Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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これにてシンフォギアG編は終わりとなります。


55話装者が唄う奇跡

正輝達や二課はフロンティアから脱出し、あとは暴走したネフィリムだけ。

彼女らの戦いの場所は大気圏内の間で激戦になっている。もう正輝達でさえも、手の届かないところで戦っている。

 

月の公転軌道もいつの間にか修正へと変更されていく。ずっと落ち込んでいたマリアが、また立ち上がり、歌った。そして、その歌が世界に共鳴し、フォニックゲインを高めたことで月の遺跡を再起動させることができる。

 

ーーーもう何も縛るものはありません。行きなさい、マリア。行って私に、貴方の歌を聞かせなさい。

 

ナスターシャはマリアにそう言い残し、月の落下を責任を持って止めようとした。後はもう、残されたネフィリムを止められるのは彼女達しかいない。

 

「見ろ立花!あれは…司令の言っていた…」

 

ネフィリムはとうとうフロンティア全体を喰らい尽くし、そして食らったフロンティアよりも大きくなっていく。ネフィリムの心臓が膨大なエネルギーによって巨大化して再生し、怪物として立ちふさがった。

 

六人ともエクストラドライブモードで変身して飛んでおり、マリアはガングニールから妹が持っていたアガートラームを身に纏っている。

 

まず調と切歌が前に先行する。調は身につけてあるアームドギアをロボットに変形させて乗る。

幾つものあるノコギリを操作し、切り刻む。

 

【終Ω式ディストピア】

【終虐・Ne破aア乱怒】

 

切歌も懐に入って、巨大な鎌で刈り取ろうとするが、二人の攻撃が通じない。それどころか彼女達が放出してあるエネルギーをネフィリムが吸収していた。吸収されている調と切歌は苦しみ、調が変形させたロボットに亀裂が入った。

 

もうネフィリムは前までのように聖遺物を食らうだけではなく、それによって生じるエネルギーまで食らっている。

 

「臨界に達したら…」

「このままだと蒸発しちゃうっ‼︎」

「させっかよっ…‼︎バビロニア!フルオープンだぁぁぁぁっ‼︎」

 

クリスは持っているソロモンの杖でバビロニアの宝物庫を開けようとする。巨大な空間の亀裂が生じ、その隙間の向こうからは大量のノイズが浮いている。クリスはネフィリムを地球に行かせないために、宝物庫に入れて格納しようと考えた。エクストラドライブモードの出力を使って、ソロモンの杖を機能拡張させている。

 

 

「人を殺すだけじゃないって!やってみせろよっソロモォォン‼︎」

 

ソロモンの杖から放つ光線は段々強くなり、バビロニアの扉を拡大させている。

 

「⁉︎避けろ雪音‼︎」

 

しかし、ネフィリムはクリスを巨大な手でふり払い、飛ばされたソロモンの杖をマリアが代わりに取る。

 

「明日をぉぉぉぉぉっ‼︎」

 

マリアもまたエクストラドライブモードで、ソロモンの杖を機能拡張させて光線を飛ばす。ネフィリムはマリアを触手で捕獲された。

 

「格納後、私が内部からゲートを閉じるっ‼︎」

「自分を犠牲にする気デスかっ!」

「マリアっ‼︎」

 

捕らえられてしまったマリアは道連れにされ、自分の身を犠牲にして、この地球を、世界を救おうとする。

 

 

「こんなことで私の罪が償える筈がない…だけど、全ての命は私が守ってみせる」

「それじゃ、マリアさんの命は私達が守ってみせますね」

 

捕らえられてしまったマリアだけじゃなく響達五人もマリアを助ける為に、バビロニアの宝物庫へと入っていく。

 

「英雄でない私が、世界を守れるはずはない…それでも、私は、私達は…一人じゃないんだ」

 

クリスとマリアがソロモンの杖で開けていた扉は閉じ、ネフィリムと共にバビロニアの宝物庫に入っていく。浮いているノイズは装者達に容赦なく襲ってくる。

 

「うぉぉおおおっ‼︎」

「はぁぁぁぁっ‼︎」

「うりやぁぁぁっ‼︎」

 

 

しかし、エクストラドライブになっている彼女達ならばノイズが幾らいたところで、どうということはなかった。

響は右手のアームドギアを槍状に変形させて突進し、翼は身に纏う刃で切り刻む。クリスは大量のビーム砲で一網打尽にしていく。

 

