Justice中章:歌姫と蘇生と復讐と   作:斬刄

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ライダー同士の戦い

竹成は、学校の壁際にまで追い詰められていた。二人は矢の攻撃を避け、竹成を逃げ場のない場所へ追い込もうとしている。竹成も外側は逃げる場所がないからまずいと壁の方へと移動していく。

「観念したらどうですか?

そうすれば、苦しまずにあの世に逝くことができる。抵抗しないほうが身の為ですよ?」

「一応聞くけどよ…俺を始末したら、次は誰を狙うんだ…」

「え?何?これから死ぬっていうのになんでそんなこと聞くんだよ?」

隆臣は竹成の不可解な質問に思わず笑っていたが、広秀は勝ち誇ったように竹成を見下して質問に答える。

「…マジで話すの?」

「こうして追い詰めている、殺すのも簡単だろ。

 

冥土の土産に教えましょう…あるお方の指示で、私達は貴方を殺した後に、王馬集も殺すつもりです」

「へぇ…あるお方ってだれに頼まれたんだよ?姿ぐらいは見たことあるんだろ?」

「頼まれた相手の詮索ついては、口止めをされています。

発言すれば力を失ってしまいますからね。

 

何か言うことはありませんか?」

(発言すれば力を失う?

 

てことはこいつら二人が誰かの指示で力を貰い、足止めの為の駒として動いてるってわけか。聞いても無駄ってことも)

竹成を始末した後、自分達が助かる為に今度は集達を狙おうと二人は企んでいる。壁に行こうが逃げ場がどの道無いと二人は考え、一斉に矢を放つことで竹成を確実に仕留めようとする。

竹成が学校の外ではなく壁側に何故逃げたのかという意図を二人は読み取らないまま。

 

「あぁ…力を過信して、俺を非力だと侮ったな?」

竹成は壁に方向転換し、壁を蹴り上げて高く飛びあがる。二人の攻撃を回避して、二人の背後に着地する。

「な、何っ⁉︎」

「あいつ、あんなこともできるのかよっ⁉︎」

二人は竹成という男にそんな芸当ができるとは思っておらず驚いた顔で振り向く。振り向いた時点で竹成が広秀の腕を蹴り上げて、手から弓を放してしまった。

防ぐことはできない。

 

「お前らが相当な間抜けだってことがよく分かった。変身できなくとも俺はお前らと対等に戦える。

見縊るなよ」

「く、くそっ…‼︎」

 

隆臣が弓を拾いにいく難波を助けようと竹成の背後から狙い撃つ。電子音が鳴り、強力な弓矢で今度こそ竹成を仕留めるように放つ。

 

「…なっ⁉︎」

(何も考えてなかったな)

「おいやめっ⁉︎」

 

竹成は反射的に隆臣が撃つタイミングを予感して避ける。彼の正面にいた広秀は避けることができないまま矢に頭を直撃し、変身を解く。隆臣は矢が竹成ではなく広秀に当たってしまったことでかなり動揺し、竹成は回し蹴りで隆臣の頭部に強打、気絶して彼も変身を解かせた。

 

「…お前ら、戦い慣れてないだろ」

 

いくら力があっても彼らの戦い方はまるでチンピラの喧嘩みたいに大雑把で、隙も大きい。二人とも竹成に勝算があったと思って、こうして襲ってきた。が。彼らは作戦も立てていなければ彼が正輝と嶺のように戦闘のプロだってことを全く知らない。

 

竹成は気絶させた二人のベルトを取り外し、物色する。

 

(まさか…仮面ライダーの力か?

とにかく調べる必要がありそうだな)

ライダーの力かどうか調べてるわけではないが、証拠として竹成は写真を撮って情報を仲間達に流す。その後に二人の腰につけてあるベルトを取り外し、破壊した。

「これでよしっと…」

(インチキって俺や集に言ってるが…その言葉、お前らにだって刺さってんだからな)

 

集が生徒会長になり、力で誰かを導いていることに気に入らないと感じる人も学校の中にはいないとは限らなかったが、誰かに力を貰っている二人もまた、インチキ紛いの力を手にしている以上もう人のことなど言えない。

 

(よし、連絡は来ているな。

場所は体育館か…)

「仲間達は既に向かってるはずだ。だが、今回の相手は正義側の麻紀と危険度の高いあの黄色ロープの連中。取り返しのつかないことになる前に急がないと」

 

竹成は気絶している二人を屋上に放置し、急いで体育館へと走っていく。

 

(とはいえ…俺は仮面ライダーの力を封じられている。仲間に増援を呼ぶことは可能だが、本来の俺の力も使うことが可能なのだろうか?)

