせいで響に戦いを強制させる。彼は、響の望みを、私の望みを侮蔑して阻害する邪魔者だから許さない。私、知っているの。正輝って人が響に何をしたのか。ロープの人達が映像を見せて教えてくれたの」

「そんなっ…なんで」

ウェルが唆しただけではなく、今度はロープ陣営が未来にあることを教えていた。正輝が響に対してどんな仕打ちを受けているのかを知っている。

 

それを淡々と映像で見ていたことを未来が説明していく。

「響が嫌がっていたのに船で無理矢理連れて行こうとしていることも、響が分かり合おうとしているのに邪魔だと言われて斬られたことも。そんな酷いことをする人なんだよ?」

「違うんだ未来!斬られたのは私が空気を読まなかったことを言ったから、彼の逆鱗に触れたんだ。それに船の方はそうしなかったら、この世界…暖かい場所が「楽園とかの敵組織に乗っ取られるって?」それは…」

 

仕打ちだけではなく正義側の規約についても知られていた。規約としてまどか、士郎、響の3人が船の離脱を許されなかった。正輝以外の他の正義側メンバーもその規約に該当していたが、その規約に反すれば強制的に殺人の楽園の所有物となって支配されるだろう。しかし、どれもこれも映像見たものが響に対して扱いが酷いものばかりで目も当てられなかった。

「…やり方が相容れない理由で響が一方的にいじめられて、それこそ横暴だよ」

「私、いじめられてなんてない!確かに正輝さんは私に対して攻撃したり、かなり非難…対立することは結構あったかもしれないけど…それでも今は正輝さんも言い争っている内に、段々と私のことちゃんと割り切ってくれてる。今、良い方向に向かってるんだ‼︎」

 

そんな時、正輝が横に割って入って話をかけて来た。嶺の方はまだ周囲の被害が及んではいるものの、仲間に任せて正輝が未来を潰そうと考えた。

彼が向かっている間に響の未来の話を聞き、不審に思っていた。

(なんでこいつは試練編や規約とかの俺達の事情…しかも俺と響のいがみ合いのことまで知ってやがるっ⁉︎)

 

ロープ陣営からなにかしら正輝の船に仕込んで船内の状況を見ていたのか。それとも仲間の中に裏切り者がいるのかとも考えたが、後者はありえない。

 

殺す前に正輝にも否定しなければならない言い分があった。

「小日向未来だったかお前。俺がそんなことをするから…お前はその力を望んだんだな?そして、親友の目の前で執念のためにその手を血で汚すのかよ。ならそんな血染めの手で響と取り合うつもりか?

 

 

それと、俺がただ単にいじめていたとでも?それが罠だってことも考えられないのかよ?嘘の情報なのかもしれないのに?」

「貴方みたいな人達がいるからっ…響が酷い目に‼︎‼︎無理矢理連れてきた貴方さえいなければ‼︎」

 

未来は正輝を見て睨んでいた。対して正輝の方は哀れな表情で未来を見ている。響の方はなんでこいつ戦ったらまずいのにいるのと疑問を抱いていたものの、その前に矛盾だらけの未来には言いたいことが山程あった。

「別に俺を許さないのは分からなくもないよ。響のことについては何も分かってなかったわけだし、何度も揉めてたこと実際にあったからな。

でも、お前が見せたものが本当に確かなものなのか?ロープ陣営の奴に見せて俺のことをいじめだとか酷い人とかって決めつけてるお前も大概だぞ…それで俺を殺すって?

それ普通にイカれてるぞ。

 

言っておくが俺はこいつをいじめたわけじゃないし、そもそもいじめたところで俺の仲間がそいつを庇ってこっちが非難されるだけだ。

 

仮にお前が俺を殺したとして響が喜ぶのか?どんな反応が返ってくるかなんて響の唯一の親友のお前が一番よく分かってるだろう?

 

微かに意識が残っているのだとするなら目を覚ませよお前。そんな兵器をいくら振り回したところでたどり着く先は滅びであることに気づけ。気に入らない奴を潰すだけ潰してその後どうする気だ?

 

それでお前が望む優しい世界が生まれるのか?