 

「調!まだデスかっ‼︎」

「もう少し、でっ…‼︎」

 

響達三人が無双している間、調が拘束されているマリアを開放しようと、ノコギリで触手を切断している。切歌はネフィリムの攻撃から調を守っていた。

触手は切断され、調のロボット形状のギアは崩れ落ちる。

「マリア‼︎」

「ありがとう二人とも…しかし、一振りの杖ではこれだけの数の制限が追いつかないっ…!」

 

ウェル博士やフィーネのようにノイズを制御出来ていたのは、その杖が管理していたのだ。だが、無尽蔵にいるノイズにその杖で操作させるのは難しい。

 

「マリアさんはその杖でもう一度宝物庫を開くことに集中してください‼︎」

「なにっ…⁉︎」

しかし、ノイズに指示を送るのではなく、もう一度扉を開けるようにと言ったのだ。

ソロモンの杖はいわばバビロニアの宝物庫における出入り口用の鍵。外から開けるのなら、中からでも開くことは可能にさせる。マリアは響達の言葉を信じて、

 

「セレナァァァァァッ‼︎」

 

今度は中から外へのゲートを開こうととした。すると地上へ続く空間が開き、後はそこに脱出していくだけ。

 

「ネフィリムが飛び出す前にっ…‼︎」

「脱出デス!」

 

翼は剱だけを持って、身につけていた聖遺物の刃を捨てる。クリスはアーマーパージで纏っている聖遺物を分離させて、吹き飛ばす。

 

これで六人全員で離脱しようとするが、ネフィリムがゲートに立ちふさがる。まるで響達ではなく自分がここから出るかのように。

 

「迂回路は無さそうだ」

「ならば、行く道は一つっ‼︎」

「手を繋ごう!」

 

一人一人が手を繋いでいく。まだ繋いでいないマリアは胸から剣を出現させる。

 

「この手…簡単には放さないっ‼︎」

 

ようやくマリアは手を繋ぎ、響とマリアが繋いだ手を振り上げる。

 

「「最速で最短でっまっすぐに…‼︎」」

 

剣は粒子となって、彼女達を包み込む。手を繋いだまま響とマリアのアームドギアが外れていき、ソロモンの杖で開けた空間へと行く。外れたアームドギアは巨大な二つの手となって形を変形し、彼女達の目の前で両手を組んだ状態でそのままネフィリムに向かって直進していく。

 

 

 

 

 

「「「「「「一直線にいいぃぃぃぃぃっ‼︎‼︎」」」」」」

【Vitalization】

 

 

 

 

アームドギアで形成した両手がネフィリムを貫き、脱出することができた。

ゲートをくぐってバビロニアの宝物庫から離脱することに成功したが、もうボロボロの状態で、倒れ伏せている。

 

「すぐにゲートを閉じなければ…まもなくネフィリムの爆発が」

「まだだ…心強い仲間がいる」

 

海の砂場に落ちていたものの、その近くで駆けつけてきた一人の少女がいた。それは、響がこの中で一番よく知っている。

「私の、親友だよ」

(ギアだけが戦う力じゃないって、響が教えてくれた!私だって戦うんだ)

 

未来はソロモンの杖を拾い、空を見上げる。しかし、未来も含め響達も予想外な事態に驚くしか出来なかった。

 

「嘘っ…」

「そんな、あの距離では…投げても届かない」

 

 

ソロモンの杖によって開けていた空間は、飛行機が飛ぶくらいまでにずっと上空に亀裂が生じてしまった。未来が駆けつけたとしても、いくら一般の女子高生の腕力で投げたところで届くわけがない。

 

「いや、嫌だよ。これじゃぁ…このままじゃ、響が…みんなが…」

 

しかし、悲しんでいる親友の未来の後ろには確かに頼りがいのある大人がそこにいた。

「それ投げる役割は、俺がやる。響君達はもう動けないだろう」

「⁉︎弦十郎さん…でも、どうやって…」

 

未来はその杖を彼に託した。

弦十郎のような超人的な人ならば、バビロニアの宝物庫を閉じてくれるかもしれないという期待を持って。

 

