Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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69話ー 任務完了ー

正輝は目を瞑り、ようやっと戦いが終わったことで自身の治療を凛達に任せることとなった。その後自分の身に何が起こっているのかは何も分からない。

 

これは生きているのか、それとも死んでいるのか。人も、景色も何も見えない、あるのは黒一色のみの世界だけ。そこから微かにある眩い光が黒い世界を覆い、眩し過ぎて目を開けると何故か、衛宮邸の玄関前にいた。

 

『よう、衛宮。ちょっと休みに来た』

『そうか、それじゃあ中でゆっくりしてってくれ』

 

発した声は正輝ではあるが、自発的に声を出した訳ではない。

 

『どうせセイバーとよろしくやってんだろ?』

『お前なぁ…ところで家の整理は終わったのか?』

 

その目線は衛宮の格好がいつも着ていた私服をしているくらいなだけ。下や周りを見渡すことができないまま、鏡がないと自分の姿すら見えなかった。

 

『お前も大変だな。まさか上空にまた新しく家を設けてるなんて』

「家っつーより天空施設なんだけどな。信じられないけど、久野が言うにはどうやら全自然エネルギーを利用して動くそうみたいでな。

 

転移があるから荷物を送るのは問題ないんだけど、家の中までは自力でやらないといけないんだってさ』

『…なんならこっちも手伝おうか?』

 

名前と原作の物語以外は、本当に何も覚えてない。それは正輝だけではなく先輩である加藤や実の姉である嶺も例外ではない。その世界で一体何をやっていたのか、どうやって正輝達は衛宮達、ハセヲ達、天道達から信頼を得たのかも、どうして自分のことを知っているのかも何も知らない。天空施設という単語に、久野という知らない人物とまで知り合っている。

(なっ、見えなっ…⁉︎)

衛宮邸の今では士郎と喋っていたのにノイズが走って見えなくなる。

(今度は、ここはどこだ?)

『で?これを身につけとけば影響が出ないって訳ね?今の所試作品だけど』

『我々は正義側ではある故に、世界の介入に

よる制限は無い。が、何かあった時のためにその制限による対処が出来なかった場合のことも踏まえて 、未然に防ぐ方法としてこうして開発しているのだ』

今度は会議室みたいな場所で知らない二人が何かの資料を持ってしていた。スクリーンには鎧の新開発に携わっている。

 

『でも素材が非常に極端なんだよなぁっ…いろんな世界を回って得るものばっかりだ。素材の一覧を一通り見たけど殆どが見たことも聞いたこともない…別世界に行かないと入手できないよこれ』

ノートパソコンを持ってきてつついていた久野と刀を腰に付けている黒い髪した男性が、製造施設で高性能な技術を使った機体スーツの研究をしていた。

 

二人が討論しているのを、正輝は黙って眺めている。

 

『もし完成したら緊急時用に一つ、まずここに置いておくぞ。改良の余地もあるからな』

『あぁ。そのつもりだ』

『でもさーっ…それにはまずこれとこれの素材を集めないと話が進まないよ?』

『…分かったから何の素材がさっさと見せろ』

 

その正輝は手を差し出し、久野が持っている資料を受け取る。どれも断片的な記憶が映像のように流れており、それを眺めることしか何もできない。

まるでその記憶が過去にあったかのように。

なんとかして無いはずの記憶を知る為に意識的にその資料の内容を見ようとしたが、見ようとする前に突然意識内の正輝はその後の続きを見ることなく視界が段々と真っ暗になる。

 

*****

 

正輝はもう一度目を開けて無理矢理続きを見ようとすると、正輝用の部屋が用意されており、腕は輸血用の点滴を受けている。

 

「あら、また目覚めたの?」

「俺の仮部屋…ってまずアンタ誰だ」

 

側には知らない白い髪のした女の人が医師の服を着て、ずっと正輝と美遊の看護していた。美遊に気づいたのは正輝が周囲を見渡していた時に、その子はベッドに寝転んでいる。

「カレンよ、貴方の治療を任されて来たわ」

「…どれくらい寝ていた?」

「ぐっすりと眠ってましたよ。体の内側による症状の大半は精神面での疲労が原因でした」

(…やっぱりそうだったか)

