ここは普通の鎮守府から比べるととても大きな鎮守府。当然艦娘の娘もたくさんいれば、妖精さんだって沢山いる。
ただ、この鎮守府でおかしなところがひとつだけあった、それはーーー
「今日の執務担当、榊と楽也だっけ?」
「うんそうだよ〜。あ、榊起こすの忘れた」
「また忘れたのか八塚、しっかりしろ!」
「ひ、ひぇ〜」
「あれ?楽也が比叡ちゃんになってる」
「あ、おはよう榊」
「おっはー蓮。士郎もおっはー」
「あぁおはよう」
ーーーこの鎮守府の提督と呼ばれている人物が四人存在することだった
☆☆☆☆☆☆
提督の一人、凪沙蓮(なぎさ れん)は成績や指揮は優秀ではあるものの、感情表現が苦手で人の感情というものを感じ取ることが不得意であった。また、女性と関わることが極端に少なく、そのせいか女性とのコミニケーションが苦手になり、自分に劣等感を抱くようになり、自分に自信をあまり持てないでいた。
昔から女性との関わりを避けてきたものだから、楽也、士郎、榊から「あいつは女性に興味を持ったことがない」などと揶揄されることがある。ちなみに他の三人も筋金入りの鈍感なので人の事は言えない。
この四人は大本営の元帥から、『今度お前達には規模の大きい鎮守府に着任してもらう。お前達に足りないものが補えるはずだ、覚悟しておけ。』と言われ前例の無い、一つの鎮守府に複数の提督が着任する事態に発展したのだ。
「…む?」
そんな彼は今、目を覚ました。まだ寝惚けているのかベットの上でぼーっとしている。他の三人はまだ寝ているであろうような早い時間だった。まだ眠い目をこすり時計に目をやると、時計の針は5のちょっと前くらいをさしていた。
(まだ、朝の5時前後じゃないか。こんな時間だと寝るにも寝れないな)
彼は執務に遅れをきたさないように朝の6時頃から早めに行っていた。普通の執務は7時頃から開始なのだが『早起きして執務していれば目も覚めるし、何より早く終わるからね』とかなんとか
(しかし、準備や着替えなんて30分もあれば余裕だ。あと30分はどう埋めるべきか……そうだ、久方振りにあそこに行ってみるか)
そう思うと、すぐさま仕事着の軍服に着替え、防寒着のコートを羽織ると自分の部屋を出た。
☆☆☆☆☆☆
同じく朝早く目が覚めた艦娘、大鳳はあまりに早く起きてしまったため、少し外を散歩していた。
途中、よく来る堤防の上で腰掛けた
(やっぱり朝の海岸沿いの道は寒いですね。でも、朝日が綺麗です)
時刻は朝の5時半くらいになっているため、ちょうど朝日を拝める時間帯である。この場所を知っている人は多いが、このような朝日が見られることを知っている人は少ない、そのため朝早く起きてしまった時や目を覚ましたい時などにここを訪れる人もいる。
その一人でもある大鳳は、やはり早く起きすぎて寝不足だったせいか朝日に照らされながら、こくり、こくり、と船を漕いでいた
「あれ、大鳳じゃないかそんなところで寝ていては風邪を引いてしまうよ。」
「ひゃ!?て、提督!?お、おはようございます!!?」
「うむ、おはよう」
取り敢えず落ち着いて、と提督もとい凪沙蓮は大鳳の横に座った。
「私もここから見る朝日が好きでね、執務の前や指揮の前に、こうやって眺めることを気に入っているんだ。大鳳もよくここに来るのかい?」
「あ、はい。ここの朝日を浴びながら海を見ていると落ち着いて任務にあたることができるので、よくこうやって座って朝日を眺めていますね」
「うん。やはり大鳳はすごいね。こんなに早く起きて任務のことを考えているんだからね、私も尊敬しなくてはいけないな。」
「そ、そんなことないですよ!いつも提督さん達の指揮があってこそ成功するのであって!私なんてそんなに大したものじゃ…..」
「そんなことないよ」
提督は落ち着くかのように一息つくと、そのままの口調で続けた
「私たちが日替わりで指揮のや執務をしているのは他の鎮守府から見ても珍しいことだろう。
それに指示するものが四人もいれば、少なからず違いが出てくる。本当は相当やりにくいし、疲れるはずなのだが、君たちはしっかり指示通り動いてくれるだろ?それは素晴らしいことなのだよ。それに比べたら私たちは何もしていないよ。日々命をかけて戦い続けている君たちには感謝してもしくれないくらい、本当に感謝しているよ。」
大鳳はぽー、っとした感じに頬を紅潮させ、ハッと何かに気づいたのか俯いてしまった。
大鳳は潮風に当たりすぎたのか。頰のあたりが紅くなってしまっているな、とこの提督は思っているが、当の大鳳は完全に見惚れてしまっていたことへの恥ずかしさからである
そこらへんに気づかないあたり、提督は残念な男である
「さ、もう寒いから鎮守府に戻ろうか、食堂で朝食をとろう」
「あ、あのっ…!」
そう呼び止めたかと思うと、大鳳はもじもじとしながら、ぽそりぽそりとつぶやいた
「そ、その、よかったら一緒にあ、朝御飯を食べて頂けませんか?」
「え…」
耳の先まで真っ赤にしながら食事に誘ってきた大鳳に少し驚きながら提督は
「とても嬉しいお誘いだが、私なんかがご一緒してもいいのか?私なんかが居ても疲れてしまうかもしれないよ」
「そ、そんなことないです!提督が居て疲れてしまうことなんてありません!」
普段はおとなしいくらいの大鳳が声を荒げることは本当に稀なことだ
「提督は自分の事を大事にするべきです。提督ががんばってらっしゃるのは皆さんも知っています。提督は、少しは自分に自信を持つべきです!」
そこまで言い終わると、何かに気づいたのかまた、真っ赤になっていまった。今度は手の先まで。
「いや、あの、だから、その……すいませんでした」
しゅ〜、と言う音が出てるかと思うくらい、頭から蒸気を上げていた。
この時提督は人知れず色々なことを学んだ。一つは、この考え方を直さなければいけないと思ったこと。もう一つはそのことに気付かせてくれた大鳳への感謝。
提督はいつの間にか大鳳の細く柔らかい髪を撫でていた。
「ありがとう大鳳。これからは気をつけるよ」
「ひょえ!?こ、こちらこそ!もっともっと精進致しましゅです!」
噛んでる上に異常をきたしていたが、提督は嬉しかった。自分のことを心配してくれる人がいて、それに答えようと思えたことが
「それとさっきの食事の件だが、大鳳が良ければご一緒させてもらうよ。」
そう言った瞬間、ぱぁっと、花のような笑顔になった大鳳はとても嬉しそうに「本当ですか!」と確認してきた。
「あぁ本当だよ。良ければ仕事終わりに甘味処でなにかご馳走するが?」
「いいんですか?それなら是非、おねがいしますね」
「もう寒い。鎮守府に戻ろうか」
「はい」
自分の後ろを嬉しそうについていく大鳳を見て、提督も嬉しそうに微笑んだ
この後、一緒に歩いていた所を青葉撮られ、その写真が大鳳の元に届いたときは、顔を真っ赤にしながらも、きちんと受け取ったらしい
今回の提督は凪沙蓮でした。今度書くお話は他の提督の話にしようと思うので、見ていただけたら嬉しいです。
ポケモンのお話はもう少ししたら執筆しようと思ってるので、気長に待ってくださるとありがたいです。遅れちゃってすみません