 

*****

 

 

「あーぁ…また君達か?」

 

前回、颯太達の件で祭と竹成を助けにきた時と同じように、また高速移動して横から割って入ってきた。こんな展開になっていることに、麻紀は深い溜息をついている。

 

「彼らを知っているのか?」

「あの二人も、私を助けてくれたの」

 

無力なままの集達も、目の前にいる二人に助けてもらう他ない。

 

「で、間に合ったのはいいけど…」

「囲まれているな。頭上も」

 

二階にあるキャットウォーク側に艦娘が砲台を構えている。正面にはリアスと朱乃、実行犯の麻紀と黄色ロープが人質達を拘束している。彼らの前衛には数人もの麻紀の分身体が武装している。

 

只でさえ今の集はヴォイドが使えない状態で、女子二人も守らなくてはならない。クロックアップも使用済みでもう一度使うにも時間がかかる。

 

かなり不利な状況だったが、総司達はここで引くわけにはいかなかった。

 

『いくら素早いっていってもさーこの数を相手に二人で乗り切れるのかねー?』

「…来ているのは俺達だけかと思っていたのか?」

『え?どーゆーこと?』

 

*****

 

〈〈SWORD VENT〉〉

 

助けに向かったのは総司達だけではない。

舞台裏にある鏡を通して木戸と蓮が変身しし、そこから出現する。二人とも既にベントカードを手に持ち、鏡の近くにいた艦娘に攻撃した。

 

「見た目に油断するな。俺達が相手しているのは人間じゃない」

「わ、分かってるって!」

 

女子供が人を殺せるような武装しているとはいえ、真司には剣で艤装を破壊するだけで躊躇いがあったが、蓮は容赦せず本体を攻撃している。

 

「えい」

「うおっ、危ないな!」

 

艦娘の他にも、子猫が体育館裏に置いてある備品を投げつけて真司を退けた。艦娘は砲台を構え、真司達を狙い撃つ。狭い部屋である以上、いくら避けても誰か一人は確実に命中する。

 

「だったら!」

〈GURD VENT〉

 

真司は装甲を身に纏い、防御に徹しようとするが、砲撃一発で亀裂が入っていることに驚く。

 

「マジか…あんなのを何発も受けたらっ…」

「避けながら戦え。

骨が折れるだけじゃ済まないぞ」

 

無理にでも砲撃を受け続けれて特攻しようとすれば骨折どころか、体の至る骨が粉砕されてしまう。当たりどころが悪ければ、たとえ生きていても車に轢かれるほどの大怪我を負うこととなる。

 

大砲を撃っているのに建物が全く壊れてないのは、麻紀が使っている結界によって影響を受けていない。彼女達を見た目で判断するなという蓮の言葉にも、釈然とはしないが大砲の威力から納得するしかなかった。

 

*****

 

『確かになーんか、舞台裏で騒いでるねー?でも増援が増えたところでこっちの方が有利なことに変わりないからね』

「それじゃあ大人しく死んでもらおうか?」

 

舞台裏で真司達が敵の数を減らし、総司達は麻紀の分身体が襲ってくる。

 

「加賀美、こいつらを任せるぞ!」

 

分身体とはいえ、身体能力は一般人と同等だ。それらが数の暴力で攻めて来ても、攻撃を回避しつつ分身体を破壊することは造作もない。

しかも、作っている分身体がたったの二、三撃で破壊され、脆く崩れていく。そうと分かると総司は彼らを倒しつつ舞台へと前進していくが、麻紀達に近づこうとすれば滅殺と雷撃の魔法を飛ばしてくる。

 

「なるほどな…そういうことか」

『さぁどうするのかな?』

 

麻紀がまた分身体を作成して、彼らに拳銃やライフル、ショットガンで攻撃するよう指示する。

 

「クロックアップ」

〈clock up〉

 

クロックアップシステムがまだ再使用できるようになると、撃ってくる球を回避し、持っているクナイブレードで切り裂く。分身体やリアス達の二人の攻撃では全く当たらず、そのまま階段を駆け上がって、舞台に到着する。しかし、

