Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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修羅場(麻紀編ーschool days)

あるところに三人の学生がいました。

 

伊藤誠

西園寺世界

桂言葉

 

三人は榊野学園高等学校に通っており、何不自由のない暮らしをしていた。

 

伊藤誠という男は電車で一緒にいた言葉という少女に惹かれ、携帯待受画面を彼女の姿にした。その行為を行った理由は、噂で好きな人の待受を三週間誰にもバレなかったら恋が成就するという恋のおまじないを聞いていたからだ。だが、彼は後々馬鹿らしいと思いつつ削除しようとすると、待受画面を世界に見られてしまった。

 

思い人が初日でバレてしまったことから、世界の協力で言葉と知り合えた。学校の屋上で三人と一緒に弁当を食べることも、会話することができたのも世界が引き合わせたおかげだった。

誠についてだが最初は世界の協力で乗り気になっているのかと思えば、言葉も思い人がいるという事を知ると簡単に諦めたりするような安楽的な考えに逃げようとしたり、彼女をデートに誘う時はゲームセンターだと一緒に遊ばないまま一人で勝手に遊び、映画館では男女のキスシーンの時にいきなりキスをしようとしてきたりといった、彼女の気持ちも考えなしに自分の気持ちを全面的に押し付けようとする行動ばかりになっている。しかも、それが女心を分かっている上なのだから、彼女側からしたらたまったものではない。

 

デートの最中に言葉が彼を見限り、嫌われてもおかしくない最低な事をしているのだから。

 

 

それでも、言葉は誠のことを見捨てなかった。言葉もまた誠と同様に世界のおかげで、彼がどういう気持ちなのかといった誠との付き合いの相談もやっていた。それでも、場所を弁えずに抱きしめようとしたりといったモラルの知識が所々欠けている彼だが、世界が言葉を困らせていることが分かったらいつも誠を叱っている。

 

言葉については誠を家に誘ったことも、妹を紹介したこともある。この機会で下の名前で呼びあって、遂には彼女からキスをしようとしている。

 

言葉も誠も、互いのことがわかるように努力をする事で付き合おうと進んでいく。しかし、

 

 

「…なんか、言葉の相手するのって

 

疲れる」

 

 

 

家に誘ってもらった後の誠の一言は、本心であったのか。ただ単に、言葉という少女を飽きたのか。それを世界と電話している最中に言葉と今後も折り合いをつけれるかという不安ならともかく、簡潔に疲れると言っているのだから無神経にも程があった。

 

彼自身が恋人になるっていうのがどういうものなのかがその時の彼はまだいまいちピンときていなかったことと、付き合う前は恋仲は楽しい事だという曖昧な考えを持っていた。そんな誠を今度は『特訓』という形でいろんなシチュエーションを用意してキス以上のことをさせようとした。特訓ということであるため、強引にやろうとすれば叫ばれか、殴られるだろう。

 

そんな特訓を続けていても、言葉からプールに誘われることもあったため、交際はちゃんと続いていった。それでも誠は乗り気になれず世界との特訓のことをずっと気にかけていた。触れたり、抱きしめたり、なぜそこまでしてくれるのかと。

 

こうして、世界がどうしようもない誠の片思いを叶おうと彼の背中を押し、言葉とお近づきになる。二人の関係は段々と良好になり、こうして言葉と誠が彼氏彼女となって始まる。

その筈だったが、

 

「世界!」

「だめだよ…誠っ」

「言葉のことはいいんだ。俺…世界じゃなきゃ駄目なんだ」

 

誠と言葉の恋仲を良くしようと応援している世界もまた誠のことが好きであったことだ。言葉の恋愛を協力する前から色々と話せる仲であるために彼女の親友だった清浦刹那や、友達である黒田光、甘露寺七海は誠と二人で付き合っているんじゃないかと考えていた。だが、世界は誠が言葉のことが好きだから自分の恋愛を諦めて協力しているのに余りにも積極的過ぎるせいで誠は言葉から世界を気にかけてしまった。

 

世界と言葉、誠の三角関係に発展し、友人と恋人ってだけのはずが二股になっていく。

 

誠も積極的になり過ぎて女と付き合う為の練習のはずが、誠が世界に対して好きであることが強すぎてもう練習じゃなくなってきている。言葉にはどういう関係なのかを伝えようにも伝えられず、世界自身ももうこのままだといけないから誠を引き離そうとするものの誠から詰め寄ってくる。

 

最早、一体誠が誰と付き合っているのかズルズルと引きづり、あやふやになっているせいで三人の問題だけでは済まなかった。

 

言葉は委員会の仕事もしていたが、四人組の女子を言葉は黙って見続けていたせいで、四人の内の一人である加藤乙女に目をつけられ、彼女の取り巻きである三人も反抗的な態度を取っていた。言葉は注意もせず、四人は雑談をするだけ。

