Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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一息(前編)

「何だ?大事なことって」

 

正輝が自室で寝転んでいる時、凛と秋瀬が重要なことだから話がしたいということで、起き上がってドアのロックを外して二人を部屋に入れる。

 

「ストレス発散の機会に旅行へ?」

「ええ、秋瀬君と私が話し合って提案したの。FISとロープ陣営のことも含めてアンタ切羽詰まってたでしょ」

「一度ゆっくりした方が良いのかなってね?僕と凛さんで調べて、みんなにもこの旅行のことを話しておいたから、あとは一番の責任者である君が承諾するかだよ」

 

二人から京都の旅行を提案している。既に本も購入しており、あとは宿泊の予約だけとなっているから正輝に連絡していた。旅行本には付箋が沢山貼られてあるのは、仲間達が寄りたい場所や、買いたいお土産などをチェックしている。

 

「貴方の姉さんと加藤って人も来るそうよ?」

「…神からお金は貰っているけど、俺の姉さんの暴走のせいで加藤先輩の方とは何かしら複雑になってなかったか?」

 

神側からはメールだけではなく三人に多大な迷惑をかけたことからその詫び金が配布されている。お金は受け取るもののこれまでの問題そのものが解決したわけでも、正輝達も神に対して許したわけでも全くないため、疑心には思っている。そもそも、お金で解決できるような問題ではない。

 

この旅行に姉が加わるのは問題なかったが、気掛かりなのは加藤とその仲間まで旅行に加われば暴走の件で腹と腹の探り合いをしつつ距離を置くのではないかと心配していた。今回はそのお金で身体と心を休ませるために一時休息を取るという話となったが、本当に休めれる保障があるのかと彼は疑問に思っている。

 

「この旅行の目的は、加藤さんとその仲間の和解と私達一人一人に面談をするってことなのよ」

「まぁ…ロープ陣営の登場と危険さを思い知った以上、このまま正義側のいがみ合いは非常に不味いってことがわかったしな。加藤先輩の側もそれを理解しているだろうし。でも奏はどうするんだよ?あいつ、あっちの世界じゃ死んだことになってるんだろ?もしバレることになったら行かせるのは不味くないか?」

 

ロープ陣営の恐ろしさは、正輝達がよく分かっている。何度策を練ろうとしても必ず邪魔され、圧倒的な実力差を前になす術がなかった。それは正輝達以外の他の正義側も無視できない。奏の方も連れて行こうにも生きていることがバレたら、大騒ぎになる。

 

「それなら神に聞いたんだけど、どうやら容姿を変えることがわかったらしくてね。誰がどう見ても絶対にバレないようになってるんだ。

 

 

で、どうする?最終的な決定権があるのは君だよ」

「…それでみんな行けるんなら良いよ。今回は色々ありすぎたしな?」

「わかったわ。それじゃあ旅行の本と、どういう流れで動くかっていう紙はここに置いておくわよ。私はホテルの予約を取っておくから」

 

凛は正輝の許可が下りたことをみんなに報告へ向かい、秋瀬は正輝の顔をずっと見ている。

 

「…無意識にしかめっ面になってるよ?」

「え?俺ってずっとそんな顔になってたのか」

「最近そんな表情してることが多かったからね。君もアーチャーさんも随分と苦労したのは、顔を見たらよく伝わるよ。この旅行は二人の息抜きってことも考えてるし、みんなには楽しんでもらわないと」

 

余りにも多難な事件ばかりが多過ぎたせいで正輝は険しい顔ばかりする機会が多かった。ロープ陣営のことだけではなくみんな暴走した嶺を止めたりするのも一苦労している。が、久野と綺羅以上の規模にはならなかったために今回の暴走は正輝無しでもなんとか止めることができたのだ。

「教えてくれてありがとな、秋瀬」

「それほどでもないさ。それじゃ僕は遠坂達の手伝いに行ってくるから君は旅行の準備をした後に休んでてよ」

秋瀬はそう言って部屋を出ていく。正輝も荷物類を準備して、京都へ向かう為のものを用意していた。仲間の方も仲の良いもの同士で話し合いしながらやっているだろうと自分ので用意していた。が、その準備中に浜風、レイナーレ、ミッテルトの3人がやってきた。

