Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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未来日記と同様に思った以上に難しい…凛はともかくルヴィアの台詞とか、説得の仕方が大変だった。


59話お嬢様と天才少女

正輝が世界に介入する前のこと

 

ロンドンにある時計塔ではいつも爆音が鳴り止まない。その生徒であるルヴィアと遠坂凛は毎度のことながら喧嘩をしている。プライドの高さが原因なのか、お互い優劣をつけたり、譲ろうとはしないため勝負を仕掛けている。

 

そのせいで他の人達の授業の妨げになるわ、至る所は壊されるわ、喧嘩が終わった後はいつも叱られていた。

 

そんなある日のこと大師父から二人にカード回収の任務を命じられた。そのカードには魔術理論が含まれており、もし放置すると最悪町を滅ぼせるほどの厄介なものだった。

 

冬木市に向かい、ステッキを使ってカード回収をする。はずだったが、凛がいなくても何とかなると考えてるルヴィアと、それに頭にきて反撃しようとする凛。もう目的が僅かで、ほとんどが自分(強情)の為に戦う二人がまた力づくでぶつけ合っている。

 

こうして二人とも仲良くせず、魔弾ではなく今度はステッキの力を行使して喧嘩が勃発。ステッキであるルビーとサファイアに見限られ、変身魔法も解除されたことで落ちていった。

*****

 

黒い髪の女の子は見知らぬ場所を見渡していた。彼女の衣服はボロボロになっており、遊具を見つけたことで今いる場所が公園だと分かった。

 

「…」

 

彼女は落ちていた青いステッキを拾った。拾ったその子はサファイアの契約としてマスター認定とされ、そのまま転身する。

 

そんな時、二人が落ちてきた。先に落ちてきた人は変な姿(クッキーマン)をして林に落ちてしまい、もう一人の金髪ロールの人は魔術を使って何とか着地した。

 

「全く、サファイアめ…あんな場所で。許しませんわよっ…」

 

凛とは離れ、サファイアのことを悔しげに愚痴を呟きつつも探そうとしていた。あれが無ければカード回収もままならない。

 

カード回収を全て回収する為には、必ず英霊と戦うことになる。

 

「…とはいえ、このままサファイアやルビーがいなくなるのも困りますわ」

 

そう言って探し回ると、公園に魔法少女の格好をした美遊を見つけてしまった。手にはサファイアを持っている。

 

「貴方は、それに転身してっ…⁉︎」

『この方が、私のマスターです』

 

ルヴィアは何故サファイアが見知らぬ人とマスター契約し、変身しているのかと理解できずに唖然としていた。

 

「一体どういう「どわっ⁉︎」」

 

この公園で美遊とサファイアをずっと監視して見ていた正輝はクッキーマンから強制的に変身が解除され、人に戻らされていた。

 

*****

 

「カード回収は手伝います。だから住む場所を、居場所を下さい」

 

美遊という少女はルヴィアの代わりに転身できるため、事情があるとは言え彼女の要望には応えることは考えていた。しかし、その美遊という少女よりももっと謎だったのは正輝の方だ。

 

「貴方、どうしてあんなところに?」

 

美遊ではなくさっきまで林の上にいた正輝にルヴィアは質問した。普通の人があんな所にずっといるわけでもなく、大の大人が公園の木に登っているのは誰がどう見ても怪しかった。しかも、

『先程から、彼には微力の魔力が感じられます』

(なんなんだ、あのステッキは…)

しかも、サファイアにも彼が怪しいと言われたことで出会って早々正輝も困っていた。空から落っこちるから、自分の身を守る為に何か手立てはないのかと魔力を少しだけ使ったのは覚えている。結局最後の最後に、クッキーマンに変身して身を守ることはできたが、サファイアの魔力感知が決定打となり、一番正輝が疑われている。

 

「…信じられないと思うけど、いきなり上空に落ちて、木に絡まってあぁなった」

「…はい?」

『まさか、これのことではありませんか』

 

凛とルヴィアが戦っている最中の映像を流すと、空間の亀裂から正輝が飛び出ている。着陸地点もちょうど正輝がいる木の上だった。

『どうやらこの人は凛さんとルヴィアさんの二人が空で魔導弾で撃ち続けてる最中に極小さな空間が生じ、同時に歪みが発生しまったのでしょう』

「つまり貴方は転移しようとしたら、転移するはずのない上空に飛ばされて、この木に墜落してしまったと?」

「うん、そうだよ」

「それであんな所に…ですが、転移したと言っていましたが、貴方は何者でして?それで、転移と言われましても本来はどこに転移するつもりだったのですか?」

 