 

 

あぁ、生まれるな?

お前がそう思うならそうなんだろうな。お前ん中(・・・・)ではだけど

 

 

そうして目的を達成した高揚感と幸せな気分でお前は実際は何も見えずに気づかないまま、結局兵器として道具として他の連中を殺して殺して殺し尽くして…優しい世界って理想を抱いて溺死するんだ。そんな実現不可能な夢を抱いて戦っているのなら、お前相当歪んでるよ…それならお前はただ響の側にいた方がよっぽどマシだ。

戦いの知らない一般人同然の無知なお前に何ができる?そんなもん俺よりもタチ悪くただひたすらに暴れて無差別な破壊と殺戮を繰り返すだけだ。そんな理性のない状態で力を持ったって、誰かの命を奪うだろうが」

「歪んでなんか無い。貴方の方がよっぽど歪んでる。沢山の人を傷つけて、無関係な響まで巻き込んで、貴方達の存在のせいでっ!」

「ハァ、お前がそれを言うなよ。現に、FISっている殺人テロリスト集団に利用されて、聖遺物っていう能力を使って哨戒艦艇の人達を脅かしてるじゃないか?それに歪んでるも何もあぁしなかったら事態はもっと悲惨なことになっていた。

 

俺達が動いてなかったら今頃フィーネとの決戦の前に市民は死体人形に駆逐されて、二課だって襲撃されていた。

そして…もっと大勢の死人が出ただろうぜ。でも俺達はそれを知った上で見向きもしなかったか?

動けたからこそ、多くの命を散らすことはなかったはずだ。

 

で、お前の言い分はこの世界を優しい世界とやらにするために俺と他の連中を殺せば全て丸く収まって万事解決ってわけか。つまり殺す気で襲うんなら、お前の方こそ殺されかねないほど酷い目にあう覚悟も当然できてるってことだよな?」

「やめてっ‼︎」

今度は響が未来に攻撃することを止めるように叫んでいる。正輝はまだ未来に攻撃する前に、まだ話を続けていた。

「それにお前が歪んでいる理由なら幾らでもあるぞ?

根本的にただの一般人がいきなりそんな物騒な力を手に入れて、仇として親友の目の前で殺すことを良しとしているんだ。しかもその選択は頭がお花畑な響も望んじゃいないし、対してお前はその手を血に染めることが響にとって良いことだと勘違いしてる。

勘違いも甚だしい。

 

 

ふざけるなよ。俺が何も見向きもせずにこいつと適当に折り合いつけていたとでも言いたいのかよ?

 

 

確かに俺は勝手に動く響を引き留めたり、喧嘩になることだってある。扱いが悪かったり、響の言い分が相容れないことはしょっちゅうあったさ。でもこいつを一人きりにして省いたりしたことが一度でもあったか?こいつの考え方は俺には手に負えないから諦めて放置していると?

 

俺と響が相性が悪くたって、それでもこいつのことを仲間としてちゃんと見て、何としても死なせないように全力を尽くしている。

 

一番酷いのは俺と仲間全員でこいつのことを一方的に無視して、誰も反応を示してくれないことだ。それこそ何も始まらないし何も進歩しない。俺は言い分は否定的だけどこいつの存在そのものに対しては否定する気は無いよ。

 

こいつの言い分を誰も聞かずに無視してしまえば、それこそこいつの存在意義さえも阻害してしまうことになるからな」

言い合いになることはあったが、なにも響そのものについては否定するつもりはなかった。正輝は未来の言い分が終えた後に今度は響に聞く。

「それと立花、身体の状態はお前が一番よくわかってるだろ!そもそも変身もままならないのになんで出てきた‼︎」

「考えがあるんです!…両方を解決する方法がっ‼︎」

「ただでさえこっちで俺の姉を抑えようとしてんのに!お前の言葉だけで状況が変われるとでも思い上がってるのか‼︎俺はその未来って子に殺されそうになってるんだ!これでも、まだそいつを庇うつもりか‼︎」