「あの…すみません。何を持って来たらいいか分からなくて相談しに来ました」

「えーっと、3人とも凛に渡されなかった?」

「入れたのは入れたのだけれど、余りにも服が…」

 

レイナーレの方は普段の服とかを理解しているから浜風とミッテルトにはそれなりに教えてはいるものの、浜風は泊まる用の服があまりない。ミッテルトは浜風よりも服がそれなりに持っていたけれど、ゴスロリが多くて困っている。

 

「正輝さんは士郎さんやアーチャーさんのような投影魔術で服って作れますか?」

「まぁ投影改造や合成をちょくちょくやってたから可能だよ。んでも何かあったらまずいからやっぱりまどか達とかに貸してもらうか、最悪買うかだな」

最近入ってきた浜風こと艦娘は現実での知識がレイナーレ達と同様に疎く、まどか達や響達もそのことをちゃんと分かっている。仲間達は良心的に貸してはくれると正輝は考えているが

 

「頼もうとしてもみんな忙しそうにしているで…頼める人が」

「まあ分かったよ。幸い今日は旅行日の4日前だからな。ミッテルトも服がないから連れて行くけどそれで良いな?」

「ありがとうございます」

(それに、旅行用に持ってくる道具とかも存外見つかるかも知れないからな)

「それじゃ、今日明日はちょっと買い物に行くからな。今のところは入れることが可能なものを用意しておけよ」

「はい」

 

こうして正輝は、旅行前に3人の買い物を手伝うこととなった。前回さやか達の期末試験のお疲れ会と同様に浜風と堕天使二人の服の買い物をすることになるが、他の仲間の方も服以外に足りない部分があるかもしれない。

「明日明後日はちょっと買い物に行ってくるから、もし足りなくて一緒に行きたいって人がいるなら早めに言えよー」

 

正輝はみんなに報告し、配布するための衣類圧縮袋とか酔い止めなどの薬、天候が雨だった時のための折り畳み傘を購入している。旅費である新幹線と旅館代と温泉代については嶺と正輝、加藤の3陣営で別々に支払うということで話が進んでいった。

 

 

*****

 

「えーっと。凛と秋瀬の提案から京都の観光旅行に行くんだからお金については各自に持っておくことと、それぞれ衣服とかも準備するようになー」

 

旅行日前日には仲間達の方も正輝と或、凛とセイバーの4人で男女それぞれの荷物確認を終えている。この旅行は一泊2日になる為、持ってくる衣服類は少ないがカバンを用意している。

 

 

そして旅行日ーーー

 

それぞれ全員の分の指定席を予約し、

新幹線で向かうようになっている。正輝、嶺、加藤の陣営については行きたい場所が見事に別れていた。三陣営とも観光地(伏見稲荷大社等)を3〜4箇所バラバラにぶらり旅をしており、別れて巡っている。

 

学校の修学旅行みたいな感じで、出来るだけ集団で行動する。移動方法は公共交通機関を使っており、みんな離れ離れにならないようにいつでも連絡を取れるようにどの陣営も旅行前に入れておいた。

 

正輝の方は仲間達に余程のことが起こらない限り戦闘態勢にならないこと(ただし、二課の指示がある場合は響・翼・クリスの3人は除く)を伝えてある。なお、奏の姿が変わっていることは事前に言っている。

 

「えっ⁉︎あの奏さんなのですか⁉︎」

「旅行の時は一応なるべく偽名で言ってくれよ。正輝達の協力のおかげで容姿を変えてるけど」

 

 

嶺側は、ナツが乗り物酔いする為に必ず酔い止めの薬を常備しており、グレイは暑くなって脱いでしまう等があるために、フェアリーテイルなどの現代の知識に疎い人達をちゃんと見ておかないと大変なことになる為に色々と苦労している。

 

加藤達は正輝とアーチャーの二人と同様に気分転換と、嶺陣営との複雑な関係をどうにかするためにライダー達と共に連れて行っている。

 

 

そして今、正輝達の方は金閣寺にいる。

 