 

『ま、そうすると思ったよ』

〈clock over〉

「つっ…何っ⁉︎」

辿り着いた途端、総司は麻紀達の周囲に張ってあった重力系の罠が既に仕掛けられ、身動きが取れなくなった。リアス達が事前に用意し、使い魔が音がなったと同時に装置を作動させていた。

透過されていた罠の装置は見えるようになり、作動している限り掃除は全く動けない。

舞台の前に階段を敢えて用意したのも、そこから登りやすいように仕向けさせた為。クロックアップは時間切れとなった。

 

「二度も同じが通じると思ってたのかしら?」

「天道っ⁉︎」

『あっれー?加賀美君。

どこに顔を向けてるのかな?

まぁ、彼を心配してもいいし、この人質三人を助けに行くのは結構だよ。

 

でもさー集達の守りが手薄になってもいいのかなー?』

 

クロックアップで周囲から放たれる弾丸を防ぎつつ、麻紀の分身体を破壊している。

しかし、

 

「くそっ……いくら倒してもキリがないっ!」

「このままじゃ、みんなが…なんで、なんでヴォイドが発動しないんだ!」

『無理に行けば罠で総司の二の舞になる、仮に助けれたとしても残された集達は袋叩きにされる。さぁどうする?』

いくら分身体の破壊が容易くても、物量で迫ってきたら手に負えなくなる。怪物ではないとはいえ、無制限に増えてくる以上いくら倒しても一人では手に負えない。

 

集もヴォイドが使えず、竹成の仲間以外は何もできない。新しく召喚した分身体が集達に銃口を向ける。

そんな時

 

「助けに来たぞ‼︎‼︎」

「た、竹成さんっ!」

 

竹成はドアを蹴りとばし、近くのいた分身体を破壊した。急ぎだったせいか学校の屋上から体育館まで距離が遠かったため、走って駆けつけた。

 

間に合うことはできたが、総司が重力の罠にかかっているせいで身動きが取れない。

 

「何が目的でこんなことをしているかは知らないが…今ここで集達を殺す気だっていうのならお前らの所業を見過ごすわけにはいかないからな」

 

やっと竹成が体育館にたどり着き、仲間を更に呼び出す。呼び出した仲間は剣崎、そしてケースを持ってきた橘さんが来た。

 

「連絡通り、集達を体育館の外に」

「あぁ、任せろ」

 

本来は竹成の携帯から変身用のベルトを転移させてライダーに変身するのだが、転移の際に変身ができなるなるように仕向けられ、増援要請が可能なら仲間が持ってくるベルトに影響はないのではないのかと二人にはメール連絡した。

 

そして竹成は、ケースからベルトとカードデッキを取り出す。

 

「変身!」

〈standing by complete〉

(よし、問題ない。てことは、俺の転移機能に何か仕込んだってことか)

 

竹成は総司の様子からして無闇に近づこうとしたら危険だということを判断し、デルタギアを装着。耳にあるデルタフォンに耳を当てて仮面ライダーデルタへと変身した。

 

「竹成!天道が!」

「分かってる、今助けに行くぞ!

ファイヤ!」

〈burst mord〉

 

射撃でまず舞台上にある罠を破壊し、重力で縛られていた総司を解放する。総司は麻紀達に追撃せず、この場から一旦引く。

「なっ⁉︎待ちなさ…つっ…⁉︎」

逃さまいとリアス達が攻撃しようとするが、

迫ってくる竹成に対し、リアス達は深追いせず防御に専念した。

 

「キック!」

〈exceed chage〉

「僕っ⁉︎た、助け」

 

照準を麻紀に向け、リーダーである麻紀を再起不能にすれば周囲にいる艦娘達やリアス達を無力化させることができる。しかし、

 

『呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンッ!』

(なっ⁉︎)

 

突如、麻紀の目の前に黄色ロープが転移し、防いだ。必殺技は届かず、その攻撃は跳ね返されてしまう。

勢いよく落下によって体育館の床に叩きつけられたが、何処か大きな怪我をしたわけでもなく辛うじてまだ立ち上がれる。

 

「加藤っ!」

「くっそ…弾き返されただと」

『残念だけどさー、先に大将から潰すわけにはいかないねー』

 

変身は解除されていないが、麻紀の分身体がすぐ復活して竹成達の周囲を囲む。

 

『ねぇ竹成くん?