「正輝側が助力してくれたおかげで、この場所に俺を転移させたのさ。後は任せろっ‼︎」

「師匠っ…」

正輝達も何もしていなかったわけじゃなく、響達が出てくる場所を見つけてすぐにでも出れるように準備していたのだ。親友の手がゲートまで届かなかったとしても、それでもほぼ同じくらいに信頼でき、頼れる人が終止符を打ってくれるのだから。

 

ソロモンの杖を思いっきり投げ飛ばす。

「届けぇぇぇぇっ‼︎」

「お願い…もう響が、戦わなくていいような世界にっ…!」

勢いよく投げ飛ばしたその杖は、空にある雲を吹き飛ばした。ゲートが閉めようとしている隙間へと入っていく。

ギリギリ間に合ったのだ。

 

杖はバビロニアの宝物庫に吸い込まれ、ネフィリムの爆発ごとその中にいたノイズとソロモンの杖は消えさられた。もう杖が無くなった以上、バビロニアの宝物庫も使えない。

 

これで、FIS(ロープ陣営含め)による長い戦いはようやく終わった。

*****

 

「お疲れ様…ホント」

空は夕暮れとなり、ようやくフロンティアの事件は終わりを迎えた。正輝達と二課はこうして響達と合流している。一方、計画を企てていたウェル博士というと

「ひひひひっ…間違っている…英雄を必要としない世界なんて」

「まだ言ってやがるよあいつ…」

 

正輝に腕の骨を折られても、英雄といった言葉にすがりついたまま懲りずに何度も言い続けている。もう拘束されて御用となり、ヘリに連行されていった。正輝個人としては殺したいくらい許せないやつだったが、今回は骨を折る程度で済ませた。次に刃向かってくる時は徹底的に死なない程度に潰すと忠告してある。ウェルの執着心には怒りを通り越して、呆れてもいた。

 

月の移動はマリアとマムが月の遺跡の再起動が成功できたため、結果的に月の公転軌道が徐々に正常な位置へと移動している。正常値へと戻り、もう月が地球にぶつかってくるという危険は去っていった。ただし、月の衝突を守るために、この計画に加担していたナスターシャの連絡が取れなくなった。

マムの犠牲もあったことを忘れてはならなかった。

「マムが未来を繋げてくれた。ありがとう、お母さん」

「マリアさん…」

響は何も言わずにガングニールを差し出した。

しかしマリアは、それを受け取らない。

ガングニールは立花響を選んだのだ。

「ガングニールは君にこそふさわしい。しかし…」

 

月の遺跡を再起動させたことで、バラルの呪詛である月が残ってある以上結局、人類の相互理解はまた遠のいていく。

それでも、

「へいき、へっちゃらですっ!

 

 

 

だってこの世界には、歌があるんですよっ‼︎」

どんなに世界が残酷でも、バラルの呪詛に縛られて相互理解による問題があったとしても、奏でた歌に、絶唱に、見て聞いた世界中の人達の願いと祈りが、70億ものの絶唱として応えてくれた。六人がネフィリムとの決戦時に纏っていたエクストラドライブモードがその証拠になる。

 

六人の歌は世界中に響き渡り、繋がった。その確証が、確かにそこにあったのだから。

 

*****

 

 

響達を眺めていた正輝と嶺、竹成の三人はようやく一息つけている。

「ようやくこれで終わったか…まぁ、あのロープ陣営さえいなければ俺達があの時にさっさと終わらせたんだがな」

「にしても正輝。救援も仲間も呼べない状態になったって…こいつらが俺達の邪魔をしてきたんだろ?」

正輝は赤、黄、青ロープの画像を竹成と嶺に見せた。正義側と殺人者の楽園側だけではない第三者側の介入。彼らの横やりのせいで事件を早く終わらせることができなかった。

 

この事件を通して、彼らの登場以来、異様なことが多かった。

「そもそと、正輝は未来ってこと会っただけなんだよね?」

「あぁ。立花に聞いたけどやっぱり俺と響の関係性は全く知らないそうなんだよ」

 

聖遺物を纏い、怒り狂って正輝を殺そうとした未来は言葉にして発していた。正義側のこと、そのシステムのこと、殺者の楽園や正輝自身を知ったような口で喋っていた。

 

これがどういう意味を表しているのか。

まず、未来をあんな風にさせたのは身体を弄り、言葉巧みに勾引かしたのはウェル博士だ。しかし、正輝と響のいがみ合いを記憶に投入したのは、協力関係を持っていたロープ陣営だ。しかも、大勢が巻き込まれる状況下の最中に、嶺をも巻き込んでの大波乱なことをやらかしたのだ。こんなやり方はロープを陣営の中に正輝と嶺の関係性を知っている人でなくてはできない。