いじめが始まったきっかけは、乙女と言葉のいがみ合いだった。その時はホームルームであるのに、みんな話を聞いてくれる人がおらず騒いでいた。同じ委員会の四人に助けを求めるかのような眼差しでずっと見ていたものの、協力する気が更々ない。特に乙女は、他の男子や誠に色目使っているという決めつけまでして、言葉が気に入らなかった。

 

しかし、その話のせいでさっきまで恋人の雑談をしていたために、誠のことを言ったせいで、乙女の好きな人が誠だということが分かってしまった。

これには、言葉も黙っていられなかった。

「あんたには、関係な「関係あります!私、誠くんの彼女です。それに、色目なんて使っていません…」」

 

それを聞いてまず言葉の態度が気に入らなかったことと、誠が言葉と付き合っていることを知った四人は、言葉を敵視した。他の知り合いとメールで連絡し、言葉に対する嫌がらせが始まる。

 

加藤乙女

甘露寺七海

黒田光

小渕みなみ

森 来実

小泉 夏美

 

彼女だけではなく女バスの部員達がいじめに加わっている。六人は世界と誠の二人と知り合っている女子友達ばかりだった。言葉の邪魔や、委員会の責任や文化祭で使用する『休憩室』の準備など他の仕事まで押し付けられたり、自分たちの都合のいいように利用したりなどの嫌がらせをしていた。言葉が彼女らにいじめられている間に、世界と誠の一緒にいる時間が長くなっていく。

 

言葉は、誠を信じていつもの屋上に向かっていくが、ドア窓から二人の行為を見てしまい、世界との関係がバレてしまった。

「…嘘」

接吻しているところまで見て、開いた口が塞がらなかった。が、前まで身体に触れられても嫌がっていたことで奥手だったから、あれくらい触り合わないといけないのではないのかと。

 

しかし、その裏面でこのまま二股関係が続くどころか、学園祭の時点で何を血迷ったのか誠は乙女にも手を出し、言葉と世界の二人の扱いも段々と悪化していた。

 

 

彼氏と話すのを女子達に邪魔され、置いてけぼりになった言葉は、段々精神が追い詰められていく。

 

「別れたって聞いたから、それなら俺もチャンスあるのかな〜なんて」

「別れてません!私、誠君とは別れてなんかいません‼︎どうしてそんなこと言うんですか‼︎」

 

澤永泰介という誠の友人はプールに誘われた時から言葉を狙っていたが、言葉が誠と付き合ってないことを世界含む他の女子達から聞いて知ったことから、告白して来た。しかも、

「伊藤だけじゃなく澤永にまでちょっかい出すなんて、最低だね!」

いじめている七海までも根拠のないことばかり責めてくる。話にいた誠は何もできず、泣きながら去っていくのを眺めることしかできなかった。

 

「ずるいですよ…西園寺さんっ」

彼女は誠の家を自分で調べ、家に尋ねると誠の家には世界もいた。誠については後夜祭でのフォークダンスを一緒に踊ろうという約束を。

世界がいたのが分かったのは、言葉は家の中には入っていなかったものの、世界自身が罪悪感でいてもたっていられないから出ようとしたのだ。だが、言葉は入り口で立ったままだったために鉢合わせてしまった。

「西園寺さん。誠君が私の彼なの知ってて…」

「…ごめん」

「どうしてですかっ⁉︎どうしてそんなことができるんですか⁉︎」

そう言って世界の頬を平手打ちした。

伊藤誠を誑かして、言葉は世界の周囲にいる人達に阻害されてしまう。

「誠が、私のことを必要としてたから」

「でも誠君は私とお付き合いしているんですよ‼︎誠君と向き合う勇気が出なかった私を励ましてくれたの…西園寺さんのこといい人だって、友達だと思っていたのに…

 

 

お願いです…誠君の彼女は私なんです‼︎

もう誠君に近づかないでくださいっ‼︎お願いしますっ…」

 

そう、キッパリと言ったとしても。学園祭でも言葉が仕事を押し付けられて、一人では動けないまま彼氏を待つことしか出来なかった。

「彼氏、結局来なかったね」

「ひょっとしてさ、桂が勘違いしているだけで実は彼氏でもなんでもないんじゃないの?」

「あ、それ悲惨〜」

乙女と一緒にいた四人組のうち二人は、言葉を見張っていた。

 

「…私は、誠くんと付き合ってます。誠君、何か大事な用事で忙しいんです。きっと、きっと…」

今にも泣きそうな顔で、彼女は仕事が終わっても誠が必ず来てくれると願っていた。しかし、学園祭でどれだけ待っても誠は言葉のもとに来てくれなかった。

 

学園祭の仕事を終えた彼女は、彼氏の誠が必ず待ってくれてると信じて彼の元へ向かった。だが、そこにいた澤永から言葉に、誠が世界と後夜祭のフォークダンスに行ったことを伝えた。