 

彼女は症状の事を淡々と話し、その原因を聞いて正輝は納得した。元々無条件の進化な時点で彼自身はリスキーすぎるものだと分かっていたが、後遺症なく無事に生きて帰れたことが幸いだった。

 

「でも、久しぶりの大怪我をした患者だったわ。お陰で面白かったけど」

「?え?面白い?どういうこと?」

「治療用の薬を飲ませたら、何度も寝て起きてを繰り返していたわ。魚みたいに暴れて、無意識に身体が拒絶反応を起こしていました」

(何があった俺の身体っ⁉︎てゆうかそんなに酷い薬だったの⁉︎)

 

彼女は笑顔を見せつつも、次に真顔になってジト目になりながら正輝の方を向いている。

 

「とゆうよりこの流れの会話が四度目です。貴方は何も覚えてないようですし、とゆうよりもう飽きました」

「え、は…えっ?よ、四度目ぇ⁉︎」

 

正輝の方はそんな自覚がなかった。彼の感覚からすると今さっき起きたばかりで、その前に既に起きていたとは思ってもない

 

「一度目は逃げようとしていた貴方を捕まえて動けなくさせた後に、げきや…治療薬を無理矢理飲ませて、二度目は拘束具で動けないようにしつつ治療薬と特殊な軟膏を塗っていました。三度目は治療薬たと言って手渡して飲ませると、すぐに倒れてしまいました」

(今劇薬って言いようとしたよねこの人っ⁉︎てゆうか治療どころか最早治療じゃなくて人体実験じゃないのかよっ⁉︎)

 

この女は治療とは関係なしに個人的な理由で変な薬を飲まされたのではないかと疑心になっていたが、身体の方は何ともなくなっている。中途半端や、ましてや悪化させたわけでもない為に完全に治してくれた。

「因みに聞くが…仮に劇薬ならその…例えば痛み止めとか麻酔とかの処置はしてたの?」

「え?」

(この人絶対に医師じゃないよなっ⁉︎)

ルヴィアの見る目が無かったのか、そもそもこんなよく分からない医師に治療を委ねるような事をしたのか。それほど事態が一刻を争うものだったのかと思うようにした。

 

「外傷はないのに、内側だけがズタボロで眠っている貴方の体もじっくりと調べた甲斐があったわ?あと、薬以外の治療時は全部脱がせたわよ。そうでもしないと、身体のどの部分に不具合があるのか分からないわ」

「いやまぁ確かにそうだがな…」

 

今の正輝はズボンとパンツ以外は服を着ていない。軟膏を体全体に塗る為に、必要な事だった。

 

「治療はこれで終わったわ。もう内側の方は問題ないでしょ」

「あ、ちょっまっ…」

 

途中半ばは彼女のおふざけだったとはいえ、最終的には治療してくれたことに感謝しようと声をかけて止めようとしたが、それを聞かずに帰ってしまった。

 

「おい、美遊?何があった?」

「じ、地獄だった…本当に貴方も私も死ぬかと思った」

(えぇ…治療中の間、本当に何があったんだよ…)

 

 

正輝と美遊の身体は、医療費も支払ったことで確かに完治している。が、療養中の間に身体に染み込んだ恐怖は美遊だけが忘れていない。

 

外傷もないまま、過剰なストレスのせいで内側までボロボロになったという問題だけではない、よっぽどのことが起こらない限りは外側が無傷で、身体の内側が酷な状態になるわけがない。どうしてそうなったかという理由を聞かずに帰ったが、少なくとも正輝の治療に急いでいた彼らと面会した時点で、いくつか不自然な点をカレンは感づいている。

(面倒な子達に、異端な存在ね)

 

医療を頼んできた金持ちのルヴィアとそばにいた美遊という少女、その友達であるイリヤスフィール。彼らだけではなく正輝もまた異なる存在であるということを。

しかし、彼らの影響でこの世界がどんな未来に変わっていくのかまでは誰にも分からなかった。

 

*****

 

 

