ラクサスとの決闘から更に三日後。
仕事から帰って来たら見ない顔が居た。
綺麗な緋い髪に鎧を身に纏った少女だ。
その女は俺に気付くと自分の名を名乗る。
「お前が新入りか、私はエルザ・スカーレットだ、宜しく」
手を差し出して来た。
俺は手を握り、自分も名乗る。
「俺はアレス、宜しくな、エルザ」
「‥‥聞いて居たのより大分違うな?」
「? 如何言う事だ?」
「いや、ラクサスを殴り飛ばしたと聞いて居たから巨漢を想像して居たのだが‥‥」
筋肉隆々の巨漢のイメージを浮かべるエルザ。
ボディビルダーじゃねぇんだからそれは無いだろ。
「まぁ巨漢じゃねぇが力には自信はある」
「そうか、では裏で『お~いエルザ! 居るんだろぉ!』‥‥タイミングが悪いな」
エルザは顔を顰める。
奥を見ると銀髪の少女が居た。
「あっ! おいエルザ!」
人垣を掻き分け此方に来る。
「全く、彼奴は無視して裏に行こう」
「おいエルザ! 無視すん‥‥」
銀髪の少女は俺を見て固まる。
頬が段々と紅く染まり、俺から目を背ける。
「お、おいエルザ! ソイツ誰だ!」
エルザの首に手を回し、小言で何かを言う。
「新入りのアレスだ、こっちはミラジェーン・ストラウス、ミラと皆は呼んで居る」
「そうか‥‥宜しくなミラ」
笑顔で挨拶する。
「お、おう!」
眼を逸らして頷く。
何か嫌われているな。
「まぁ良いか、それよりエルザ、遣るなら早く遣ろう」
「そうだな、日が暮れてしまう前に戦おう」
俺とエルザは裏へと行く。
「ま、待て!」
ミラが止める。
「私と戦え、アレス!」
「なっ! ミラ、先に申し出たのは私だぞ『良いぞ』!?」
俺は人差し指を突き立て、笑う。
「女に負ける程俺は弱くない、二人纏めて相手して遣るよ」
二人は俺の発言に切れた。
「「後悔させてやる!!」」
妖精の尻尾 裏
‥‥と言う訳で挑発に乗ってくれたのは良いが‥‥参ったな。
この二人、案外息が合って居る。
「ハァッ!」
剣を払い、蹴りを入れる。
エルザが怯んだ隙にミラが俺に殴り掛かって来る。
「ダラァ!」
「破竜拳」
衝撃波で拳を弾く。
中々強い、右腕だけじゃあ防ぎきれないな。
「オラァ!」
「ハァッ!」
二人同時に襲い掛かって来た。
「グッ! 重力グラビティー!」
咄嗟に二人の重力を操る、感覚が少し狂う程度に。
「んあ!?」
「えっ!?」
二人の攻撃は数センチ前に俺に当たる事なく空を斬る。
口の中に魔力を溜め、目の前にいる二人に向け放つ。
「爆竜の咆哮!」
紅い球がエルザ達の目の前まで飛び、爆発した。
「「うわぁぁぁぁっ!」」
二人は吹き飛び、地面に倒れる。
やばい、強く遣り過ぎたかも。
「お、おい、大丈夫か!?」
駆け寄るとミラが立ち上がった。
足は諤々と震えている。
「ハァ‥‥ハァ‥‥」
息を切らしながら虚ろな目で俺を見て、拳を上げる。
「‥お返‥しだ」
俺の胸を軽く殴ると俺に凭れ掛かった。
寝息が微かに聞こえる。
「大したもんだな」
俺は微笑み、二人を医療室に運んだ。
それからミラとエルザが良く俺に話し掛けて来る様に成った。