響の容態は変身をすれば、深刻な負担がかかり、死に至るのにいきなり戦えない響が出てきたことに正輝は意味がわからなかった。

響のことだから未来の説得という形なのだろうとも考えていたが、未来本人は完全に目的遂行の為に耳を傾けようとはしなかった。

「私を…私を信じてくださいっ‼︎‼︎」

「だから何をどう信じるっていうんだよ‼︎この混沌とした状況で打破できる勝算でもお前にあんのか‼︎」

「思いつきで数字は語れないっ‼︎…私は未来を誰も殺させません‼︎未来と一緒に生きて帰ります‼︎これだけは絶対に絶対ですっ‼︎

 

 

 

だから姉の方を私が止めるより、未来の件を解決するまでの間正輝さんが全力を尽くして止めて下さい‼︎」

「お前、言ってることが無茶苦茶だぞ…」

正輝は信じようにも感情論だけ述べている響に欺瞞に満ちていた。戦略と戦術だけではどうにもならないこともあるが、響を優先するべきか困っていた。

そんな時に正輝の携帯から音がなる。

 

(正輝、聞いての通りだ。響くんは何が何でも未来くんを止めるらしい。

 

響くんの活動限界時間は2分40秒。我々もできる限りの彼女のフォローをする。そしてこれは、響君の望みである…殺されそうになっている君は未来くんを)

「あーもう、分かったよ…分かりました」

 

いくら言っても止まらない響に何を言っても無駄だった正輝は、仕方なしに響の考えに賛同するしかなかった。そもそも未来を正輝が止めたところで既に殺し合いの状態になっているのだから、二課もこうして見ている以上正輝もまた強引にやったらあっちも正輝の言い分に耳を傾かずに強引に止める気でいるのだろう。

 

そうなのだとするならば、彼らができることは問題を小さくするために動くしかなかった。

 

「…お前のことを信じてやる。お前にだって命の危機がかかっている以上、何かしら考えがあるんだろ。そうでなかったら二課もお前を戦わせることを拒否しているからな。でも、勝算では勝てないとは言っていたが、勇気と根気だけじゃ勝てないことも理解した上で、親友と戦えよ。

 

その代わり…何が何でもこんなところで死ないことと、お前が失敗して未来が殺す気でこっちに襲ってきたら…そこから先は分かってるよな?」

「分かってます!でも、絶対にそうなりません!」

「そうか…」

 

正輝は響に任せ、彼の姉を止めに向かった。未来は彼に攻撃をしようと動くが、

 

「⁉︎」

 

正輝は召喚したシャドーを踏み台にして、その攻撃を避けた。攻撃を受けたシャドーの体内から黒い煙を出現させ、正輝を狙わせないようにする。

 

「行かせないよ。未来は私が止める」

「…邪魔しないで、このギアの光で響が戦わなくていい世界を作るんだ。私は響を戦わせたくないのっ…‼︎だから「ありがとう未来。それでも私、戦うよっ…!」」

 

響は聖詠を歌い、響のペンダントが橙色の光に輝いた。

 

*****

 

 

響の活動限界は2分40秒と分かった以上、その時間制限の間に響は未来を対して正輝は嶺の暴走をなんとかしてでも止めようと動く。

 

「凛!士郎!被害を最小限にさせるための人員を用意しろ!それと最悪加藤先輩にも増援を要請するようにしておけ!」

『分かったわっ‼︎』

 

どの道、正輝にとって人員は必要な状態だ。嶺の暴走を止めるにはまず正輝達だけでは人員が足らないため何人か必要になる。哨戒艦艇に乗っている人達の考慮も難しく、兎にも角にも嶺を止めないことにはどうにもならない。響の方はちゃんと未来と戦っており、あちらは任せるしかない。

 

(よしっ、響のやつはどうにかなったんだな…だが)

 

嶺の暴走が長引いてはいるものの、正輝が止めている間にFISの方もフロンティアの解放に向けて準備していた。その装置を利用して響は未来の懐に飛び込み、抱きしめて装置が一気に放出される部分に向かう。そのビームを受けて互いの聖遺物が分解され、二人は海に落ちていった。響の命の危機も未来の洗脳も聖遺物が消し去られてなんとなかった。聖遺物殺しの件についてはどうにかなったもののまだ落ち着ける状態にはなってない。