ちょっとばかし余談なんだけどさー。

君がこの世界に介入してた時、この学校に鉄骨が落ちてきたのは知ってるよね?』

「それがなん…お前っ…まさかあれを、見ていたのか?」

「…え?何の話?」

 

この会話で黄色ロープと竹成達は知っているが、麻紀を含む彼の仲間達がそのことについて全く知らないような様子だった。

 

『実はあれ落としたの、俺がやったのよ』

「…は?今なんて」

『いやだから、俺がやったのよ』

 

黄色ロープの唐突なカミングアウトに、竹成を含む集達の頭が回らない。そもそも、こんな場所で何故鉄骨のことを話してきたのか竹成達側からしたら意味が分からなかった。

 

「どういうことだよ…⁉︎

なんでそんなことする必要が、話す必要だって」

『んー、別になんとなく』

「…は?なんとなくって…⁉︎

あそこには大勢の生徒がいたんだぞ‼︎」

 

竹成の反論に、黄色ロープは不機嫌そうにしている。何も考えずに人の命を脅かした彼らを、竹成は許せなかった。

 

『んなもん、敵に一々説明する必要なんてないでしょ。迷宮入りや伏線回収できずに犯人は僕がやりましたーって感じでもう言ったんだからなんとなくで納得してよー、意味のないこといくら考えたって』

「ふざけんなっ…納得なんてできるわけないだろうが⁉︎」

 

黄色ロープがどんな目的で鉄骨を落とし、どうして自分がやったのかということを言ったのか。

 

『ま、余談はこのくらいにしてっと。

それじゃあ竹成一味がやってきたことでぇ…次は戦力補充ターイム!』

「え、ここにきて増援?

もう必要ないと思うけど」

 

麻紀は必要ないと言いつつも、黄色ロープが指を鳴らし、男女二人が転移してきた。

 

「あれっ…ここどこなのっ⁉︎」

「た、体育館⁉︎いつの間にっ⁉︎」

麻紀は首を傾げて、二人を見る。彼自身捕らえている顔に見覚えがあるようで、無いような複雑な表情をしている。

麻紀は状況がわからない二人に質問した。

「あのー、ええっと…二人とも誰だっけ?」

「さ、沢永太輔だ!お前らに無理矢理連れて来られた‼︎」

「あ、あああっ…アンタっ」

「あーうん…そんな人いたね。なんか、噛ませみたいで期待もしてなかったけどさ」

『全く〜初っ端から空気扱いなんで情けないよ〜!

 

沢永君はヤル気満々だけど、名前を言わなかった君の方は…戦いに参加しなかったら…まぁ、分かってるよね?』

 

女の人の方は黄色ロープに脅されていることが分かる。

 

「…そ、それよりも約束事は忘れてないよな!」

『約束事?』

「こ、こいつらを倒した暁には…俺と桂さんを助けるって約束をしてくれたんだ‼︎

本当にそうなんだろうな!」

『あぁそうだね、俺が撤退って言わない限りは』

「まさか麻紀…他の世界の住民まで手を出して。しかもそのカードデッキは」

 

二人は不安な表情になりつつも、黄色ロープからもらったカードデッキを取り出す。

「「変身」」

二人の腰にはライダーベルトが装着され、そのベルトにカードデッキを差し込む。沢永太輔は仮面ライダーインペラーに、仮面ライダーシザースへと変身する。

 

『仮面ライダーの相手は仮面ライダーに任せまーす!てゆうかー、ぶっちゃけ俺の手で処理すんのが面倒くさいから!』

「こいつっ…どこまで俺達を馬鹿にすれば気がす…おいちょっと待て。

仮面ライダーの力だとっ…⁉︎」

 

広秀達が貰った力も仮面ライダーであるとすぐに理解した。竹成達は知っている。

力に溺れて怪人になる人もいれば、その力に呑まれる人もいる。あの襲ってきた二人の力も仮面ライダーだというのなら、同様に怪物もまた存在しかねないということを。

「おいっ!」

『え、俺?』

「お前以外に誰がいるっ‼︎

分かっているのか‼︎その力を他の誰かに…しかも無作為に渡しているってことがどういう意味か!