 

(今まで奏から受け継いだガングニールはこうして消え去られてしまった。今度はマリアが持っているガングニールは響に受け継がれている。たとえ奏が持っていた頃のガングニールがなかったとしても、奏から受け継いだ意思があるのなら…え、ちょっと待てよ)

 

響は自分の持っているガングニールだけに着目し、肝心なことを忘れていくのではないかという反面そんな予感なもした。正輝は響がもう奏のガングニールではない以上、それが理由で奏から受け継がれた意思を忘れるんじゃないのかという心配もしている。

 

 

「いやまさか、そんな訳ないだろ…響の命を助けた人の言葉を投げやりにするわけがないし。その話は後回しにするか…」

 

そう言いながらも考えると響達のことについても心配にはなっていたものの、それよりも今残してある問題について深く深掘りしていく必要があった。

 

(それに、この世界に介入して以降かなり重要なこともあったからな。新たな問題として立ち塞がった…)

 

今回起きたFIS事件だけではなく正体不明のロープ陣営の襲撃は、正輝達3人を脅かす強敵だった。正輝を含む仲間達全員で立ち向かっても歯が立たず、返り討ちにされてしまった。たとえ、正輝との一対一の状態になっても実力は正輝側の方が劣っている。

 

 

ーーーやってみろ。正義側の転生者(操られ人形風情)

 

 

赤ロープが伝えた言葉が、正輝にとっては癪に触っている。前に言っていた操られ人形とはどういう意味だったのかが気がかりになっていた。裏で何者かの筋書き通りにこちらが動かされているのか、それとも二課の、政府の協力者だからその犬としての操り人形なのか。

 

 

ーーー少しは疑問に思ってないのか?正義側システムのことを。不憫だと思わないか。もしも正義側のリーダーが殺人ができない臆病な奴だったらこんなにも理不尽なことはない。

 

それでも神は殺者の楽園を殺せと勧めてくる。殺し方はなんでも良し。つまりは手段は問わない…どんな汚い方法だろうが、犠牲者を出そうが楽園を潰せば何もお咎めも問題もない。

 

正輝にとって正義側システムについての疑問は若干はあった。序盤の段階で与えられた能力は弱いままだったが、試練編などのようなもので乗り越えて強くなっていく。その為、あまり疑おうとはしなかった。だが、単純に

 

ーーー見せてやろうか?これから先にお前達が引き起こす戦争と泥沼化になる未来を

 

 

未来が復讐として殺そうとしてきたのは響のため、しかしロープ陣営から得た記憶は正輝と嶺の関係性を知らなければ、不可能なのだ。

 

だからまず、正輝達三人は正義側についてある神様の言動が怪しかった。試練編のことまで知っているのならば、船を管理している神様が関与してないわけがない。赤ロープは正輝と士郎、アーチャーと同様に投影魔術を使って見せた。明らかに、正義側のシステムに不備があることには違いなかった。

 

(もしかしたら…あの連中はその気になれば、ここいら一帯を滅ぼしていたかもしれない。あんな力を持っていたんだ…そう思うとゾッとしてならないな…)

 

ロープ陣営がF.I.S.を諦めて立ち去ったことから、正輝はそのことで半分安堵している気持ちがあったことと、もう半分はこれから先あの連中と出くわして戦闘になった場合の危機感を抱いていた。

 

そして、前に響の言っていた言葉が、そのまま未来で腑抜けていた彼女自身に返ってくることはこの時、思ってもなかったのだから。起こり得る未来は遠く先の話になるが、その時が必ず訪れるだろう。

 

赤ロープの言葉通りに衝突する最悪の未来が来るのか、或いは唯のでまかせな嘘なのか。今の正義側にはまだ、そういった未来を探る術も力も持ち合わせてはいないのだから。

 

シンフォギアG編クリア

多忙と執念、そして英雄

 




Q原作では未来がソロモンの杖を投げていましたが?
A今回は未来が投げても届かないところにあるので、もちろんO☆TO★NAの活躍としてこうしました。原作では質問の通り未来がそれを投げて終わりなんですけどね。ちょっとした改変です。
次回ーーー???

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