「…姉さんの方は、今頃伏見稲荷大社のところだろうな。俺らも後々回るけど…」

「このパンフレットには金閣寺って書いてあるけど…別の名前だと鹿苑寺とも呼ばれるね」

「あの金色のってどうやって作ったのかな?もしかして本当に寺が金で作っているからかな?」

「でも、そうだったら重さに耐えきれずに潰れそう…特に冬とか屋根に積もって大変そうね」

「つーか、雨とかで剥がれねーのか?」

「流石にここで働いてる人達が管理してるからそんなことはないわ。世界遺産って書いてあるし」

正輝は或と一緒にベンチに座って、金色輝く寺をぼんやりと眺めている。まどか達は写真を撮ったりして、色々議論しながらも和気藹々としている。

 

「本来あれは寺じゃなくて舎利殿としての建物になっているそうだな」

「ではなぜ寺という名前に?」

 

 

士郎達やまどか達は美滝原、冬木市といった所にずっと住んでいたのだから、京都市って場所も彼らにとって新鮮で珍しい場所だと思っている。

 

「お前は携帯で写真撮らなくて良いのか?」

「僕のはもうちゃんと撮っておいたよ。カメラだってあるし、呼ばれたらみんなの写真を綺麗に撮るようにね」

「でも平坂の方はその…目が見えないから、観光地を楽しめないってのがな。本人にも聞いたのかよ?」

みんなを楽しませるのはいいが、正輝が気ががっているのは平坂黄泉のことだった。彼は聴力が人よりかなり優れていても目が見えないのでは楽しめないのではないかと考えていた。

「僕と凛さんで聞いたよ。平坂さん本人は」

「…でもよ」

「いえいえ。私の方も楽しんでもらってますよ」

 

正輝と或が話をしているのを聞いて、横に割って入った。たとえ目が見えなくとも、外に出て自然の音を聞くことで安らいでいる。何も考えずに凛達に計画を立てるのも任せて、温泉やご馳走を頂くだけでも嬉しく感じている。

 

「でも、もし誰かが助けを呼ぶ声が聞こえたらすぐにデバイスで変身し「いや気持ちはわかるけどダメだから。むしろあんな格好になったら警察に連行されるの平坂さんだからね?俺含む他の正義側や二課、響達もいるから任せなさい」そうですよね…」

 

 

彼は正義の味方というものを意識してはいるものの、余程その格好が周囲から目を引かれているものならともかく何も知らない人からしたら不審者と思われても不思議ではないのだ。

 

彼以外にも加藤含めた仮面ライダー達や、嶺達といった仲間もいるのだからロープ陣営が複数同時に襲ってくるなんて深刻な事態にならない以外はなんの心配もいらなかった。

 

(まぁ、あの格好が己個人の象徴っつーのはわからなくもないんだけどな…)

 

彼が早く動き、あの格好になって人助けに向かっても彼の善意は徒労に終わるか、変な誤解をされるかのどちらかになってしまう。3人がのんびりしているときに、ミッテルトとレイナーレ、浜風の3人が来ている。

「おーい3人ともー!ウチらと写真撮るっすよー!」

「え?私もですか?」

「平坂さんもだってさ。じゃ行こうか」

 

こうして、京都の観光地を巡り巡って楽しんでいた。みんなで写真を撮って思い出を残し、肩の荷が降りている。

仲間の人数が多いために、はぐれることも考慮していたが、みんなしっかりとしているためにちゃんと集団行動をしていた。だだし、一部(カップル)を除いては

 

「宗一郎様」

「…」

「マルと生きて旅行するなんて思っても見なかった」

「俺もだぜ、愛」

 

ラブラブな二人を正輝達は遠目で見て眺めていた。

「まぁ、あれでも一応大人だし…大丈夫だよな」

 

大事な時に集合する以外を除き、彼らに関しては四人を除く全員が何も言うこともなかった。

宗一郎は教師だからともかく、キャスターは彼に夢中になっている。愛とマルコの二人組は元々バカップルみたいなものは既にみんなに周知になってる。そんな彼らを大事な呼びかけ以外に邪魔をするわけにもいかなかった。