待っていた場所に誠はおらず、約束していたフォークダンスも破られた。

 

「誠くんの恋人はわたし…」

「誠はもう、そう思ってないよ」

「そんな嘘じゃ「嘘じゃない!」どうして…そんな嘘を言うんです」

 

彼にも誠と付き合っていないと断言され、後夜祭で無理矢理襲われた。相手の同意も一切関係のない、私欲の為に、好きなんだという一方的過ぎる愛情で。

「嘘じゃない…あいつは、誠は君を裏切っている。お、俺。桂さんのことが好きなんだよ‼︎好きなんだ‼︎

 

俺、桂さんのことが好きなんだ‼︎」

「誠、くん…」

誠の方は言葉が酷い目にあっていることも知らず、乙女にまで手を出していることを隠し、世界と文化祭を満喫している。

 

*****

 

一方誠の方は、まだ学園祭の準備だった頃に遡る。

「伊藤、世界と付き合っているよね?でも世界から、桂さんとはまだ別れてないって聞いた」

 

そう誠に向けて言ったのは世界の親友である刹那だった。誠が世界の彼氏だとわかった刹那は、世界の応援をいつもしていた。

だが、誠と言葉の二人が別れて、今度は世界と付き合っていることを理解したことで誠を世界にずっと引っ付けさせるために誠の携帯を勝手にとって、言葉とのメールを着信拒否をすることも、世界にも言葉に近づけさせないように忠告もした。

 

「そ、そんなこと清浦には関係ねぇだろ!」

「関係ある。私は世界の友達だから…

伊藤は世界と桂さん、どっちが好きなの?」

 

彼の返答は、最初は言葉に惚れてはいたものの世界といると楽になれる。具体的に彼のいう楽というのは、落ち着く、安心すると言った遠回しな返答をした。が、そんな曖昧な返答であっても刹那は言葉よりも世界がいいということで彼女は捉えた。

 

刹那がこうして誠の気持ちを確かめるのは、母親の転勤が理由でフランスに引っ越すことになるからだ。まだここにいるのは彼女にとって気がかりだった世界のことを見届けたかったから話した。

 

誠は言葉ではなく世界を選び、そのことを話した。刹那の話からは世界が昔から何か嫌なことがあると、部屋に篭って泣いていた。今まで、彼女の支えを刹那がやっていたのだが、もうそばにいてあげられなかった。

「清浦…おまえ、そのこと世界に」

「そのうち話す。伊藤が世界のことだけを見ていてあげれば大丈夫だから。だから、世界のことをお願いっ‼︎」

「お、おう…」

刹那は、もうじきいなくなる自分の代わりに世界のそばにいてほしいと頼んだ。

 

(これは…私だけの思い出)

 

学祭で疲れ果てていた誠にキスをしたのは、刹那もまた世界と同様に誠のことが好きだった。刹那が委員会をやっているきっかけは入学式の時に二人の男子に小さいせいでからかわれ、それを誠が助けてくれた。その時の刹那はからかわれても、誰にも頼らないと泣いてはいるものの我慢する強気な性格だった。その強さを誠からクラス委員になってみんなをまとめるようにしていけば、誰も突っかからないと提案していた。あの頃に誠が言ってくれたおかげでクラス委員になり、彼女は強くなっていった。

 

学校の学祭を指示して一生懸命に頑張っていることも、同時に親友として考え、世界の為に言葉などの他の女を誠から遠ざけるためにも動いていた。その裏で、刹那は世界にそんな重要なことを何も伝えられず、日本に残る時間もあと僅かになった。

 

引っ越しは学祭の終わり、刹那が悔いのないようにするために。

 

ーーーーー

 

学園祭が終わった後も、それでも一体誰が誠の彼女なのか、そういった矛盾が周囲を巻き込み、入り混じっていく。

 

まず世界は学園祭の片付け終わりに七海から女子バスの人達からなるべく人を多く集めたいからと、その中に加わることになった。しかし、そのイベントは学園祭の恒例であった『休憩室』女バスの部長とその関係者達が誰にも知らせずに監視カメラを設置していたことが判明し、七海と彼氏だけではなく、乙女と誠の姿が映っている。ベットの上での余りにも如何わしい行為の数々が暴露される。

「あ〜乙女ってば積極的!」

(誠っ⁉︎)

七海は休憩室で何をしていたのかをバレていたことに辛くなり、世界は誠が乙女と一緒に『休憩室』にいたことを知ってしまった。

 

不幸は世界だけではなく、言葉にも及ぶ。

 

「これ!姉ちゃんから三ヶ月分の弁当当番を引き換えに手に入れたクリスマススペシャルディナーチケットで、俺とあま〜いホワイトクリスマス!

