Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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61話VSキャスター(1回目)

美遊がライダーを倒したことで、残るカードはセイバー、キャスター、アサシン、バーサーカーの4枚となった。これから始まるというのにライダー戦の終わりに想定外なことが起きてしまった。正輝はその異変に驚いてもう一度部屋で確認したものの、身体にはどこにも異常をきたしていない。

(魔力は何の異常なし、能力値だって…なのにあんな形で唐突に投影魔術が壊れるなんて今まであったかっ⁉︎)

何度も確認したのに、投影魔術が不十分なまま贋作が壊れるとは思ってもない。

 

(落ち着け…条件として投影が弱体化されても…今まで俺は他の手段も増やしてきただろ!)

 

いろんな世界を巡り、殺者の楽園やフィーネとワルプルギスの夜といった様々な難敵と戦い、試練編でも仲間共にどうにかして乗り越えた。まだルヴィア達や凛達には言ってないが、万が一のための呪符やアイテムを嶺から貰っている。

 

戦う為の手段は増えていっている。しかし、投影魔術どころでは済まない程の致命的な部分が影響に出ているとはこの時はまだ思ってもなかった。

 

 

*****

 

 

正輝の方は美遊が学校に帰って来る前に、ちゃんと問題を作っていた。深く悩むようなものではない簡潔な適性問題を20問を学校に帰ってくる美遊にやるように準備している。

 

例えば、

 

Q硬貨を三枚投げ、三枚とも表になる確率は?

 

Qある子供達とその保育士が30人いる。彼らは博物館に向かうが、博物館の入場料が1人あたり350円だが、20人以上だと半額になる。

費用はどれくらいかかるのか?

 

Q怠惰の反対語は?

 

といった大真面目なもの(小学生でも何とか解けるもの)や、またある時は

 

Qパンはパンでも食べられないパンは何か?(フライパンという答えはNG)

 

Q割らないと、使えないものって何?

 

という休憩として下らないナゾナゾも加えている(時間の合間に書いたもの)

遅くても全問題を解くのに25〜30分程度で問題が終わる。

 

「美遊に適性検査を渡したが、結果はっと…」

 

そんな作成した適性検査の本を美遊に手渡して40分も経っていた。

 

Q硬貨を三枚投げ、三枚とも表になる確率は?

 

A 8分の1

 

Qある子供達とその保育士が30人いる。彼らは博物館に向かうが、博物館の入場料が1人あたり350円だが、子供が20人以上だと子供料金が半額になる。

費用はどれくらいかかるのか?

 

A子供が20人以上いるから175円分を29人分と、大人一人加える。だから、

 

29×175+350=5425円

 

Q怠惰の反対語は?

勤勉

 

「…」

 

パタンと、正輝は静かにノートを閉じて考えた。

 

前半部分が、まさかの全問正解である。

 

普段の小学生くらいの子が考えつくものでもなく、問題を飛ばしてやる子もいるのだから解こうが解けまいがそれは仕方のないことだと分かっていた。が、ここまでやるとは思ってなかったのだから驚いている。

 

一度冷静になって、ノートを見返しても目を見開く内容ばかりなせいで、頭の中は酷く混乱している。

 

(いやいや優秀過ぎて逆に怖ぇよ⁉︎えっ…何?美遊って子はなんでここまで冴えてんの?普段の高学年の小学生でも考えたりするよ)

 

いつも以上に時間がかかったと思っていのに、まさかここまでやるとは正輝も考え付かないために、そっと適性検査の本(自作)を閉じている。

(問題を全問解くなんてな…じゃあなぞなぞは)

 

今度はなぞなぞの方を開いた。が、美優記入した答えは予想の斜め上を上回っていた。

 

Qパンはパンでも食べられないパンは何か?(フライパンという答えはNG)

A 鉄板 海パン ジーパン サイパン 審判 短パン シャンパン ショパン パンダ ピーターパン パンドラの箱 パン屋 パンサー…

 

Q割らないと使えないものって何?