下手したら怪物まで出てくるんだぞ⁉︎世界を蹂躙し、滅茶苦茶にでもする気かっ‼︎」

 

物語のことを、学校にいる彼らの運命を無視して仮面ライダーの力を与えていることに竹成は憤慨している。

 

『竹成君そんな怒んないでよ。ほら、怪人云々は龍騎達のようなライダーだったらそれのみだからね。だから力与えるっつても結局は偽物だしー、仮面ライダー登場による怪物出現の弊害が無いことは安心してねー。

てゆうかー、細けぇこたぁ気にするな?』

(信用できるわけねぇだろうが…そんな話‼︎)

幾ら力そのものが怪物を呼び出すことが無いと言っても、竹成からしたらそんな話を聞いて信じれるような相手では無い。その話が本当かなんて確証もなく、黄色ロープの軽々とした発言だけで信じるなんてことは皆無だった。

『それじゃライダーバトル!

レディーっ…ゴーッ!』

【SPIN VENT】

【STRIKE VENT】

「やってやる…やってやるぞ!」

「悪くない…私は、何も悪くない」

まず太輔から動き、竹成に襲い掛かる。右手に持ってあるドリル型の凶器を振り回すが、大雑把で容易に避けている。

「竹成!天道!」

「二人はなんとかできる、剣崎達は集達を避難させることを優先しろ!」

『でもそんな上手くいくと思う?

それじゃあ麻紀、仲間に指示してー』

「分かったよ親友。

それじゃあ二人とも、召喚カードを使って集達の足止め。あと二階にいる艦娘達も何人か降りて、彼らを捕まえに行って』

 

【ADVENT】

太輔達は黄色ロープの指示通りにアドベントで契約しているミラーモンスターを召喚し、集達を襲った。麻紀の分身体だけではなくポルキャンサー、ギガゼールの集団も登場して、剣崎達に向かおうとしている。

しかし、

「メタルゲラス…助かる!」

竹成の契約モンスターであるメタルゲラスが出現し、二人の契約モンスターを襲う。

 

「っしゃ!やっと抜け出せ…⁉︎」

「これは一体…」

 

裏舞台から出てきた真司達は、体育館内の状況を確認する。

だが、戦況は混沌としていた。

 

「何だよこれ…これじゃあまるで」

 

ライダーバトルじゃないかと、真司の頭によぎった。

 

仮面ライダーインペラー

仮面ライダーシザース

 

そのライダーを二人はよく知っている。上から見上げた光景は、かつて自分達が最後の一人になるまでライダー同士で殺し合いをしていることを思い出す。

 

しかし、前までとはある意味違う。

麻紀と黄色ロープは無理矢理戦わされている彼らを、笑いながら見物人として悠々と見ていた。

 

「子猫っ⁉︎」

「大丈夫です…」

 

ソニックブレイカーを発動させ、狭い場所で超音波を聞かされた艦娘達は奥で失神しており、倒れている。その影響を受けずに吹き飛ばされた子猫の方は、火炎球を受けても悪魔の身体のおかげで、衣服が多少焼け焦げているだけで済んでいた。

真司は手を強く握り、段々と怒りが込み上がっていた。

 

「あいつらっ…!」

「おい!木戸っ!」

 

見下ろしているのを楽しみ、無理矢理仲間にした人をライダーにさせる黄色ロープ、それに賛同している麻紀の二人を許せなかった。

 

「今すぐにこんな戦いをやめさせろ!」

「⁉︎真司!」

 

真司は黄色ロープの能力を知らない。持っていた剣で攻撃しても、すぐに反射されてしまうだけだと。

 

『ざんねーん。

俺にはそんなの効きませ〜ん!』

「待て!そいつに必殺技も、攻撃もするな!

返り討ちにされるだけだ!」

(あの黄色ロープが一体どんな方法で攻撃を反射しているかは見当がつかない。

 

 

かと言って、この状況は余りにも危険すぎる…!)