ルヴィアは転移の言葉を聞いて、彼のことを他の魔術師だと思っているのだが正輝の姿を見て、そんな不恰好にするはずがなかった。もし、ルヴィアと凛の監視役として時計塔の魔術師なのだとしたら、二人と同じように飛行機で冬木市に一緒に飛んで行くはずなのだ。

 

時計塔の者でもなく、魔術も使用できる。他の魔術師でも、巻き込まれて木にぶら下がっているような愚行はしない。

 

「人気のない場所だよ…何者かっつーのは非常に言いにくいな。でも、俺のことは少なからず魔術師の一人だと思ってくれて構わない。

 

俺の目的は、カード回収を解決するためにここに来た。君達の敵じゃないことは保証する」

 

正輝は立ち上がり、服についてある小枝や葉っぱを払いとった。

 

 

*****

 

(俺、結局のところ並行世界の凛にもうっかりの影響を受けるのかよ…でも最近介入時ってこんなんばっかりなんだけどさ)

ルヴィアという人は知らなかったものの、凛については事前にいることを分かっていたために、反応は薄かった。

並行世界の凛の影響で、何故か巻き込れるのも正輝はもう慣れている。

 

(ま、ジュエルシードじゃねーだけマシか。あれに関しては何個も海鳴市にあったし…危険物が7つだけなら。

今回は余裕で何とかなりそうかもな。

ただし、ロープ陣営や殺者の楽園とかの介入者が出て来ないのであればの話だが…)

 

『落下していた時にどんな魔術を使っていたのですか?』

「これだよ。んでも、取り出そうと思ってたんだけど間に合わなくってな」

 

正輝が使用したのは投影魔術だった。

何もない場所からパラシュートを造形して、それを彼女らに見せる。距離的に間に合わないせいで、結局シンフォギアに介入したものと同様にクッキーマンに変身して無理矢理どうにかした。

(この男、何者ですの。投影魔術は創り出すだけでも、至難の業ですのに…)

「…それなら、どうやって落下の衝突を防げたの?」

投影魔術のことはあえて突っ込まず、そのまま質問を続ける。

「んーそれはまぁ、こんな風に」

正輝はクッキーマンにまた変身し、二人に見せる。美遊は無表情をしていたが、ルヴィアは爆笑していた。

 

「ぷっ、あっ、アハハハハッ‼︎」

「俺の姿を見て爆笑してんじゃねぇ!とにかくこの姿に変身することで、落下の衝撃を防いだんだよ…なんでこの姿で防げたのかっていうのは、そーゆー特質なものを持ってるんだ。

もういいだろ、解除するぞ」

『確かに、人からその姿に変わってますね。』

クッキーマンの姿を見てまだ爆笑している失礼なルヴィアに正輝はイライラとするものの、変身を解除した。

「なるほど、確かに貴方達二人に何か事情がおありのようですが…目的は一致しているということですわね。

 

となれば、貴方も住む場所がないのでしょうか?」

「こうして貴方に明かしているのは、俺が敵でないってことを証明するために明かした。それに…俺は、ここに転移しても俺には住む宛もない。

うん、要するにだ…

 

 

住む場所がないので何でもしますから、住ませてくださいお願いします」

 

美遊という少女が何故カードの存在を知っていたのか、魔術師まがいの彼は一体何者なのか。未だに謎だらけの二人ではあったものの、ルヴィアは二人を住ませることを決めた。

「分かりましたわ」

彼自身もまた魔術師なのであれば、英霊を相手するのに一人でも協力者が必要になる。

「二人とも行きますわよ」

「ありがとうございます」

(…何にしても、見れなかった条件と確認は行きながらだな。ん?)

 

正輝の持っていたパラシュートに亀裂が入ったような音がしていたが、外見から見ても壊れた様子は見当たらない。確認で投影解析をしても、ちゃんと繋がって機能している。

 

「…気のせい、だよな?」

 

正輝にとっては気のせいであっても、彼の身体にはとっくに異変は起きていた。クッキーマンも強制解除されたことも、投影した物が外見の造形はちゃんとしているのに基本骨子と魔力が余りに微弱すぎて壊れかけになっていたことは、分からなかった。

 

この世界では未来日記よりも最低限戦える力を持っている。介入したその時点で岩谷正輝が弱体化したことを、肝心な時になるまではまだ知らない。

 

『…』

 

そして、三人が話し合っているところをもう一人正輝の姿をした【黒い存在】が潜んで見聞きしていたことにも、まだ誰も気づかない。

 

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