FAIRY TAIL 全知全能の魔導士   作:勇義

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空から落ちし星が背負う咎

 

 

~旅館~

 

飯を食い終わった後、旅館に戻り、寝ようとしたらミラが突然俺の布団に突っ込んで来た。

 

「おい! 何で入って来た!? 何で浴衣脱ぐ!?」

 

布団に入るや否や、浴衣を脱いで俺に覆い被さる。

あぁ大体の予想は付いた、だから逃れようと抵抗する。

だが、俺の両手に鎖が巻かれた。

 

「ちょ!? 待て!」

 

俺の浴衣の帯を外し、疲れが取れた俺の下半身をまじまじと見た後、微笑み言う。

 

「待たないもぉ~ん!」

 

その夜、朝方近くまでミラは俺を放してくれなかった。

 

 

 

 

妖精の尻尾 昼過ぎ

 

 

 

俺は酒瓶を片手にエルフマンと喋って居た。

ミラと一緒に居たらまた襲われそうだしな。

 

「兄貴、ナツ達は何であんなに怪我してんだ?」

 

エルフマンは彼方此方に絆創膏を張るナツとグレイを見て、問う。

 

「あぁ~? アレはエルザに枕投げで負けたんだとさ」 

 

先程、ナツに聞いた所、壮絶な枕投げをしたらしい、馬鹿かと思ったが彼奴等ならあり得る。

 

「じゃあルーシィが不機嫌なのもその所為か?」

 

エルフマンが指さす先にルーシィが居た。

物凄く不機嫌なのは見て解る、ナツとグレイがビビる位だからな。

 

「‥‥気にするな、誰だって不機嫌な時ぐらいある」

 

酒瓶の中身を一気に飲み乾す。

その時、女達がぞろぞろと現れ、皆が同時にこういう。

 

【ロキは何処!】

 

如何やら全員自称ロキの彼女らしい。

全く、彼奴の女癖の悪さはオッサン並みだな。

女達はカウンターに居るミラに食い掛かる。

 

「昨日の夜突然別れようって」

 

「キー!くやしいけど私もよ」

 

「私も」

 

「私わたくしも」

 

「何で急にこんな事を言いだすのよ!」

 

「もしかして本命が現れたの!?」

 

「誰!?このギルドにいるの!?」

 

ミラは四苦八苦する。

俺は遠くで笑うのを堪えていたが流石に可哀想と思い、助ける。

 

「あぁ~ロキはギルドに居ないぜ?」

 

「じゃあ何処に居るのよ!」

 

「いや、知らねぇよ、兎に角此処には居ない、さっさと帰れ」

 

「まさか匿ってんじゃないわよね!?」

 

何言ってんだこの女!?

周りの女が次々と「そうだわ」とか「ロキを出せー!」とか言い出す。

あぁ面倒な奴等だな!

 

「さっさと出しなさい!」

 

女共が俺に襲い掛かって来た。

えぇ~い! 女に手を出すのは嫌だが力尽くで‥‥も‥‥

 

俺は背筋が凍る様な寒気を感じた。

ゆっくりと振り返るとミラが笑顔で此方を見ていた。

 

「あらあら? 人の男に手を出して、何したいのかしら? 死にたいのかしら?」

 

顔は笑っているが目が笑って居ない、もう殺す気満々の瞳だ。

コンビを組んで居た時でもこんな目見た事ないぞ!?