「…ルヴィアがあの人を呼んだのか?てゆうか知り合いなのか?」

「いいえ。貴方を別荘に連れて治療しようと移動していたところに彼女と出会いましたわ」

 

カレンという医師が別荘から出ると、今度はルヴィアが入ってきた。美遊についてはカレンの治療(恐怖)の方が治ってない為に、まだ寝込んでいる。

 

「まず延命の為に私と凛が宝石魔術で回復しました。その後貴方には戸籍を作っていなかったので…別荘まで運ぼうとしたところ偶然彼女に出会って、身体の方を調べさせてもらいました。

全く、貴方と言う人は結局最後まで無茶をしてくれますわね。しかも、美遊と貴方の治療費として1.5倍ほどの請求されましたが流石に緊急事態でしたのでもうそれで頼みました。イリヤ達からは学校にいる保健の先生とは聞きましたが」

(なんつーぼったくりだよっ⁉︎凛が聞いたら白目向いて泡吐いてるぞ⁉︎いやいやマジで何者なんだよあの人…とゆうより重傷者二名の治療をよく受け入れたな)

 

正輝と美遊は金額を見ていないが、それでも高額な金額を支払わされた事は何となく理解した。ボロボロになって最悪手術沙汰になるよりは、すぐに対処してくれたのだから。

 

「兎にも角にも…ありがとう。助かっ「その言葉はもう一人のイリヤスフィールにも伝えなさい」…は?それってどういう」

「後は、二人で話しなさい」

 

ルヴィアはそう言って出ると、今度はイリヤ(紫)が入ってきた。

側にバーサーカーはいないまま、二人っきり。

 

「お久しぶりね、正輝」

「イリヤ…なのか?」

 

前回艦これの世界ではランサーやアサシン、桜とライダーといったような彼らも覚えており、イリヤにもなんて顔で話せば良いのか今の正輝は思いつかない。

 

「どうしたのよ。そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」

「あ、いや。イリヤも俺のこと覚えてるんだな?」

 

【俺のことを覚えている】

それは、正輝を除く他のみんなが覚えていて、どう助けたのかが何も覚えていない。その世界に介入したことも、どう解決したのかも。

 

「ふーん、まるで自分は何も知らないって発言だね?」

「まるでというより、全くその通りなんだよな…こればっかりは本当に何も分かんない」

 

正輝は冗談を言っているかと、イリヤは試しに覚えているかを質問した。

 

「なら、みんなを助けてくれたことは覚えてる?」

「いや」

「聖杯戦争を壊したことも」

「いや…何も」

「私だけじゃなくて聖杯の器になるはずの桜を助けるための協力をしたことも」

「…悪い」

適当な答えを言っているわけでもなく、彼は本当にそうだった。

イリヤは正輝の様子に疑問を持っている。

「まさか、記憶喪失なの?」

「記憶喪失っていう実感は…そうだな、夢で天空施設の為の引越しをしたってのはあったけど…そんな訳がないよな」

「ううん。夢じゃないよそれ…」

夢にあったものをそのまま口にしただけ、だがその内容を聞くとその施設が実際にあると発言した。

「は?いやでもそれは夢に見ただけで」

「ねぇ、正輝。もしかして何者かに記憶を抜かれたか、それとも消されてるの?」

 

記憶消去、あるいは記憶の抽出。

そう考えたことは一度も無かった。

何故なら転生したのは【リリカルなのは】であって、セイバーは初対面みたいな感じだったが後々正輝の事を徐々に知っているメンバーが増えていった。

 

「俺は、俺達は…いや、そもそも転生したのは、だがっ…」

「…まぁいいや。この話題は落ち着いてからにしようか」

 

正輝自身で見た夢が、実際に起きた事なのか未だに不明なまま。

しかし、正義側のリーダーが見ているその夢が仲間達とこうして深く関わっている。

 

(まさか、神が俺達に何かやったのかっ…⁉︎)

 

隙があるとしたら転生する時以外しか他に思い当たらない。いつも欺瞞ばかり言っている神様の方が転生する前に調節する事は造作もなく、元々全知全能であるが故に疑う対象になっている。

 

しかし、その証拠が無い以上確信犯である保証も無くこの話は中断となった。

 

*****

 