なぁーんてハハハハハ‼︎」

「何言ってるのか、分かりません」

「え?」

 

言葉はいままで誠と付き合ってるということを大前提に動いていた。それなのに太輔に好かれることなど、あり得ないのだ。

 

「私、誠君とお付き合いしてるんです」

「ちょっ、何言って…あいつは西園寺と」

「私は誠君の恋人です。だから、澤永さんとはお付き合いできません。

何度も言わせないで下さい。

 

私は誠君の彼女ですから。澤永さんのこと何とも思ってません…昨日のことも気にしないでください。

失礼します」

 

澤永はクリスマスに言葉を誘おうとするものの、キッパリと断られた。彼の盲愛だったのか、押したはずなのに好きな人に振られていく様は惨めな姿だった。

「ねぇ桂。昨日結局彼氏迎えに来なかったでしょ?」

「嘘ついてましたって一言認めてくれないかなぁ?」

「伊藤にフラれたの認めたくないのは分かるけどさぁ」

「振られてなんかいません」

「何言ってんの?疑いようがないよねぇ?」

言葉は学園祭で誠が来なかったことを乙女含む女子三人組はダシにされても、誠君は私の彼氏だと断言してた。しかも片付けの最中に足を引っ掛けたりといった嫌がらせもやめようとしない。

 

学祭が終わってもまだ誠は、携帯で言葉と連絡を取っている。

「もう言葉とは別れたって!今は言葉の気持ちの整理がついてないかもしれないけど長い目で見てくれれば…」

「桂さんとちゃんと別れて、世界だけを見て。もう時間がないの」

刹那に注意されるものの、誠からは別れたとはいっても言葉に正面きって別れようとも言わない。学祭も終わり、引っ越す日が明日になるから伊藤が世界を守るという約束をしないと、そのことを世界には話せなかった。

 

そんな時、二人が話している最中に言葉と鉢合わせした。言葉一人で片付けようとしており、誠が手伝おうとしても行かせまいとする。言葉は誠を誘おうとしても、刹那が横から邪魔をする。

 

「その…上手くは言えないんだけど…もう俺達、会わない方がいいと思うんだ。これ以上今みたいな距離で会ってたりしたら誤解させちゃうから」

「…嘘です。誠君、どうしたんですか?き、清浦さんが言わせてるんですよね?西園寺さんと結託して」

「世界には関係ない」

だが、刹那と西園寺の関係を知らないほど言葉も無知ではない。刹那の言葉は信じらられなかった。

「じゃあ…いいんですか?私言っちゃいますよ?学祭のこと」

「?何だよ、学祭のことって」

学祭で刹那が疲れて寝ている誠にキスをしたことを言葉に見られてしまった。当然、誠は疲れて寝ていたためにキスされたことも知らない。

「困りますよね?西園寺さんに知られたら…西園寺さんは貴方の気持ちを知らないからそんな無神経な命令だってしちゃうんです。だから」

「清浦の気持ちって…一体何の話を」

「清浦さんは学祭の前日に、誠君が眠っている時にキスを」

誠の前でそれを話すが、その前に刹那が行動に移った。

今度は刹那と誠が恋人関係だと知らずに迷惑だと反論され、世界とは関係もなく、誠と委員会で一緒だったから付き合うことになった事すらも分からない。

 

「もう近づかないで!」

「嘘…ですよね。誠君…だって、朝だって私に!」

「あれは、行かなかったことを謝りたかっただけで…分かってくれよ?」

 

学園祭のフォークダンスに行けないことを謝ったとはいえ、そもそも恋仲をはっきりしなかったからここまで彼女を傷つけたのだ。誠の悪意のない無神経な発言で、彼女は絶望する。

 

好きじゃないことにも、誤解させてしまったことにもごめんの一言で済ませるものではない。

 

 

「俺は…もう言葉のこと、好きじゃないから」

 

誠本人にすら付き合っていないということを言われ、とうとう彼女の心は崩れてしまった。彼をずっと信じ続けていたのに、裏切られ、酷く落ち込んでいた。

 

もう彼女じゃないということを、突き付けられて。

言葉の心は壊れてしまった。

 

それなのに、誠は一人の女にそこまで深く考えをやめて、乙女とも会おうとしている。キスに気持ちが入っていたことも、乙女のことを世界に話さなかったのも世界の為とはいえ清浦が好きだったと言われると、刹那は感情的になっていた。

「あの子とも別れて。桂さんとも別れたみたいにちゃんと…約束してくれるなら、何をしてもいいから…何でも」

 

その約束をちゃんと受け入れたのか、それとも断ったのかは。軽く考えることしか能のない彼にとって、もう言うまでもなかった。どちらにせよ、自分の都合の良い答えしか返事はない。

「…さよなら」

清浦は最後に誠と出会い、そしてこの街を出て行った。

 

*****

 

そんな複雑なことが起きている最中に世界の身体も精神も段々とおかしくなっていった。

「だから、模擬店を一緒に回ってただけだって」

「嘘、嘘、嘘‼︎私、知ってるんだからね‼︎加藤さんと誠が何処にいたか‼︎なんで⁉︎どうして⁉︎

 