 

女達はミラの殺気に負け、速攻で逃げ出して行った。

ミラは笑顔のまま、俺に近付いて来る、まだ目は笑って居ない。

 

「アレス?」

 

「な、何だ!?」

 

ミラは何処から取り出したか解らないが縄を取り出し、瞬時に俺の体を縛った。

昔教えた、捕縛術だな、縛る速度がスゲェ―速い。

 

「あははは、ミラさん? これは?」

 

「アレス、OHANASIしましょうよ」

 

「い、いやぁ~話すのは良いけど縛る必要ある?」

 

「ふふっ‥‥色々と‥‥ね?」

 

俺は身の危機を感じ、逃げ出そうと縄を切った。

だが、すぐさまミラに捕まり、悲鳴を上げたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜 カレン・リリカの墓

 

 

結局気に成って墓まで来たが‥‥ルーシィがもう居た。

 

「星霊ロキ‥‥ううん、本当の名は……獅子宮のレオ…」

 

「…確かに、よく気付いたね、僕が星霊だって」

 

「…あたしもたくさんの星霊と契約してる星霊魔導士だからね。あんたの真実に辿り着いた…もっと早く気付くべきだったんだよね」

 

「……君が気にすることはないよ…早く気付いたところで、何も変わりはしない」

 

その言葉は、ルーシィだけでなく、気付いていたのに何もしてやれなかった俺にも言っているようだった。

 

「あたしもあんたを助けたい!!」

 

「アレスにたくさん励ましてもらった。勿論、ルーシィにも。……十分だよ」

 

「…本来、鍵のオーナーが死んだ時点で星霊との契約は解除される。次のオーナーが現れるまで、星霊は星霊界へ強制的に戻されるの‥‥カレンが死んで、契約は解除されはたはずなのに、貴方は人間界にいる…」

 

ルーシィの視線はKaren lilicaと彫られた墓石に向けられた。

 

「カレン・リリカ‥‥僕の元オーナー青い天馬(ブルーペガサス)の魔導士…そして人間が星霊界で生きていけないように、星霊も人間界じゃ生きていけない。生命力は徐々に奪われ、やがて死に至る…もう3年になるよ」

 

困った顔をしながら、ロキが他人事のように告げる。

 

「もう限界だ…全く力が出ない…」

 

「っあたし! 助けてあげられるかもしれない! 帰れなくなった理由を教えて!」

 

私が門を開ける!と必死に叫ぶルーシィだが‥‥それでもロキは、助けはいらないと背を向けてしまう。

 

「帰れない理由は単純なんだ…オーナーと星霊の禁則事項を破ってしまったんだ…結果、僕は星霊界を永久追放となった」

 

ロキが犯した罪は、オーナーであるカレン・リリカを殺したこと。

青い天馬の魔導士カレンは、星霊を物のように扱い、やりたい放題星霊に酷なことを命じていた。

特に酷い扱いを受けていたのが、黄道十二門・白羊宮のアリエス。

アリエスはカレンの代わりに攻撃を受けさせられたり、彼女目当てで来た男の相手を無理やりさせられたりと、酷い扱いの日々に身も心もボロボロになっていた。

そんなアリエスを助けようとしたのがロキだった。

カレンの手を借りずに自らの魔力で人間界に出てきたロキは、自分とアリエスの契約を解除しろと要求した。

 

勿論カレンはその要求を呑まなかった。

 

しかしロキの力を借りれない彼女は仕事が出来なくなっていた。

 

「強制閉門‼ くそ‼ 何で閉じないの!」

 

カレンは必死に閉門しようとするが出来ない。

 

「そんなヘマ僕がすると思うかい?自分の魔力でここに来ている。強制閉門は出来ないよ……契約を破棄する気になったらここへ来てくれ」

 

廃墟の淵で腰掛けるロキ。

その後何度も説得にカレンが来たが全て突っぱねた。

 

そして事故が起きた。

 

当時のカレンには星霊を2体同時に呼び出すことができなかった。

それなのに彼女は仕事へ向かい…そして命を落とした。

 

「それが…」

 

「…そう、僕の犯した罪だ…償うためには僕自身も消滅するしかない…っ」

 

言い終わると同時に、ロキの体がぐらり、と傾く。

ルーシィは慌てて近寄るが、ロキの体が薄くなり、透け始めていた。

 

「僕は、この時を待ちながら生きてきた…カレンの墓の前で消滅する時をね……最期に素晴らしい星霊魔導士に会えた…ありがとう」

 

「待って!」

 