 

黄色ロープ相手に攻撃を当てるどころか、自分に返ってしまう。防ぐ手段はあっても、こんな強敵に敵う手段と、策もまだ出来ていない。

それ以前に弱点すらも分からない以上、竹成達は黄色ロープを打開する策を立てようがなかった。

 

『それじゃあトドメといきましょ「待ってよ親友」え、どうしたのかな麻紀』

黄色ロープが終わらせようとする前に、麻紀は竹成にある交渉をする。

「降伏して僕らの配下になるなら今だよ。君はもう袋の鼠だ。

それに仲間共々命は惜しくないだろ?」

 

降伏させ、麻紀の配下にさせようという魂胆で竹成を勧誘する。この苦しい状況でも、麻紀達の答えは決まっている。

 

「断る、俺は…いいや俺たちは死んでもお前らには従わない‼︎絶対にな‼︎」

「そうかい。それじゃあ君達は、ここで脱落してもらうよ」

「眷属に手を出したこと…後悔させてもらうわっ‼︎」

【FINAL VENT】

『拒否した竹成君は、ここが墓標ということで決定っ!さようなら…永遠にね?』

断った時点で麻紀は確実に勝ったと思っていた。逃げ場のない空間で竹成と彼率いるライダー達は一方的に滅多撃ちにされ、必殺技を喰らって散ることを。

真司達もリアスと朱乃の二人に強力な魔力を込めた一撃を放とうとしてくる。

 

「開放…」

〈change 3rd from〉

 

竹成は太輔が呼び出したミラーモンスターを瞬時に退け、分身体を全て破壊。

ライダーに変身した二人を峰打ちで倒れさせ、麻紀達のところにいるアルゴとつぐみ達三人を奪還し、そして黄色ロープの元に近づいて殴ろうと向かってくる。

 

『およ?んなことしたって…』

 

黄色ロープにいくら攻撃しても、その攻撃が自分に跳ね返ってくることはこの場にいるみんながよく分かっている。

竹成は攻撃をするように見せかけ、

 

「…へ?」

 

高みの見物をしている黄色ロープの横にいる、仲間に指示していた麻紀を狙っていた。

リアス達の攻撃が当たる前に、瞬時に真司達を掴んで集達へ戻る。

 

「勝負あったな、麻紀。できれば、こんな早期に切り札を使うとは思わなかった」

『あー…いっけね、油断しちゃった』

「いだいいだいいだいっ‼︎」

 

麻紀は顔を殴られ、その痛みで叫びを上げている。集達と、竹成の仲間達も一瞬にして竹成が周囲にいる敵を倒したことに呆然としていた。

(どうなってるの…⁉︎あれだけいた人数がこんなあっさり)

 

リアス達も一体何が起きたか分からない。

いつの間か分身体が全滅し、人質も奪われ、真司達もリアス達の攻撃から回避して助けている。

クロックアップを使ったわけでもなく、正輝と嶺のような竹成自身の持つフォームモードでこの状況を打開した。

(ふーん、なるほど?要するにワンピース世界にある『剃』をやったってわけか。

しかも空中歩行かつ超高速で)

 

黄色ロープだけが竹成が一体何をしたか納得した。進化したモードは、一気に目にも留まらぬ速さで敵を倒したことも。誰も見てはいないが、ここまで戦況をひっくり返した人物、竹成が成し遂げたことを理解した。

 

『ありゃりゃ、これは一本取られたね。

おーい麻紀くん?大丈夫?』

「…してやる」

『え…あのー、おーい麻紀くーん』

「…殺してやる!お前も‼︎」

 

勝ち誇っていたはずなのに、何故顔を殴られてしまったのか完全に頭に血が上っている。勝っていたはずの戦いに泥を塗られ、かつて当麻に殴られた惨めな思い出が頭によぎる。

 

 

麻紀はすぐに携帯を取り出し、更に増援を呼ぼうとした。

『あのーちょっと。もしもーし、まさか…仲間全員を招集しちゃうの?』

「当たり前だぁ‼︎」

『えー…マジっすかー』

(嘘だろっ…これ以上仲間を呼び出されたら⁉︎)

 

麻紀が他の生徒以外にも仲間を連れているとは思ってもいない。3rd formで変身した竹成は、すぐに2nd formへと戻っている。

(さっきの技は一度こっきりだ…しかも再進化にも時間がかかる。これ以上敵が増やされたら、もう手に負えねないぞ⁉︎)

「仲間全員をここに強制転移させて、この男を潰してやるっ‼︎」

『んなら綺羅の復讐は?』

「この男を潰した後だ!」

竹成は更に仲間を呼び出されていることを恐れている一方、黄色ロープは麻紀の方針に気が進まなかった。

 

『いやーそれにしてもびっくりしたよ。正直、君がこの段階で3rd formを手にするとは思ってなかったし』

「この段階で…だと」

『実はねー君に関しては進化前に脱落っていうオチになるはずだったんだよねー。

 

正輝も予定より早く成長していってるし、それもこれもある新要素を追加した影響かな!』

「新要素…?脱落っていうオチ?お前!一体何を言って」

『あれ?これって喋りすぎちゃったかな?