 

私じゃダメなの?私もう誠しかいないんだよ?刹那もいなくなって…誠だけなんだよ?お願い、誠!」

 

学祭で誠が乙女とも関係を持っていたことを知っただけではなく、その日は心の支えになってくれた親友の刹那はもうフランスへ行ってしまった。そんな大事なことを口頭ではなくメールで。

 

誠の方は加藤乙女どころか、黒田光にまで手を出していた。刹那の約束を守る気は無く、出て行けば後は勝手にできると言うことだ。よって、誠は自分の私欲にだけ向けてて、今の世界を見向きもせずに一人きりにさせていた。

「やっぱアンタ、サイテーだね」

「それはお互い様だろ?もう何もかも面倒なんだよ」

清浦どころか、世界がいないことを良いことに他の女に手を出している。何日間も世界は休んでおり、誠ではなく光が代わりに落ち込んだ世界を慰めるために行くことになっている。

このまま誠は世界のところにも行かず、自分のことしか考えようとはしなかった。

 

前までは好きだって告白されたのに今では不審ばかりしている誠とずっと親友だった刹那がもうこの街にいなくなったせいで彼女の精神はボロボロだった。しかも、そんな不安を抱えている時に女の子の日がこないことが発覚した。

学校に向かい、身体に異変があるからどうしたらいいかと誠に相談しているのに、そういう原因を作った誠は、世界が余計な事情を持ってきたせいで彼自身も返答に困り、世界にも無責任極まりない返答だったことに世界は大声で怒鳴っていた。

 

子供を産んでもその責任は取ると、自分のした行いに対し向き合うべきなはずなのに

「なんとかならないかな…」

「だからそれを相談したいんだってば‼︎」

「そんなこと俺に言われたって、分かんないよ…」

「誠の子なんだよ!真面目に考えてっ‼︎」

 

彼女の世界がこんな目にあっても、彼は何も考えようとはしなかった。気分も悪くなり、吐き気を催すほど世界の身体は異常をきたしていた。その噂を聞いていた他の生徒達からは誠を軽蔑するような言葉が発せられる。世界がみんなの前で大声で発言していたせいで、彼の周りにいた女子達はだんだんと離れていく。

「ひとつ聞いておきたいんだけどさ」

「世界のことなら俺のせいじゃないよ!」

「誠、そんなこと言う奴じゃなかったよね。中学の頃は、もっと優しい奴だった…」

 

誠に好意を抱いてしまった幼馴染の乙女にまで見限られ、とうとう誠は一人きりとなってしまった。

 

季節はクリスマスの時期。

 

伊藤誠という男は世界のおかげで前までは周囲からは真面目という印象を抱かれていた。そのはずだったが、もう今では悪い意味で変貌しており、言葉や世界以外にも他の女達を家に連れ込んでは楽しもうとしている。彼のせいで世界が体調を崩しているのに、彼自身には何の罪悪感などなかった。見舞いにもいかず、自分が誰と付き合っても御構い無しに肉体関係になろうとする。

一人、クリスマスで賑わっている夜の街を彷徨っていく。電話で連絡しても、誰も彼も着信拒否され感情が荒ぶっていく。

「くそっ!なんで俺…こんな目にっ…ちょっと前までは上手くいってたじゃないか。なのに何で!」

正に男としては下衆な性格なまでになってしまった。自らの行為に責任を取るつもりでもなく、付き合っていた子(世界)に責任を迫られても彼は臆病のまま逃げようとする。なんとか自分を正当化させるために、何かしら取り繕って誤魔化そうとしていた。向き合うべき責任と現実から逃避してまた別の子と、こんなことが毎度毎度繰り返される。

 

そして、なによりも加害者本人である誠は自分の愚かさを微塵も感じていない。最低だと自覚したとしても、それを変えようとする努力する試みもしようとする気すらなかった。

 

だが、彼の心残りだったのは恋のおなじまいとして言葉の写真を撮って、世界を通じて知り合った女子。

「恋のおまじない、か。言葉…」

「誠君?良かった…来てくれたんですね」

こんな男でも差し伸べてくれた人が目の前にいた。それが、最初に惹かれていた桂言葉だった。彼女の頭と肩には雪が降り積もっている。

「どうしたの、こんなになるまで」

「待ってたんです。誠君のことを」

「言葉…?」

言葉の様子が余りにも異様だった。

壊れていてもずっと誠が戻ってきてくるのを待っていました。待っている間に彼女は、誠の為に一生懸命と語っていく。編み物も、料理も、ここまで努力していたのは胸を張って彼に相応しい彼女になりたいから。

