妖精の尻尾に加わって二日。
俺はグレイ・フルバスターと言う少年に決闘を申し込まれた。
正直面倒だが‥‥少し此処の実力と言う物を知りたいから受けた。
「へへっ! ボコボコにして遣る!」
グレイは早速、構えるが俺はそれを制止し、忠告する。
「ちょいと待て、戦うのは良いが俺は“右腕”しか使わん」
俺は珍しい魔法が二つ使える。
何方とも失われた魔法(ロストマジック)と言い、珍しい魔法なのだが‥‥その力を制御する為に俺は基本的に片腕しか使わない、両方使っても良いのだが‥‥もし力加減を間違えればギルドが吹き飛ぶ可能性がある、だから、基本的に片腕しか使わないのだ。
「その余裕、ムカつくな!」
「いや、お前の体を思っての事であって‥‥」
俺の発言は全部火にガソリンを注ぐ様に怒る。
「これは‥‥面倒だ」
外野は俺が勝つか、グレイが勝つかで賭けをしている。
因みにグレイが7で俺が3だ。
「あぁ~ごほん、両者準備は良いかの?」
「何時でも行けるぜ!」
グレイは今にも飛び掛かるのを堪えながらそう言う。
俺は黙って頷いた。
「それでは、グレイ対アレス‥‥始めぃ!」
合図でグレイは両手を添え、構える。
「先手必勝、アイスメイク・槍騎兵ランス!」
氷の槍が飛んで来た。
右腕でその槍を受け止める。
「へっ! 遣るじゃねぇか!」
「‥‥‥成る程、造形魔法か」
右腕に冷気を集め、グレイに向け、グレイの出した槍の三倍の量を出して放つ。
「! お前も俺と同じ造形魔法使いか!」
躱しながらそう言う。
残念、俺はそんなんじゃない。
「アイスメイク・大槌兵ハンマー!」
今度はデカいハンマーを造って俺を殴って来た。
「オラオラオラオラオラオラオラオラッッッッッ!!!」
ハチャメチャにぶん回す。
俺はそれを冷静に躱す。
「オラッ!」
「破竜拳はりゅうけん」
ハンマーを軽く叩く。
すると強力な衝撃が発生し、グレイのハンマーが砕け‥‥
「オワァァァァッッッ!?」
グレイは吹き飛ばされ、ギルドの二階を突き抜け見えなくなった。
「し、勝者アレス!」
辺りの者は驚いて口が開いて居た。
いや、一人だけ笑って居る。
「中々やるじゃねぇか新人」
その笑って居た奴が俺にそう言う。
「‥‥ラクサスだったか?」
「そうだ、最強候補の男だよ、新人さん」
挑発的発言。
此奴、一番厄介かも知れない。
「それで‥‥最強候補が何の様だ?」
「お前、全然力を出してねぇだろ、気に食わねぇな‥‥」
ラクサスの体から雷が走り、バチッと音を立てる。
此奴は雷系か? しかし、何処か見覚えのある雷だ。
「如何だ? 俺と戦って見ないか?」
「‥‥‥構わない」
俺は静かに構える。
「おいジジイ! 審判頼むぜ」
「解った、アレス、済まんが相手してくれ」
「別に良いけど‥‥‥強そうだから半分出す」
さっきから肌に感じる魔力、中々だ。
手を抜いて居たら怪我するだろう、だから“左腕”をポケットから出した。
「半分だぁ? 大層な余裕だなおい?」
「まぁな、本気でしたら怪我じゃ済まねぇだろうし」
俺は笑ってそう言う。
ラクサスの額に血管が浮かび上がる。
挑発に乗り易いな、上手く事が進めばいいが‥‥
「それでは‥‥ラクサス対アレス‥‥始めぃ!」
開始の合図と同時に両方動く。
「破竜拳」
衝撃波をラクサスに向け放つ。
だが、それを躱し、拳に雷を纏わせ、殴る。
左腕でその拳を止める‥‥が。
「ッ! 重い!」
予想に反して拳は重かった。
堪えれず、吹っ飛んだ。
「チッ!」
片腕で地面を掴み、止まる。
「まだまだぁ!」
今度は雷を纏って高速で突っ込んで来た。
「!」
地面に衝撃波を撃ち、空に逃げた。
成る程、最強候補は伊達ではない様だ。
しかし、あの魔法は‥‥まさか彼奴。
「如何した? こんなもんか?」
「冗談、まだまだ行けるぞ?」
「へっ! そうじゃないと困るんだよ」
俺の頭上に黒雲が現れた。
「レイジング・ボルト!」
雷が俺に直撃した。
「ははっ! 何だ何だ? 口の割には弱いなおい?」
何か俺を倒したみたいな事を言って居るな。
「おいおい、まだまだ行けるッたぞ?」
俺は地面に降りて手を合わせる。
「ご馳走様、中々美味かったぜ?」
「なっ!? お前まさか!」
ラクサスは眼を見開き驚く。
しかし、此奴まさか滅竜魔導士だったとは驚きだ。
だが、別にそんな事は如何でも良い。
今は此奴を大人しくさせる事が先だ。
「チッ! オラッ!」
雷を纏わせ、剛腕を振る。
それを右腕で受け止める。
「!」
拳を止められた事に驚いている。
俺は笑って言う。
「何だ? 随分と遅く見えるぞ?」
「吹くなよ!」
雷を纏い、ラッシュを打ち込む。
だが、全て右腕で受け止める。
「悪いな、そろそろ終わりにする」
左腕に黒い雷を纏わせ、拳を振り上げる。
「雷神の鉄槌」
ラクサスの腹を殴り飛ばした。
地面を数回撥ね、地面に俯せに成って倒れた。
俺はラクサスに近付き、言う。
「‥‥軽く殴ったから大丈夫だろ?」
ラクサスは苦笑いを浮かべながら弱弱しく言う。
「これで‥‥軽くか‥‥参ったぜ」
ラクサスはそう言い、意識を失った。
「勝者・アレス!」
歓声が一気に湧く。
「ふぅ‥‥疲れた」
そう溜息を吐き、一日を終えた。
しかし、更に疲れる出来事が三日後にあるとは思いもしなかった。