 

 

フロンティアは浮上し、FISの目的は遂行されてしまった。

 

『おい、クリス‼︎聞こえてるか‼︎響のことはどうにかなったからお前は響と未来の回収をどうにかしてほし…』

しかし、さっきまで翼と一緒にいたクリスが見当たらず、連絡がとれないことに気づく。正輝は銃声のなる方に顔を向けると哨戒艦艇の甲板にいる翼は倒れ伏せており、クリスは調に銃口を向けて切歌を連行しようとしていた。

「おい、なにしてんだよお前っ⁉︎」

「正輝…」

 

クリスは正輝を見て何か悲しい表情をしていたものの、クリスは切歌と一緒についていくことになってしまった。なぜクリスが裏切ったのか理解できなかったが、それでも正輝は連れ去ろうとしている調をシャドーで捕獲し、離れた所に移動させた。

 

「クリス!お前が翼をやったのかっ!なんでだっ‼︎」

「ごめん…」

 

翼を撃ったのはクリスであり、先程の銃声が何よりの証拠であった。クリフは切歌の二人とフロンティアの方に向かおうとしていた。正輝はクリスがこちら側を抜け出した理由を追って聞こうとしたものの、

 

「⁉︎落ち着け、姉さん‼︎」

「どいて正輝…襲ってきたあの女の子潰せない」

「あいつは無理矢理洗脳させてるだけだ‼︎今響の奴が、命がけで俺を守ってくれている!信じられないだろうが落ち着いてくれっ!」

 

そうも言ってられない。嶺をどうにかしなければ、絶対に未来を徹底的に叩きのめすつもりだった。どうにかして止めないといけないが、嶺がこうなってしまったら相手を9割殺しにして潰すまで止まれない。

 

未来のことがどうにかなってもやはり嶺の怒りが収まらず、暴走を続けている。その時、二課の方から嶺を止めるための人員を用意していたのだ。が、

「お前らなんで出てきた!姉の方はこっちで対処するって言った…だ、ろっ…⁉︎」

正輝側にとってはかなり迷惑だった。敵意を持って止めようとしようとしまいが、嶺は二課については全く知らない為に巻き込まれてしまう。正輝が一番驚いているのは、嶺の対処法として幾つか銃を持ち込んでいたことだ。

 

二課がとった行動は嶺を止めるのではなく、これ以上甚大な被害をどうにかする為に哨戒艦艇と響の親友である小日向未来の命を脅かす脅威だと断定した。二側もできれば正輝達だけでどうにかしてほしいと傍観するしかなかったものの、長い間待ってもどうにもならない。

 

翼や緒川の二人の忍術である【影縫い】という手段も考えられたが、翼が小刀を投げて影に当てようとしたが竜巻で弾かれてしまう。正輝とアーチャーが翼と同じことをしても溶岩と岩雨、大嵐で定まらない。正輝が一番驚いたのは、哨戒艦艇の人員の救助はなんとかしたものの、嶺の暴走は正輝達だけではどうにもならない以上、二課も動いて正輝の姉が未来を殺させない為に人員を向かわせ、強硬手段を取ったのだ。

 

 

****

FIS側はフロンティア解放はできたものの、かなりの被害が出ていたため、そう簡単には動けない。ヘリで様子を見ていたロープ陣営は二課の行動に哀れんだ。

『あーらら。まぁ、二課は正輝のことは知っていても姉がいるなんて知るわけないよな。いくら正輝の姉だと言っても、二課は彼女のことなんて知らないし。このままにしておくと未来は正輝の姉さんに殺されそうだし、海に落ちた響と未来は回収できないもんねぇ?』

「何やってんだよ…おいっ⁉︎」

 

二課は誤った方法に動いてしまった。

 

正輝の方からは手を出したら余計に悪化させる為に、こっちでなんとかすると言っておいたものの、二課側はこの暴れている状態の中で未来や響、翼と調の四人の回収もままならず、嶺の方は未来に対して明らかな殺意を持っていた為に響に救出された弱っている未来を見つけ次第殺しかねないから横から入ってきた。彼らの持っている銃が麻酔銃や催涙弾な部分もあったが、そんなこと関係なしに二課は正輝の言い分に違反行為をしてしまった。