前に、好きじゃないと言われたのに。

「なんで…なんで…」

「誠君と一緒にいたいから」

「勘弁してくれよ…」

「誠君のこと信てます。私、誠君の彼氏ですから」

「もうやめてくれよぉ…もういいよ…」

「誠君のこと、好きです。大好きです」

誠君のためにと彼女は体を揺すられても口は止まらず、続けて話していく。

 

「なんで…どうして…俺なんかを、俺、俺、知らなくて…ごめん」

「誠君…」

ロボットのように感情が消えた少女が、息を吹き返したかのように目覚めていく。死んだ目をしていたのが、心を取り戻したことで微笑む。

そして、

 

【この世界に介入した麻紀と、彼の清き親友(黄色ロープ)が、彼女らの有耶無耶な関係を利用してやろうと目論んでいた】

 

「…ねぇ親友。今回集める仲間って価値があるのかい?たかだか一般人程度を集めたところで」

『必要あるとも!主に精神面が活躍して、舞台を盛大に楽しませてくれるよ‼︎』

「あ、あのさ…僕の目的は」

『わーってるって!誠治を殺した敵討ちだろ?分かってる分かってる!

だから、麻紀は俺を信じろって‼︎』

*****

 

世界の方は、誠の家でご飯を作っていた。子供が出来たことに、嬉しく思いつつもお腹をさすっていた。

なのに、どれだけ待っても彼は帰ってこない。

「だから俺に構わず食べちゃって良いって!」

「誠全然分かってない!…一緒に食べたいから頑張って作ったんじゃない」

 

電話で帰って来いと問い詰めるが、誠は忙しいだけを返答してばかり。料理に不満があるというわけでもなく、どうして忙しいのかという理由も言わないのだから、当然世界には嘘だと見抜かれている。

浮気の疑惑も疑っており、誠はたじろぐ。それなのに、責任逃れの為にまた言い訳と言う名の自己防衛をしている。

 

誠は自覚を持たず、お腹には誠の子供がいるというのにまた逃げていく。

 

「言葉ならそんなこと言わないのに…」

「ちょっと、なんでそこで桂さんが出てくるのよ。誠…ねぇ、まさか。

そこに、桂さんがいるの?」

誠は黙ったままだった。言葉がいるとは言わず、しつこく言ってくる世界に逆ギレした。

「…なんで子供なんて作ったんだよ!なんでみんなの前であんな事言ったんだよ‼︎いきなり子供なんて言われたって、俺どうしたらいいかわかんないよ!「ちょっと待って「もういいから帰ってくれ!彼女ずらしてウチに居座らないでくれよ‼︎」」」

 

世界は誠とその子供のことを思って懸命に頑張っていたのに、伊藤誠の逃避、非情、そして我儘は肥大化していた。前までは彼女だったというのに彼女面というこれ以上ないくらいの暴論だった。

 

誠が言葉と一緒にいる確証もなく、私のことをちゃんと見てくれると信じつつ誠が世界に向き合ってくれるのを待っていた。が、誠と言葉が一緒に電車に乗って家に帰ろうとしたところを世界は見てしまった。

また世界は誠の家に向かおうとするが、出てきたのが言葉だった。

 

「なんで…なんで桂さんが出てくるのよっ‼︎」

「⁉︎世界どうして!」

「どうしても何も、なんで桂さんと一緒なのよっ‼︎帰って!お願いだからもう誠に付きまとわないで‼︎」

 

誠に関してはこの修羅場になってしまうまでにどれだけの女と関係を持ってしまったのか。

世界に子供が出来たから捨てて、今度は言葉を取る。

もう、世界がそんな考えになってもおかしくはなかった。誠は言葉のことを好きじゃなかったはずなのに、家にこうしている。

 

「桂さんが誠のこと誘ったんでしょう?ねぇ出てって!出てってよ‼︎」

「…誠君を誘惑させたのは。西園寺さんの方じゃないですか?」

「…な、何を言って」

 

こんなことが起こる前は、桂に誠を紹介させたのは世界であった。あの手この手で二人を近づけさせようと世界が誠を積極的にアドバイスし、言葉の距離を狭めようとしたはずだったのに、誠は言葉だけではなく世界にまで告白してきたのだ。

「私と誠君を引き離そうとして、あんな事を」

「違う!二人の気持ちが一緒だから…」

 

世界は、誠が言葉に引かれる前の頃からずっと好きだった。誠が言葉と付き合っているのに、誠のことが心残りになっていた世界は彼を愛してしまった。そして、恋人のなった世界は誠のしたいことをさせてあげていた。ずっと、ずっと彼の思う通りにしてあげればそれで満足だと。

「清浦さんも、本当は西園寺さんに頼まれたんですよね?」

「刹那?刹那がどうかしたの?頼まれたって…」

「…知らなかったんですか?」

歪んだ三角関係だけではなく、他の友人も巻き込んで。

その中に親友もまた、含まれる。言葉と誠を別れさせるために刹那が思い切った行動は、世界を苦しめる結果となった。

「清浦さんも、誠君のこと好きだったんですよ?私に諦めさせるつもりだったんじゃなくて、清浦さんの本当の気持ちだったんですね?」

「そ、んな…いい加減なこと言わないでよ。刹那は、私の、親友なんだから…」

親友が誠のことを好きだと思ってもなく、街から出て行くだけではなく誠と浮気していたことに、衝撃的なものだった。

 

「西園寺さん言いましたよね?

