記憶を辿れば何時も俺は小さな部屋に居た。
(冷たい)
液体の入ったカプセルの中は以上に冷たかった。
虚ろな目に映るは自分を造った生みの親。
「あぁ‥‥お前は本当に素晴らしい」
母は笑顔で俺を見る。
その笑顔は何処か寂しそうだった。
「‥‥お前は誰にも渡したくない」
硝子に頬を付け、そう呟く。
まるで抱き付かれた様に思える。
母は俺を見て、問う。
「私と共に‥‥を変えないか?」
俺は‥‥何て答えただろう。
思い出すのは豪炎と竜の声。
そして割れるガラス、泣き叫ぶ母の声。
暴風と爆発音が耳に張り付き、離れない。
「連れて行くな! 私の子を‥‥私とあの方の!」
母の悲痛な叫びは竜の咆哮に掻き消された。
鮮血が壁を塗り、竜の腕を紅く染める。
竜は俺を連れて飛び立つ、其処からは白く、何も見えなかった。
目の前に倒れる竜を俺は見ていた。
近くに黒き竜が嘲笑うかの様に此方を見る。
『‥‥逃げ』
倒れた竜が俺にそう言う。
俺は振り返らずに逃げた、そしてその後、轟音と叫び声が辺りに響く。
知らず間に涙を流した、其処からは何も見えない。
森の中に立つ大きな建物、その中から俺は出て来た。
その全身は紅く染まり、手には食べ物と金が詰め込まれた袋が握られていた。
染み付いた血の臭いは取れず、血に誘われ寄って来た獣が襲い掛かる。
獣の首を引き裂き、骨を砕き、潰す。
更に紅く染まる自分を見て溜息を漏らし、死体を地に埋め、森の中を歩く。
そしてそれから数ヶ月。
俺はとある街にある、とあるギルドの前に居た。
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