他にも銀閣寺、清水寺といった観光地を時間の限りに巡り終えると、最終的に三陣営とは宿泊場所で合流するといった流れになっている。

 

「あ、姉さん」

「お帰り。正輝」

 

正輝達が到着するよりも先に嶺達が一番早く観光地巡りを午後5時頃に終えて、宿泊している。嶺はハセヲを連れて何個か土産を買っていた。彼女一人だけで行くと迷子になりかねないからだ。加藤達も観光地巡りを終えて、宿泊地に向かっている最中になっている。もし遅くなったら最悪正輝達と嶺達で先に風呂に浸かりに行っても構わないと連絡が来ていた。

「そういう連絡があったので、こっちは先に温泉に浸かってもいいんだってさー」

「んでも姉さん。俺達の方はまだチェックをつけてないから、それが終えてからだよ」

一番の責任者である正輝と、計画を立てた凛、或の3人が前に出てチェックを取っている。ホテルの部屋にについては、嶺達だと2階で、正輝達だと三階に分けられている。

部屋番号は

【250】岩谷正輝・秋瀬或・レイナーレ・ミッテルト・平坂黄泉・浜風

【251】衛宮士郎・セイバー・遠坂凛・アーチャー

【252】鹿目まどか・美樹さやか・巴マミ・佐倉杏子・暁美ほむら

【253】立花響・風鳴翼・雪音クリス・天羽奏(容姿変え状態+偽名)

【264】戦場マルコ・美神愛

【262】葛木宗一郎・メディア

 

正輝については6人も入れるために特別広くなっている。浜風の方は他の人との交流は多少しているものの、相手が艦娘同士や提督ではないためにぎこちなく話しかけてしまう。

「すみません。一体どう接したら良いか分からなくて…」

「大丈夫。堕天使の私達もそういうことがあったから心配しないで」

レイナーレやミッテルトがまどか達に対しては仲が良いというわけではなく、人間だから見下しているという部分が微かにあった。アーシアの神器を奪う計画だった頃にリアス達に潰され、彼女らに仲間を二人も殺され、正輝に助けられて反省してもなお、微かにやはり人間とは別の種族の相違であるが故に何処か『人間風情が』と口では言わないが見下してしまうこともある。元々レイナーレ達のいた世界が悪魔と天使、堕天使の抗争だったため、そういったことが多数存在していたからだ。

リアス達のような悪魔にも、堕天使や神父に偏見を持つように。

「…私達よりかはまだマシな方よ。最初の頃は、彼に助けられても少なからず偏見を持ってた部分もあったから」

艦娘にも偏見を持つ者はいたが、浜風についてはそれが無い分、仲間として入ってた頃のレイナーレ達二人組よりは仲間と気軽に話せるだろうと3人で相談している。

 

(なんだかんだ言って、少しずつ仲間と話してるな)

 

それを眺めていた正輝は、浜風がおどおどしながらもレイナーレ達の助言のおかげで或や黄泉の二人にも話したりしている。

 

夕食については温泉に行った後に、食べに行くとの流れとなっている。旅館の風呂については貸切になっており、よっぽどのことが起こらない限りは怒られることはなかった。

 

ーーーーー女子風呂

 

「あー気持ちいい。旅行の予定は凛達と秋瀬が予定を立てたおかげでどういう流れで動くか把握できるから安心するし、この露天風呂とかに疲れをとった後にご馳走を食べれるんだからな」

「まだ時間に余裕があるから、温泉の後に何分か休んでも問題ないわ。でも、浸かりすぎて逆上せないようにね?