ルーシィに、妖精の尻尾の皆に、別れを告げるロキをルーシィが止める。

 

「あたしは納得できないっ! だって…おかしいじゃない!! そんなのカレンを殺めたことにならないよ! 不幸な事故じゃない…!!」

 

「ルーシィ…」

 

「開け! 獅子宮の扉!! ロキを星霊界に帰して!」

 

必死に扉を開こうとするルーシィ。

それをロキがもういいんだ、と止めるが、ルーシィは引かない。

 

「開けぇぇ!獅子宮の扉!!」

 

バチバチと、周りから金色の光が上がり始める。

 

俺は驚いた、ルーシィの奴、門を抉じ開けている‼

 

「そんなに一度に魔力を使っちゃダメだ…!」

 

「っ…言ったでしょ! 助けるって! 星霊界の扉なんてっ…あたしが無理矢理抉じ開けてみせる…っ!」

 

 

このままじゃ、ルーシィの魔力が尽きてしまう…

 

 

「………開け!獅子宮の扉!」

 

「やめてくれ…!」

 

「………開け‼」

 

「っ開かないんだよ! 契約をしている人間に逆らった星霊は、星霊界には帰れない! やめてくれ! このままじゃ、君たちも一緒に消えてしまう…!」

 

ロキが譲らなかったように、ルーシィも譲らない。

 

「これ以上…僕に罪を与えないでくれえぇええええぇええ!!!!」

 

「そんなの罪じゃないっ! それが星霊界のルールなら…あたしが変えてやるんだからーっ!」

 

ルーシィの叫びに反応するように、大地が揺れた。

空の星たちが回転して異空間を作り出し、滝の水を飲み込んでいく。

 

「な、なに……」

 

「そんな…まさか…」

 

信じられない、という顔をするロキ。

二人の目の前に現れたのは巨人だった。

 

「星霊王…!」

 

「王って…一番偉い星霊ってこと…?」

 

二人が呆然とする中、星霊王がその口を開く。

 

【『古き友、人間との盟約において我ら、鍵を持つ者を殺めることを禁ずる』直接ではないにしろ、間接にこれを行った獅子宮のレオ、貴様は星霊界に帰ることは許されん】

 

「ちょっと!それはあんまりじゃないっ!」

 

「よ、よさないか!」

 

カチンッときたルーシィはロキの制止を無視し、星霊王に食って掛かる。

 

【古き友、人間の娘よ、その法だけは変えられぬ】

 

「…3年! ロキは3年も苦しんだのよ! 仲間のために、アリエスのために! 仕方なかったことじゃないの!」

 

【……余も、古き友願いには胸を痛めるが…】

 

俺は精霊王の言葉に切れた。

 

「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇッッッッ‼‼‼‼」

 

茂みから飛び出し、俺は精霊王を殴った。

鈍い音が辺りに響く。

 

「あ、アレス!?」

 

「精霊王を殴ったぁぁッッ‼??」

 

驚く二人を無視して叫ぶ。

 

「あっ―――たま来たぞ、おいコラァ‼ テメェ等、ロキは友の為に罪を犯し、その上、三年間も苦しんだんだぞ! それで胸が痛むだなんだ言うんじゃねぇ‼ テメェは法律に従って無罪の友を殺そうと居ているんだ、それを何で解らねぇんだド阿保‼ 精霊王なんか辞めろ、このヒゲオヤジ‼」

 

ルーシィとロキは口を開けて驚いて居た。

俺は二人の元に降り立ち、ルーシィの手を掴む。

 

「ルーシィ、お前に俺の魔力を渡す、お前の気持ち、彼奴に教えて遣れ‼」

 

「! うん!」

 

ルーシィの気持ちに応えるかのように、ルーシィの契約星霊たちが俺達の周りに現れる。

 

「ここにいる皆がまた悲しみを背負うだけ…!そんなの罪を償うことにはならないわ!!」

 