どんな形であれ正輝からは手を出すなと言ったのに、動いてしまったのだから。

『けど、それは悪手な方法だ。弦十郎…殺者の楽園だけではなく味方についている正義側にまで楯突く結果になるんだから』

「何してくれてんだテメェらぁぁぁぁぁぁっ‼︎」

「正輝っ⁉︎」

二課の行動に対してブチギレた正輝は命令権を使って、すぐさま仲間を呼び出す。更に、竹成からは姉を助けるための救助要請から二課迎撃のための増援要請に変更された。外野から乱入者を出さないように正義側の結界を展開し、外部からの通信を繋げないようにする。正輝は銃を構えている人達をすぐに殴り倒し、抵抗してくるなら非殺傷設定の武器を投影して投げつける。シャドーを潜水艦内に転移させ、たちまち司令室にいる弦十郎達の周囲を囲んで包囲する。

 

「おい!大丈夫かってあれ?どうなってんだ?つーか、メールの内容変わってるし…」

一方、携帯の妖精として現れ出て来た5thも哨戒艦艇の船に転移して上陸すると周囲を見たらほぼ船が沈没しており嶺の暴走は止まっていない。

「どうなってんだっ…これっ⁉︎」

竹成は正輝からまた送られたメールの内容を見ても理解できなかった。仲間側の二課がいきなり敵に回ったという唐突な知らせに困惑している。

守っている士郎達は正輝に連絡を取ろうにも繋がらない。

『正輝!一体何があったんだ!正輝‼︎』

「凛。私は正輝のところに向かう…この状況で音信不通に単独行動をしているのならば非常に嫌な予感がしてならない。それと私から嶺の仲間の連絡もしておいたからそれまで粘ってくれ」

「わかったわ…士郎とさっき来た加藤っていう正輝の先輩にもそう伝える。響と未来の二人はさやか達が回収するようにも伝えるわ」

正輝の仲間も正輝が本気で怒らせたことに一体どうなっているのかと連絡を取ろうにも音信不通になっている。二課が余りにも下手なことをしたせいで、協力関係のはずがいがみ合う関係となってしまった。

 

こうして今度は暴走している嶺を彼女の仲間が来るまで士郎、凛、セイバーそして加藤達が持ちこたえるしかなかった。

 

 

*****

 

「…俺が怒っている理由は分かってるよな?姉さんに向かって攻撃しろと命じた阿呆はどこのどいつだ?」

「…」

正輝が仲間として何人か連れて潜入した。正輝の隣にはミッテルトとレイナーレの二人がいるが体全体を隠すような格好を着て身を隠している。(衣服は正輝が投影で用意した)二人には光の壁を作るように指示し、正輝はシャドーを使って局員達を無力化させる。あと対抗手段としては弦十郎と緒川だけだが、弦十郎は正輝とこうして相対している。

 

「緒川っていう人にでも助けを呼べばいい。でも、そいつにも対策はちゃんとしているからな」

 

緒川には忍術を持っている為に他の局員とは違ってしぶといが、レイナーレとミッテルト以外にも正輝は別の仲間を呼んでいる。正輝は潜水艦内に転移して武力介入した。そして二課が対抗する前に潜水艦内全体を一気に制圧され、本拠点内で危機的状況に追い込まれてしまったのだ。

 




姉弟暴走
最重要ミッション1(嶺の仲間が来るまで嶺の暴走に持ちこたえろ。失敗したら未来は重傷(9分の8殺し)を負う形に)
最重要ミッション2(暴走している正輝をどうにかして説得させろ。最悪の場合、正輝の手によって特異災害対策機動部二課が壊滅の危機に陥る)


Q緒川が銃で影縫いしても良かったのでは?
A銃を嶺に向けている時点でアウト。そもそも手を出すなということを約束させている。
嶺の暴走が悪化するどころか正輝まであんな風に暴走します。
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