誠君は私のことをとても大切にしてくれてるって…だから私も誠君のことちゃんと考えてあげなくちゃダメだって。

ようやく分かったんです。誠君は、ずっと私のそばにいて、待っていてくれたんだって…だから。もう、迷いません」

「言葉」

 

世界の目の前で、そのまま二人は濃厚なキスをしている。親友だった刹那が実は誠のことが好きだったことを知らず、今まで誠の望んでいたことをさせてあげたのにこうして裏切られてしまった。目の前で誠を奪われ、世界は絶望して、悲鳴を上げた。

 

「嫌…いやっ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

 

もしも世界が紹介せず、言葉が彼と知り合うこともなかったら、こんな最悪な事態にはならなかった。

「違う…だって誠はそれで良いって言ってくれた。他の誰でもない…私が良いって!」

帰ってもまだブツブツと独り言を口走り、真実を受け入れられなかった。親友の刹那が実は誠が好きだった事も、自業自得とはいえ受け止めきれない真実に嘆くことしか出来なかった。

 

*****

 

世界が家に帰り、ずっとベットで座り込んでいると、誠からメールが送られている。誠が反応してくれたことで安堵したものの、その内容は信じられないものだった。

 

ーー言葉が知り合いの病院を紹介してくれるって言ってる。早い時期の方が体の負担にも少ないって話だから

 

妊娠中に、このメールを受け取った女の子の気持ちを考えたことはあったのだろうか。

想像妊娠とはいえ今の世界にはその子供を諦めろと受け止めることしかできなかった。誠は自分の腹の中にある子供を病院で流産させろということなのだ。

 

仮に想像妊娠ではなかったことを自覚したとして、誠を私だけにしたいがための嘘がこのままだとバレると恐れていたのか。

 

だが、どんな結果であろうが誠は、世界の責任を取るつもりはもう微塵もなかった。

彼は、世界ではなく言葉を選んだのだ。

 

そして世界は誠の家で話そうと連絡し、昨晩に懸命に作った食事も無残に捨てられたことを見て知った彼女は、携帯で誠の部屋に誘導しつつ、包丁を持ったまま。

遂に

 

「酷いよっ!自分だけ、桂さんと幸せになろうだなんてっ‼︎」

 

背後から腹部を刺す。その後も、倒れてる彼の身体にまたがって、腹部を何度も何度も包丁で動かなくなるまで突き刺していく。

そのまま血塗れになって、とうとう息途絶えてしまった。

 

世界は、伊藤誠を刺し殺した。

 

やかんの沸騰している音が甲高く鳴り響き、世界は包丁を持ってこの場から逃げ去ることしかできなかった。辺りは血だらけ、誠の部屋にあったのは彼の無惨な亡骸だった。

 

*****

 

麻紀は、正義側による神の力で非合法に彼を蘇らせた。世界が包丁で刺し殺したはずが、血が消えて息を吹き返すように蘇ってゆく。

「これで良いかな?」

「あれ、ここっ…ひっ⁉︎」

「お、やっと起きたか。悪いけど、ちょっと黙っててもらおうかな?」

前に伊藤誠が眠っている間にマンションに潜入し、麻紀は催眠を即進化させる煙を用意して、彼の手を掴んで無理矢理契約させようと事前に準備している。

 

仲間認識させられた彼は、自腹として支払うことで復活させることができる。麻紀は銃を突きつけ、大声で助けを呼ばせまいと脅した。

 

銃は銃声を出さないようにするサプレッサー付きのものを付けていた。

 

「ねぇ…協力してくれないかな?そこで隠れているんでしょ?桂さん」

 

誠のいる家に上がっていた言葉は、自分の目の前で死者蘇生の光景を見てしまった。麻紀にはとうに気づかれており、言葉も銃を突きつけられている。

 

「こ、言葉っ…」

「貴方は、一体何者なんですかっ…」

「まぁそう警戒しないでよ。それに、君の好きな人が死ななかっただけ幾分かマシだよ」

「…分かりました」

 

桂言葉は指示に従うしかできなかった。この場を逃げて誰かに助けを呼ぼうとしたら、確実に撃たれてしまう。

 

 

しかも、麻紀以外にも不法侵入している者が何人かいた。

麻紀や黄色ロープだけではなく赤髪の女の人が、

「…」

リアスは、この興味のない話し合いを聞きつつも腕を組んで苛々としていた。眷属達に対しても命令権を乱用している麻紀を、今すぐにでもこの場で裏切りたいのに、未だに命令権で指示され、効力で拘束されている以上麻紀に対して攻撃が出来ない。

