ここは‥‥どこだ
白い世界が広がる、すると行き成り世界が開き、見えた。
自分の墓標の前に泣き叫ぶ家族の姿を‥‥
豪雨が降る中、それを掻き消すかのように皆の泣き声が聞こえる。
‥‥聞きたくない。
泣き顔が俺の眼に入る。
‥‥見たくない。
世界が閉じられ、暗闇が支配する。
魔の手が伸び、俺を覆う。
「俺は帰るんだ! 皆の元に!」
手を必死解き、もがく‥‥が何処に行けば良いか解らない。
再び手が俺を掴む。
「グッ!」
暗い闇に落ちた。
眼を開けているのか閉じているのかすら解らない。
「俺は‥‥闇じゃない」
弱々しく呟き、体を抱え、蹲る。
「俺は‥‥闇じゃない『ならばお前は光か?』」
黒い俺が現れ囁く。
『お前は闇だ、此処がお前の帰る場所だ』
不気味に笑う。
否定しようと‥‥言葉を探す。
『お前は闇だ、間違いなくな』
紅い瞳が俺を覗く。
心が呑まれそうな程、美しい紅い瞳が‥‥
体を黒い何かが這い巡る。
次第に視界が暗く成る。
『駄目!』
その一言で意識が覚醒した。
優しい声が‥‥体に力を呼び戻す。
「ミラ!」
家族以上に愛している女の名前を口にする。
『こっち!』
暗闇に一筋の光が差し込む。
闇を振り切り、光に向かって走る。
『待て! 幾ら逃げても同じだ! お前は闇だ!』
黒い俺がそう叫ぶ。
立ち止まり、振り向き言う。
「俺は‥‥闇じゃない!」
闇の世界に光が溢れ、黒い俺は歪んだ表情で言う。
『お前は‥‥戻って来る! 何もかも壊して‥‥あの女の様にな!』
そう言って消え去った。
俺は其処で意識を失った。
SIDE エルザ
私はベットの上で横たわって居るアレスを見ていた。
アレスが発見されたのは私達がリゾートに帰って二日目の朝だ。
本来ならエーテリオンの渦から、分子レベルでバラバラに成る筈だったのだがアレスの肉体はそれに耐え、リゾートの海岸に打ち上げられていた。
医者の話では「生きて居る事自体が奇跡」と言って居た、まさにその通りだと思う。
「アレスの奴、まだ寝てるのか?」
ノックもせずにグレイが入って来た。
「あぁ‥‥息はしている」
「たく‥‥早く起きろよ、ミラちゃんに何て言えばいいんだ」
グレイは頭を掻きながらそう呟く。
そうだなと呟き、再びアレスを見る。
発見した時よりか表情は落ち着いて居る。
「‥‥つかアレスの顔初めて見たぞ」
椅子に座りながらグレイは呟いた。
「私もだ」
此奴は何時もフードを被って居た。
だから一部の人しか素顔を知らない、ミラは誰よりも早く知って居た様だが‥‥
「「ただいま~」」
「アレスは起きたかぁ~!」
食堂で食事を済ませたナツ達が帰って来た。
「エルザ、お前も食って来いよ、朝から何も食って無いだろ?」
ナツがそう言う。
アレスが心配でずっと見ていた。
「‥‥そうだな、私も何か食べて来よう」
椅子から立ち上がり、食堂へ向かおうとすると‥‥
ブー…ブー…
何処からかそんな音が聞こえた。
耳を澄ますと如何やらアレスの着ていたローブからだ。
ローブを触って居るとポケットの中にそれは有った。
「エルザ、それって何?」
「小型の通信用ラクリマだな」
小さなラクリマが振動して音が鳴って居た。
しかし何でこんな物を持って居る? これは値段が高く、普通では手が出せない代物だ。