正輝と美遊の2人は完全に復活し、この世界のイリヤに向かった。イリヤは凛と一緒におり、黒正輝による戦闘で発生した処理の片付けを一緒にしている。

 

「あら、もう復活したの」

「お陰様でな。助かったよ。そういえば、カード回収の件はどうなったんだよ。あれって報告しないといけないんじゃ無かったのか?」

 

治療を終えて、クラスカードのことをすっかり忘れていた。全てのカードを回収したことで冬木市の街も平穏を取り戻し、いつもの日常に戻っている。

 

「先に黒正輝の後処理をしてから、報告は後回しになったの」

『私達も疲れましたもんねー』

 

イリヤは正輝と美遊が疲れている間に学校に通っていた。彼女はルビーが一緒にいるが、いつも通りの日常にまた戻ることとなる。

イリヤも美遊と仲直りして、元気になっていたがイリヤの顔を見てあることを考えた。

それは、

 

「あ、でも俺ずっと眠ってたんだろ?イリヤ同士が会話してるのも見たかったんだがな」

『大丈夫ですっ!こう言う時の為にちゃんとあなたの携帯にそのデータを送信して起きましたーっ!二人のイリヤさんなんてすごく珍しいですしね!』

「いつの間に録画してたのっ⁉︎」

「とゆうよりなんで俺の携帯のことを知ってんだよ⁉︎」

ルビーの方は正輝の携帯をいつの間にか知って、そのままデータを転送させた。メールに添付されたファイルには動画形式でイリヤ同士で色々と喋っている。

『正輝さんが寝込んでいる間に、どうやら携帯を落としてたみたいで。もしまた協力するようなこともあるかもしれないので連絡の為に、携帯の設定を見させてもらいました』

「止めようとしたけど、うう…ごめんなさい。」

謝ったところで、過ぎた事はもう仕方がなかった。しかし、データ内には正輝の個人的なものや、写真には仲間の姿のこともバレていない。

「まぁそうだな。今回は一人で介入することになっていたけど、黒正輝の件は知らなかったんだ」

『知っていたら、始めから対策を考えていますからね』

ルビーも正輝と同じように、神の文章については呆れていた。ただし、携帯の内容だけではどんな経験をしていたのかはイリヤ達も知らない。

「ところで真面目な話になるけど…ルビー、強くなるアドバイスが欲しいんだ。魔術のことで」

『ですが魔術はもう』

「安心しろ、介入条件が使えないのであって…転移して帰ったら使えるようになる』

それでも、介入の条件で魔術が使えなかったことで、転移して帰ると力が元に戻ることになる。

 

『んーそうですねー…例えば貴方の属性は『剣』や『創造』というよりも『物質の複製』と『複製した物の改変』になると思います。以前、貴方は双眼鏡を投影してましたよね?』

「まぁそうだな」

 

最初の敵だったライダーを遠くから視認し、敵の位置を確認していた。それ以降投影魔術や宝具が使えないままなんとかして助力する手段を作るしか方法がなかった。

 

『貴方の投影したものは外見は大変良く出来てますが、中身については無理矢理繋げてるような状態になっていました。要するに過程をすっ飛ばし過ぎて、イメージだけで容易に作ってるんですよ。中身が無いよりマシですけど、土台をなんとかしなければ性能が似てもすぐ壊れてしまいます。

以上が私からのアドバイスでしたーっ!』

「なるほどな…つまり俺はちゃんとした武器を作る必要があると」

『そうなりますね。でないと、投影魔術で同じ宝剣を投影したところで本物には絶対に勝てません。投影物を改変させても良いのですが、時間も魔力量のことも考えてあまり得策じゃないでしょう』

 

正輝の投影物には合成と改造が含まれているが、衛宮のような丹精込められる純粋な剣を作る事は難しい。まるで衛宮は価値ある武器を想像し、正輝は性能を極めて似た武器ではあるが実際は消費物資を作っているかのようだった。

「ありがとうルビー、凄く為になったよ』

『いえいえ、こちらも面白いものを見せてもらいましたし』

「それって私ともう一人の私が慌てふためいてる時だよね!絶対そうだよね!」

(本当に何があったんだ?映像見てないけど)