麻紀の方は、リアス達か神の力でここにある記憶や証拠を弄ればいい。前例として一誠の家族に魔力で暗示をかけているのならば、証拠を隠滅できるのならどうにでもなると。

 

 

*****

 

 

 

ーーー屋上で待っている。

 

そのメールの内容に西園寺は恐怖した。言葉が誠の死体を見ている以上、少なくとも恨まれているだろうとタカを括っていた。

 

何をしてくるのかと覚悟しながらも学校の屋上へと向かうと、そこには言葉が立ちながら待っていた。

 

 

しかし、世界は言葉を警戒していたが故に第三者の介入など思っても見なかった。突然、幻想殺し・分身化が集団で世界を押さえつけようと襲う。

 

「えっ⁉︎」

世界は咄嗟の判断で護身用に持ってきた包丁を取り出したが、刺す前に分身化の一人が腹部を容赦なく蹴り飛ばす。

 

持っていた包丁を捨ててしまった。

 

「はいちょっと君、暴れないようにね〜?」

「な、なんなのよこいつらは⁉︎」

 

幻想殺し・分身体が、数の暴力で世界を取り押さえる。両腕には手錠をかけて、飛ばされた包丁も使えないように拳銃で破壊する。多勢に無勢だった。

 

「ねぇ清き親友!この女、どうしたら良いんだい⁉︎」

『そのまま拘束するようにな!あと、衣服に何か武器を持ってねーかの身体検査も怠るなよー』

 

何者なのかも分からない人達に急に襲われ、誠も何故か刺したはずなのにこうして生きていることに世界の頭の中は混乱していた。

「誠⁉︎なんで…」

「でも三人だけでも良いのかい⁉︎僕的には心細いし足りないと思うんだけどな」

『良いんだよー!グリーンだよー!

【他の方】は俺が済ませておいたからさー‼︎お前は気にせずそこの三人の確保すれば良いんだよー!』

 

誠の顔は世界にも麻紀達にも青ざめており、恐怖で鳥肌が立っていた。言葉も武器も持っておらず、逃げ場がないせいで動けなかった。

 

動いたら、麻紀という男に撃たれてしまう。しかも、言葉が気になっていたのは二人の会話にある【他の方】にもということだった。

「あの、質問してもよろしいでしょうか?」

「ん?何だい?」

「まさか私達以外にも集めてるんですか…それに、あなた達は一体何者」

何もないところから拳銃を取り出したり、結晶体の分身体を操っているのだからただの人ではないことは三人とも理解している。

「何者って言ったらややこしくなるからここじゃ説明しないよ。でも集めてる人のヒントくらいは教えても良いんじゃないの?親友」

『んーそうさなぁ…例えば。自分達にとって身近な人だとか!』

「「「⁉︎」」」

 

三人はそれぞれ考えてしまった。

自分達の大切な人、学校の友達、家族。思い当たる節はあるが、その親友とやらが三人以外に誰を入れたのか理解できない。

「せ、刹那は…」

『ん?』

「刹那はその中に入ってるの⁉︎」

誠や言葉よりも先に、世界から急に質問する。

しかし、麻紀も誰を集めているのかは分からず、集めた清き親友こと黄ロープも彼女の質問に答える気がない。

「答えて!答えてよ‼︎」

『んーそれを知るのは、ネタバレになるからちょっと三人とも眠ってもらおうかなぁ〜?』

その言葉を最後に、世界と言葉、誠の三人は無理矢理口を閉じられて、意識を失った。

「ねぇ…本当に大丈夫なのかい?力のない彼らを勧誘したところで?」

『力がないのであれば、彼らに与えれば良いのさ!』

「…は?どういうことなの?」

黄ロープは携帯を麻紀に見せると、途端に麻紀は喜んだ。精神面に不安要素があるとはいえ、一般人でも問題なく戦力になることを。黄ロープは耳元で、付け加えとして麻紀に囁いている。

「その発想すごいよ!これなら復讐に向けて一歩前進できるよ‼︎何でそんなことが発見できるんだい‼︎」

一般人を回収しても問題なく戦えるその理由は、ロープが持っている携帯の画面には、【仮面ライダー】が表示されていた。

 

だが、力を扱えても戦わずに逃げるだけでは意味がない。

 

『ねぇ麻紀くん。誰かが闘うのってそれなりの理由があるじゃん?暴れたいからとか、ゲーム感覚だとか、あの子を助けたいだとかさ…それに準じただけだよ』

 

そんな彼らを動かすための【強烈な動機】を隠し持って。

 

『人を殺すのも、奪うのも、陥れるのも…行動に移すのってそれなりの理由があるだろ?何となくやりましたって奴もいるけどさ。

俺はただ、それを提供するだけさ』

 

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