「取り敢えず出てみたらどうだ?」
「そうだな」
私はラクリマを耳に当て、出た。
「はい、もしm『アレス! 無事かあぁぁぁッッ‼‼』マスター!?」
電話の相手はマスターだった。
『むっ! その声はエルザか! アレスは如何した!』
私は全てを話した。
『‥‥解った、皆には一応言って置く、エルザ達も傷を癒し帰還する様に』
「解りました、それでは」
通信を切り、溜息を吐く。
ミラは何て言うだろう。
「誰からだったの?」
「マスターからだ、傷を癒し帰還する様との事だ‥‥取り敢えず誰か見ていてくれ」
そう言い残し、食堂へと向かった。
丁度、シュウ達も食事をしていたので妖精の尻尾へ勧誘した。
その後、シュウ達と食事をしているとグレイ達が慌てて来た。
話しを聞くと眼を離した隙に部屋からアレスが消えたと言い出した。
食事を中断し、ホテル中をくまなく探して廻った。
海岸
俺は座り込み、煙草を吸う。
塔と同化し、渦に巻き込まれた所までは記憶がある。
その後‥‥俺は誰かに此処まで運ばれた気がするのだが‥‥
「駄目だ、思い出せない」
虚ろな意識だったし、解らない。
エルザ達ではないのは確かなのだ、何でか解らないが‥‥
「‥‥母さんな訳ねぇよな」
意識がはっきりした時に‥‥何処か懐かしく温かい魔力を感じた。
何処となく、母の魔力を感じたが確証が無い。
「マハトか?」
マハトなら俺をそのまま連れて行く筈だ。
しかし、何故今更に成って俺を連れ戻しに来た。
「‥‥俺は‥‥闇なのか?」
造られた俺は人では無い、それが『俺が生きる為』とは言え‥‥この身はもう人じゃない。
なら‥‥それは闇か?
「‥‥」
考えるが答えは出る筈もない。
何もかもだ。
「解らねぇな‥‥」
海を眺めながら考える。
すると後ろからドドドドドドッと何かが迫る音が聞こえた。
「ん?」
振り向くとエルザ達が鬼の形相で此方に迫って来て居た。
「「「「「アレス―――ッッ‼‼‼」」」」」
「エルザ達か、如何した?」
そう問うと皆がずっこけた、何したいんだ此奴等?
「お前! 怪我は大丈夫なのか!?」
一番初めに起きたグレイが問い掛けて来る。
「別に‥‥痛くねぇぞ?」
「どんだけ回復力速いのよ!」
ルーシィが訳の解らん突っ込みを入れる。
「アレス! 一発殴らせろ!」
「あいさー!」
「うがあぁぁっ!」
エルザ、ハッピー、ナツが襲い掛かって来る。
騒がしい奴等だなと溜息を吐きながら軽く伸した。
その後、何故か説教を聞かされた。
次の日の夜
エルザ達と共にあの塔に居た男女達が選んだのは、自分たちの意思で本当の自由を探す道だった。
「・・・その強い意思があれば、お前達は何でもできる。安心したよ」
エルザが式典用の派手な鎧に換装した。
「だが!フェアリーテイルを抜ける者には、三つの掟を伝えなければならない!心して聞け!」
「「「「えっ!?」」」」
「エルザ姉さん!?」
「みゃっ!?」
「ちょ、抜けるって入ってもねぇのに‥‥」
当然だが、皆が驚き、四角男が抗議する。
だがエルザは無視して言葉を続ける。
「一つ、妖精の尻尾フェアリーテイルの不利益になる情報を・・・生涯他言してはならない!
二つ、過去の依頼者に濫りに接触し‥‥個人的な利益を生んではならない!