 

 

*****

 

正輝が目覚めて3日後

ようやっとメールにて元の場所(船)に帰る日が決まった。が、転移するには人が見当たらないように山の中へと移動する必要がある。正輝の隣にはイリヤと付き添いのバーサーカーがいる。帰るのはちょうどイリヤ達の学校が休みの日になっており、こうして全員が合流した。

 

「まず最初に、俺の介入のせいでみんなには迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ない」

「⁉︎ち、ちょっと!頭を上げなさいって‼︎」

 

黒正輝のことを正輝が頭を下げて謝った。無力であったのに、英霊を倒すのをイリヤ達に任せて自分の事情を片付けることしか何も出来なかった。

 

「そんなわけで…まず遠坂だって助けてくれたわけだからはいこれ。ルビー、サファイア、エメラルド、トパース、アメジスト…5種類で二つ分のを渡すよ」

 

正輝がそう言って宝石を差し出すと、凛は突然キラキラと目を光らせて、貰おうとする手が震えている。顔を近づかせて、正輝の掌にあった宝石を鷲掴みにしていた。

「ま、ままま正輝くんっ!今すぐに私の家に招待するわ!とゆうより貰っていいの⁉︎良いのかしらっ⁉︎」

(凛さんがおかしくなってるっ⁉︎)

(貪欲なのは前々から分かっていたが、まさかここまで酷いとは思わなかったぞっ⁉︎)

「あらあら節操がないですこと、優雅さのカケラもないですわね?」

そこにルヴィアが、凛のみっともない姿にクスクスと笑っている。余裕のない彼女の姿を嘲笑うかのように。

「あーあと、凛だけじゃなくて一応ルヴィアには医療費の半分と、こっちの要件と後始末の大半をやってくれたから凛よりは多いよ」

「別にお金には困ってなかったですし、何より私には一番肝心なものを手にしていますから」

「一番肝心ってどういう…あっ⁉︎」

 

ルヴィアの手元には既に全てのカードを手にしている。みんなして正輝の治療に専念し、凛が疲れ果てている間、それを逆手にとってルヴィアが美遊が所持していた分と、イリヤの分もあらかじめ回収していたのだ。まさに鬼の居ぬ間に洗濯を済ませるかのように、肝心なものだけをすぐ手元に忍ばせて。

 

「オッーホホホっ!最後の最後に油断しましたわね遠坂凛‼︎カードは全て私が届けて差し上げますわーっ!」

「あぁぁぁぁっいつの間にぃぃっ‼︎まさかこのまま独り占めする気かこんのぉぉぉぉぉっ‼︎」

 

既に上空にはヘリの準備をしており、ルヴィアはそれに乗ろうとする。唯一良心的だったのはコソコソせずにこうして凛の前で公にバラしたことだったが、そこから先は乗り物に乗ってそのまま去っていくという形となるだろう。しかし、それに負けじと凛も走ってルヴィアを追おうとする。

「えぇ…どうしてこうなるの」

こうして正輝の見送りではなく、凛とルヴィアが抜けて2人の追いかけっこが始まった。正輝の側に残っているのはイリヤと美遊、ステッキのサファイアとルビーだけである。

 

「もう、そっとしておこうか…俺はもう何もつっこまんぞ」

「なんか、ごめんなさい」

 

ルヴィアと凛の暴走のせいで始めから正輝のことよりもカードの方を優先している。凛達がまた戻ってきても長くなると思い二人だけでも済ませようとした。

 

「まぁお前らのせいじゃないから気にすんな。あの2人だから仕方ないし。あー、あと…イリヤや美遊、2人には何か欲しいものはあるなら聞くけど、別に良かったのか?」

「あっ…う、ううん。正輝さんのおかげで助かったこともあったし」

 

正輝のやる事も終わり、イリヤとバーサーカーを連れて船に転移して帰る。このままイリヤとバーサーカーをルヴィアのところに残しても良かったが、イリヤもこっちの士郎と会いたいために船に連れて帰ることとなった。

 