一応今日1日は貸し切ってるから閉店時間以内にはまた入れるわよ」

「ほんと、凛達に感謝しないといけないよねー」

まどか達は旅行に十分満足している。まさか学校の修学旅行みたいなことをを実際にやるとは思ってもなかったから、満喫していた。

「ふぅ…」

「お疲れ様です。凛」

「ひとまず旅館には時間通りにつけたから、今後の予定はまた秋瀬君と士郎達と話し合いましょ。正輝にもね」

凛は観光巡りを終えてようやっと息抜きができるから、深く一息をついた。

「やったー!温泉だー!」

「おい、あまりはしゃぐなよ」

響達も露天風呂に入ってきている。奏は容姿が変わっているため、温泉でも別の人だと周囲から思われるが、精神に関しては本人そのものになっている。

響はさやかの胸を突いていた。

「それにしてもさやかちゃん。中学生なのに胸が私よりおっきいのは、本当にいいなー」

「ま、マミさんだってそうじゃないですか。レイナーレさんや新しく入ってきた浜風だって中学生じゃないですけど胸が大きいじゃん。雪音さんだって」

(むぐっ…⁉︎)

凛が休んでいるときに、胸のことを聴く度にグサリグサリと貫かれていく。妹の桜よりに劣っていることから、その部分は彼女にとって気にしてはいたが、それでも外見で引きつける部分は持っている。

「ほむらちゃん。男の人ってその…大きい胸ってそんなに大事なことなのかな…」

「まどか、心配いらないわ。貧乳が何も悪いってわけじゃないもの…それに大きいから良いって訳でもないわ」

「そうっス!ウチだって胸小さいけど貧乳は希少価値って言ってたよ!」

 

凛の唯一の救い(?)があったのはまどかとほむら、ミッメルトの3人が胸が小さくてもそれが良いと思っている人がいることも声を大にして言っている。

「そもそもさ。あたしらって男四人いるじゃん…正輝と、士郎さんと、アーチャーさん。で、新しく入ってきた平坂さんと秋瀬くん。戦場さんや、葛木さんについて絶対探ったら美神さんやメディアさんに怒られるし」

「正輝さんは、クリスちゃんっていう

彼女がいるなら巨乳好きなんだろうなー」

「いや…ミッテルトだって側にいるんだから分かんねーだろ。比率的には私とか、レイナーレとか一緒にいる時が多いけどよ」

彼女になったクリスでさえも、正輝がどんな女がタイプなのか聞いたこともなくわからない。

「なら、こんな機会だから聞こうよ」

まず手っ取り早いのは正輝のことをよく知っている嶺に聞くしかない。響が嶺に聞こうとするが、

「あの嶺さん!正輝さんは、巨乳好きなのですか⁉︎貧乳好きなのですか⁉︎」

「…どーせ小さいですよ」

「あ、ダメだこれ。落ち込んでて全然聞いてねーぞ」

隅っこにいた嶺は、自分の胸を触ってショボくれている。胸のことでダメージを負ったのは凛だけではなく正輝の姉も例外ではない。

「でもねー平坂さんとかはそんなに気にしないだろうなー」

「?さやかちゃん?それって士郎達にも該当してないかな?」

「ダメよ。気にしてないとか言っておいて、誤魔化そうとするもの」

 

平坂については目が見えず、手触りでなくては分からないからなんとも言えない。しかし、彼以外の正輝達についてはそんなことを聞かれて困っている顔が眼に浮かぶようだった。質問したところで、結局のところ曖昧な答えしか言ってくれない。

 

「賑わっているようだが、一体何の話をしている?」

 

そんな時に千枝と雪子、りせ、エルザとルーシーの五人が露天風呂に入ってきた。

「えっと…あのー」

「?何をそんなに不思議そうに私達を見ている」

「な、何?」

三人が風呂場にいるみんなに聞いたりしているが、五人を長々と見ながら思う事は色々あった。

(高校生って聞いたけど、私もあれくらい成長するのかな…)

(三人の方は嶺さんのように女子高生の基準ってあんな感じなんだろうなって思うけど、てゆうかエルザやルーシーとか胸おっきいし)

またある時は別のことを考えてる人も

(ミッテルトも、私のように成長するかもしれないわね)

(あー、いい湯だわ。身体洗おっと)

(正輝ってミッテルトやまどか達、フェイト達とかも一緒にいるから分かんねー。まさか…胸が大きいだけじゃなくて、ロリコンとかじゃねーだろうな。

実際浜風とも部屋一緒にしてるし)

ちなみにセイバーは士郎がどんな胸でも愛してくれることが分かっているため、聞いてもそこまで気にしなかった。が、

 