 

A割り箸、スイカと西瓜(食べる為)、チューペット、ダブルソーダ、モーゼの橋

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ⁉︎」

 

びっしりと回答が記入されている。子供だから一つだけで終わらせるかと思いきや、なぞなぞってだけなのにここまで用意してくるとは声に出すほどだった。

 

(可愛いなぞなぞだというのに正解を見た時点でもう深淵が見えるような気がしてならなかった…あの子の片鱗を味わったような気分だぞコレ)

「ナゾナゾも何気に完璧かよ…大人だって間違えるものもあるのに」

なぞなぞにだって意地悪なものもあるのに、美遊は様々な答えを用意している。

 

(美遊って子は、1+1=2って考えをせずに別の回答を用意しまくってる…まだあんなに小さいのに⁉︎)

「性格の適性検査はまた今度にしよう…」

 

美遊の結果に頭を悩ませつつも、美優のことを家庭教師として知るのは正輝の役目だ。彼女が困惑するところも見たかったが、そんな様子もなく問題集を解いた後の彼女は何事もないような表情をしていた。

「そろそろ行きますわよ」

 

問題集を終え、ルヴィアからまた呼び出しがあった。美遊はサファイアを連れ、正輝は動きやすいような格好に着替えて出かける。

 

*****

 

こうして、イリヤ達と美遊達はまた鏡界面に入って敵英霊(キャスター)と戦う事になったが

 

「で…どうなってんのこれ」

『どうやら敵は、準備万端だったようですねー』

「…マジですか?」

 

介入の時点で敵は攻撃の準備を整っている。四方八方から周囲を囲み、どんなところでも狙えるようにした。敵は空を飛んでおり、頭上から魔法弾を無尽蔵に滅多撃ちしてくる。

 

「痛いっ、なんで⁉︎」

「ち、ちょっと!なんで魔術障壁が突破されてるのよ!」

『あれー?おかしいですねー』

 

美遊とイリヤが正輝と凛、ルヴィアを守る為に魔術障壁を展開しているのに、ボロボロになっている。しかも、

「最大出力放射!」

反撃しようとしても、敵英霊には魔力指向制御平面というものも用意している為地上から魔力弾を飛ばしても通用しない。

それどころか、大魔法を用意まで使おうとしてきた。

(高速詠唱っ⁉︎不味い!)

「もういい!俺が出るっ‼︎」

このままだと全滅になりかねない為、正輝が前に出て干将・莫耶を作り出す。

 

「投影開始!」

 

しかし、彼の両手には何も出現せず、創造して作り出せなかった。それどころか正輝は魔力を発動することができない。

 

(…は?投影魔術が使えない⁉︎それどころか魔力が…)

 

「くそっ…BLUE起動っ‼︎」

 

正輝は投影魔術を諦めて、BLUEで大盾を用意して防ごうとする。投影魔術に異変があったのは戦う前の前触れがあったおかげで慌てるにしてもパニックになるほどではない。

 

(投影がこのざまなら…無限の剣製は、やっぱり使えなくなっている)

 

正輝は大楯を用意したまま手を上げて、王の財宝を展開しようとするが

(今度は、王の財宝までもが⁉︎)

「何やってんのよアンタ!」

『正輝さん!それでは防ぎきれませんっ‼諦めて一時撤退しましょう‼︎』

宝剣宝槍も、これまで倉庫内に入れた機関銃等どころか王の財宝そのものが展開されない。

 

正輝の脳内では、特典を頼るのではなく1stモードから2ndフォームによるモードチェンジで逆転するしかない。

 

「いや…まだだ!解放っ‼︎」

《change 2nd m…error》

が、機械音のトーンが低くなり、服装も変わらなかった。武器もそのままで、戦闘能力も上がることはない。

(嘘だろっ…2ndフォームまで異常をきたしているだと⁉︎)

1st(初期状態)でも能力が英霊と同等のなってはいたが、あくまでそれは神からの支援があったもの。今ではそれも無くなっており、ただの生身の人間が魔術で出来た魔弾を食らえば当たりどころが悪ければ死、悪くなくても重傷は免れない。

「もういいですわ!撤退しますわよ!」

「早く早くっ‼︎」

反射路を形成し鏡界回路を反転させてこの場を脱出した。なす術なく、何もできなかった。

 

『いやー勝てなかったですねー』

「なんなのよ、あの敵は…」

「ちょっとどういうことですの⁉︎カレイドの魔法少女は無敵ではなくて⁉︎」

 

ルヴィアはサファイアに八つ当たりしていたが、ルビーに疲れて悶えていた。四人とも何か話をしているものの、正輝は自分のことでて精一杯だった。

(投影魔術の特典どころか今まで勝ち取ってきた報酬まで制限をかけられて…一体全体どうなってんだ⁉︎)

正輝はまさかの事態に混乱し、そして考え込んでいた。敵が強いのは確かだが、制限の無い正輝ならあの英霊を倒すことなど造作もない。

 

それなのに、戦いに入ろうとしたら既に力が使えなくなっている。他のみんなの話が正輝の耳に入ってこなかった。

 

「ちょっと、正輝!話を聞きまして?」

「あ、悪い…聞いてなかった」

 