「でもなー。俺がまたここに戻ってくるかどうか分かんねーぞ。こっちの仕事の内容によってだし…俺んところの仲間も心配してるし、もう帰るわ」

「それじゃあこっちで仕事が決まったら、また戻ってくるんだね」

 

正輝はイリヤからは何して遊んだのかを聞いている。治療中の間に森の中でバーサーカーで肩車をしたり、イリヤ同士でゲームを遊んだりとかなり満喫していた。美遊が復活してからも、今度は3人で買い物やカラオケにも行っていた。凛達も息抜きでイリヤ達と一緒にいたとのこと。

 

正輝側のイリヤも満足しており、帰る前に二人の元にいく。

 

「ねぇ、二人とも。もし会うことになったらまた遊ぼうね」

「うんっ!」

「そうだね」

(いつの間にか仲良くなってんなー…)

遊んだお陰で、もう一人の方のイリヤももう友達になっていた。バーサーカーの表情はそんな少女達を見て少しだけ笑っている。

 

「それじゃあもう時間だ。美遊とイリヤ…またな!美遊も色々とありがとな!」

「うん!それじゃあね!」

 

こうして正輝はもう一人のイリヤと、ヘラクレスの三人を連れて船へと帰っていく。課せられた条件と難敵の果てに、彼自身の限界を超えることで進化つつ険しい壁を乗り越えた。

 

黒正輝を自力で倒したことは、正輝にとって大きな前進となった。赤ロープと同等に渡り合える為に努力し、長い道のりを進んで追いつく為に。

 

「帰ったねー」

「うん、また会えるかな?」

「会えるよ、いつかはわからないけど。そんな気がするんだ」

『まぁ何はともあれ、カード回収も黒正輝の件もこれにて一件落『姉様、忘れてましたが携帯を弄って正輝様のプライバシーを勝手に覗いたのでお仕置きです』あっ、ま、勘弁し、ぁぁぁぁっ⁉︎』

 

そうしてイリヤ達が笑いつつも平穏な会話をして、そのまま家へと帰っていく。

普段の日常へと。

だが、二人とステッキは何も気づかない。

 

『イリヤ…美遊…』

 

寂しげに呟く赤ロープの男は、イリヤ達の二人の背後を眺めながら、彼は黒い渦に飲まれて帰った。

 

ーーーーー

 

魔法少女プリズマ☆イリヤ クリア

 

・正輝が3rdフォームまで変身できるようになりました

・イリヤ及びバーサーカー(ヘラクレス)を仲間にしました

 

 

NEXT Fate/Zero

 

ーーーーー

 

*****

 

Q士郎とアーチャー(英霊エミヤ)の2人は同一人物ですけど、結局正輝とは異なるんですか?

A全く異なります。正輝も投影で剣も槍も投影してましたが、属性そのものについては士郎とは微妙に異なります。

前回ルビーが例え話として携帯の性能は等しくても中身がボロボロなものと強固なもの…要するに作り上げた物体の寿命の長さですね。もっと砕いて言うと士郎が投影したものはちゃんとした武具としてかなり扱えるけど、正輝の方は使い過ぎたらすぐに壊れてしまう『消費アイテム』と考えて下さい。

(例:12回振り回したら壊れる聖剣とか一定のダメージを超えた攻撃は防御不可能等)

士郎やアーチャーの2人と同じ贋作であれど、『剣(無限の剣製)』に特化したもの。正輝は『複製(脳内にある記憶の情報によって形状された物質)とその多様性(投影改造や投影合成)』に着目したという部分です。

正輝が無限の剣製を使えたのは神からの特典の部分もありますが、属性故に形状(長さと硬さ等)が同じ剣が2桁くらい複製されています。

 

士郎は丁寧に一つ一つ剣を何本も投影し、正輝の場合は属性自体が異なる為に大量の剣事態を魔力で操作するのは士郎と同じくらいには出来ますが、剣の出来については適当なまま彼自身の漠然とした想像のみ。そもそも属性が違う時点で…まぁお察しの通りとなります。ただし、本人の記憶と魔力量を増やせば、投影した武器に別の機能を付加させること(投影改造)も、一部の無銘の剣とは別の異なるもの(投影合成)に変えることは可能です。

 

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