「大丈夫ですか?凛」

「ふにゅう…」

「あ、これダメですね…仕方ありません。抱えて着替え室に行きましょうか…閉館までは温泉は空いてますしまた入れるでしょう」

 

入る前に注意していた本人が湯船に浸かりすぎてしまい、顔が赤面になっていた。風呂から出たセイバーは凛を抱えて、脱衣室へと向かって行った。

 

ーーーー男子風呂

 

(なんか聞こえてんだけど…)

女子の露天風呂の声が大きく、壁越しに男子側にも聞こえている。正輝の方は覗くような奴がいないか露天風呂の周囲にシャドーを設置し、誰かいないかを警戒するよう指示した後に、ゆっくり湯に浸かっていた。

「まぁ、流石に覗きに行くような無粋な奴はいないな…」

「恐ろしくて入れねーよ。エルザだっているんだぞ?」

 

額傷とチャラい感じの二人組が正輝に話しかけてきた。正輝は二人の顔をよく凝視して見ると、一人は全く見覚えがなく、もう一人は前に自分の仲間と出会っていたのは覚えている。しかし、名前がなかなか出てこない為に少し悩みつつ思い出そうとした。

「えーっと…マミを助けてくれた花村くんだっけ?そこの人は?」

「いやいや、ワルプルギスの夜っていう魔女の討伐に嶺さんと先輩守る為に前線に出て協力してたじゃないっすか⁉︎」

「…あー!そうだった‼︎たしか鳴上と一緒に飛んでくる障害物を破壊してたもんな!マジでごめん。

というより、二人ともいつも俺の姉さんが世話になってるな」

 

この二人が何をやったのかを聴くと、前に四人とも時間を間違えて風呂に入ってしまったが、そうなる前に嶺が仕掛けた罠によって風呂に入る前にボロボロになったことがあった。

覗き防止とはいえ、罠に恐ろしいものが備わってることが二人から十分に伝わった。

 

「俺だってまだ死にたくない。てゆうか姉さんにぜってーしばかれる。間違いなく潰されて…そんでもって…長い間跪坐させられる」

「お前のねーちゃんも…ほんとおっかねーもんな」

「…マジで死ぬかと思ったぜ」

 

試練編の内容を話した後に、響と正輝の二人が、20分とはいえ跪坐させられていたことは確かに覚えている。正座以上に足が辛く、立つのがようやっとだというのに。嶺の仲間である鳴上(男側)は女子が入っている最中に入ってしまったせいで、大変な目にあっている。

 

「仮に入って逃げようと思っても、逃げ場が無いしな。出入り口一つしかないからな。

 

入り口の罠に潰されるか、女子メンバー全員にボコボコのズタズタにされるかだ。」

「あーうん。そりゃあ、ね…」

 

隣にいたグレイの話を聞いて、嶺陣営は風呂場を覗けても、どの道生きて帰れる保証はどこにもないことを正輝は察した。誰も暴れるといった様子はなく、このままゆっくりとできると思っていたが、

(…ヤバイ、思い出した。士郎達には確か)

「?どうした正輝?」

士郎とアーチャーの二人には、うっかり(ラッキースケベ)があることを思い出してしまった。正輝は二人が取り返しのつかないことをする前に、肩を掴む。

「おい士郎、アーチャー…いまここでラッキースケベなんてフラグ立てるのは絶対止めろよ。ここを血みどろ温泉にでもさせるつもりか?」

「正輝…ちょっと顔近いってば」

「あぁ悪い。ちょっとお前を含む俺たち男子全員の生命の危機がかかっていたからな」

 

士郎とかの人とかが、たまにうっかりスケベのようなトラブルを起こしかねない特質を持っていることがある。さっきの3人の話を聞いて壁を崩したりしたら、碌なことにならない。

「そんな事にはならないように配慮すればいいのだろ?」

「?何の話をしてんだよ」

「兎にも角にも、何事も無ければ良いんだ。いいな?」

 

士郎は鈍感である為にそんなわけないだろという顔をしていてが、アーチャーは正輝の言いたいことに納得している。男子側は平和にゆっくりと浸かるために、士郎達二人には強く念を押しておいた。

 

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