敵の攻撃が魔術の域を超えており、防御も魔力反射平面と魔力指向制御平面の二つを兼ね備えている。攻防を徹底しており、魔法陣を上まで飛び越えなければ攻撃が届かなかった。

 

イリヤは飛ぼうと思えば、飛ぶことができたものの、凛とルヴィアの二人は飛べた事に驚いている。

二人が飛べたのは1日訓練してようやっと飛べたのに、イリヤはすぐにできた。

「えっと、魔法少女って飛ぶものでしょ?」

その思い込みのおかげで、イリヤはちゃんと飛んでいる。イリヤ自身はそれがすごい事なのか困惑していたが、魔法少女がどんなものなのかをイメージしていたために飛行を可能にした。

対して美遊の方は

「人間は、飛びません」

(まぁリアル(現実的)だとそうなっちまうよな…)

美遊の夢のない考えとイリヤの頼もしい思考が、魔法少女による決定的な差を生んでしまった。そもそもカレイドステッキであるルビーとサファイアによって魔力を操作したりしているのだから、人間とは多少異なる事を可能にしている。空を飛ぶのもそうだが、魔力弾だって人間が放つものではない。

 

「美遊を次までに飛べるように特訓しますわよ!貴方も帰りますわよ」

「あぁルヴィア、ちょっと悪い。一人にさせてくれないか?…しばらく考えたらすぐに帰るから先に帰ってくれ」

 

正輝はそのまま別の方向に向かって去っていった。自分の異変をまた再確認する為に、彼は呑気に話している美遊達よりも完全に焦っている。

「分かりましたわ。ですが、すぐに帰ってくださいね」

「あぁ、助かる」

 

今回の自分の異変は、あまりにも歪で深刻であることが。正輝はさっきのことで思い悩んでいた。

 

「今日はここまでね。私も作戦練っておくから」

「あ、うん…」

 

イリヤは正輝の後ろ姿をずっと眺めていた。みんなを守ろうと前に出たはずなのに、魔術が思うようにいかず周りが見えてないまま話しを聞かないほど落ち込んでいるように思えていた。

「?どうしたのイリヤ」

「その…正輝さん、酷く落ち込んでたように見えたから」

『少なくとも、あの人から魔力が感じられませんでした。私達の前に出て投影魔術も唱えていましたけど、何も出てきませんでしたし。前までは中身がズタズタとはいえ外見はちゃんと出来てましたんですがねー』

 

双眼鏡をこっそりルビーが調べていたため、投影魔術の設計がちゃんとできていなかったとはいえその魔力は確かにあった。

「投影魔術が使えなかったから…かな?」

『それだけじゃないと思いますよ。あの手を挙げた仕草も、あの機械音も怪しかったですし』

正輝の存在は、美遊達の方が話を聞いているがイリヤ達の方はまだ彼のことをあまり知らない。

「大丈夫かな…」

『彼のことを心配するのは分かりますが、我々はまだ正輝さんどころか美遊さんのこともよく知りません。イリヤさんはまず魔法少女の特訓することを考えましょう。二人とも協力者であるのですから、話して知る機会があるかもしれませんし』

「う、うん。そうだね」

正輝のことを深入りすることなく、イリヤ達は次なる敵英霊に備えるように進めていった。

 

*****

 

正輝はルヴィア達と離れて一人になると、すぐにメールを確認した。自分の置かれている状況を確認する為に、もうこれは投影魔術の弱体化だけでは済まない。

魔力も無く、フォームチェンジも不具合なまま。

 

「神は…本当に何考えてんだ。まさか俺に、ここで死ねとでも言いたいのか?巫山戯んなよ…こんなの一体どうしろっていうんだよ‼︎」

 

黒い部分はもう既に明記されているが、その内容はとても信じられないものばかり。

 

*正輝の特典及び報酬の使用を禁止する

*黒正輝を撃破せよ

 

黒塗りされたものが明るみとなったものの、それら二つは正輝にとって難題を突きつけるものだった。もしもこれが未来日記ならばその世界の神の存在が原因であり、普通の一般の身体能力でも納得したが、この世界はそれだけでは全く甘くない。

 

敵は街を潰せるほどの怪物揃いなのだから、只の人間程度でどうこうできる相手ではない。

 

これから度重なる英霊との戦いに、神の奉仕や、これまでの報酬無しで挑めと命じられたのだ。介入初めの時点で正輝はイリヤ達に加勢することもままならない状態に陥っている。最悪、このままいけば戦力不足及び戦死で詰むこともあり得るのに。

 

神の支援も、神と他の正義側および集めた仲間との連絡も途絶えられている。

正輝は既に崖っぷちに立たされていた。

 

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