 

まぁーいいや!今のところ、竹成君は核心に触れてるわけじゃあないしー』

 

 

黄色ロープの言葉が、一体何を言っているのかさっぱり分からなかった。脱落、新要素、核心云々を言っているあたり、黄色ロープが何か只ならない敵であることだけしかまだ理解できてない。

 

『撤退だよ、麻紀』

「ふざけないで!私の眷属がこんな目にあって黙っていられるとでも‼」︎

「そうだよ親友‼︎

ここで撤退だなんて、そんなのってないだろ!引きさがれるわけ『…いいから引き下げろや、な?』」

 

黄色ロープの一声で、麻紀とリアス達は恐る恐る身を引いた。

 

『十分データも取れたし、あとスキル封印及び結界の時間切れ。

それに人質も回収されてちゃったからね?』

「逃すかっ!」

 

集が体育館に戻り、手に持っているヴォイドを黄色ロープに投げつける。だがロープはちゃんと回避し、ブーメラン状のヴォイドが壁に突き刺さった。

 

「集に八尋っ…お前らなんでここに⁉︎

祭といのりはどうした⁉︎」

「竹成さんを助けに来たんだ!祭もいのりの二人は、竹成さんの仲間と一緒にいるから安心して!」

 

こうして集と八尋、ヴォイドを出されている女子生徒の三人が駆けつけ、加勢に来た。だが、寧ろそれが集達にとって最悪な真実を知ることとなるとは誰も予想できない。

 

『ごめーん、手が滑っちゃった』

「だ、誰か!助けてっ…⁉︎」

 

黄色ロープは真紀からもらった幻想殺し・武器化による拳銃で突き刺さったブーメランを破壊した。

「いや、いやっ…⁉︎私、死にたくない…!

死にたくないっ‼︎だれか助け」

ヴォイドが壊れると、取り出された女の身体は砕けて消えていった。

 

「そんなっ…どうして」

(ちゃんと録画してるよねー?)

(き、記録…しました)

集と八尋は驚いている。集が取り出したヴォイドが壊れると、人が死ぬだなんて思ってもなかったことだ。黄色ロープは伏兵としてキャットウォーク側に駆逐艦の二人が、小さな身体で身を潜めていたことも。

そこから、ヴォイドが壊されて死ぬ映像を記録している。

 

「嘘でしょ…まさかそんなっ」

『んじゃまたねー』

 

麻紀達と黄色ロープ、伏兵の二人も転移して最後の最後に厄介事を残して撤退していった。供奉院の方も密かに体育館の様子を隠れていた。

 

「寒川だ…全監視担当に通達。

体育館を包囲、半径30メートル以内に入った者は誰であろうと確保。なお、現時刻より体育館は完全封鎖とする…」

 

ヴォイドが壊れたことによる影響。激戦が終えても、もう残された時間は少ない。内情を多少知っている者もいるかもしれないが、ほとんどが全くよく知らない。寒川が早急に連絡し、体育館での惨状を表に出さないよう上手く対処した。

 

無傷だったはずなのに、ヴォイドが壊れたことで死んでしまったのだという事実と、麻紀達がここで大暴れし、その爪痕が残っていることも。

 

「竹成さん⁉︎」

「俺は供奉院のところに向かう!もし彼女が放送室や他の人にバラしたら間違いなく計画は頓挫し、下手したら学内の秩序も崩壊する‼︎

 

真司達と剣崎達は集達の護衛を続行してくれ!もしかしたら学内にいる他の生徒達もライダーの力を保有してるかもしれないからな!加賀美は集達の状況の説明を頼む!気絶している綾瀬達やアルゴにも、いいな!」

 

竹成は彼女を追い、バラされる前に捕まえるしかない。体育館で見たことを黙って隠すように伝えることしかできない。

ヴォイドが壊れたら死ぬだなんで竹成も知らない、とはいえこんな事実を生徒全員に知らせたらどれだけ危険な状況になるか。竹成は戦いで疲れているのにも関わらず、彼女をひきとめるために行動に移る。

 

ここに残された人達は、心身共に疲れ果ている。

それでも、時は残酷にも進んでいく。

 

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