三つ、例え道は違えど‥‥強く力の限り生きていかなければならない! 決して‥‥自らの命を‥‥小さなものとしてみてはならない!」
エルザもショウ達も泣いていた。
「愛した友の事を‥‥生涯忘れてはならない!」
力強く、エルザが旗を振り上げた。
「妖精の尻尾フェアリーテイル式壮行会、始めぇ!」
「「「「おう!」」」」
花火の準備を始める私達。
ナツは口から炎の花火を打ち上げた。
「心に咲け‥‥光の華!」
グレイは氷の花火を、ルーシィは星の花火を。
「特大だ! しっかり目に焼き付けろ!」
竜の力をフルに使い、様々な色の花火を打ち上げた。
その光景に、ショウ達は感激していた。
「私だって本当は、お前達とずっといたいと思っている。だが‥‥それがお前達の足枷となるのなら、この旅立ちを祝福したい」
「逆だよ~エルちゃん!」
「俺達がいたら、エルザは辛い事ばかり思い出しちまう」
「だから俺達は‥‥離れなきゃいけない」
ミリアーナとウォーリー、シモンは涙ながらに言った。
「何処にいようと‥‥お前達の事を忘れはしない。そして、辛い思い出は明日への糧となり、私達を強くする。人間にはそう出来る力がある! 強く歩け! 私も強く歩き続ける! この日を忘れなければまた会える。元気でな!」
「エルザ姉さん~! 元気でね~!」
「バイバイ、エルちゃ~ん!」
「絶対また会おうゼ! 約束だゼー!」
ショウ、ミリアーナ、ウォーリーは、エルザに別れを告げ、先に歩む。
だが、シモンと言う大柄な男だけ俺の元まで歩み寄って来た。
「アレスと言ったな」
「あぁ」
その場に土下座し、叫ぶ様に言う。
「エルザを頼む!」
俺は少し驚いたがすぐさま返事する。
「おう! 任せろ! 気を付けてな」
シモンは走り三人の後を追った。
フェアリーテイルの皆に祝福されながら。
数日後 妖精の尻尾ギルド前
俺達は驚いて居た。
目の前には以前のギルドよりも巨大に成ったギルドが有ったのだ。
「これは‥‥スゲーな」
俺は感心する。
何でかって? このギルドの設計図を作ったのはミラだからだ。
ミラは天才的に絵が下手だ、もう子供の落書きの方が解る位に下手だ。
そんな解読難関の設計図を解読し、造ったのだから感心する。
中に入ってみると、最初に目に着いたのが、オープンカフェにグッズショップだった。
ちなみにグッズショップには、砂の魔導士マックス・アローゼが売り子をしていた。
「ふむ、フィギュアもあるのか」
俺のフィギュアが棚に置いてあった。
しっかりとした素材でかなりの値段だが‥‥誰か買うのか俺の人形?
「因みにアレス以外はキャスト・オフ可能だ」
マックスはそう言い、試しにルーシィの人形をキャスト・オフにする。
「キャアァァァァァっ!?」
ルーシィは赤面し、マックスを殴る。
自業自得だな。
酒場は広くなり、ステージまである。
更に地下遊技場にプールなど娯楽施設が有る。
「スゲェー‥‥アレを此処まで解読できたのか、レビィが遣ったのか?」
首を傾げならが考えているとマカロフが見えたので近付く。
「アレス、無事じゃったか!」
「無事に見えるなら眼科に行け‥‥ソイツは?」
隣に綺麗な女が居たので問うと挨拶して来た。
「初めまして! 私、ジュビアと申します」
「ジュビア? あの幽鬼の支配者のエレメント4、大海のジュビア・ロクサーか?」
「はい、その節は申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる。
俺は頭をワシワシと荒く撫でる。
「謝罪なんていいんだよ、終わった事だからな‥‥自己紹介がまだだったな、俺はアレス、妖精の尻尾S級魔導士だ、ようこそ妖精の尻尾へ、歓迎するぜ」
「はい! よろしくお願いします!」
「アカネでは世話に成ったな」
「皆さんのおかげです! ジュビアは頑張ります‼」
「よろしくね!」
「…恋敵…」
「違うけど!?」
恋敵? 誰か好きな奴でも居るのか?