僅かな時間でも、たくさんの星霊を呼び出すには相当な魔力を消費する。

魔力を使い果たしてしまったルーシィは遂に倒れてしまう。

だが、それを俺が補い、ルーシィは歯を食い縛り、必死に体を持ち上げる。

 

「ルーシィ…!」

 

「今姿を見せてくれた友達も、皆同じ気持ち…!」

 

「友達…」

 

「あんたも星霊なら、ロキやアリエスの気持ちがわかるでしょ!?」

 

ルーシィの必死な叫びで、黙って聞いていた星霊王が眉を寄せた。

 

【…ふぅむ。古き友にそこまで言われては、間違っているのは法かもしれんな────同胞、アリエスのために罪を犯したレオ。そのレオを救おうとする古き友、その美しき絆に免じ、この件を例外とし、レオを……貴様に星霊界への帰還を許可する】

 

ルーシィの仲間を大切にする思いが、遂に星霊の禁則の法を変えた。

 

「な…」

 

ロキは王の判決に驚く。

 

「ハハハハッ! 良く言ったな! 後殴って悪かった‼」

 

俺は笑いながら謝罪する。

 

「良いとこあるじゃない!ヒゲオヤジ!」

 

嬉しそうに親指を立てるルーシィに、星霊王はニカッと笑う。

 

【星の導きに感謝せよ】

 

星霊王は罪を償いたいというロキに、ルーシィの力になって生きるよう言い残し、眩い光となって消えていった。

 

「…!」

 

涙を流し、カレンの墓を見つめるロキ。

その目には、微笑むカレンが写っていた。

 

「ありがとう、ルーシィ、アレス」

 

ロキも眩い光となり、ルーシィの手に鍵を残して星霊界へ帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、フェアリーテイル

 

「星霊だぁ!?」

 

「ロキがぁ!?」

 

「うん、まぁそういう事」

 

あっけらかんと答えるロキは、前よりずっと元気そうに見えた。

全く、世話の掛かる猫だな。

 

「俺は全く気付かなかったなぁ」

 

「見た目は俺らと変わらねぇからな」

 

「でもよ、お前牛でも馬でもねぇじゃねぇか?」

 

「ナツの知ってるバルゴだって人の姿だろ?」

 

「ロキは獅子宮の星霊よ」

 

「獅子!?」

 

「大人になった猫!」

 

「そうだね」

 

「違うー!?」

 

ネコ科だが合ってるが‥‥何か違うな。

ハッピーがいくらデカくなってもロキみたいには成れないだろう、いや、成ったらキモイ。

 

「でもお前、身体の方はいいのか?」

 

「まだ完全じゃないけど、皆に挨拶したくてね。それに、ルーシィの顔を早く見たかったし」

 

「っ!」

 

「でぇきてぇる~」

 

「巻き舌風に言うな」

 

ロキがルーシィを姫様抱っこして、去ろうとする。

 

「そういう訳で、2人の今後について話し合おうよ」

 

「こらこら!」

 

おぉ! 結構いいカップルに見える!

何て考えてたら後ろからミラが抱き付いて来た。

 

「アレス~私達も今後の事考えようよ!」

 

「だぁ~! 一々くっ付くなっ‼」

 

ジタバタと暴れているとエルザが大荷物を持って現れた。

如何やらロキがお礼と言ってリゾートのチケットをくれたみたいだ。

しかもよく見れば高級リゾートホテルだ。

エルザ達が言った後、ミラが羨ましそうに見る。

 

「良いなぁ~アレス‼ 私達も行こうよ!」

 

ミラはそう提案するが俺はそれを断る。

 

「悪い、マカロフから仕事の依頼があって二、三日帰れんから無理だ」

 

ミラはえぇ~と不機嫌そうに俺を見る。

 

「そんな顔で見んな、マカロフの頼みだ、断るに断れん‥‥と言う訳で行って来る」

 

俺は瞬間移動である場所に向かった。

それは俺が嫌いな場所、評議院だ。

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