「そしてもう一人の新メンバーじゃ。ホレ挨拶せんか」
「他にもいるの?」
「誰~?」
皆が新入りの方に向けた。
そこには‥‥
「ええっ!?」
「おいっ、嘘だろ!?」
ファントムロードのエース、鉄竜くろがねのガジルが居た。
「あ゛ん!」
「ガジル!?」
「何でコイツが!?」
「待って、ジュビアが紹介したんです…」
「…ジュビアはともかく、コイツはギルドを破壊した張本人だ!」
「…フン」
俺はガジルに近付く。
「よぉガジル、結局来たか」
「お前か‥‥俺に関わるな」
「つれねぇな、もう同じ仲間だろ?」
笑顔でそう言うと腕を剣に変え、俺の喉元に突き立てる。
「勘違いすんじゃねぇ‥‥俺は仕事が欲しいから『お前の鉄うめぇな』って! 何食ってんだゴラァ!」
俺は喉元に突き付けられた剣をボリボリと食っていた。
ガジルは元に戻し、俺を睨む。
「まぁ‥‥何だ? 困ったら俺を頼ってくれて構わんからな」
「誰が頼るか阿保」
可愛くねぇなと付け加え、カウンターに座り、酒を飲みだす。
「わ、私‥‥全然気にしてないよ‥‥」
レビィ‥‥そんな俺の後ろで蹲りながら言っても如何かと思うんだけどな。
奥のテーブルからドロイとジェットがガジルを睨んでいる。
まぁ無理もない。ガジルの最初の犠牲者だ。
ナツがガジルの事で反発してる様だ。
全く、心の狭い奴等しか居らんのか。
そう思って居ると突然明りが消えて真っ暗になった。
そして、ステージに明りが付く、ステージにはミラが居た。
「おっ‥‥ミラか」
「おぉ本当だ!」
「今日はナツたちの無事と、新築祝いに歌いまーす」
貴方のいない
机を撫でて
影を落とす
今日もひとり
星空見上げ
祈りをかけて
貴方は同じいま空のした
涙こらえ震える時も闇に挫けそうな時でも
忘れないで
帰る場所が
帰る場所があるから
待ってるひとがいるから
胸を締め付けられるような感情が心の底から芽生える。
まるで俺に向かって言って居る様だと思った。
ミラが歌い終わると、拍手喝采を浴びた。
テンションが上がったマカオが次の出し物を促す。
すると、ライトに照らされ、ある人物がステージに立った。
次にステージに立ったのは、白いスーツでばっちりと決めたガジル。
その姿を見た俺は思わず飲んで居た酒を吹き出した。
『俺の作った曲だ「BEST FRIEND」聴いてくれ』
カラフル カラフル
シュビドゥバ
恋の旋律 鉄色メタリック
トゥットゥットゥ シャララ
シュビドゥバ シャララ
ガジッと噛んだら 甘い蜜
俺は思わず腹を抱え、笑い出した。
「ダハハハッ! い、良いぞ! もっとやれ!」
こんな面白い曲聞いた事ない。
床をゴロゴロと転がりながら俺は悶絶して居た。
「こんなヒデ―歌、初めて聴いたぞ!?」
ナツがそう言うと同時にガジルはナツに向けギターを投げ付ける。
『プェープェップェッ!』
ハーモニカ咥えて何か言って居る。
「やんのかコラー!?」
「シュビドゥバー!!」
「何すんだテメェ!」
「シュビドゥバーだ!コノヤロー!」
其処からガジルとナツの乱闘が始まる。
そして、誰かが投げた物にナツがぶつかり、ナツが切れ、グレイが煩いとナツに言い、立つ時にグレイがエルザにぶつかり、エルザの食べていた苺のショートケーキが床に落ち、それをエルフマンが踏み付け、エルザが切れ、乱闘が更に悪化した。
俺はジュビアとレビィを抱え、バーの中へと退避する。
「全く、騒がしい奴等だよ」
俺は苦笑いしながらそう呟き、ジュビアに言う。
「こんな感じの奴等だが‥‥皆優しいから安心しろよ、まぁ怪我覚悟でな」
「はい!」
「恐いよ~!」
レビィは頭を抱えながら泣き出す。
俺は頭を撫でながら落ち着かせ、自分も乱闘に身を投じた。
「良し! 掛かって来い! 相手して遣る!」
近くに居たグレイを伸して、辺りに居る奴を吹き飛ばす。
壊れて行くギルドを見てマカロフは叫ぶ。
「明日取材者が来るのにお主等はじっと出来んのかぁ―――!!」
「「「「「「えぇえええええええええ!!!!!」」」」」
皆が驚く中、俺の表情は青ざめて行く。
あのメンドクサイ男が来るのかと思うと立ち眩みがした。